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ベニー・ゴルソン追悼(その2) トランペット奏者のアート・ファーマー(Art Farmer, 1999年死去)は1928年生まれで、テナーサックス奏者のベニー・ゴルソン(Benny Golson,2024年9月死去)は1929年生まれ。生まれ年は1年違うものの、5か月の差しかないほぼ“同い年”の2人が中心となって結成されたグループが、ジャズテット(Jazztet)だった。ピアノ、ベース、ドラムスのリズムセクションに、これら2人のトランペットとテナー、さらにはトロンボーンという6人組(セクステット)だった。 ファーマーとゴルソンの共演はこれが最初ではなかったが、1960年に本盤『ミート・ザ・ジャズテット(Meet The Jazztet)』をレコーディングして以降、数年にわたってジャズテットの活動を展開し、さらには1980年代にもこのグループを復活させていくつもの吹き込みを残した。 ジャズテットのメンバーは時とともに入れ替わっていったが、本盤ではトロンボーンがカーティス・フラー、リズム隊はマッコイ・タイナー(ピアノ)、アートの双子のきょうだいのアディソン・ファーマー(ベース)、レックス・ハンフリーズ(ドラムス)という面々である。この豪華フロント3人の演奏は、個々が競い合う、個人技のどこがいいという風に聴くというよりも、とにかくバンドとしての見事なまとまり、アンサンブルを楽しむというのが、本盤の最良の聴き方であるように筆者には思われる。 個人的な好みで、特に聴き逃がせないと思う曲を挙げていきたい。まず、1.「セレナータ」はグループとしてのまとまりを保った勢いのある演奏が身上で、聴いていてワクワクする。4.「アイ・リメンバー・クリフォード(クリフォードの想い出)」は、ゴルソン作の哀愁漂う有名曲で、リー・モーガンの演奏(参考過去記事)でも知られる。 1.と並んでワクワク感が強いのは、5.「ブルース・マーチ」。さらに、冒頭の勢いのよさが印象的なうえ、聴き手を飽きさせない曲の展開が見事なアート作の8.「モックス・ニックス」も外せない。また、トランペットが美しく響く10.「キラー・ジョー」は、ゴルソンのまったりとしたテナー、フラーの安定したトロンボーン、さらにはタイナーのピアノと聴きどころが凝縮された(贅沢を言えばもうあと2倍ぐらいの時間プレイし続けてほしかった)演奏である。 先月(2024年9月)21日のベニー・ゴルソン逝去の訃報を受けて、前回(過去記事)と今回の2作を取り上げた。今後も機会を見てさらに彼の他の作品を取り上げたいと思う。R.I.P.[収録曲]1. Serenata2. It Ain't Necessarily So3. Avalon4. I Remember Clifford5. Blues March6. It's All Right With Me7. Park Avenue Petite8. Mox Nix9. Easy Living10. Killer Joe[パーソネル、録音]Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Curtis Fuller (tb), McCoy Tyner – (p), Addison Farmer (b), Lex Humphries (ds)1960年2月6・9・10日録音。 ミート・ザ・ジャズテット [ アート・ファーマー&ベニー・ゴルソン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月09日
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ゴルソン追悼(その1) 2024年9月21日、サックス奏者で作曲家のベニー・ゴルソン(Benny Golson)が死去した。マンハッタンの自宅で亡くなったとのこと。1929年生まれで享年95歳ということなので、大往生と言えるだろうが、ジャズ界の巨星がまた一人、あちらへと旅立ってしまった。 そのようなわけで、ベニー・ゴルソンの作品を2回にわたって取り上げていきたい。ゴルソンと言えば、「クリフォードの想い出(アイ・リメンバー・クリフォード)」、「ステイブルメイツ」、「ウィスパー・ノット」、「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」、「ブルース・マーチ」など有名曲の作者として知られる。それと同時に、この人物は、テナーサックス奏者としても活躍した。初のリーダー作の吹込みは1957年のことであった。その成果がこの『ニューヨーク・シーン(Benny Golson's New York Scene)』という盤(LPがリリースされたのは1959年)である。 本盤の基礎となる編成は、後にジャズテットを結成するアート・ファーマー(トランペット)とゴルソン自身(テナー)をフロントに据えたクインテット(5人組)。そして、いくつかの楽曲(2.,4.,7.)において、ジミー・クリーブランド(トロンボーン)、ジュリアス・ワトキンス(フレンチ・ホルン)、ジジ・グライス(アルトサックス)、サヒブ・シハブ(バリトンサックス)を加えたノネット(9人編成)という構成になっている。 クインテットの演奏部分に目を向けると、ハードバップ的なすぐれた演奏にゴルソンの哀愁漂うテナーのよさが活かされた作品と言えそうな気がする。例えば、アート・ファーマーの端正なトランペットに加え、ゴルソン節のテナーが堪能できる1.「サムシング・イン・Bフラット」は、このクインテットの本領発揮である。 しかし、本盤はそれだけで終わるものではない。ノネットの3曲に別の傑出した要素が含まれている。それはアレンジとアンサンブルの妙で、作曲家ゴルソンの本領が示されている部分でもある。彼の代表曲の一つである2.「ウィスパー・ノット」、そして、4.「ジャスト・バイ・マイセルフ」、ジジ・グライスのペンによる7.「カプリ」の3曲は、アレンジャーとしてのゴルソンの能力も同時に示す結果になっていると思う。実はこうした編曲の妙は、他の曲にも見られ、5.「ブルース・イット」なんかは、その一つである。ともあれ、ハードバップなクインテット演奏でありながら、大きな編成のアレンジの妙も楽しめるという、ベニー・ゴルソンらしい作品と言えるのではないだろうか。[収録曲]1. Something in B flat2. Whisper Not3. Step Lightly4. Just by Myself5. Blues It6. You're Mine, You7. Capri8. B.G.'s Holiday *CD追加トラック[パーソネル、録音]Benny Golson (ts), Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Charlie Persip (ds)(以下、2., 4., 7.のみ)Jimmy Cleveland (tb), Julius Watkins (French horn), Gigi Gryce (as), Sahib Shihab (bs) 1957年10月14日・17日録音。 輸入盤 BENNY GOLSON / BENNY GOLSON’S NEW YORK SCENE [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月07日
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南米/アルゼンチンを意識した作品 前作の『第三世界』(1969年録音、1970年リリース)で、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)は南米というルーツを意識した作風を披露した。この方向性を継続し、1971年に録音・発表されたのが本盤『フェニックス(Fénix)』だった。英語のPhoenixと同じ意味で、スペイン語およびポルトガル語で“不死鳥”を指す。 1.「トゥパク・アマル」は自作曲。ヨーロッパ人の侵略に対して最後までビルカバンバで抵抗した“最後のインカ皇帝”の名を表題としている。2.「カルナバリート」は“小さなカーニヴァル”の意味。本盤ではコンガやボンゴといった打楽器がフィーチャされているが、ラテンのリズム感とメロディが生かされた好演奏に仕上がっている。ジェラルド・ペレイラによる3.「ファルサ・バイアーナ」も、南米ラテンのフレーバーが強く、ブラジルっぽいリラックスした雰囲気の楽曲に、強く激しいガトーのテナーがうまく重なり合っている。 アルバム後半で特に注目したいのは、5.「エル・アリエーロ」。アタワルパ・ユパンキ(アルゼンチン出身のシンガーソングライター)の曲で、この曲の演奏に見られるようなラテンの素材とガトーらしいテナー演奏の融合は、この時点で彼がやりたかったことをどんぴしゃで体現しているのではないかと感じる。アルバムを締めくくる6.「バイーア」は、激しさを失うことなく哀愁を感じさせるテナーの演奏が筆者としては気に入っている。 本盤は、ガトーにとってフライング・ダッチマンからの2作目となるアルバム作品だった。この後も、彼は同レーベルから、モントルーでの白熱したライヴを収めた『エル・パンペロ』、彼の代表盤の一つとして知られる『アンダー・ファイア』といった作品を発表していくことになるのだった。[収録曲]1. Túpac Amaru2. Carnavalito3. Falsa bahiana4. El día que me quieras5. El arriero6. Bahía[パーソネル、録音]Gato Barbieri (ts), Lonnie Liston Smith (p, elp), Joe Beck (g), Ron Carter (b), Lenny White (ds), Gene Golden (conga, bongo), Naná Vasconcelos (berimbau, bongo)1971年4月27・28日録音。 フェニックス [ ガトー・バルビエリ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年09月13日
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自己アイデンティティの模索に目覚めたガトー ガトー(本来の発音では“ガト”もしくは“ガート”)・バルビエリ(Gato Barbieri)は、アルゼンチン出身のテナー奏者で、2016年に83歳で亡くなっている。12歳のときに聴いたチャーリー・パーカーに衝撃を受け、クラリネット、アルト・サックス、最終的にはテナー・サックスと楽器をマスターしていき、活動拠点をイタリアに据えて、フリー・ジャズの世界へと足を踏み入れていった。 そんな彼の転機を示すのが、生まれ故郷のアルゼンチンに戻ったのち、1969年以降にフライング・ダッチマンというレーベルでの吹き込みを行なった時期であった。本盤『第三世界(The Third World)』は、同レーベルからの1作目であり、ニューヨークで録音されている。ジャズという枠組みでは容易に括ることのできない、南米もしくはラテン・ルーツの音楽性を強く意識した楽曲と演奏が特徴と言える。 1.「イントロダクション~リャマ飼いの歌(カンシオン・デル・ジャメーロ)~タンゴ」は、フリー・ジャズ的なテナーを軸にしつつ、アストル・ピアソラの「タンゴ」を取り上げるという大胆な演奏が必聴である。2.「ゼラオ」はブラジル人アーティストのセルジオ・リカルドの曲で、パーカッションを強く効かせたラテン調のナンバー。 3.「アントニオ・ダス・モルテス」は、バルビエリ自身のペンによるものであるが、ちょうどこの当時発表されたグラウベル・ローシャによる映画のタイトルを表題とする楽曲である。4.「バキアーナス・ブラジレイラス~ハレオ・アンド・ザ・ワイルド・ローズ」は、この時点でのバルビエリの集大成的な演奏と言えるように思う。朗々としたテナー、フリー・ジャズ的イディオム、うねるようなサウンド、叙情的なフレーズ…といった具合に、演奏者として、そして作品の制作者としてのこの時点での彼の本領を発揮しつくしているという感じがして、実に好曲・好演奏である。[収録曲]1. Introduction/Cancion del Llamero/Tango2. Zelão3. Antonio das Mortes4. Bachianas Brasileiras/Haleo and the Wild Rose[パーソネル・録音]Gato Barbieri (ts, fl, vo)Roswell Rudd (tb) Lonnie Liston Smith (p)Charlie Haden (b)Beaver Harris (ds)Richard Landrum (perc)1969年11月24~25日録音。 第三世界 [ ガトー・バルビエリ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年07月15日
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追従者に終わらず、コルトレーンの先を切り開こうとする意欲作 アーチー・シェップ(Archie Shepp)は、1937年フロリダ出身のジャズ・サックス奏者。1960年からセシル・テイラーのバンドに加わり、その後、ジョン・コルトレーンの『至上の愛』(1964年録音、ただし彼が参加した演奏はリリース時には採用されず、後に2002年のデラックス・エディションで日の目を見た)や『アセンション』(1965年録音)などに参加している。 そんなコルトレーンからの推薦でインパルスからリリースすることになった彼にとって最初のリーダー作が、本盤『フォア・フォー・トレーン(Four for Trane)』である。タイトルからも想像できるように、敬愛するコルトレーンのナンバーを4つ並べたもので、5.のみが彼の自作曲となっている。 本盤は、フリージャズで活躍していたアーチー・シェップの魅力が存分に発揮されている。コルトレーンの信奉者で追従者というのではなく、尊敬するコルトレーンを題材にしてフリーの演奏の幅を広げていこうとする姿勢が十分に見える作品に仕上がっているのではないかと感じる。 取り上げられているコルトレーンの楽曲のオリジナルは、1959~60年頃に吹き込まれたものである。言い換えると、『至上の愛』や『アセンション』を吹き込んだ時期よりも前のことであり、アーチー・シェップはその先を自らの感性で演奏に結実させようとしたのだろう。 そんな中でも特に注目したいのは4.「ナイーマ」(「ナイマ」または「ネイマ」とも表記される)。コルトレーンの妻の名を冠したナンバーで、コルトレーンが好んで演奏した曲でもあった。美しい雰囲気(といってもフリーに根差した演奏なので、計算された“調和”という感じではない)で始まり、次第に“アーチー節”が高まっていく。聴いている方としては、どういうところに行きつくのか、なかなかスリリングで、本盤の中で聴き手がいちばん高揚する曲だと思う。あと、自作曲の5.「ルーファス」も必聴の演奏。フリージャズを牽引していく若きアーチー・シェップの気概が十分に凝縮された演奏に仕上がっている。[収録曲]1. Syeeda's Song Flute2. Mr. Syms3. Cousin Mary4. Naima5. Rufus (Swung His Face At Last To The Wind, Then His Neck Snapped)[パーソネル、録音]Archie Shepp (ts), Alan Shorter (flh), John Tchicai (as), Roswell Rudd (tb), Reggie Workman (b), Charles Moffett (ds)1964年8月10日録音。 フォア・フォー・トレーン [ アーチー・シェップ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年05月20日
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ブルーノートでのワンホーン名盤 デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)は、1950年代の大半をドラッグと刑務所暮らしで棒に振った。1961年、38歳にして初めてブルーノートに吹き込みを残すべく、ニューヨークに滞在した。電話ボックスからコールする姿のジャケット写真は、彼の拠点だったカリフォルニアからニューヨークへという距離感を表現したものと思われる。 ブルーノートのアルフレッド・ライオンからニューヨークに招かれたデクスターは、複数のセッションをこなした(彼のリーダー名義の『ドゥーン・オールライト』は本盤よりも先の吹込みである)。本盤『デクスター・コーリング(Dexter Calling…)』はワンホーンで、リズムセクションの3人(ピアノがケニー・ドリュー、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズ)は往時のブルーノート最強のメンバーとも言える。実際、完璧なリズム隊抜きにこの盤の魅力は成し得なかっただろう。 そして、デクスターのテナーである。彼のワンホーン盤と言うと、1955年の『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』(この盤のピアノもケニー・ドリューである)や、今回の盤の翌年の『ゴー!』がよく知られる。これらが大名盤であるのは紛れもないのだけれど、この『デクスター・コーリング…』もまた、彼のキャリアの中で上位の評価となる名盤だということを忘れてはならないだろう。 筆者のお気に入りの演奏をいくつか挙げておきたい。1.「ソウル・シスター」は、まったりとしたワンホーンが心地よい。対して、2.「モーダル・ムード」は、よりスピード感があり、スリリングな演奏だが、これら2曲には大事な共通点がある。それが、上記のリズム隊の着実さと安定感である。これら2曲に加え、筆者のお薦めは、4.「情事の終わり(ジ・エンド・オブ・ラヴ・アフェア)」、さらにもう1曲挙げるとすれば、7.「スマイル」。なお、8.「ランドスライド」はCD化によって加わったボーナス曲だが、この演奏も勢いに乗っていて、なかなかの気持ちよさがある。[収録曲]1. Soul Sister2. Modal Mood3. I Want More4. The End of a Love Affair5. Clear the Dex6. Ernie's Tune7. Smile8. Landslide(CD追加トラック)[パーソネル、録音]Dexter Gordon (ts), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)1961年5月9日録音。Blue Note 4083 【中古】 デクスター・コーリング+1(紙ジャケット仕様)/デクスター・ゴードン(ts),ケニー・ドリュー(p),ポール・チェンバース(b),フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) 【中古】ジャズCD デクスター・ゴードン /デクスター・コーリング+1(H) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月17日
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スウィングすべきか、せぬべきか… シェークスピア作の戯曲『ハムレット』の有名すぎるセリフに、“To be, or not to be”というのがある。これをもじって“スウィングすべきか、せぬべきか”としたのが、バーニー・ケッセル(Barney Kessel)の本盤『トゥ・スウィング・オア・ノット(To Swing or Not to Swing -Barney Kessel, Vol. 3)』である。 結論から言うと、概ね“スウィングして”いる。というのも、選曲からして、往年のスウィンギーな曲のレパートリーを選んだという点が大きい。言い換えれば、かつてのビッグ・バンドのスウィング感を、少人数編成で、かつギターを中心に据えて小気味よく演奏しようとしたものだということになるだろう。 導入的なギター中心の1.「ビギン・ザ・ブルース」からして、リラックスしてスウィングするムードが漂う。個人的な好みで注目曲を少し挙げると、アルバム前半では、2.「ルイジアナ」。ハリー・エディソンのトランペットが愛らしく、それを支える全体のスウィング感がいい。4.「エンブレイサブル・ユー」は、ケッセルのギターの本領発揮曲で、ギターの弦が文字通り“歌って”いる。 アルバム後半は、小気味よいスウィングの6.「インディアナ(バック・ホーム・アゲイン・イン・インディアナ)」から始まる。筆者の好みは、スウィング感が最も高まる7.「モーテン・スウィング」。テナーのジョージ・オウルドとリズム隊の絡みも心地よい。ついでながら、表題の通りのラグタイム風の勢いとリズムを見せる11.「12丁目のラグ」で盤が締めくくられているのも、なかなかいい感じがすると思っていたりする。[収録曲]1. Begin the Blues2. Louisiana3. Happy Feeling4. Embraceable You5. Wail Street6. Back Home Again in Indiana7. Moten Swing8. Midnight Sun9. Contemporary Blues10. Don't Blame Me11. Twelfth Street Rag[パーソネル、録音]Barney Kessel (g)Harry Edison (tp; 2, 3, 6~10)Georgie Auld (ts; 2, 6, 7, 12)Bill Perkins (ts; 3, 5, 9)Jimmy Rowles (p)Al Hendrickson (g)Red Mitchell (b)Irv Cottler (ds; 1, 2, 4, 6~8, 10~11)Shelly Manne (ds; 3, 5, 9)1955年3月28日(3, 5, 9)、6月26日(1, 2, 4, 6~8, 10~11)録音。 バーニー・ケッセル / TO SWING OR NOT TO SWING +8 [CD] 【中古】 トゥ・スイング・オア・ノット/バーニー・ケッセル,ハリー・エディソン,ジョージ・オールド,アル・ヘンドリクソン,ジミー・ロウルズ,レッド・ミッチェル,アーヴ・コットラー,ビル・パーキンス 下記のランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年05月12日
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現代イタリアン・ピアノの魅力 特に日本のリスナーにピアノ・トリオ好きが多いおかげで(加えて、某友人の影響もあったりして)、ついついでに“もう1枚”となって、聞いたことのないピアノ・トリオ盤などを買ってしまうことが多い。当然ながら、その中には当たりも外れもあるのだけれど、個人的には、イタリア人のピアノ盤が“当たり”になることが多いという傾向がある。 本盤『フォワード(Forward)』はそうした盤の一つである。エットーレ・カルッチ(Ettore Carucci)は4歳でピアノを始め、大学ではクラシック音楽を修め、現在はフィレンツェの音楽院で教鞭をとるピアニストである。本盤は2006年に吹き込まれ、その翌年にイタリアのレーベル(ドディチルネ・レコード)からリリースされた。 ドラムスとベースは、それぞれアメリカのアダム・クルス(クルーズ)とベン・ストリートが務め、安定感のある演奏を披露している。カルッチ自身の演奏はというと、知性と叙情性の絶妙なバランスの上にしっかりとしたリズム感が被せられているといったところ。言い換えれば、リズムに乗った安定感だけで聴かせるわけでもなければ、ジャズ的な意味で型にはまった演奏に安住するわけでもない。だからと言って、下手に叙情性に頼りすぎないところが、筆者としてはツボにはまったのではないかと思う。 聴きどころと言えそうな曲をいくつか挙げておきたい。自作曲の1.「アイ・リメンバー・モンク」は、セロニアス・モンクばりのトーンを巧みに織り交ぜつつ、疾走感のある演奏が心地よい。スタンダード曲の3.「枯葉」と、コルトレーンの5.「ロニーズ・ラメント」は、有名曲を決してありがちには演奏せず、エットーレ色のついた演奏に仕上げているところに好感が持てる。「ピアノ・インプロ」と題された4.と6.の演奏は、いずれもピアノの独奏で、インタールード的に(と言っても決して短い演奏時間ではないが)、アルバム全体の流れの中で異なる雰囲気を演出している。あと、圧巻なのは、7.「バイ・バイ・ブラックバード」。有名曲ながら、落ち着き払った冒頭から、リズム感を次第に得ながら流れるようなピアノ展開されていく演奏は実に気持ちいい。[収録曲]1. I remember Monk2. Confusion3. Autumn Leaves4. Piano impro #15. Lonnie's Lament6. Piano impro #27. Bye bye Blackbird8. My Favourite Eyes9. Dolphin Dance[パーソネル、録音]Ettore Carucci(p),Ben Street(b),Adam Cruz(ds)2006年4月1日録音。 ↓本記事のものとは別の盤(同じアーティストが参加しているもの)です。↓ 【中古】 エニウェイ/ベラルディ・ジャズ・コネクション,Ettore Carucci(p),フランチェスコ・ロマギストロ(ds),Camillo Pace(double bass),Vincenzo Presta(sax),Andrea Sab ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月08日
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マイナー・レーベルに残された絶頂期の名作 カーティス・フラー(Curtis Fuller)の作品として最良の作品はどれか。そう訊かれて、『ブルースエット』や『サウス・アメリカン・クッキン』を挙げる人も多いことだろう。実際、1960年前後の彼は絶好調で、後世に残る名作を次々に吹き込んだ。そんな中で、ワーウィックという、ニューヨークで数年間だけ存在したマイナー・レーベルに残された作品が、この『ボス・オブ・ザ・ソウルストリーム・トロンボーン(Boss of the Soul-Stream Trombone)』である。 本盤の大きな特徴としては、三管にありながら三管にあらず、と言えそうな点。つまりは、フレディ・ハバート、ユセフ・ラティーフが控えめなのである。これは、意図的にそうなっているように思われ、あくまでカーティス・フラーのトロンボーンを主役と位置づけた演奏を展開しているものと見える。リズム隊は、ウォルター・ビショップ・Jr.(ピアノ)、バディ・カトレット(ベース)、すてゅー・マーティン(ドラムス)という、『マグニフィセント・トロンボーン』でも見られる面々で、やはりバックとしての安定した落ち着いた演奏が印象に残る。 とくに聴きどころと言えそうな部分を少しピックアップしてみたい。まずは、フラー自身のペンによる1.「チャンタイズド」。スリリングでこのマイナー風味は、彼の本領発揮の演奏と言える。3.「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」、4.「バット・ビューティフル」、そしてコール・ポーターの5.「ドゥ・アイ・ラヴ・ユー」というスタンダード3曲(LPではA面最後とB面最初の2曲に相当)は、とにかく秀逸。それぞれに異なるタッチとテイストの演奏だが、全体の安定感とフラーのトロンボーンに酔いしれる、という表現しか思い浮かばない。6.「ザ・コート」も、上記1.と同様にフラー節全開で、スリリングな演奏にいい意味での中毒性がある。 以上のようなわけで、決してよく知られた感じではないマイナー・レーベル盤であるものの、カーティス・フラーの代表盤の一つとして忘れてはならない作品だと思う。[収録曲]1. Chantized2. Flutie3. If I Were a Bell4. But Beautiful5. Do I Love You?6. The Court7. Mr. L[パーソネル・録音]Curtis Fuller (tb), Freddie Hubbard (tp), Yusef Lateef (ts, fl), Walter Bishop, Jr. (p), Buddy Catlett (b), Stu Martin (ds)1960年12月録音。 【中古】 ボス・オブ・ソウル・ストリーム/カーティス・フラー 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年02月15日
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熱く燃焼するインプロヴィゼーション演奏盤 ジョージ・アダムス(George Adams)は、1940年、ジョージア州生まれのテナーサックス、フルート、バス・クラリネット奏者。ドン・プーレン(Don Pullen, ドン・ピューレンとも表記される)は、1941年、ヴァージニア州出身のピアノ奏者。2人とも早くに亡くなっていて、前者は1992年に52歳で、後者は1995年に53歳で病死している。 この連名カルテットは、主にヨーロッパで受け入れられる形で活動を展開していった。そうした意味では、ヨーロッパ・フリー・ジャズの影響も、彼らの作風には届いていたと言えるのかもしれない。とはいえ、その演奏は、フリー・ジャズ的演奏という一言で済ますのでは、もったいないほどいろんなものが入っているように思う。ビバップにモダン、さらにはブルース、いろいろな素地があって、この演奏が成り立っている。加えて、本盤で印象的なのは、どこまでもひたすらに熱く、最後まで燃焼しきろうといわんばかりの演奏姿勢。ジョージ・アダムスのテナーもそうだし、ドン・プーレンのピアノも、手抜きなしの潔さがとにかく気持ちいい。 むろんすべてが勢いばかりの演奏というわけではない。2.「サンバ・フォー・ナウ」は、アダムスが楽器をフルートに持ち替えて落ち着いた美曲(プーレンのペンによる)を展開する。4.「ノーバディ・ノウズ・ザ・トラブル・アイヴ・シーン」では、アダムスのテナー演奏ののびのびとした部分も聴くことができる。とはいえ、あくまで本盤の本領は、冒頭の1.「ミンガス・メタモルフォシス」や、表題曲の5.「シティ・ゲイツ」にあると筆者は感じる。とりわけ、アダムスのどんどん盛り上がっていくテナー演奏に、聴いている側は吸い込まれていきそうになる。[収録曲]1. Mingus Metamorphosis2. Samba for Now3. Thank You Very Much Mr. Monk4. Nobody Knows the Trouble I've Seen5. City Gates[パーソネル、録音]George Adams (ts, fl), Don Pullen (p), Dannie Richmond (ds), Cameron Brown (b)1983年3月27・28日録音。 【中古】シティ・ゲイツ / ジョージ・アダムス=ドン・ピューレン・カルテット ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年02月10日
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豪華ハード・バップの面々との吹込みによる名トロンボーン奏者の1枚 カーティス・フラー(Curtis Fuller)は、1934年にデトロイトで生まれたトロンボーン奏者で、2021年に86歳で没している(追悼過去記事(1) ・(2) )。ジャズ・トロンボーンと言えば、J.J.ジョンソンかカーティス・フラーかというくらい、この楽器の代表的なプレーヤーとして知られる。そんな彼がとりわけ素晴らしい作品を相次いで吹き込んだのが、1950年代後半から1960年代初頭にかけてであった。その中でも代表作とされる『ブルースエット』とほぼ同時期に吹き込まれた(厳密には2か月ほど前に録音された)のが、本盤『スライディング・イージー(Sliding Easy)』である。 本盤の特徴としては、何と言ってもまずは演奏メンバーの充実度である。ピアノがトミー・フラナガン、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがエルヴィン・ジョーンズ。さらに、フロントは三管の編成で、トロンボーンのカーティス・フラーに加えて、トランペットのリー・モーガン、テナー・サックスのハンク・モブレイという面々である。もちろん、吹き込みの当時は若かったわけだけれど、後世から見れば、ハード・バップ・ジャズのレジェンドが居並ぶという、そんなメンツだったわけである。 そんな豪華な顔ぶれには、さらに続きがある。収められた6曲中、4曲(1.、3.、4.、5.)はベニー・ゴルソン、残る2曲(2.と6.)はジジ・グライスが編曲を担当している。とりわけ、三管を生かしたゴルソンのアレンジの美しさは、本盤の演奏を支える重要な要素となっていると思う。 いくつかの曲を個別に見ておきたい。1.「ビット・オブ・ヘヴン」は、フラーの自作曲で、三管のアンサンブルの美しさが光る。4.「ボンゴ・バップ」は、チャーリー・パーカーの曲で、表題からもわかるようにラテン風のリズムのナンバーだが、フラーをはじめフロント管楽器それぞれの軽妙な演奏が心地いい。リラックス感を醸し出す5.「ホエン・ライツ・アー・ロウ」の演奏は、個人的にはかなりおすすめ。そして、6.「C.T.A.」は、グライスの編曲によるもので、溌溂とした各奏者のソロ演奏が受け渡されていく展開が何とも言えないスリリングさを作り上げている。 そのようなわけで、これぞ代表的な1枚と言うような盤というわけではないかもしれない。けれども、カーティス・フラーのみならず、彼を含む当時のモダン・ジャズの雰囲気を体現した盤であると思う。そうした意味で、歴史的名盤ではないかもしれないが、もっともっとこれに親しむ人がいてもいいんじゃないかとも思っていたりする盤である。[収録曲]1. Bit of Heaven2. Down Home3. I Wonder Where Our Love Has Gone4. Bongo Bop5. When Lights Are Low6. C.T.A.[パーソネル、録音]Curtis Fuller (tb), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Elvin Jones (ds), Benny Golson (arr), Gigi Gryce (arr)1959年3月9日録音。 【中古】 Curtis Fuller カーティスフラー / Sliding Easy 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年10月29日
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トロンボーン奏者率いるクインテット演奏の代表盤 J・J・ジョンソン(J. J. Johnson,1924年生れ2001年没)は、モダン・ジャズを代表するトロンボーン奏者。彼の大評判として知られ、彼が率いたクインテットによる最高峰の演奏と言えるのが、1957年に録音された本盤『ダイアルJ.J.5(Dial J.J.5)』である。 クインテット(5人組)のメンバーは、トロンボーンのJ・J・ジョンソンに加えて、ボビー・ジャスパー(テナー、フルート)、トミー・フラナガン(ピアノ)、ウィルバー・リトル(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)という面々である。リズムセクションの3人は、本盤の録音後、この同じ年にトミー・フラナガンの名盤として知られる『オーヴァーシーズ』を録音しており、本盤でもこれら3人の演奏の安定感とよさが際立っている。テナー・サックスとフルートを使い分けているボビー・ジャスパーは、ベルギー出身で米国へ渡って活躍した人物で、本盤のほかにウィントン・ケリーの『ケリー・ブルー』でも知られる。 どれもスリリングで、このメンツだからこそ成し得たという演奏が並ぶ。個人的好みで何曲か挙げると、1.「ティー・ポット」、2.「バルバドス」、4.「セッテ・チョーズ」、9.「バード・ソング」といった具合になるだろうか。とは言うものの、このクインテットの本領は、本盤の別の部分でも発揮されているようにも思う。 それは、5人全員がそろうのではなく、3人や4人の演奏曲も含まれている点である。7.「ソー・ソーリー・プリーズ」と8.「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー」では、リーダーのJ.J.が演奏していない。また、ボビー・ジャスパーは必要に応じてサックスまたはフルートを演奏し、時に彼が抜ける。結果、6.「ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ」は、ジャスパー抜きのカルテット演奏。7.はJ.J.もジャスパーも抜けており、トリオでの演奏となっている(これがまた上述の『オーヴァーシーズ』を想起させる見事な演奏!)。8.はJ.J.が抜けてジャスパーのフルートをフィーチャーした、なおかつリーダー抜きでのカルテット演奏。この自在さというか臨機応変さがこのメンバーでの演奏のよさであるというのも実感できる作品というふうに思う。[収録曲]1. Tea Pot2. Barbados3. In a Little Provincial Town4. Cette Chose5. Blue Haze6. Love Is Here to Stay7. So Sorry Please8. It Could Happen to You9. Bird Song10. Old Devil Moon[パーソネル、録音]J. J. Johnson (tb)Bobby Jaspar (ts, fl)Tommy Flanagan (p)Wilbur Little (b)Elvin Jones (ds)1957年1月29日(5., 6., 8., 9.)、1月31日(2., 3., 4.)、5月14日(1., 7., 10.)録音。 ダイアルJ.J.5 [ J.J.ジョンソン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年10月25日
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不調和が調和する瞬間 ブルーノート、プレスティジ、リバーサイドと所属を変えていった後にセロニアス・モンク(Thelonious Monk)が行きついたのはコロンビア・レコードで、キャリア後期のかなりの期間・アルバム数をこのレーベルに残すことになった。そんなコロンビア期の最初の作品(1962年録音)がこの『モンクス・ドリーム(Monk’s Dream)』だった。 一般に言われるように、モンクの音楽はヘンテコである。言い換えると、通常の音楽理論と“調和”していない。突飛でもないことが起こる音楽である。結果、聴き手側が、予想を裏切られることを予想して聴くという状況がしばしば起きる。 ところが、本盤を聴くとさらに不思議な現象が起こっているように感じられる。ここで提示される音楽はそれ自体として“調和”したものになっている。話が少々ややこしいが、ここで披露されている音楽そのものは、一般的な音楽観や音楽理論と“調和”していない独特なものだ。けれども、演奏されている音楽だけに目を向けると、本盤の中では完結的に“調和”しているように見えるのである。 何とも小難しい話になってしまったけれど、これが筆者の正直な感想である。そんな風になっている主要因は、テナー・サックスのチャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)の存在であろう。これ以前には『5・バイ・モンク・バイ・5』(1959年)にも参加しているが、その時よりもはるかにこの奏者自身が“モンク化”している。要するに、セロニアス・モンクの音楽に“調和”しているのだ。 その結果、意外な不協和音、予想外のぶつかり合いといった面でのミュージシャン間での緊張が少ないとも言える。なので、それらをこのモンク盤に求めるならば、期待は裏切られるかもしれない。けれども、“フツーじゃない音楽がフツーにまとまった形で提示されている”という本盤の演奏を、筆者はとても気に入っている。ラウズのサックスは、時にモンクらしいフレーズを吹き、また時にモンクの独自のピアノの間合いにぴったりとはまった演奏をしている。そんなわけで、繰り返し演奏を共にすることになるこの二人の関係性の確立が本盤のいちばんの聴きどころなのだと思う。 収録されているのは、ほとんどが既発表の楽曲で、初演は3.「ブライト・ミシシッピ」だけである。ただし、過去の発表時と表題が異なっている曲もあり、5.「ボリバルのブルース(Bolivar Blues)」は、「バルー・ボリバル・バルーズアー(Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are)」というへんてこりんなタイトルで発表された曲(『ブリリアント・コーナーズ』に収録)。同様に、4.「ファイヴ・スポット・ブルース(Five Spot Blues)」は、「ブルース・ファイヴ・スポット(Blues Five Spot)」として『ミステリオーソ』で演奏されていたものである。[収録曲]1. Monk's Dream2. Body and Soul3. Bright Mississipp4. Five Spot Blues5. Bolivar Blues6. Just a Gigolo7. Bye-Ya8. Sweet and Lovely[パーソネル、録音]Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (ts), John Ore (b), Frankie Dunlop (ds)1962年10月31日(5.と7.)、11月1日(2.と3.)、11月2日(1.、6.、8.)、11月6日(4.)録音。 Thelonious Monk セロニアスモンク / Monk's Dream + 4 【BLU-SPEC CD 2】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年10月20日
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ハード・バップからファンキーへ 本盤『ライト・フット(Light Foot)』は、『ブルース・ウォーク』と同じ年(1958年)に録音されたアルト奏者ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のリーダー作である。発売時期は数年後となったが、メンバー(ドラマー以外は同じ顔ぶれ)を見てもわかるように、『ブルース・ウォーク』と同じ編成であり、似た傾向を持った作品と言える。 その特徴は、ピアノ・トリオにドナルドソンのワン・ホーンという編成に、コンガ(レイ・バレット)が加わっている点。そして、ピアノの担当がハーマン・フォスターという個性的なピアニストという点にある。この二人の組み合わせは、“ファンキー・ジャズ”というワードで表現されることが多い。少し言葉を足すならば、ハード・バップが存在してこそのファンキーだったのではないかと思ったりする。つまりは、何もないところから、このファンキーなノリが出てきたという訳ではない。ジャズ音楽の進展とともに一つのスタイル(ハード・バップ)が出来上がってきて、それがあったからこそ、このファンキーなサウンドが生まれることになったのではないだろうか。 アルバム収録曲のうち、前半(1.~3.)はドナルドソンのペンによるナンバー。対して、後半(4.~7.)は彼以外の人物によるナンバーが演奏されていて、ハーマン・フォスターの曲(6.)や有名スタンダード(7.)も含む。 注目したい曲としては、まずは冒頭に収められている表題曲の1.「ライト・フット」。ハード・バップを踏まえてファンキーへと向かうという、上述のイメージがよくわかる演奏だと思う。続いては、3.「メアリー・アン」。曲の冒頭から、レイ・バレットのコンガが実に効果的で、なおかつ饒舌なロナルドンのサックスがいい。7.「星影のステラ」は、サックスをはじめとして演奏全体の滑らかさが心地よい。 正座して聴く(ジャズのリスナーにはそうした傾向の人が一定数いる)のではなく、リラックスして聴く。そしてその内容は、小難しいというよりは大らかで楽しい。しかし、従前の音楽を再現しているわけではなく、“らしさ”を発揮している。本盤『ライト・フット』は、そんな風に楽しんで聴く作品と言えるような気がする。[収録曲]1. Light-Foot2. Hog Maw3. Mary Ann4. Green Eyes5. Walking by the River6. Day Dreams7. Stella by Starlight[パーソネル・録音]Lou Donaldson (as)Herman Foster (p)Peck Morrison (b)Jimmy Wormworth (ds)Ray Barretto (conga)1958年12月14日録音。 ライト・フット [ ルー・ドナルドソン ] [枚数限定][限定盤]ライト・フット/ルー・ドナルドソン[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月25日
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西海岸バップ・ピアニストの真価 クロード・ウィリアムソン(Claude Williamson)は、1926年生まれのジャズ・ピアノ奏者で、2016年に鬼籍に入っている。20歳代にカリフォルニアに移住し、西海岸(ウエスト・コースト)ジャズのピアニストとして、様々なセッションに参加した。アート・ペッパー、マックス・ローチ、バド・シャンクなど様々な共演者がいるが、単に器用なだけではなく、自らもリーダー作を多く残した。それらのうち、代表盤の一つと言えるのが、本作『ラウンド・ミッドナイト(’Round Midnight)』である。 このウィリアムソンという人は、脇役と主役の区別をはっきりと付けられる人だったのだろう。リーダー作の本盤では、明確に主役としてのピアノ演奏に徹している。テディ・ウィルソン、アル・ヘイグやバド・パウエルに影響を受けたとされるが、バップ全開のピアノ演奏を披露している。一言で表すならば、バド・パウエルを西海岸風にしたといった感じの演奏で、濃そう(曲の途中でしばしばそう感じることがある)でありながら、さらりとしている(1曲を聴いた後の印象は概ねこのようになる)という面白い特色のピアノ演奏である。 注目すべき演奏曲をいくつか見ておきたい。1.「星影のステラ」は、リーダー作としてピアノの存在感を存分に発揮しようという意気込みが伝わってくる演奏。テンポよく展開する4.「飾りのついた四輪馬車」は、後を引く演奏なのかと思いきや、聴き終えた後に残るすっきりした感じが印象的。7.「二人でお茶を」は、バド・パウエル風の疾走感がいい。9.「ラウンド・ミッドナイト」は、“濃くてさらり”というピアノ演奏の典型例と言えそう。結局のところ、クロード・ウィリアムソンのピアノを“白いバド・パウエル”と評するのは、あながち誇張ではないように思う。そして、聴いた後に感じるこのすっきりした西海岸らしさは、本家のバド・パウエルには到底できない所作なのだったりするのだろうと思う。[収録曲]1. Stella by Starlight2. Somebody Loves Me3. I’ ll Know4. The Surrey with the Fringe on Top5. Polka Dots and Moonbeams6. Hippy7. Tea for Two8. Stompin’ at the Savoy9. ’Round Midnight10. Just One of Those Things11. Love Is Here to Stay12. The Song Is You[パーソネル、録音]Claude Williamson (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)1956年12月録音。 【中古】 ラウンド・ミッドナイト/クロード・ウィリアムソン 【中古】afb [枚数限定][限定盤]ラウンド・ミッドナイト (完全限定生産盤)/クロード・ウィリアムソン[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年01月20日
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飽きずに聴き続けられるソロ・ピアノ盤 ジャッキー・バイアード(ジャキ・バイアード、Jaki Byard)は、1922年生まれのピアノ奏者。1999年に謎の多い射殺によって亡くなっている。チャールズ・ミンガス、エリック・ドルフィーや、ブッカー・アーヴィン、フィル・ウッズなど様々なミュージシャンと共演し、様々なスタイルの演奏を繰り広げたほか、サックスやトランペットも演奏するマルチなミュージシャンであった。 そんなバイアードの初レコーディングは、かつては1961年のものとされていたけれども、1980年代後半になって1960年録音の本作が日の目を浴び、この『ブルース・フォー・スモーク(Blues for Smoke)』が初レコーディング作ということが明らかになった。本作は、ピアノのみの楽器からなる、ソロ・ピアノ演奏盤である。 最初に本盤を聴いた時に筆者が抱いた感想は、バイアードは聴き手を楽しませてくれている、というものだった。それゆえ、この作品は通して聴いても決して飽きることがない。だが、繰り返し聴くにつけ、最初の感想はだんだん違うような気がしていった。この独自のピアノ演奏の世界は、作り出されたものではなく、自然に発露したものではないか。例えがよくないかもしれないが、セロニアス・モンクは、“奇才ぶり”を演出していたのではなく、素のままで“奇才”そのものだった。バイアードのこの独特のタッチや独特の間、そして何よりも演奏からにじみ出てくる“黒っぽさ”のようなものは、決してリスナーを楽しませるためではなく、彼自身が持っているものの発露と言えるんじゃないかと今では思っている。 上述の通り、どの収録曲(いずれも本人のペンによる)も楽しめて、なおかつ聴くたびに心を揺さぶられるのだけれど、見事な演奏の例をいくつか挙げると、4.「ピート・アンド・トーマス」、6.「フライト・オブ・ザ・フライ」、8.「ジャッキーズ・ブルース・ネクスト」、9.「ダイアンズ・メロディー」。いや、冒頭の連作2曲(1.「ホリス・ストンプ」と2.「ミラノからリヨン」)も外せない。表題曲の7.「ブルース・フォー・スモーク」もいいんだよな…といったわけで、結局は全編を聴くことになってしまう。筆者にとってはそんな作品だったりする。[収録曲]1. Hollis Stomp2. Milan to Lyon3. Aluminum Baby4. Pete and Thomas (Tribute to the Ticklers)5. Spanish Tinge No 16. Flight of the Fly7. Blues for Smoke8. Jaki's Blues Next9. Diane's Melody10. One Two Five[パーソネル、録音]Jaki Byard (p)1960年12月16日録音。 ブルース・フォー・スモーク [ ジャッキー・バイアード ] [枚数限定][限定盤]ブルース・フォー・スモーク/ジャッキー・バイアード[CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2023年01月11日
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2023年はジャズで始動(3/3) 2023年開始のジャズ・ナンバーの第3回目、今回はベン・ウェブスター(Ben Webster)です。“ブルート”(“獣”とか“野蛮”の意)というあだ名で呼ばれたりもする人物ですが、筆者はこの人のバラード演奏にすっかり嵌まってしまっています。 そのようなわけで、今回は、このテナー奏者の「ザッツ・オール(That’s All)」という曲の演奏をお聴きください。 この独特の息づかいと溜めは、好みが分かれるところでしょうが、上にも書いたように、筆者にはどんぴしゃりなのです。1973年に64歳で没していますが、残した作品も結構多く、個人的には、徐々に見つけては買い揃えながら、楽しんでいるレジェンド奏者だったりします。[収録アルバム]Ben Webster / King of Tenors(1953年録音) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月05日
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2023年はジャズで始動(2/3) 2曲目は、心落ち着くピアノ演奏です。フェリペ・ゴルディージョ(Felipe Gordillo)は、メキシコのピアノ奏者。以前に本ブログでも取り上げた『エン・ブエロ』で披露されている1曲で、「パシエンシア」という曲をお聴きください。 ご覧のようにピアノ・ソロです。この映像は、2018年3月、メキシコシティの国立大学ラジオ局のホールでの演奏とのことです。曲タイトルの「パシエンシア」とは、英語のpatience、つまりは“忍耐”といった意味ですが、目をそっと閉じて瞑想させられそうな演奏といったところです。 2022年を思い返し、2023年への決意を新たにする。何だか筆者にはそんなナンバーといったような気がしてきました。[収録アルバム]Felipe Gordillo / En vuelo(2016年録音) 【中古】 Felipe Gordillo / En Vuelo 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月04日
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2023年はジャズで始動(1/3) 2023年が始まりました。年始はジャズで、というのが筆者の気分ということで、新年の動き出しに聴きたいジャズ・ナンバーを取り上げてみたいと思います。 まずは、しばらく前に無性に聴きたくなって、何度か繰り返して聴いたアルバムに収録されたナンバーです。トランペット奏者、ケニー・ドーハムの『ウナ・マス』所収の表題曲、「ウナ・マス(Una Más)」です。 アルバムにも記されていますが、この「ウナ・マス」というのはスペイン語の表題で、英語にすると“One More Time”とされています。“もう1回”、あるいは“もういっちょ”とでも訳せばよいでしょうか。 ともあれ、ドーハム節が炸裂し、ジョー・ヘンダーソン(テナー)のべったりした演奏も好みです。ハービー・ハンコック以下のトリオの演奏とよく絡んでいます。パスタに喩えれば、さながら濃厚なポモドーロ・ソースがしっかりこってり絡んだ熱々のショート・パスタといった感じです。ケニー・ドーハムの世間一般のイメージになってしまっている有名盤『静かなるケニー』のような演奏も嫌いではありませんが、この曲を聴くと、“やっぱりこういうのがケニー・ドーハムの魅力だよな”と思えてしまいます。[収録アルバム]Kenny Dorham / Una Más(1963年録音) Kenny Dorham ケニードーハム / Una Mas + 1 (Uhqcd) 【Hi Quality CD】 輸入盤 KENNY DORHAM / UNA MAS [CD] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月03日
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唯一無二の存在感を発揮するギターを堪能できる盤 パット・マルティーノ(Pat Martino)は、1944年生まれの米国のジャズ・ギター奏者。2018年に慢性呼吸器疾患で演奏活動を停止していたが、その後、2021年に亡くなっている。作曲家・理論家でもあり、マイナー・コンバージョンという即興理論を唱えた。こういうことを紹介文に書くと小難しい人かと思われそうだが、生前の写真を見ても確かに小難しそうな顔つきの人である(苦笑)。即興と言っても、なんだかわからない展開を楽しく演る、といった感じではなく、ポリシーのある即興を披露する、というのが彼のスタイルだったという風に言ってもいいのかもしれない。 本盤『イグジット(Exit)』は1976年に吹き込まれたもので、彼らしい演奏姿勢と演奏内容が存分に披露された盤だと思う。ジャズの世界では“ブラインド・テスト(ブラインドフォールド・テスト)”というものが行われたりすることがあるが、要は、演奏を聴いて“これは誰?”を当てるというものである。実際には、マルティーノの演奏は、こうしたテストには向かない。というのも、聴いたらすぐに“マルティーノでしょ”となってしまいそうだったりするほど特徴的なのである。 聴きどころと言えそうな曲の演奏をいくつか挙げておきたい。表題曲の1.「イグジット」と3.「スリー・ベース・ヒット」の2曲は、マルティーノの自作曲。怪しげな曲調の前者は、彼らしさ全開で、思わずのめり込んで聴き入ってしまう(とはいえ、全曲こんな感じだったら、すぐ疲れて飽きてしまいそうだけれど)。後者は、もう少しスマートなというか、広く受けそうなレンジで彼らしさが発揮されていて、これも聴きどころと言えそう。 あと、個人的に好きなナンバーである5.「ブルー・ボッサ」、ベニー・ゴルソンがブラウニーに捧げた有名曲の6.「アイ・リメンバー・クリフォード」に触れておきたい。どちらも聴き手側に一定のイメージがついていそうな曲なわけだけれど、面白いのは、そのイメージを尊重しながら、パット・マルティーノの世界に聴き手を引きずり込んでいく点。有名曲をそのイメージを破壊せずに聴き手を引き込み、気がついたらその演奏者の独自世界の真っただ中にいさせるというのは、誰にでもできる業ではない。これだけでも、パット・マルティーノの“腕のほど”が分かるといったところではないだろうか。[収録曲]1. Exit2. Come Sunday3. Three Base Hit4. Days of Wine and Roses5. Blue Bossa6. I Remember Clifford[パーソネル・録音]Pat Martino (g), Gil Goldstein (p), Richard Davis (b), Jabali Billy Hart (ds)1976年2月10日録音。 【中古】 イグジット/パット・マルティーノ,ギル・ゴールドスタイン,リチャード・デイヴィス,ビリー・ハート(ds) 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年11月09日
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親しみやすく、ストレートかつスリリングな演奏 マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の作品群の中には、記念碑的とか金字塔とは言われないものの、多くの人に愛されている盤といった類の盤もある。そんな盤の代表例の一つが、この『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム(Someday My Prince Will Come)』と言えるんじゃないだろうか。ジャズ史の流れを変えるような何かすごい演奏が繰り広げられているというよりは、ハード・バップ然とした、その当時の彼と彼のバンドの演奏スタイルが極めて良好な形でレコーディングに残された作品とでも評せばよいだろうか(余談ながら、筆者的には1950年代後半~1960年代半ばが特に好みだったりする)。 演奏に参加しているのは、『カインド・オブ・ブルー』を含む黄金期のメンバーである。テナーはハンク・モブレーもしくはジョン・コルトレーンで、ピアノはウィントン・ケリー、ベースはポール・チェンバース。そして、ドラムスはジミー・コブという面々である。 表題曲の1.「いつか王子様が(サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム)」は、1937年のディズニー映画『白雪姫』の挿入歌。1957年にこれをジャズで取り上げたデイヴ・ブルーベックをはじめ、このマイルスのものや、さらにはビル・エヴァンス、ハービー・ハンコックなど様々なジャズ奏者が演奏を行っている。本盤でのマイルスの演奏(現在では別テイクもボーナストラックとして聴くことができる)は、進行の巧さ、そして何よりもマイルスのミュート・トランペットのすばらしさが際立っていて、本盤のベストの曲だと思う。同じく、マイルスのミュート演奏という点では、2.「オールド・フォークス」も必聴である。途中でピアノ・ソロを挟むものの、この曲の演奏の大部分でマイルスのミュート演奏が聴きものとなっている。さらに、聴き逃がせない演奏としては、マイルスのペンによる5.「テオ」が挙げられる。曲進行もさることながら、聴きどころはテナー演奏で、この曲のみテナーはモブレーが外れ、コルトレーンがたっぷりとコルトレーン節を聴かせてくれる。 ついでながら、ジャケット写真の女性は当時のマイルス・デイヴィスの奥さん(1953年に知り合ったダンサーで、1959年に結婚し、1968年に正式に離婚)である。表題からして、まさか、怖い顔をしたマイルスが“王子様”っていうわけでもないのだろうけれど(笑)。[収録曲]1. Someday My Prince Will Come2. Old Folks3. Pfrancing4. Drad-Dog5. Teo6. I Thought About You~以下、ボーナストラック~7. Blues No. 28. Someday My Prince Will Come (alternate take)[パーソネル、録音]Miles Davis (tp), Hank Mobley (ts, 5.を除く), John Coltrane (ts, 1.と5.), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds, 7.を除く), Philly Joe Jones (ds, 7.のみ) 1961年3月7日、20日、21日録音。 SOMEDAY MY PRINCE WILL COME【輸入盤】▼/MILES DAVIS[CD]【返品種別A】 Miles Davis マイルスデイビス / Someday My Prince Will Come + 2 【BLU-SPEC CD 2】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年11月04日
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優しさが伝わる変幻自在のソロ・ピアノ盤 フェリペ・ゴルディージョ(Felipe Gordillo)は、メキシコ人のジャズ・ピアノ奏者。生年や音楽的なバックグラウンドについて詳しい情報がなく、あまりよくわからない人物なのだけれど、何年か前に入手し、時折聴いている盤が、この『エン・ブエロ(En vuelo)』である。2016年末に録音され、翌年にリリースされたソロ・ピアノ作品である。 盤全体としては、優しいタッチ、丁寧な演奏が印象的で、聴き手が包み込まれるようなピアノ演奏である。演奏されている曲は、すべてゴルディージョ自身が作曲したものであり、作曲家としてのセンスのよさと能力の高さが際立っている。楽器はピアノだけという演奏でありながら、飽きることなく70分ほどの本盤を聴き続けられるのは、演奏もさることながら、この作曲力によるのではないかという気がする。 収録されているのは18曲。総収録時間が70分ほどなので、1曲ずつはどれも長くなく、概ね3~4分(長いものでも6分)である。これら18曲は実にヴァリエーションに富んでいて、表題を見てわかるように、スペイン語の表題曲もあれば英語の表題曲もある。曲のタイトルから連想される“場”も、スペインだったりアメリカだったりとヴァリエーションに富んでいる。 通して聴くと本当に癒される気がするので、全体を通して聴いてもらいたいと思うものの、気に入っている演奏をいくつか挙げておきたい。彼のピアノ・ソロ演奏の本領発揮と言えそうなの曲の一つは、冒頭の1.「ミ・アルマ」。上述の通り、優しく包み込むような美曲である。この傾向に準ずる楽曲としては、3.「コン・エル・コラソン」や10.「パシエンシア」が気に入っている。あと、静かに流れていくかのような表題曲の4.「エン・ブエロ」もお気に入りである。それから、少し抑揚のある楽曲としては、2.「イン・ア・モンクス・ムード」、8.「モーダル・ヴォヤージュ」、18.「S.F.」が興味深い。日本国内では入手が難しそうな盤ではあるものの、機会があれば、ぜひとも一聴に値するのではないかと思う。[収録曲]1. Mi Alma2. In a Monk's Mood3. Con el Corazón4. En Vuelo5. Sweetness6. Mi Angel7. Buena Señal8. Modal Voyage9. Belleza del Cielo10. Paciencia11. Unión12. Free Spirit13. Travesia14. La Giralda15. Sweet Song16. Un Día Después17. Relaxing18. S.F.2016年12月21日・23日録音。 【中古】 Felipe Gordillo / En Vuelo 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年11月01日
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800万アクセス記念~いま聴きたいこの1曲(其の7) ジャズ・ナンバーが続きます。ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、テキサス州出身のトランペッター(1924-1972年)で、個人的にたいへんお気に入りの演奏者です。 筆者は、“静も動もカッコいい”などと言いながら、すっかり虜にされているのですが、どちらかと言えば“静”の代表作である『静かなるケニー』に所収の「蓮の花(Lotus Blossom)」というのが、今回取り上げるナンバーです。 “静”と言ってしまうとしんみりとかしっとりしたものを想像される方が多いでしょうが、この曲、全然そうじゃないんですよね。おとなしめながら“熱い”トランペット演奏なのです。ともあれ、元の曲演奏をお聴きください。 ちなみに、“蓮の花”という意味の、少々紛らわしい曲(「ロータス・フラワー」)が、これ以前に録音の『アフロ・キューバン』に収められています。この盤の方は、“動”の代表作と言われたりしますが、この曲だけ少し浮いていて、バラードです。 「ロータス・ブロッサム」(こちらは「エイジアティック・レエズ(Asiatic Raes)」の名称でソニー・ロリンズが吹き込んでもいます)と「ロータス・フラワー」。いったいどういう関係にあるのか、はたまた単に“蓮好き”だったのか、筆者が知らないだけなのかもしれませんが、どなたかご存じならぜひ教えていただきたいところです。ともあれ、その「ロータス・ブロッサム」の方をお聴きください。 静かなるケニー +1 [ ケニー・ドーハム ] アフロ・キューバン +2 [ ケニー・ドーハム ] ケニー・ドーハム|フォー・クラシック・アルバムズ [ ケニー・ドーハム ][収録アルバム]Kenny Dorham / Quiet Kenny(静かなるケニー)(1959年録音)Kenny Dorham / Afro-Cuban(1955年録音) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年09月25日
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800万アクセス記念~いま聴きたいこの1曲(其の6) さて、ここら辺で少しジャズ・ナンバーを取り上げてみたいと思います。ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)は、マイル・デイヴィスのクインテットの一員としても活躍したピアニスト。リーダー作品としては、代表盤としてよく名の挙げられる『ケリー・ブルー』がありますが、今回は、その表題曲である「ケリー・ブルー(Kelly Blue)」です。 ピアノのウィントン・ケリー、ベースのポール・チェンバース、ドラムスのジミー・コブというトリオに、コルネット(ナット・アダレイ)、フルート(ボビー・ジャスパー)、テナー(ベニー・ゴルソン)が加わった演奏です。特にこの曲ではフルートが効果的かつ印象的なように思いますが、ウィントン・ケリーのピアノ演奏のよさも、初めて聴いた人にもわかりやすく印象に残るといったところではないでしょうか。 そんな彼の動いている姿を見ていただこうと思ったのですが、この曲のライヴ映像というのは、残念ながら見当たりません。そのようなわけで、やむを得ず、今回は別のナンバーで動くウィントン・ケリーの姿をご覧いただこうと思います。上記のトリオがジョン・コルトレーンと共演している演奏で、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート(On Green Dolphin Street)」です。なぜこの曲なのかというと、私的な理由としか言いようがないのですが、この曲は、筆者のお気に入りジャズ定番曲の一つだったりします。 [収録アルバム]Wynton Kelly / Kelly Blue(1959年録音) ケリー・ブルー +2 [ ウィントン・ケリー ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年09月24日
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ジャズ・シンガー然としたヒット盤 ダイアナ・クラール(Diana Krall)は、1964年カナダ生まれの女性シンガー、ピアニスト。1990年代以降で大成功を収めたジャズ歌手として知られ、何度もグラミーを受賞している。 本盤『ザ・ガール・イン・ジ・アザー・ルーム(The Girl in the Other Room)』は、2004年に発表された彼女の7作目のアルバムである。ジャズというジャンル分けを超え、全米チャート(ビルボード)で4位。カナダでは1位のほか、ポルトガルでは6週連続1位(他にも英・仏・独など各国のチャートで上位入り)というヒットとなった。 何を隠そう筆者がちゃんと彼女のアルバムを通して聴いたのは、この作品が最初だった。その時からの印象なのだけれど、ダイアナ・クラールという人は、シリアスなジャズ歌手である。“ジャジーにキメたポップな歌い手”(だからと言ってそれが悪いわけではないが)とは、一線を画していて、陰鬱なジャズ・シンガーらしさをなかなか崩してはくれない。 とはいえ、本盤の選曲はなかなか面白い。まず、リリースの前年(2003年)に結婚した夫のエルヴィス・コステロとの共作が、本盤収録曲の中核(2.、5.、9.~12.がこれに該当)を占めている。さらに、注目なのは、ロック/ポップといった分野も分け隔てなく、曲を選んで、結果、ジャズ・シンガーとして歌い上げている点である。この点に関して、3曲ほど挙げておきたい。まず、3.「テンプテーション」は、トム・ウェイツの曲で『フランクス・ワイルド・イヤーズ』(1987年)に収録されていたもの。次に、4.「オールモスト・ブルー」は、夫のエルヴィス・コステロのナンバー(原曲は、1982年の『インペリアル・ベッドルーム』に所収)。さらに、8.「ブラック・クロウ(黒いカラス)」は、ジョニ・ミッチェルの曲で、『逃避行』(1976年)に収録されていたナンバー。こういう風に、ジャンルを超えたジャズ側での選曲・パフォーマンスは、歴史的に見れば、決して特異なことではない。その当たり前のことを、自分流に解釈してこのように提示できるダイアナ・クラールの力量は恐るべしといったところだろうか。[収録曲]1. Stop This World2. The Girl in the Other Room3. Temptation4. Almost Blue5. I've Changed My Address6. Love Me Like a Man7. I'm Pulling Through8. Black Crow9. Narrow Daylight10. Abandoned Masquerade11. I'm Coming Through12. Departure Bay~以下、日本盤のボーナス・トラック~13. I'll Never Be the Same14. Sometimes I Just Freak Out2003年録音、2004年リリース。 ザ・ガール・イン・ジ・アザー・ルーム [ ダイアナ・クラール ] 【中古】 【輸入盤】Girl in the Other Room/ダイアナ・クラール 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年09月13日
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マクリーンによるBN初リーダー・セッション ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、1931年生まれで2016年没のアルト・サクソフォン奏者。モダン・ジャズの世界では知らぬ人はいない有名サックス奏者である。そんな彼の作品の中で、これぞいちばんの代表作というわけではないにせよ、聴き手が愛着を寄せる盤の一つが、この『ジャッキーズ・バッグ(Jackie’s Bag)』と言えるのではないだろうか。 レコーディングがなされたのは、1959~1960年にかけてのこと。異なる2回のセッション(同じメンバーは、リーダーのマクリーンを別にすれば、ベースのポール・チェンバースのみ)をA面とB面に配したという具合である(なお、CDでの追加曲は、LPでのB面のメンバーによる)。 1.「クァドラングル(クアドラングル)」に代表されるような、LPのA面(1.~3.)のたたみかけるような“これぞモダン・ジャズ”といった演奏は、本盤の重要な魅力である。マクリーン自身の演奏も実に冴えている。とはいえ、LPではB面に当たる4.「アポイントメント・イン・ガーナ」以降のもう一つの“違った空気感”がさらにこの盤の魅力ではないかと思う。端的に言えば、ティナ・ブルックス(テナー・サックス)の参加の影響が大きい。とりわけ、個人的には、上述の4.と6.「ジャワ島」が特にお勧めだが、CD化で追加された3曲も含めて、このセッションの楽曲の演奏は特にどれもが素晴らしい。 そのようなわけで、マクリーン盤ではあるのだけれど、後半のティナ・ブルックスを聴くための盤としても、存在価値が大きいと言えるように思う。ちなみに、アルバム表題(“ジャッキーつまりはマクリーンのカバン”)は、そのままジャケット・イメージに表されていて、書類を入れて紐を巻いて閉じる形のバッグのイメージである。何だかいろんな楽曲の演奏を詰め込んでカバンに入れたかのような印象を与えるのだけれども、もっと仰々しく扱ってもよかったのではと思うほど、収録曲の演奏のレベルが高い。そんな盤と言っていいように思う。[収録曲]1. Quadrangle2. Blues Inn3. Fidel4. Appointment in Ghana5. A Ballad for Doll6. Isle of Java~以下、CD追加曲~7. Street Singer8. Melonae's Dance9. Medina[パーソネル、録音]1.~3.:Jackie McLean (as)Donald Byrd (tp)Sonny Clark (p: 1.を除く)Paul Chambers (b)Philly Joe Jones (ds)1959年1月18日録音。4.~9.:Jackie McLean (as)Tina Brooks (ts)Blue Mitchell (tp)Kenny Drew (p)Paul Chambers (b)Art Taylor (ds)1960年9月1日録音。 ジャッキーズ・バッグ/東芝EMI 【中古】 【輸入盤CD】Jackie McLean / Jackie's Bag 【K2016/8/26発売】(ジャッキー・マクリーン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年08月09日
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2通りのクインテットによる初期の代表作 1950年代半ば、西海岸のアルト奏者の代表格だったバド・シャンク(Bud Shank)。本盤『昼と夜のバド・シャンク(Bud Shank-Shorty Rogers-Bill Perkins)』は、彼の代表作として知られる。“昼と夜の~”という表題は、日本盤ならではのものだが、元の盤の表題は、上で挙げたもののほかに、“Bud Shank Quintet”と呼ばれることもあるようだ。ちなみに、“昼と夜”というのは、ジャケットのデザインと関係していて、ジャケット表面には日中のロサンゼルス、裏ジャケには夜のロサンゼルスの写真が使用されている。 LPのA面(CDでは1.~6.)とB面(7.~12.)は、それぞれ異なるセッションで録音されたものである。実際には、A面が1つめのクインテットで、B面の方は異なるメンバーでのクインテット演奏である。特にA面は、いかにも軽やかで西海岸的な雰囲気だが、このセッションはバド・シャンクの初リーダー録音であった。 前半と後半で異なるセッションの音源が組み合わされて一枚になっている以外にも、本盤で特徴的なことがある。それはバド・シャンクのプレイヤーとしての特性で、ただアルト・サックスを演奏しているだけではない。本盤の後半では、テナーやバリトン・サックスも扱いこなし、前半・後半ともにフルート演奏者としての腕前を発揮している。 個人的な好みで何曲か個別の演奏に触れておきたい。2.「カサ・デ・ルス」はシャンクの自作曲(本盤では1.~6.が自作曲)で、流れるようで明朗な彼のアルト・サックスがとにかく聴いてて心地よい。5.「ジャスミン」は、少々甘めと言われるかもしれないが、ヴァリエーションのある曲や演奏の中でこうした曲に出合うと、筆者的にはついつい聴き惚れてしまう(実際、この後の6.「ジャスト・ア・フュー」では、一転してスリリングな演奏になるのもまたいい)。 後半の演奏では、8.「フルーテッド・コラムス」が、表題の通り、フルート演奏が主役となっていて、ハンプトン・ホーズのピアノと相まってその小気味よさがツボにはまると実に快楽的。実際、後半のセッションの演奏では、いくつもの曲でハンプトン・ホーズ節が演奏のノリを引っ張っている。そんな中、柔らかで少しまったり感もある11.「ア・シナー・キスト・アン・エンジェル」も、個人的にはなかなか気に入っていたりする。[収録曲]1. Shank's Pranks2. Casa de Luz3. Lotus Bud4. Left Bank5. Jasmine6. Just a Few7. Paradise8. Fluted Columns9. I Hear Music10. Royal Garden Blues11. A Sinner Kisses an Angel12. It Had to Be You[パーソネル、録音]1.~6.:Bud Shank(as, afl), Shorty Rogers (flh), Jimmy Rowles (p), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds)1954年3月25日録音。7.~12.:Bud Shank(as, ts, bs, fl), Bill Perkins (as, ts, fl), Hampton Hawes (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)1955年5月2日録音。 昼と夜のバド・シャンク +1 [ バド・シャンク ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年08月02日
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ゆったりと軽快なギター演奏 ピーター・バーンスタイン(Peter Bernstein)は、米国ニューヨーク生まれのジャズ・ギタリスト。1967年生まれの彼は、1990年代以降にいくつものリーダー作を吹き込んでいるのだけれど、筆者はごく一部の作品でしか、彼の演奏を知らない。 本盤『ストレンジャー・イン・パラダイス(Stranger in Paradise)』は、2003年に日本のヴィーナス・レコードによって吹き込まれ(録音場所はニューヨーク)、その翌年にリリースされた。“裸体ジャケ”が得意なヴィーナスの作品とはいえ、“パラダイス(楽園)”だからゴーギャンのタヒチの裸体婦人画というのは多少安直にも思えるが、正直なところ、このジャケット・イメージと作品内容の相関性はあまり大きくないように思う。 実際、演奏そのものは、特に南国楽園風というわけでもないというのが、個人的な印象である。豪快かつ軽妙な1.「ヴィーナス・ブルース」に始まるが、3.「ルイーザ」や4.「ハウ・リトル・ウィー・ノウ」のように、時にゆったりまったりと、また時に軽やかにギター演奏を聴かせる。 そして、本盤は、後半に進むにしたがって、アルバム全体のトーンのようなものが見えてくるように思う。中途半端な(決して悪い意味ではなく、敢えてこう表現できるように思う)まったり感は、バーンスタインの演奏の特徴と言えるだろうか。決して先を行く機敏な動きという感じではなく、ゆったりと頭の中の音を実際に響くギターの弦の音に置き換えていく。そんな感じの演奏が本盤の魅力ということになるのかもしれない。 [収録曲]1. Venus Blues2. Stranger in Paradise3. Luiza4. How Little We Know5. Bobblehead6. Just a Thought7. This Is Always8. Soul Stirrin'9. That Sunday, That Summer10. Autumn Nocturne[パーソネル、録音]Peter Bernstein(g), Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Bill Stewart (ds)2003年8月24~25日録音。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月29日
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プレスティッジ期の最後を飾るワンホーン盤 ベスト編集ものを別にすれば、ソニー・クリス(Sonny Criss)の1960年代のプレスティッジ所属期の最後を飾ることになったのが、1969年に録音およびリリースされた『アイル・キャッチ・ザ・サン(I’ll Catch the Sun)』という盤である。彼のスタイルは、基本的には変に時代に流されないハード・バップで、彼ならではの泣きのアルトが特徴である。本盤はそうした傾向を如実に示している作品だと言える。 注目したいのは、リズム・セクションの面子である。とりわけ、ピアノのハンプトン・ホーズとドラムのシェリー・マンの存在感が大きい。前者は、軽快に聴き手を楽しませるピアノが身上で、その特徴は本盤でもしっかり発揮されている。後者は西海岸(ウェスト・コースト)ジャズの代名詞的ドラマーだが、軽快で確かなドラミングがこれまたしっかりと発揮されている。そして、その上を踊るのがソニー・クリスのサクソフォンというわけである。 全編通じて35分程度なので、通して聴いても決して長い時間ではない。その中から、注目したい曲をいくつか挙げておきたい。1.「ドント・レイン・オン・マイ・パレード」は、安定したリズム隊の上でキャッチーなリフをソニー・クリスが奏でるという、ある種わかりやすい展開。これと似たタイプの演奏としては、4.「カリフォルニア・スクリーミン」も収められていて、本盤の主たるイメージを表す部分だと言えると思う。それと同時に、ソニー・クリスがクラシックにかつ朗々と吹くというタイプの演奏も耳につく。その代表例としては、表題曲の6.「アイル・キャッチ・ザ・サン」が挙げられる。 正直なところ、“革新”を求める人たちからすれば、この演奏は、必ずしも魅力的な音楽には見えないかもしれない。けれども、筆者としては、このソニー・クリスのサックスの音そのものが中毒的であるのとともに、敢えて自身のスタイルを無理してまで時代に合わせる必要を感じていない頑なさにも妙に共感してしまったりするのである。[収録曲]1. Don't Rain on My Parade2. Blue Sunset3. I Thought About You4. California Screamin'5. Cry Me a River6. I'll Catch the Sun[パーソネル、録音]Sonny Criss (as), Hampton Hawes (p), Monty Budwig (b), Shelly Manne (ds)1969年1月20日録音。 【輸入盤CD】Sonny Criss / I'll Catch The Sun 【中古】 BEST VALUE 1500::アイル・キャッチ・ザ・サン! /ソニー・クリス(as),ハンプトン・ホーズ(p),モンティ・バドウィッグ(b),シェリー 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年06月17日
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クラリネットの名手による実力発揮の一枚 クラリネットという楽器は、ビッグ・バンドにおいては花形だったが、モダン・ジャズの発展の歴史の中でマイナー楽器へと追いやられてしまった。そんな時代の変化の中、ジャズ音楽の変化にもかかわらず見事にクラリネットを操った名手がバディ・デフランコ(Buddy DeFranco)であった。 バディ・デフランコは、1923年ニュージャージー州生まれで、2014年末に91歳で亡くなっている。当初、彼はビッグ・バンドでの演奏で活動し、1945年にはダウンビート誌の人気投票でクラリネット部門の1位にも選ばれている。やがて、1950年代に入る頃からは自身のバンドで活動するようになり、1953年には拠点も西海岸へと移すことになる。当初はアート・ブレイキーをドラム、ケニー・ドリューをピアノにしていたが、やがてケニー・ドリューの後を引き継いだソニー・クラークをピアニストとしていくつも吹込みを残した。そうした時期の1955年、クインテットで録音されたのが、この『クッキング・ザ・ブルース(Cooking The Blues)』である。 表題の通り、ブルース曲を取り上げた、もしくは、(モダン・ジャズ的な意味での)ブルージーな演奏を披露している盤と言えるが、メンバーを見るととりわけ2月になる点がある。一つは、ピアノがソニー・クラークという点。別に、その前のケニー・ドリューが悪かったとかいうわけでも何でもないけれども、このモダン・ジャズ然とした演奏において、ソニー・クラークが果たしている役割は大きいと思う。それから、もう一つは、ギターを含めたクインテットになっている点。タル・ファーロウのギターは随所で前面に出てきていて、この盤のカラーを大きく色づけている。 お勧めのナンバーをいくつか挙げておきたい。表題曲の2.「クッキング・ザ・ブルース」は、上で述べたソニー・クラークのピアノも、タル・ファーロウのギターもきわめて快調である。メイン・ディッシュと言えるデフランコのクラリネット演奏で最も際立っていると思うのは、3.「スターダスト」。モダン・ジャズの語法の中で、クラリネットもまた、トランペットやサックスと同じように機能することを身をもって示した演奏だと思う。 あともう一つ挙げるとすると、4.「ハウ・アバウト・ユー」。ソニー・クラークのピアノも、タル・ファーロウのギターも、そしてバディ・デフランコのクラリネットも、見事にモダン・ジャズとして調和している。たまたま筆者がそうだったからかもしれないが、クラリネット・ジャズの入口としても、本盤は好適盤と言えるように思ったりする次第である。[収録曲]1. I Can’t Get Started 2. Cooking The Blues 3. Stardust4. How About You5. Little Girl Blue6. Indian Summer[パーソネル・録音]Buddy DeFranco (cl), Sonny Clark (p, org), Tal Farlow (g), Gene Wright (b), Bobby White (ds)1955年8月26日録音。 [枚数限定][限定盤]クッキング・ザ・ブルース/バディ・デフランコ・クインテット[CD]【返品種別A】 クッキング・ザ・ブルース [ バディ・デフランコ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月14日
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安心して聴ける1960年代当時の“現代ジャズ” ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)というトランペット奏者は、ずば抜けて何か革新的なことをやったとか、ジャズ界に激変をもたらしたとかいうわけではなかったと言っていいように思ったりする。むしろ、ビバップからモダン・ジャズへの発展の枠組みの中で、自身の演奏を工夫して披露していったタイプだったという評価が妥当なのかもしれない。無論、このように述べるのは、否定的な意味合いではなく、そういう立ち位置こそが、私たち聴き手を安心して楽しませてくれる音楽につながっていると言いたいからである。 とりわけ日本では、『静かなるケニー』が圧倒的な彼の代表盤としての地位と名声を得ている。同盤が名盤なのは確かだと思うけれど、ケニー・ドーハムが残した演奏は、あの“マイナーの境地”のようなものだけがすべてではなく、安心して聴ける好演が他にいくつもある(そして、それらはもっと聴かれてしかるべしとも思う)。カフェ・ボヘミアのライヴ演奏盤(『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』)は、個人的には別格なのだけれど、それを別にしても、この盤はぜひというものが複数存在する。そうしたものの一つが1960年のタイム盤『ジャズ・コンテンポラリー(Jazz Contemporary)』というアルバムだったりする。 何よりもまず、本盤は、“自然体”のケニー・ドーハムの演奏といった趣がいい。上で述べたように、ケニー・ドーハムは決して突飛なことを試みる奏者ではなかった。とはいえ、この盤では、表題に“コンテンポラリー”、すなわち“現代”とあるように、従来とは違ったフレーバーを出そうという意図もいくらかあったものと推察される。 本盤で注目したい点の一つは、バリトン・サックスを組み合わせたというところ。バリトン奏者のチャーリー・デイヴィスはどちらかと言うとスタンダードな演奏をしているのだけれども、ケニー・ドーハムのトランペット演奏との相性がよく、この起用は功を奏したと思わされる。もう一つは、若きピアノ奏者スティーヴ・キューンの参加である。この当時、まだ21歳だったキューンにとっては、最初に発表されたレコーディング作品となった。後々の熟練度はまだ十分にみられないものの、キューンの演奏のタイミングのよさというのも随所で感じられる。 もともとのリリースの収録曲(1.~6.)の中から、筆者が特にいいと思うところをピックアップして述べておきたい。ケニー・ドーハムのまさしく自然体のトランペットが最高にいいと思う演奏としては、1.「ア・ワルツ」と3.「イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ」を挙げたい。とりわけ、前者は、イントロのバリトン・サックスとの絡みからして、聴く側をわくわくさせてくれる。バリトン・サックスとの相性のよさという意味では、6.「ディス・ラヴ・オブ・マイン」も外せない。個人的には、トランペットのソロからバリトンのソロへの流れは最高である。先にピアノのスティーヴ・キューンに触れたが、上述の3.なんかは彼のピアノが効果を発揮している演奏の一つだと言えるように思う。 [収録曲]1. A Waltz2. Monk's Mood3. In Your Own Sweet Way4. Horn Salute5. Tonica6. This Love of Mine~以下、CD所収のボーナス・トラック~7. Sign Off8. A Waltz [take 5]9. Monk's Mood [take 2]10. This Love of Mine [take 1]11. This Love of Mine [take 2]12. This Love of Mine [take 3][パーソネル、録音]Kenny Dorham (tp)Charles Davis (bs)Steve Kuhn (p)Jimmy Garrison (b: 1.~3., 8., 9.), Butch Warren (b: 1., 4.~7., 10.~12.)Buddy Enlow (ds)1960年2月11・12日録音。 ジャズ・コンテンポラリー [ ケニー・ドーハム ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年02月28日
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イタリア人ピアニストによる初の自己名義盤 ピエトロ・ルッス(Pietro Lussu,ピエートロ・ルッスとも表記)は、1971年、ローマ生まれのイタリア人ピアノ奏者である。ルッスはLTC(参考過去記事)の活動などで知られるが、2009年の本作『ノーザン・ライツ(Northern Lights)』は、個人名義の盤として最初となった盤である。 ベースはヴィンチェンツォ・フローリオ、ドラムはマルコ・ヴァレーリ、そしてピアノ(エレピも使用)がルッスというレギュラー・トリオ盤とのことで、録音されたのは南イタリアのバーリ(地図でよく言う“ブーツ型”の国の形のちょうどかかとの部分に位置する町)である。そして、この録音を手掛けたのは、日本のアルボーレ・ジャズ(Albore Jazz)なるレーベルである。 ルッスのピアノ演奏の特徴として、“歯切れのよさ”がある。本盤でもこの特徴はしっかりと感じられる。柔らかなタッチでメロウなピアノ盤も嫌いではないが、筆者の意見としては、高いテクニックでしっかり鍵盤を打っている演奏は、総じて気持ちいいものだ。そして、本盤でもう一つ気になる彼のピアノ演奏の特徴は、“知性”だというように思う。ラテン系のイタリア人だから豪快である意味ちゃらんぽらんなのかというとそんなことはなく、インテリジェントな計算や判断に裏打ちされた演奏を繰り出していくのが、ルッスのよさの一つなのだと、本盤を聴いて特に感じる(余談ながら、筆者の知り合いのイタリア人男性にも確かにこういうタイプがいる)。 本盤に収められたうち、特に注目曲と言えそうなものをいくつか見ておきたい。1.「ノーザン・ライツ」は、抑え気味に始まる演奏が次第にきらびやかさを見せていくかのようで、“オーロラ”を意味するタイトル通りの幻想的な光景を連想させる。3.「ナブー」は、繊細な演奏で上述の知性を感じさせる演奏の一つ。6.「アフロセントリック」は、やや実験的な感じで、ファンキーな曲調に電子音をうまく組み合わせていて面白い。考えようによっては、こういう工夫も知性のなせる業なのかもしれないなどと想像してみたりもする。[収録曲]1. Northern Lights2. Freak-E3. Naboo4. She Knows the Ropes5. Dakota Song6. Afro-Centric7. Pent-Up House8. Freak-E II[パーソネル、録音]Pietro Lussu(p, elp)Vincenzo Florio(b)Marco Valeri(ds)2009年5月11・12日 【中古】 Pietro Lussu / Northern Lights 【CD】 【中古】 ア・ディファレント・ヴュー /LTC,ピエトロ・ルッス(p),ロレンツォ・トゥッチ(ds),ピエトロ・チャンカリーニ(b) 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年02月25日
