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1995年に出版されたこの本は、 『「甘え」の構造』の土居健郎氏と上智大学教授の渡部昇一氏が、 当時の社会問題となっていた「いじめによる中学生自殺事件」について、 社会的側面及び心理学的側面からアプローチした対談と 各々の論文を掲載したものです。 昔は、子供達の中に 「大人の言うことは聞くものだ」という感覚が自然と備わっていて、 親はもちろん、近所のおじさんやおばさん、 学校の先生やおまわりさんの言うことには、その内容に多少の不満がある場合ですら、従っていたように思います。もちろん、それが絶対的に「○(まる)だ!」などとは思いません。しかし、良からぬ事をしているところを、近所の大人から咎められて、「なんで、お前らに文句言われなあかんねん!」と逆切れするのが、子供達にとって当り前になり、結果、大人達は誰も注意をせず、時には親でさえ見て見ぬ振りという状況の現在とでは、どちらが健全な人間や社会を育成することができるのか、ハッキリしているように思います。本書では、いじめの背景に妬み(ねたみ)が作用していたことを指摘しています。文中にあるように、「妬み」は、平等主義の現在の日本では、タブー視されていると感じます。「妬まれる」ということは、妬んだ方が悪いはずなのに、妬まれた方が悪いような気がしてしまうようになっています。なぜなら、現在の日本では、妬む者は「公平と正義」を主張しているのであり、彼らの声は、絶対に聞いてあげなくてはならないことになっているからでしょう。そして、妬まれる者が、悪いということになってしまいがちになっている……。このような構造は、確かに色々な場面で、結構数多く見られるような気がします。どれが「妬み」で、どれが本当の「公平と正義」なのか、その見極めはかなり難しいと思いますが、注意しないと、とんでもない過ちを犯しかねないような気がします。 ※ この記事は、他サイトに2003年09月15日に投稿した記事を サイト閉鎖に伴い、こちらに移転したものです。
2007.02.13
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女の子たちが、 こんなにも恐ろしい世界に身を置きながら、 日々を過ごしていたとは…… とにかく、驚きの連続です。 私も、このことについては、うすうす感じていました。 けれど、それは、濃い霧の向こう側での出来事のように、 ボーっとしか見えてはいなかったのです。 それが、この本を読んだ途端、どこからか、フッと風が吹いてきて、霧が吹き飛ばされ、向こう側にあったものの正体が、ハッキリと見えたのです。ここに描かれているのは、アメリカの女の子の世界です。日本とは違う点も多々あるでしょう。でも、共通点も数え切れないと思います。というか、「問題の根本はどこでも同じ」と、この本を読み進めていくうちに、思わせられました。9章の「これから何をすればいいか」では、いじめに苦しむ娘に対する「望ましいせりふ案」が示されていますが、これは、マニュアルとして、なかなか素晴らしい出来映えのものです。いじめに苦しんでいる女の子はもちろん、「女の子を育てる」ということに携わっている保護者や学校関係者をはじめ、すべての大人達に読んで欲しい一冊です。「いじめが気になる」という男の子も、ぜひ読んでみるといいですよ! ※ この記事は、他サイトに2003年09月13日に投稿した記事を サイト閉鎖に伴い、こちらに移転したものです。
2007.02.12
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かなりハードな内容で、 読後は、人により、賛否両論真っ二つというところでしょうか。 でも、これくらいガツンと書かないと、インパクトが薄いし、 数ある新書の中で、売れ筋商品にはなれない(?)ということでしょう。 私、個人としては、 基本的に、著者が主張している内容には、共感を覚える部分が大。 「己」を知る謙虚さ 「宿命」を受け入れる潔さ 「不条理」を生きぬく図太さ確かに、これらは、今、不足している、若しくは失われてしまっているもの。「全員百点」の学校は理想的か?と聞かれた時、著者が指摘しているようなことが起こるのなら、「そりゃ、ちょっとマズイかなぁ」ということになってしまいます。また、金八先生はいい先生か?と聞かれた時、著者が指摘しているような部分に注目すれば、「そりゃ、やっぱりイイとは言い切れないな」ということになってしまいます。さらに、学校再生の鍵として、 「勉強する場の復権」と並行して 「社会への通過儀礼という機能」を取り戻し、 不条理を図太く生きぬく生徒を養成すること、としている部分は、大いに納得出来るものです。(まぁ、保護者や社会全体の同意を得るのは、なかなか大変でしょうが……)第4章以降については、著者と意見を異にする人たちから、特に批判・反論が押し寄せそうな気配を感じる部分。「そこまで言うか……」という感じで、ズバズバ書いてくれているので、私も「ちょっと、ついていけないなぁ……」と感じながらも、「それでも、言おうとしているところは、全く理解できないものでもない」というのが、本音です。
2007.02.06
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「国際数学・理科教育動向調査の2003年調査(TIMSS2003)」や 「PISA(OECD生徒の学習到達度調査)2003年調査」の結果は、 日本国内に大きな衝撃を与えました。 PISAでは、知識の量を求めるのではなく、 知識の活用や応用力が問われたのですが、 日本の場合、数学リテラシーは、前回調査の1位から6位へ、 読解力は、同じく8位から14位へと転落していました。この結果を受け、各所で「学力」というものについての議論が盛んになり、「学力低下」が叫ばれることになりました。そして、「ゆとり教育」や「総合的な学習」に対する批判が高まり、「教育」の目指す方向が、また、大きく変わっていこうとしています。PISAでは、フィンランドが「学力」トップの座を維持し、北欧の国々も、それぞれに「学力」が高いことが判明しました。そして、この本は、北欧国の一つであるスウェーデンの中学校の様子を実際に現地で指導した日本人教師が、リポートしたものです。 ***・日本の小学校6年間に当たる期間は、原則的にクラス替えが無く、 中学校になってからも、そのまま3年間過ごすところも多い・定期考査や実力テストのような集中テストはない・中学2年生の秋学期終了時に、生まれて初めての成績表をもらう・高校や大学に入学する時、入学試験による選別はない・学校にクラブ活動がない等々、日本とは、かなり違う部分があることが分かります。しかしながら、・イジメが学校内で最大の問題である・連日、さまざまな職員の会議が行われている・公立学校への不満から「自由学校」を選択する保護者がふえてきている等々、共通する部分も多いようです。「あとがきにかえて」で書かれている「教員の問題」についても、日本と共通する課題が見られます。日本における「学校版2007年問題」を考える際、たいへん示唆に富んだ内容で、私は、この部分が一番印象に残りました。
2007.01.28
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『セックスに対する価値観が変わり、 その意味するところが多岐に渡るようになってきている。』 著者は、冒頭でそんな風に書いています。 ここ20~30年の間に、 世の中の色んな価値観が、大きく揺れ動き、 何が正しく、良いことで、 何が間違っていて、悪いことなのか、 それがはっきりしなくなりました。そして、そんな時代の中を、どんな風に生きていけばよいのか、その行き着く先を、しっかりと見定めることが出来ぬまま、いつまでも「自分探しの旅」を続けている、そんな大人たちが増えてきた中で、起こってきたことなのです。いつも「大きな不安」ばかりを抱えながら生きている大人たち。そんな後ろ姿を見つめながら、十代の少女たちは、「今しかない」と、大人になる前の執行猶予期間を生きています。彼氏に求めるものも、様変わりしている様子。特別な存在と言い切るほどのものではなく、ブランドバッグを持ち歩いている感覚に近いとも。まぁ、イケメンの彼氏を連れて、周囲が羨ましがってくれれば、満足感は得られるし、いい気分には違いありません。セフレやエンコーに対しては、少女たちの思いは、人それぞれ。この「それぞれ」っていうところが、今の時代。お父さんやお母さんの世代では、「それぞれ」っていうところまでは、行ってなかったでしょうし、況や、おじいちゃんやおばあちゃんの世代では、言語道断の世界。結婚や子育て、その後の人生や夢についても、人それぞれ。でも、それは決して「明るい希望に満ちあふれたもの」ではない様子。だからこそ、今この時、十代を必死で遊ぶ、Hもその一つ……。しかしながら、性感染症の増大や、無知なセックスによる妊娠・中絶は避けたいところ。TVドラマ『14才の母』は、あんな感じで終わることが出来たけれど、現実の世界では、なかなか「最終回」とはなりません。著者が言うように、大人が、セックスや結婚、家族について正面から向き合い、子どもたちが、将来に対して、過度に「不安」を感じなくてすむ何かを提示してあげなくてはならないのでしょう。
2007.01.06
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この本はマニュアル本です。 けっして若い人の悲しみやさびしさにそっと寄りそい、 こころを癒すような機能をもつ本ではありません。 そのような効果を期待しているかたは、 悲しい体験をしてきた人の自伝を読むか、 モーツァルトのレクイエムをお聴きください。 これが、この本の冒頭部。 なかなかのインパクト!!、そして買ってしまった……。 この本は、著者の言葉通り、確かにマニュアル本。その人が「とっても重大!」と思ってしまうような状況に出くわしてしまった時、「それほど重要なことでもないのかも……」と感じ、「それだけが重要なことでない」と気付き、次の新しいステップを踏み出すことが出来る、そんな時がやってくるまでの間、どのようにして、その「困難と思われること」を脇に追いやり、生き延びていけばよいかについての。 この本を読んでみて、精神科のお医者さんというのは、訪れる患者さんに対して、こんな感じで対応しているんだなということが、少しばかり分かった気がします。もちろん、精神科医の方も、人それぞれですから、もし、同じ患者さんを目の前にすることがあったとしても、それぞれに、自分らしい違った対応をするのでしょう。これは、あくまでも宮田先生の手法、言葉、そして考え方。その辺のことを理解した上で、「こんなやり方もあるのか」ぐらいの気持ちで読めば、よろしいんじゃないでしょうか?
2007.01.05
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「イチャモン」の研究で有名な 大阪大学大学院の小野田教授の著作です。 教授の研究は、様々なメディアで取り上げられる機会も増え、 御存知の方も多いことでしょう。 私自身は1年余り前に、先生のお話を直接聞く機会に恵まれ、 そのパワーあふれる熱演(?)に、大変感銘を受けました。 そして、その時、小野田教授が紹介して下さった本の一冊が、 私の中学校時代の恩師が書いたものと知って、本当にびっくり。 (『ゴンタクレもまるがかえ』という本です)その頃は、大学を卒業してまだ数年の、とても若い先生で、直接授業を教えていただくことはなかったのですが、生徒会の担当をされていた関係で、個人的に大変お世話になったのです。そんな先生も、HPでお写真を拝見すると、今では貫禄十分の校長先生になられていました。さて、話を『悲鳴をあげる学校』に戻すと、以前うかがった講演の内容から比べると、研究が随分と進んでいることに感心させられました。「イチャモン」の背景にあるものをしっかりと見極め、それを「結びあい」を強めていく機会としていくこと。膨大な生徒指導や生活指導の領域を抱え、特別活動を通しての多様な側面を持つという他国にはない「日本の学校の特質」が、どれほどの成果を生んできたのか。それらを評価し直し、維持していくことが、公教育にとって、いかに重要なことであるかということ。こういった事柄に、提言の重点が置かれるようになってきたと感じます。「学校とは何なのか」「これからの公立学校はどうあるべきか」を考える上で、本当に示唆に富んだ一冊です。
2007.01.04
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帯には『ドラゴン桜』の桜木建二 これが、まず第一に目を引きます。 そして「受験生、そしてお父さんやお母さんにも必読の一冊です!!」 このコピーにつられ、買ってしまった……。 著者は東進ハイスクール客員講師の樋口裕一氏。 そう言えば、氏の著書である『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)は、 私はまだ読んでいないけれど、本屋さんで見かけた記憶がある。 何でも、「小論文の神様」と呼ばれている人らしい。そして、中身はと言うと、ドラゴン桜のイラストが要所要所に散りばめてあって、読みやすい。受験生にとっては、知っておいて損はない情報が満載。日々の生活や勉強法、受験に向かう姿勢等、とっても懇切丁寧に説明してくれています。でも、受験生さん、この本を手にとって、購入した時点で、もうすでにグッド・スタートを切ったと言えると思いますよ。だって、受験は何と言っても、本人のやる気次第ですから!それよりも、本当にこの本を読んだ方がいいのは、帯のコピーの通り、受験生のお父さんやお母さんだと思います。きっと役に立つこと、請け合いです!
2007.01.04
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大学教授になってみたい。 そんな気持ちになったことはありませんか? 私自身は、大ありです。 だからこそ、手にしたこの一冊。 しかし、そこへ至る道は、 そんなに生易しいものではない様子。 予想されたことだけど、 その予想を超える大変さが、そこにはあるようです。まず、「大学」というもの自体が変化してきている。少子化で学生の数が減って、全入時代到来。「国立」「私立」のいずれにおいても生き残り競争は激烈で、有名校の合併話も事欠かない状況。今後、経営が成り立たなくなり倒産……なんていうところも、結構多く出てくるのでは?それでも、著者は「大学」は斜陽産業ではないと言い切ります。そんな時だからこそ、社会で培った知識や技術を持ち合わせた優れた教師が広く求められているのだと。 ***「大学教授になれば、自分の好きなことをのんびり気楽にやれる」なんて思っていたら大間違いのよう。「好きだ」と思っていたことが、仕事となるときつくなってくるのは、どんなことでも同じ。研究活動も、仕事となると次第に厳しくなってくる……。「企業が使えない人が大学教師に、なんてとんでもない!」毎日休まず、フルタイムで「研究活動」を続けていく気概と、年収が下がり生活水準が低下しても、それに耐えていく覚悟が必要。もちろん、家庭をもっているのなら、その理解は絶対不可欠。 ***大学教授になるためには、大学院を出ておいた方がいいし、学術論文・学会発表があった方がよい。それら「大学教授になる準備を進める活動」をするためには、今現在、自分自身が持っている様々なものを投げ出す必要に迫られるでしょう。時間、お金、そして現在の自分に保障されたポジション等々。そして、それらをすべて投げ出し、準備を進めたとしても、必ずしも目標に到達できるとは限らない。リスクは決して小さくはない……。それらの現実を踏まえたうえで、「それでも、ひとつやってみよう!」という人こそ、「大学」が求めている社会人なのでしょう。
2006.12.10
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近年、電子メディアの普及はめざましいものがあります。 そして、それは子どもたちの社会にも着実に広まり、定着してきています。 なかでも、携帯メール、ゲーム、インターネットについては、 浸透の度合いが顕著で、 それらにのめり込むことによって、 不登校やひきこもり、 家庭内暴力や恋愛依存症、リストカット、摂食障害等の問題に つながっていくケースもあるようです。 著者の魚住さんは、このような状況に強い危機感を持ち、 「メディア依存」と中学生の問題行動について、大規模なアンケートを実施したところ、メール、ゲーム、ネットなど、どのメディアに子どもが傾倒するかによって、心の働きや行動様式に、大きな違いが見られることを発見したのです。本著は、依存する情報ツールによって、それぞれのグループを「ゲーム族」「メール族」「ネット族」に分類し、それぞれの傾向や特性を明らかにしていこうとするものです。例えば、ゲーム族なら「注意散漫で口下手、人付き合いが苦手」、メール族なら「友だちは必需品、きまぐれな恋愛中毒」、ネット族なら「凝り性で、自分の世界に浸り、傷つくことをさける」といった感じです。アンケートによるデータを元に、数字でそれぞれのグループ毎の特性を、細かく数字で示しているので説得力もあり、これまで中学生と接する中で、何となく感じていたことと一致するところも多くあります。また、「これは子どもだけに言えることではないな」と思わせるところが多分にあり、実は自分自身もふくめて、大人も「メディア依存」になっていることを思い知らされました。巻末には「メディア依存度チェックリスト」も掲載されているので、自分自身の「メディア依存度」を試してみられることをお勧めします。
2006.09.02
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"Dads and Daughters"という名の米国NPOが発行する情報誌"Daughters"。 これを日本向けに書き改めたのが本著ですが、とっても素晴らしい! それは、学識者や経験者による、通り一遍の理想論に終わっていないところ。 まさに、実用的な一冊です。 親たちが育った時代からは、想像もできないほどに変質してしまった社会。 そんな中で、「純真無垢な少女」から「一人前の大人の女性」へと、 大きく変わっていくことを迫られる娘たち。 そこには、親の世代が経験したことのない様々な「障壁」が立ちはだかります。パート1では、「心と身体」の問題として、ヘアスタイル、ダイエット、喫煙や自傷行為などを、続いて、パート2では、「お金と生活」の問題として買い物中毒、物質主義、ティーン誌、親への態度などを扱っています。ここまでの内容も、たいへん納得のいく、分かりやすいものですが、本著がスゴイのは、パート3以降。パート3では「女らしさ」の問題として、セクシーさ、デート、ティーンとセックス、性知識、デート犯罪等をパート4では、「親娘関係」として、父と娘のかみ合わない関係、母と娘のなかよし友達関係、反抗、離婚等を扱っています。特に、パート3のような、「娘の性」と密接に結びついた内容を、正面きって、正々堂々と扱ったものは、日本の刊行物では、あまり目にしたことがなかっただけに斬新です。本著で紹介されている事柄は、もちろん米国における問題ですが、日本の娘たちをとりまいている現在の環境も、まさに、本著の記述に見られるような、性的な情報や刺激に満ちあふれたものになっています。「うちの娘に限って」は、もはや通用しないご時世。「これだけは読んで欲しい!忙しいお父さんのための目次」なるものも付いていて、心配りが感じられる一冊。「まさか……」という状況を迎える前に、ご一読をお勧めします。
2006.05.28
