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kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2018.11.18
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カテゴリ: 教育・子育て
​ 著者は、かつて文部科学省で事務次官を務めていた前川喜平氏。
 2017年1月20日に、 文科省再就職等規制違反問題 の渦中で退任したが、
 その後、 加計学園問題 を巡る発言や
 公立中学校での講演問題、出会い系バー問題等で話題となった。

 確かに、本著の第4章には、加計学園問題についての、
 前川氏と、かつて「ミスター文部省」と呼ばれていた寺脇研氏、

 本著の本当の価値は、第1章から第3章までの前川氏の回想録にある。

ただし、それらを読み進める前に、
巻末にある『Twitterなら何でも言える ほぼ独り言の「背腹発言集」』を、
先に読んでおくことをお勧めする。
これを読むだけで、前川氏がどのような人か、おおよそ見当がつく。

   ***

  公務員は代議制民主主義の下、国民・住民の代表者の下でその政治的意思に従い、
  組織として一体となって仕事をする。
  一体となった組織の中で、個人の意思は捨象される。
  その意味で公務員は匿名である。
  課長、部長、局長、事務次官といった職分で仕事をするのであって、

  私個人の名前の入った文書であっても、それは私個人の意思を表したものではない。(p.4)

まさに、その通り。
でも、民間でも、そうなのではないかなと思う。
「人は立場でものを言う」のである。
それが、宮仕えの身というものである。


  その新奇性をアピールするためのキャッチフレーズを考えてきた。
  今回の改訂におけるそれは「アクティブ・ラーニング」、
  すなわち「主体的で対話的で深い学び」だ。
  しかし、現場の先生たちはこういう言葉にあまり振り回されないほうがいい。
  大きな方向性は、この30年間変わってはいないのだ。(p.91)

この部分を読んだだけで、前川氏が本著において本音を記していることが分かる。
こんなことは、文科省に属している時点では、決して書けないだろう。

  全国学テは、「悉皆調査」だと言っているが、
  全国の学校に実施を義務づける法令などはない。
  法的に言えば、文部科学省が全国の学校に
  「よかったら実施しませんか?」と呼びかけているだけなのであって、
  実施を強制する権限はないのである。
  実施するかしないかの判断をするのは、学校の設置者だ。
  公立学校なら市町村教育委員会、私立学校なら学校法人である。
  学テの実施は任意なのだ。
  実際、私立学校は半数程度しか実施していない。(p.101)

これなど、現場で教師をしている人間でも知らない人が多いのではないだろうか?
まさに、目から鱗が落ちる思いである。

  私が文部官僚としてやりたくなかった仕事の最大のものは、
  2006年の教育基本法改正である。(中略)
  家庭教育については1条が設けられ、、
  「保護者の第一義的責任」が規定され、生活習慣を身に付けさせることなどに
  「努めるものとする」と法的義務を課す規定が設けられた。
  こうして、法律さえあれば、国家が学校教育のみならず
  家庭教育に対しても介入できる法的根拠ができたのである。(p.135)

こういったことに気付くことが出来るかどうかが肝心なところなのだが、
これについては、当時さほど大騒ぎになることもなかったような気がする。
しかし、その気になれば、そういうことも可能になっているということは、
私たちは、よくよく知っておいた方が良いと思う。

  このような「考え、議論する道徳」を、検定教科書を使って行うにはどうしたらよいか。
  一つの方法は「中断読み」である。
  読み物資料を最後まで読まず、
  登場人物の心の揺れの中から道徳的価値の葛藤を見いだし、
  児童生徒が自らその解決策を考え、議論するのだ。
  答えは一つではない。
  物語の結末が示すものは、あらゆる選択肢の一つにすぎない。(p.168)

失礼ながら、現場の教師でもない文科省の事務次官が、
こんな突っ込んだところまで考えていたことに、逆に驚いてしまった。
このように、本著は普段知ることの出来ない文科省内部の裏話や、
各種改革についての様々な思惑を知ることができる貴重な一冊である。





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Last updated  2018.11.18 18:55:01コメント(0) | コメントを書く
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