乱読・積んどく・お買い得!?

乱読・積んどく・お買い得!?

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2018.09.23
XML
​ 本著の正式なタイトルは、
 『霊魂や脳科学から解明する 人はなぜ「死ぬのが怖い」のか』。
 著者の前野氏は、慶応大学大学院で
 システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授を務める方。

 似たようなタイトルを背負う書籍は、巷に溢れかえっているが、
 それらの中でも、本著は学術的な色合いが濃く、極めて哲学的でもある。
 しかし、本著のこのタイトル、
 文庫化に至るまでの間に、色々な変遷があったという。


  「僕はもう悟ったから死ぬのは怖くない」と豪語して書き始めたものだった。
  しかし、正直言うと、なぜだか、書いているうちに死ぬのが怖くなってしまった。
  (中略)
  しかし、編集の方にも「死ぬのが怖くなってしまった」ことを見抜かれたようで、
  単行本のタイトルも、最初は『死ぬのが怖くなくなる本』だったはずなのに、
  編集の方の提案で『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』に
  変わってしまったのだった。実は。
  そして文庫のタイトルは『人はなぜ「死ぬのが怖い」のか』となる。(p.291)

なかなか正直な告白である。
「死」が、自分にとって遠いものと感じるときと、
それが、自分にとって逃れようのないほど身近なものとなってきたときとでは、


  キューブラー・ロス( 『死ぬ瞬間』 中央文庫・2001年)によると、
  病気により死期が迫っている末期患者の精神状態は、基本的に、
  衝撃 → 否認 → 怒り → 取引 → 抑鬱 → 受容
  のような段階を追うという。(中略)

  「死の瞬間とは恐ろしいものでも苦痛に満ちたものでもなく、
   身体機能の穏やかな停止である」と。(p.126)

このように記したキューブラー・ロスですら、
晩年、自身が脳梗塞の影響で左半身麻痺となってからは、死を受け入れられず、
長い間怒りに震え、自暴自棄な発言が目立っていたという。
「悟る」ことは、そんなに簡単ではない。

リチャード・ドーキンス の名著『利己的な遺伝子』を読まれた方も多いことだろう。
  人は遺伝子の乗り物だという考え方だ。
  要するに、生物種は、種を保存するように進化してきたのであって、
  個体は、種の設計図であるDNAを運搬する乗り物でしかない。
  言い換えれば、生物は、個体の生を永遠に保存するようには進化してこなかったので、
  個体に対しては残酷な死刑宣告のようではあるが、
  個体が死ぬのは生物種の戦略なのだ。(p.56)

生物学的に言えば、まったくその通りなのだろう。
それを、自分自身の存在の喪失と直結させることが、とても難しい。
それは、なぜかと言うと、次のような事情である。
この感覚は、人間しか持ちえないものなのか。

  前に述べたように、私たちが死にたくないのは、
  生きてクオリアを感じているこの状態をずっと維持したいからだと考えられる。(p.170)

本著において、この「 クオリア 」という言葉は、頻出する。
人の生を語るとき、この「クオリア」を避けて通ることは出来ないようだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.09.23 18:26:11コメント(0) | コメントを書く
[暮らし・健康・医療] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: