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2019.12.01
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カテゴリ: 教育・子育て
​​ ​ わずか182頁のコンパクトな一冊ですが、読む価値は大いにあります。
 今年の夏に刊行されたものですが、今なお売れ続けているのも頷けます。
 著者は、立命館大学産業社会学部の宮口教授。
 児童精神科医で、医療少年院で勤務したこともある方。

 その経験をもとに書かれた本著は、非行少年の実態を知るには絶好のもの。
 そして、その知見は、非行少年に限らず、
 子どもを理解するために、知っておくべき事柄であふれています。
 誰もが、「そうだったのか!」と気付かされるとがきっとあるはずです。



  同じことは学校教育にも当てはまります。
  悪いことをした子がいたとして、反省させる前に、
  その子にそもそも何が悪かったのかを理解できる力があるのか、
  これからどうしたらいいのかを考える力があるのか、を確かめなければなりません。
  もしその力がないなら、反省させるよりも
  本人の認知力を向上させることの方が先なのです。(p.57)

いきなりズバッと来ました。
そして、この状況は「子」だけに起こるものではなく、
保護者である「大人」でも、同様に起こりうることを心にとめておかねばなりません。
学校を卒業して、年齢を重ねれば、皆、誰もが同じようになっているわけではありません。

  子どもの課題を保護者に理解してもらうことの難しさは、

  (中略)自分の子どもが殺人を犯してすら、
  子どもの問題を理解・受容しようとしない保護者がいるくらいですから、
  子どもの少々の問題だけでは危機感を抱かず
  聞く耳を持たない保護者がいても不思議ではありません。(p.96)

もちろん、親の感情として「受け入れ難い」ということは理解できます。

そして、それは、ひょっとすると上記のような事情があるかもしれないのです。
そんな場合の対応は、本当に難しくなってしまいます。

  ・聞く力が弱い→友達が何を話しているか分からず話についていけない
  ・見る力が弱い→相手の表情やしぐさが読めず、不適切な発言や行動をしてしまう
  ・想像する力が弱い→相手の立場が想像できず、相手を不快にさせてしまう(p.80)

「なぜ?」と思わざるを得ないような行動の背景には、
このような「聞く力」「見る力」「想像する力」の弱さがあることも。
目の前の子どもたちの、こんな状況は何とかしないといけない。
何ともできないまま卒業、大人になってしまうと後々困ることになるのですが……

  つまり、今の学校教育には系統だった社会面への教育というものが全くないのです。
  これは大きな問題です。
  社会面の支援とは、対人スキルの方法、感情コントロール、対人マナー、
  問題解決力といった、
  社会で生きていく上でどれも欠かせない能力を身につけさせることです。(p.127)

これは、大きな問題提起だと思います。
もちろん、学校が何の手立ても施していないということはないでしょう。
各校とも、場面場面をとらえて、様々な取り組みを行っているはずです。
しかしながら、「系統的」かと言われると、「そうではない」と言うしかありません。

では、実際にどうすればよいのでしょう?
著者は、自身が取り組んだ様子について記してくれてます。

  人が自分の不適切なところを何とか直したいと考えるときは、
  「不適切な自己評価」がスタートとなります。
  行動変容には、まず悪いことをしてしまう現実の自分に気づくこと、
  そして自己洞察や葛藤をもつことが必要です。(p.150)

「現実の自分」に気づかせることは、そう簡単なことではありません。
でも、それなしには、次のステップへと進んでいけないことは確かでしょう。
自己に注意を向けさせる方法のひとつに、「他人から見られている」があり、
少人数のグループワークが有効であるとの指摘は、大きなヒントになりそうです。

  コグトレとは、認知機能を構成する5つの要素
  (記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断)に対応する、
  「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の
  5つのトレーニングからなっています。

これも、本著が提供してくれる大きなヒントの一つ。
この認知機能強化トレーニングについては、 書籍 も販売されているとのこと。
そして最後に、本著で興味深かったのは、次の「自尊感情」に対する記述。
これまで、あまり見たことのない内容で、目からうろこでした。

  つまり、自尊感情が低くても社会人として何とか生活できているのです。
  逆に、自尊感情が高すぎると自己愛が強く、
  自己中のように見えてしまうかもしれません。
  大人でもなかなか高く保てない自尊感情を、
  子どもにだけ「低いから問題だ」と言っている支援者は、矛盾しているのです。
  問題なのは自尊感情が低いことではなく、
  自尊感情が実情と乖離していることにあります。(中略)
  無理に上げる必要もなく、低いままでもいい、
  ありのままの現実の自分を受け入れていく強さが必要なのです。
  もういい加減「自尊感情が……」といった表現からは卒業して欲しいところです。(p.125)





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Last updated  2019.12.01 17:26:00コメント(0) | コメントを書く
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