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生涯年収差3億円! フリーターと正社員では、こんなにも違いがあるものなのか……。 「ゴホン」といったら諭吉が飛ぶ! 健康保険に入らないまま、風邪でお医者さんに行くと平均5000円程度。 それに何やかやを加えると、1万円札が飛んでいくことに。 健康保険に入っていれば、1500円とプラスアルファ程度ですむのに……。 フリーターを続けるということは、こんなにもリスクが大きいものなのか。 しかし、本著が素晴らしいのは「会社さがし」について記述されている部分。「やりたいこと」にこだわりすぎた偏狭さから脱却し、「とにかくまず会社で働いてみる」こと、行動を開始することを提言しているところ。「自分らしさ」ばかりを強調したがる現代の風潮に一石を投じる内容。また「履歴書」は「数字のつながり」が重要だと説明している部分も納得。「履歴の空白部分」が、その人の「社会人としての責任感の欠如」を表現してしまうこと。そして、年齢を経て、その人が本気で就職しようという段階に至った時、その「数字のつながり」が、就職の成否を分ける大きなポイントになっていくと述べている。さらに、マズローの「欲求5段解説」や向山洋一の「成長曲線」を持ち出して、自分の輝かせ方、コツコツ継続・努力の大切さを説いているのもグッド!また、その後の「学校さがし」についての内容も、それを知っていると知っていないとでは、かなりの違いが出てくるだろうなと思える内容。主として高校生を対象に書かれた書物ですが、中学生でも、2・3年生なら、十分に理解できる内容だと思います。今後社会人となっていく多くの若者に、そして、そんな子を持つ親御さんたちに、是非とも読んで欲しい一冊です。
2006.05.21
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日本語版のタイトルは、上記の通り。 そして、サブタイトルは『わが子の知力は会話で育つ』。 一方、原文のタイトルは“Thinking Parent,Thinking Child" 『思慮のある親(が)、思慮のある子ども(を育てる)』 サブタイトルが “How to Turn Your Most Challenging Everyday Problems into Solutions" 『あなたの最もやりがいのある日々の問題を 解決へと転じる方法』 正しく訳すことができていないかも知れませんが、 それでも、この方が、この本の内容をよく伝えているように思います。まず、「はじめに」に掲載されている中国の諺がとても印象的。 口で言えば、忘れる 教えれば、記憶に残る 実際にやらせれば、身につく子育てや教育の場面では、まさに、その通りなんでしょうが、現実には、口で言うだけで終わってしまっていることが多いような……。でも、「それじゃダメですよ、親がちゃんと子どもに語りかけ、自分で考えさせることで、はじめて問題解決能力を身に付けさせることができ、これからの人生を、自分の力で生き抜いていくことができるようになるんですよ」というのが、本著のメインテーマ。そして、そのことを実現するために必要なノウハウを日々起こりうる、様々な事柄を18のテーマに分類して、具体的に教えてくれています。ページ数としては、全体で415ページと結構多いのですが、一つ一つのお話は、大変コンパクトにまとめられていて読みやすく、一気に読み終えることができました。
2006.04.23
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東京都初の民間人校長である藤原和博さんの最新刊。 文章は、6時間の授業形式で、 中学生たちに語りかけるように書かれてます。 今の中学生が生きている時代は、 彼ら・彼女らの父母が育った時代とは違うこと。 そして、これから生きていく「成熟社会」では、 どのような「力」が必要とされているのか。 そんな「力」を、これからどのように付けていくのか。 そして、その「力」をどのように仕事に活かしていくのか。今という時代、そしてビミョーな未来を見つめることで、これからの時代に「働く」ということを、深く考えさせられます。また、その時、「クレジット(信任)レベル」をあげるということがいかに大切なことなのかが、読むほどに、強く伝わってきます。「クレジットレベルを上げる10個の基本」は、藤原さんが、これまでの3年間の校長生活の中で、実際にたくさんの中学生たちと接してきたからこそ、書くことができたのではないかと、感じました。ぜひとも、中学生たちに読んでもらいたい一冊です。発行所:筑摩書房(ちくまプリマー新書028)著 者:藤原和博
2006.03.05
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1年ほど前に購入して、読んだものを、 もう一度、あらためて読み直してみました。 それは、今日、幸運にも 著者である藤原さんの講演を聞く機会を得ることができたので、 それに向けて、もう一度、勉強し直しておこうと考えたからです。 この本の良いところは、 これまで現場からは、なかなか聞こえてこなかった実態が、 ある程度、きちんと描かれていること。教頭先生の忙しさや、生活指導の大切さ、そして、学校に夏休みはない!等々。学校という組織は、「目標」がほとんど数値で表せないこと、目標達成のために調達する手段のうち「人」「金」「モノ」はほとんどいじれないこと、なども、藤原さんが書いてくれて、「そうなのか」と知った人も多いはず。そんな状況を、色んなアイディアとコネクションを活用して、和田中学校を変貌させていく藤原さんの手腕はさすがです。前例主義を超えて、授業や地域を変えていく力には、驚かされるばかりでした。今日、実際に拝見した藤原さんは、現職の公立中学校の校長とは言いながらも、やはり、リクルートでバリバリ仕事をしていたビジネスマンの印象が強かったです。特に、自他共に認めているプレゼンの能力は、たいへん素晴らしいもので、誰もが、その話術に引き込まれていきました。和田中学校校長としての3年間が、もうすぐ終わろうとしていますが、今後、どのような活動を続けていかれるのか、大変興味深いです。発行所:朝日新聞社著 者:藤原和博
2006.02.25
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文庫本なのに950円。 そしてページ数は540ページ。 なので、結構気合いを入れて読んだつもりですが、 読み終えるのに、3夜もかかってしまいました。 それもそのはず、この本は、 元々『人生の教科書[よのなか]』と 『人生の教科書[ルール]』として発行された2冊を合わせ、再編集されたもの。 元の2冊が発行されたのは、1998年と1999年。しかし、それから数年経った今、文庫版として再編集された本著は、解説の重松清さんが書かれているように、その中味は、全く古さを感じさせないものです。序章は、宮台真司氏による『なぜ人を殺してはいけないのか』。「成熟社会」の中で「(人殺しに向けて)スタンバッてる若者たち」の増加を「承認の供給不足」が原因であるとした上で、今後の教育のあり方を示唆しています。この部分を読むだけでも、本著を読む価値があると感じさせてくれました。その後の、第1部『大人と子どものルール』、第2部『お金と仕事のルール』、第3部の『男と女の自殺のルール』のいずれもが、子どもの視点からみた「世の中との繋がり」を見事に描き出しており、学校ではタブー視されてきた内容にも、果敢にチャレンジしています。終章『意味なき世界をどう生きるか?』も宮台氏の手によるものです。これからの成熟社会においては、「今ここ」を濃密に生きる、即ち「体感」ということに重点を置くべきとされてていますが、私としては「物語」も、やはり大事にしたいです。「売買春」「ドラッグ」についての氏のスタンスにも、ちょっと着いていけないような……。発行所:筑摩書房著 者:藤原和博・宮台真司
2006.02.25
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サブタイトルは、“学校”には何ができて、何ができないのか 本著は、2002年7月に発行されたものなので、 編著者の藤原和博さんが、 まだ、民間人校長になる前にまとめられたものということになります。 共著は、ジャーナリストの櫻井よしこさん、 東京大学大学院教育学研究科教授の苅谷剛彦さん、 そして、参議院議員の鈴木寛さん。その他に、学校法人品川女子学院副校長の漆紫穂子さん、東京都杉並区立向陽中学校教頭の齊藤進さん、東京都足立区立第十一中学校元校長の千葉俊治さん、同教諭の杉浦元一さんらが登場し、中学校の現状や、授業改革、中学改造について、藤原さんと熱く語り合っています。『いま、公立中学校で起こっていること』で語られている内容には、「東京には、そんな先生が、そんなにたくさんいるのですか?」と、思わず聞いてみたくなりました。もし本当に、そんなにたくさんのとんでもない先生がいるのなら、「教員免許更新制度」と言いたくなる気持ちも分かります……。採用のあり方を正していくのは、当然のことでしょう。齊藤さんも、教頭として日々努力され、それでもなお、なかなか思うように動いてくれない先生がたくさんいたのでしょう。ずいぶんストレスが溜まっておられるんだろうなぁ……と感じました。それと、『公立中学校とは誰のもので、何を学ぶところなのか?いま改めて定義し直す』で述べられている意見には、大いに共感しました。これから、絶対に明確にしていかなければならないことだと思います。その他、この本を読んで感じたことは、藤原さんは、鈴木さんの「学校」のとらえ方を、本当は、どう思っておられるのだろう?ということ。そして、その人の育った環境というのは、その人の考えや発言、行動に及ぼす影響が、とても大きいなぁということ。この本で、櫻井さんの体験談を読み、改めてそう思いました。これは、『国家の品格』を書かれた藤原正彦さんの育ちを『祖国とは国語』を読んで知ったときに感じたのと同じ感覚でした。発行所:小学館
2006.02.23
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購入したのは、確か去年の夏の頃。 それから、ゆるゆると半年以上をかけて読み終えました。 でも、それは、「文章が難解で、読むのに時間がかかるから」でも、 「興味を引かない内容で、読む気にならないから」でもありません。 本著は、どちらかというと「平易で読みやすい文章」で書かれており、 「次へ次へと、どんどん読み進めていきたくなる内容」のものです。 では、なぜ読むのに半年以上の月日を要してしまったのか? 最近では、文庫や新書なら、一晩で一冊は読んでしまうペースなのに?この間なんかは、新書を一晩で二冊も読んでしまうほどなのに?本著は、森先生が大阪天王寺師範で「修身」の講義をされた2年分の記録です。全部で、79回分の講義の中味は、どれもこれも、本当に濃いものばかりで、どんどん読み進めてしまうには、あまりにもったい……。一つ一つをじっくり、味わいながら、読み進めてきたために、こんなにも長時間にわたって楽しむことができました。「成形の功徳」は、それらの中でも最も印象に残っているもの。 すべて物事というものは、形を成さないことには、 十分にその効果が現れないということです。 同時にまた、仮に一応なりとも形をまとめておけば、 よしそれがどんなにつまらぬと思われるようなものでも、 それ相応の効用はあるものだということです。その他のものも、本当に素晴らしい内容ばかりです。いずれ、出来れば、そのすべての内容について、何らかの形でまとめることができればと考えています。著 者:森信三発行所:致知出版社
2006.02.20
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サブタイトルの「学校は24時間営業か」が目にとまり、 ちょっと前に何かの本で広告を見かけて、 「できれば購入たいなぁ」と目を付けていた一冊。 でも、本屋さんでは全然見かけないなぁ……。 それじゃあ、いつものようにネットで購入しましょう! ところが、どこの出版者から発行されていたのか忘れてしまった……。 それならと、サブタイトルでインターネット検索。 その結果、メインタイトルと発行所が判明しました。さらに検索を重ね、アマゾンのユーズドで購入することに。定価1800円のところを、何と商品代145円!配送料・その他が340円かかったのですが、それでも、合計で485円でした。申し込みから、数日で家に商品が届きました。予想以上に綺麗な状態の本だったので、本当に得した気分。それでは、早速読書開始です。でも、最初のあたりは「…………」と感じるところも多かったです。さすがに、10年前に発行された本だなぁ……。「現在とは状況が違っている」と、違和感を感じる部分もありました。しかし、法律を通して「教師と生徒」の関係をとらえ直し、「学校の役割」を明確にしていこうとする姿勢には、大いに共感。今後、このテーマについては、個人的に、しっかりと研究していきたいと考えています。著 者:柿沼昌芳発行所:三省堂
2006.02.09
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現役の公立中学校教員、琴寄先生による著作です。 だから、その一つ一つのエピソードは超リアル。 中学校の現状やそこに勤務する教員の胸の内を語った一言一言が真実。 あまりに、現実的でドロドロとした部分までもオープンにしているので、 ひょっとすると「………」とか「?」と感じるところがあるかも。 でも確かに、現在の学校では、この著作にあるようなことが、 日々繰り返されているのです。 これは、決して柏市のある中学校でだけ起こっていることではありません。今、全国の中学校で起こっている問題行動の多くは、まさに「ゲーム」という言葉がピッタリなのです。そして、生徒たちが仕掛けてくる様々な「ゲーム」に対し、どのような位置取りで、どのように応戦するかが、教師の腕の見せ所になっています。社会についての考察も、頷けるところがとても多いです。様々な事象を多岐に渡ってよく観察し、分析されています。特に「言葉」の分析は、さすがに国語教師をされているだけあって、素晴らしいの一言。現場で、日々格闘されている先生方に、ぜひとも一読して頂きたい一冊。記述されているすべてのことに「そうそう」と頷くというわけにはいかないと思いますが、「こんな見方、考え方もあるのか」と目から鱗の方もきっと多いはず。ゲーム感覚の彼らに立ち向かうためには、知っておいて損はない情報です。著 者:琴寄政人発行所:三交社※ この記事は、他サイトに2006年01月24日に投稿した記事を 移転したものです
2006.02.05
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タイトルの通り、13歳になった中学生が読むために書かれた本です。そのため、難解で凝った表現は出来るだけ使わず、中学生なら誰でも読めるようにと、書かれた一冊だと思います。しかし、実際に中学生が読むとなると、最後まで読み通すのは、なかなか厳しいかもしれません。と言うのも、全体を通じて、かなり「説諭調」で、理屈っぽく書かれているため、読む方としては、次第に息苦しくなり、嫌気がさしてくるかもしれないからです。ですから、この一冊は、中学生に「読んでおきなさい」と言って手渡すよりも、大人が読み込んで、その内容を、自分の言葉で語りかけてあげるのに相応しいものだと思います。採り上げている内容自体は、目の付け所が非常に素晴らしいので、ぜひ、そのような活用の仕方をお勧めします。著 者:山崎武也発行所:三笠書房 ※ この記事は、他サイトに2005年12月04日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.05
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時間つぶしに立ち寄った書店で、偶然に見つけた一冊。 しかし、これは偶然の出会いではなく、必然だったのかも……。 「教育」について、これまでモヤモヤしていた私の胸の内、頭の中を スカッと一気に晴らしてくれるような、痛快な一冊でした。 本書では、まず、 「学力低下」の問題を、「学力」と「知力」についての相違から捉え、 「学校」や「教師」が、本来どのような役割を担っているものなのかを再確認し、 「教育」は、社会全体が施すべきものなのだと気付かせてくれます。現在、「教育」について語られる時、「学校」や「教師」、あるいは「文部科学省」や「教育委員会」のみが、議論の対象となり、その至らなさを指摘するだけで終わってしまうことが多いようです。しかし、実際には、日々の暮らしのステージとなる「家庭」や「地域」の環境、新しい情報を次々にもたらしてくれる「マスコミ」の有り様など、子ども達にとって、「学校」や「教師」以上に影響力が大きいものは多数あります。ところが、そういったものについて語られることは、なぜか、必要以上に少ないようです。この事実は、「学校」や「教師」に過度に期待しているというよりも、本来、社会全体で行うべき「教育」まで、「学校」や「教師」に責任転嫁しようとしているのかもしれません。「敗戦が文化の崩れの始まり」という指摘も素晴らしい。「文化の崩れを正す教育」が必要です。でも、この教育を本当に必要としているのは、子ども達より、戦後生まれの大人たちなのかも知れません。著 者:清水義範発行所:筑摩書房※ この記事は、他サイトに2005年10月30日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.04
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著者の魚住絹代さんは、福岡、東京、京都の3つの少年院で、 12年間にわたり非行少女の立ち直りに携わった方。 退官後も、大阪府の公立小・中学校にスクール・サポーターや 家庭教育サポーターとして勤務されています。 と言うことで、この著作に取り上げられている様々な実例は、 普通の女の子とはちょっと違った 極端な非行に走った例が多いはず、と思われるかも知れませんが、 そんなことはありません。「少女達の住む世界」を捕らえる魚住さんの目は確かです。一人一人の女の子に表れる行動や現象は、確かに、個々にかなり違いがあるでしょうが、その「感じていること」や「思っていること」は、かなり似通っていると思います。今、思春期を生きている女の子達が、どのような世界に住み、どのようなことを感じ、どのようなことを思いながら、日々暮らしているのかをこの著作は、見事に教えてくれています。お母さんだけではなく、娘さんにどのように接して良いのか、日々悩んでおられるはずのお父さんにも是非読んで頂きたい一冊です。著 者:魚住絹代発行所:株式会社大和出版 ※ この記事は、他サイトに2005年09月26日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.04
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著者の齋藤 孝氏は、明治大学文学部の教授。 でも、サントリー「DAKARA」のCMに出演したり、 フジテレビの「ガチャガチャポン」に出演したりもして 今では、多くの人に知られる有名人。 著作数もかなりのもので、本屋さんには溢れるほど並んでいます。 そんな教授が書いた、この一冊。 私は、彼の書いたものを読むのは、初めてだったのですが、 かなり驚かされてしまいました。何に驚いたのかというと、通常学者先生が、学校や生徒について書いた本というのは、その時の学校や生徒の実態と、多少(ひょっとして「かなり」?)ずれた認識の上で書かれたものが目立つのです。私立の小・中・高一貫教育校や進学校で過ごされた経験しか無く、しかも、その経験は、一昔、或いは二昔前の経験に基づいたものであれば、その学者先生の中にあるイメージというのは、自ずから、現在の普通の公立校や生徒達の実態とは、かなりずれたものが多いのです。そして、ちょっと学校現場に視察(研究授業等)に行ったぐらいでは、その視察向けに、学校現場は準備万端整えて待っているのですから、本当の姿は見えてこないでしょう。ましてや、付属校などにおける特殊な場面を見ても、普通の学校の、普通の生徒の実態をつかむことなど、できっこないのです。ところが、齋藤氏のものは違っていました。かなり、普通の学校の、普通の生徒の実態を的確に掴んでおられます。同じ中学生と言っても、1年生と2年生、3年生では、相当に違いがあることや、2年生が「中だるみ」で、なかなかやっかいな時期であることを指摘するなど、相当、現場における実情に対して、嗅覚が鋭いことが伺えます。そんな彼が書いた著作ですから、中味は当然素晴らしい。優れた情報収集能力と分析力を生かして書かれた一冊。中学生はもちろん、その保護者は、是非一読しておくべきでしょう。著 者:齋藤 孝発行所:朝日新聞社※ この記事は、他サイトに2005年09月11日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.03
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「モーニング」に連載中の 人気マンガ「ドラゴン桜」を見たことのない人でも、 TBS系で放映中の TVドラマ「ドラゴン桜」を見たことがない人でも、 十分に楽しんで、興味深く読めるものになっています。 実は、私も、マンガの「ドラゴン桜」は見たことはなく、 TVドラマの方も、先日、初めて 1話分の放送を、最初から最後まで、通して見ました。この本を読んでから、TVドラマを見たので、「あぁ、やっぱり同じことを言っているなぁ。」と、当たり前のことに感動してしまいました。さて、本著は「ドラゴン桜 公式ガイドブック」とあるように、「ドラゴン桜」のストーリーの概略を紹介するものですが、そこに掲載されている、情報や内容は、なかなかのもの。東大受験に関わることの出来る人間は、そう多くはないはずなので、世間一般、ほとんどの人にとっては、「へぇ~」の世界なのです。つまり、最終的には、無駄知識に終わってしまうと言うことです……。しかし、ひょっとすると、この書に触れることで、「東大」というものに目覚め、身近に感じ、意欲が高まることも可能性としては、十分にあります。だからこそ、高校生や中学生が、この本を読むことをお勧めします。たとえ、東大を受験することにならなくても、大学受験を目指すなら、何かの役には、きっと立ちそうです。監 修:三田紀房&モーニング編集部発行所:株式会社講談社※ この記事は、他サイトに2005年08月21日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.03
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今まで自分の「宝物」であった我が子が、 突然「モンスター」に変身してしまう……。 十代の子を持つ親は、そんな経験を多少なりともすることになります。 彼らは親に対してアレルギー反応を露骨に示し、 男の子なら母親と距離をおきたがり、女の子なら闘うモンスターに変身します。 「子ども」から「大人」へと、身体的にも精神的にも大きく変化し、 成長していくのが思春期。 「これまでの自分」と「新しい自分」が激しく自分の中でぶつかり合い、そのことに対して、どのように対処していけばいいのか分からず、戸惑い、いらつき、そして、悩んでしまう……。そんな状態が、色んな形の行動を引き起こすのです。彼らにとっては、友だちこそがすべてのように感じられ、両親の色々な忠告や行動をありがたいとは思わないし、その存在自体を恥ずかしいとすら考えるようになる。もちろん、全ての子どもたちが、そうだとは言えないけれど、そう感じていることが、結構多いのだということは、知っておいた方がいいと思います。昔のように、恐怖を利用してしつけることが、今の時代には通用しなくなりました。そのため、子どもは傲慢になり、親は自信を失っています。そんな、今の時代に、子どもの思春期を共に歩み、一人前の大人へと導いていくための「頭のいい親の行動学」が、本著には具体的に示されています。お勧めの一冊です。 著 者:アンソニー・ウルフ 訳 者:古草秀子 発行所:PHP研究所※ この記事は、他サイトに2005年05月04日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.03
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「時を守り、場を清め、礼を正す。」 昨年度、しばしば耳にしたこの言葉を、 今年度の職場における取り組みのキャッチフレーズにしようと思い立ち、 その由来をインターネットで調べたところ、 森信三氏の言葉であることが分かりました。 そして、その著作『一語千釣』において、 「時を守り、場を清め、礼を正す。これ現実界における再建の三大原理にして、 いかなる時・処にも当てはまるべし。」とあることも分かり、 この言葉によって、さらに森氏に対する興味が高まりました。また、森氏について書かれた書物として、本著(著者:神渡良平、発行所:株式会社佼成出版社)があることも分かり、早速、7&Yで初めての購入手続きを済ませたのです。この方法は、注文から手元に届くまでの日数もあまりかからず、仕事を帰りに商品を受け取りに行く際にも、閉店時間を気にせず済むので、大変便利。さらに、書籍はきれいに梱包して送られてきており、書店に並んでいるものを購入するより、よい状態で入手できたので大満足。なかなか使える方法で、お勧めです!さて、本著を読んでの感想は、とにかく森氏の波瀾万丈の人生に圧倒されっぱなし。あのような、凄まじい体験を通して森信三という人間が形作られ、彼の口を通して、人々の心を打つ、数々の名言が発せられたのだと知りました。そして、この書籍一冊だけでは、到底、森信三という人物の偉大さには迫りきれないと、強く感じました。と言うことで、またまた7&Yで、今度は、森氏自身の手による『修身教授録』を発注。数日後には、手元に届くでしょう。その後で、できれば『一語千釣』も読んでみたいと考えています。久しぶりに「はまってしまった!」という感じです。※ この記事は、他サイトに2005年04月27日に投稿した記事を 移転したものです。
2006.02.03
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1988年「国語入試問題必勝法」で、第9回吉川英治文学新人賞を受賞した 作家の清水義範さんによる、ちくま新書最新刊です。 いきなり、巻頭が歴史ショートショートで始まったり、 疑似対談形式の部分があったりするなど、ユニークな構成の本著。 しかも、内容はとっても濃いものになっています。 まずは「大人」とは何かという定義付けから始まります。 生物として成長しているか否かで…… 「大人」←→「子供」 人間として老成しているかどうかで…… 「大人」←→「大人でない」そして、後者の分類の「大人」のよい面と悪い面、「大人でない」のよい面と悪い面を挙げていきます。ちなみに「大人」のよい面としては、「豊かな経験をもとに正しい判断ができる」「自己のコントロールができる」「対人関係が構築できる」「子を教育する」等「大人でない」の悪い面としては、「自分本位になりがちである」「視野が狭い」「生活力がない」等々。本著で、著者が述べようとしているのは、今の日本人は、「大人」のよい面が薄れてきていて、「大人でない」の悪い面が目立つようになってきているんじゃないだろうかということです。「若いですね」が褒め言葉になる日本。未熟なのが「可愛い」と言われる、可愛らしい国日本。そして、アニメやゲームのような「お子様たちの文化」が、世界への売りになっている日本。その他、諸々の社会現象が、確かに幼児化しているように、私も感じます。「大人」として生きることが必要とされないのなら、「大人でない」まま、時を過ごす方が、うんと楽でしょう。その方が、「責任」という荷物を背負わなくてすみますから。そんな「未熟なままでOK!」という風潮が、フリーターという選択肢を創造し、そこからニートの急増に繋がっていったような気がします。ところで、「大人でない思考」の氾濫は、本当に気になります。何か事件・事故が起こると、マスコミを中心に早速犯人捜しが開始され、誰かが、犯人を発見・確定してくれると、みんな、それですっかり納得気分。「ぼくが悪いんじゃないもん」という子供並の思考・発想が蔓延しています。「大人」らしい思考・発想を示せる人は、もういないのか……。それを受け入れるだけの「大人」らしさを、すでにこの国は失ってしまったのか……。これから先の苦境の時代、確かに「大人」が必要だと感じます。「何があっても、今の生活を変えたくない、少しでも変わるのはこわい」では、もうやっていけそうにないのは明らか。悪い状況に耐えられる逞しさ、その状況を受け入れて耐えてみせるという「大人」の気概が必要です。著 者:清水義範発行所:筑摩書房
2006.01.29
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JET日本語学校理事長の金 美齢さんの著作。 テレビ番組にコメンテーターとして出演されることも多く、 常に大きな存在感を示しておられるので、ご存知の方も多いでしょう。 「子育ては闘い」という言葉は、まさに言い得て妙。 一人の人間を育てあげるということは、 自分の人生を賭けるだけの価値がある大事業だと私は思いますが、 その覚悟を決め、子育てに臨んでいる人が、どれほどいるでしょうか。そして、その「子育て」の目指すところ、即ち、子どもを「自立した責任感のある大人」に育てあげるために、親として、どのように振る舞っていけばよいのかを、明快に示してくれています。また、「学校」についても、そこがどのような場であるべきかを見つめ直すことで、親・教師・社会が、どのように関わっていけばいいかを示してくれています。さらに、「国家」への関わりについても、独自の主張を展開します。「阿吽の呼吸」を期待して、婉曲的な表現を好む日本人とは違い、台湾人である彼女の言葉は、まさに外連味のないストレート。私たちが見失っている、いや見失っているつもりでいることをズバッと指摘し、日本が今後、世界で通用する国になれるよう、叱咤激励してくれているのです。一言一言が、「本当に日本を愛してくれているなぁ」と感じさせてくれる一冊です。著 者:金 美齢発行所:PHP研究所
2006.01.29
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大阪大学大学院人間科学科教授の志水宏吉さんの著作。 志水さんは、兵庫県西宮市の材木屋に、長男として生まれ、 公立の小・中学校で学んだ後、岐阜県の私立全寮制男女共学校に進学。 そして、その高校で初めての東京大学進学者となった方だそうです。 こんな感じの著者自身の学力形成のあゆみを、まず最初に振り返った後、 「学力」についての研究成果が述べられていきます。 そこで紹介されている「カリキュラム改革の振り子」や「学力の氷山モデル」、 そして、氏の唱える「学力の樹」の説明は、たいへん分かりやすいものです。今、世間を騒がせている「学力低下」問題については、学力実態調査の具体的なデータを示しながら、説得力ある記述を展開し、そこに見られる「階層間格差」を指摘しています。さらには、バーンステインの「言語コード論」やブルデューの「文化資本論」を引き合いにして、学力の基礎を形づくる家庭の役割の大きさについて述べ、「習慣づけ」こそが、学力形成において決定的に重要だとしています。一方、学校については、不利な環境のもとにありながら、それを克服して、子ども達に基礎学力を定着させている「効果のある学校」の存在に着目し、小・中学校から、その実例を一つずつ挙げ、そこに共通する要因を見出そうとしています。そして最後には、「学力の樹」を育てる地域の役割に言及し、首都圏発の「学校選択制」と結びついたコミュニティ・スクールと大阪発の「校区制」と結びついたコミュニティ・スクールの違いを述べています。結びでは、これからの学校は「学力」だけでなく、「社会性」をも育む場として、積極的な役割を担っていくべきだとしています。私は、幸いにも、今日、志水氏のお話を直接伺う機会に恵まれ、この著作について、より一層理解を深めることができました。志水氏は、自らを「米元大統領クリントンに似ている」と紹介されましたが、その風貌は、実際の年齢以上に、風格を漂わせておられました。今後のさらなる研究活動を期待したいです。著 者:志水宏吉発行所:岩波書店
2006.01.28
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