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アレンジと演奏が光る有名ミュージカル楽曲集 オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)は、1925年(ということは、和暦だとまだ大正時代!)、カナダのモントリオール出身(ってことは、まだカナダはイギリスの自治領だった時代!)で、2007年に没したジャズ・ピアニストである。このピアノ奏者の特徴は、抜群のスウィング感を伝えることの巧さと、それを支える高度な演奏技術だったと言える。 本盤『ウェスト・サイド・ストーリー(West Side Story)』は、1962年に吹き込まれたもので、表題の通り、1957年初演のミュージカル『ウエストサイド物語』の楽曲を取り上げたものだが、原曲のメロディや雰囲気をうまく残しつつジャズ演奏としてのアレンジがなされている。演奏力の高さは折り紙つきで、定番のトリオ(ピーターソンのピアノに加え、レイ・ブラウンのベースにエド・シグペンのドラムスというトリオ)での演奏である。 個人的な好みに基づいていくつかの曲について触れておきたい。筆者の独断と偏見では、1.「何か起こりそう」と6.「アイ・フィール・プリティ」が、ベストの2曲で、次いで4.「トゥナイト」だろうか。その一方、3.「ジェット・ソング」や5.「マリア」にも注目したい。これらは、さりげなく収録曲に含まれているが、アレンジも演奏もきっと難しかったのではないかと想像する。その上で、自然な流れの中でそれらをこうして演奏しているのは、演奏力の高さは当然ながら、アレンジ段階での段取りのよさが効果を発揮しているのだろうと思う。 余談ながら、世にはオスカー・ピーターソンのピアノ演奏に馴染めないという人もいるらしい。個人的には、その技術的精度の高さがひょっとしてその障壁になっているのではないかと思う。このピアノ奏者は圧倒的にテクニックがハイレベルで、その意味では“聴いて疲れる”ピアニストとも言える。日本では昔から現在に至るまで、様々な形でピアノ・トリオ盤がもてはやされることが多いけれど、そんじょそこらの軟いピアノも重宝される中で、やはりこういう圧倒的なのも(毎回だと疲れるかもしれないけれど)時に聴きたい気分にさせてくれる。筆者にとってのオスカー・ピーターソンにはそんな側面もあるような気がしてならない。[収録曲]1. Something's Coming2. Somewhere3. Jet Song4. Tonight5. Maria6. I Feel Pretty7. Reprise[パーソネル、録音]Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds) 1962年1月24・25日録音。 【輸入盤CD】Oscar Peterson / West Side Story 【K2016/8/26発売】(オスカー・ピーターソン) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年01月29日
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700万アクセス記念~いま聴きたいあの曲(その10) さて、いよいよクリスマス当日となりました。余談ながら、日本では前日のクリスマス・イヴがメインのようになっていますので、クリスマス当日の25日になると“終わった感”が出てしまいますが、いましばらくクリスマス気分に浸れればと思い、この曲を取り上げます。 ジャズのシンガーとしても、トランぺッターとしても、人気だったチェット・ベイカー(Chet Baker)による演奏です。彼のトランペットによる超定番クリスマス曲の「きよしこの夜(サイレント・ナイト)」です。 チェット・ベイカーは『サイレント・ナイツ』(“夜=ナイト”が複数形になっています)というアルバム作品を残しています。まさしくこの時期のナンバーを取り上げた“ホリデー・アルバム”な選曲なのですが、このアルバムの最初と最後がいずれも「サイレント・ナイト」なのです。それぞれ、冒頭のものは“パート1”、最後を締めくくるのは“パート2”となっているのですが、今回はそれら両方をお聴きください。 素敵なクリスマスをお過ごしください。[収録アルバム]Chet Baker / Silent Nights(1986年録音) 【中古】 サイレント・ナイツ /チェット・ベイカー 【中古】afb 【中古】 Silent Nights / Dinemec Jazz / CHET BAKER / CHET BAKER / Dinemec Jazz [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ 人気ブログランキング
2021年12月25日
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表題に違わぬ本領発揮盤 バディ・デフランコ(Buddy DeFranco,1923-2014)は、ジャズ・クラリネット奏者。ジャズの世界全体で見れば、クラリネットはマイナー楽器となってしまったが、その名手はと言うと、必ずその名が挙げられる奏者である。そして、1953年に吹き込まれた本盤の表題は、『ミスター・クラリネット(Mr. Clarinet)』。まさしくクラリネットの代表的奏者としての本領発揮盤と言えるタイトルである。 ピアノ・トリオにクラリネットを加えたカルテット編成で、ドラムスはアート・ブレイキー、ピアノはケニー・ドリューが担当している。クラリネットというとスウィング・ジャズのイメージの方が強いという人もいることだろう。実際、デフランコもビッグ・バンドなどからキャリアを広げていったわけだけれど、こうした共演者たちとの演奏は、見事なまでにバピッシュでブルージーなものに仕上がっている。 こうした演奏を堪能できる曲を、筆者の個人的好みに基づいて、いくつかピックアップしておきたい。2.「フェルディナンド」は、ワクワク感とゾクゾク感(このような表現で伝わるのか甚だ不安だけれど)がとくに際立っている。これに次ぐのが、5.「レフト・フィールド」、6.「ショウ・アイズ」、8.「ベース・オン・ボールズ」。いずれも安定していて、モダン・ジャズらしさ全開の演奏である。一方、デフランコのクラリネットに集中したい向きにお勧めなのは、1.「バディーズ・ブルース」と4.「ニューヨークの秋」。前者はしっかりブルースに仕上がっていて、クラリネットのブルージーな演奏のお手本のように思う。後者は、有名なナンバーだが、トランペットやサックスにも負けないフロント楽器としてのクラリネット演奏というものが存在することを、身をもって示しているように感じる。 何だか抽象的な述べ方になってしまったけれど、“クラリネットのモダン・ジャズってどんなの?”という人にもまず聴いてもらいたい1枚でもあるように思う。[収録曲]1. Buddy's Blues2. Ferdinando3. It Could Happen to Me4. Autumn in New York5. Left Field6. Show Eyes7. But Not for Me8. Bass on Balls[パーソネル、録音]Buddy DeFranco (cl), Kenny Drew (p), Milt Hinton (b), Art Blakey (ds)1953年4月15・20日録音。 【中古】 ミスター・クラリネット/CD/UCCU-5186 / バディ・デフランコ / ユニバーサル ミュージック クラシック [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年12月11日
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少々マイナーな楽器による「枯葉」 毎年、秋が深まり、冬の足音が近づくと、自然と「枯葉(Autum Leaves)」という曲を思い出してしまいます。 そんなわけで過去には本ブログでも、毎年というわけではないですが、11月頃にいろんな奏者の「枯葉」を取り上げることになるのですが、どうしても名演を探し出すと、トランペットにサックス、あるいはピアノ・トリオでの演奏など、ポピュラーな楽器がメインの「枯葉」に落ち着きがちです。 そんなこともあり、今回は、ジャズ界ではややマイナーな楽器が登場する「枯葉」というのをテーマに、2つほどビデオ付きでお聴きいただきたいと思います。 まずは、今回一押しの、“マイナー楽器といえばこれでしょ”的な、クラリネットによる「枯葉」です。ジャズ・クラリネットの名手、バディ・デフランコによる抒情性たっぷりの秀逸な演奏です。正直なところ、この演奏は、個人的にかなりお勧めです。 さて、続いてもう一つお聴きいただきたいと思います。ヴァイオリンをフィーチャーしたこの曲の演奏です。ジャズ・ヴァイオリンでは有名なステファン・グラッペリ(Stephane Grappelli)というフランス人がいますが、その彼がオスカー・ピーターソンと共演している「枯葉」です。1973年、パリにおけるカルテットでの演奏です。 秋は過ぎゆき、冬の到来といった感じがだんだんとしてきています。ご体調には気を付けつつ、冬支度をお進めください。 Buddy De Franco / Autumn Leaves 【CD】 【中古】 枯葉/CD/UCCM-3025 / オスカー・ピーターソン&ステファン・グラッペリ / ユニバーサル ミュージック クラシック [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年11月24日
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西海岸ジャズの代表として忘れてはならない奏者の本領発揮盤 バド・シャンク(Bud Shank)は、1926年オハイオ州生まれのジャズ・ミュージシャンで、2009年に82歳で亡くなっている。幼い頃にクラリネットを始め、やがてサックス奏者として活躍していった。アルト・サックスのほかに、テナー、バリトンも演奏し、さらにはフルートの名手だった。ウエスト・コースト(西海岸)・ジャズのサキソフォン奏者と言えば、アート・ペッパーが代名詞のようになっているが、バド・シャンクも忘れてはならない存在である。 本盤『ザ・バド・シャンク・カルテット(The Bud Shank Quartet)』は、1956年にロサンゼルスで録音されたパシフィック盤である。表題の通り、ピアノトリオ+アルト・サックス(およびフルート)というワンホーン盤であるが、クロード・ウィリアムソンがピアノ奏者というのも目を引く点で、バド・シャンクを生かそうとする演奏がとりわけ妙である(ジャケットには“フィーチャリング・クロード・ウィリアムソン”の表現も見られる)。 さて、肝心のバド・シャンクの演奏であるが、アート・ペッパーのような天才的閃きといった感じとは大きく異なる。クールさを装いながら熱い演奏をするというのが、筆者の感じている彼のアルト演奏の全体的な印象である。このような印象に特によくあてはまる曲の一つが、1.「バッグ・オブ・ブルース」である。いかにも西海岸クール風な演奏から始まり、曲が進むにつれて次第に盛り上がってホットな演奏へと移行していく。同じような特徴を持った演奏としては、10分近くに及ぶ長尺の7.「ウォーキン」もいい。 一方、バド・シャンクのフルート演奏にも注目したい。2.「ネイチャー・ボーイ」はフルートとピアノが一体となって醸し出す抒情感がいい。6.「ノクターン・フォー・フルート」は、ピアノのウィリアムソンのペンによるナンバーで、ノクターン(夜想曲)の表題通り、夜の静寂を思い起こさせる美しい演奏を披露している。 最後に、ゆったりとしたバラード曲をやったらどうなるかという意味では、3.「オール・ジス・アンド・ヘヴン・トゥー」が面白い。とにかく優しいバド・シャンク節は、聴き手を病みつきにさせる魅力を存分に持っているように思うのだけれど、いかがだろうか。[収録曲]1. Bag of Blues2. Nature Boy3. All This and Heaven Too4. Jubilation5. Do Nothing till You Hear from Me6. Nocturne for Flute7. Walkin'8. Carioca[パーソネル、録音]Bud Shank (as, fl) Claude Williamson (p)Don Prell (b)Chuck Flores (ds)1956年1月25日録音。 Bud Shank バドシャンク / Bud Shank Quartet Featuring Claude Williamson 【CD】 CD/ザ・バド・シャンク・カルテット (解説付) (限定盤)/バド・シャンク/UCCQ-9386 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2021年11月22日
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ピアノ演奏と“声”に徹した異色盤 チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)は、1922年、米国アリゾナ州出身のジャズ・ベース奏者(1979年没)。単にベーシストとしてだけではなく、作曲家、バンド・リーダーとしての才能を発揮していたものの、そんな彼が1962年に発表(録音はその前年)した本盤『オー・ヤー(Oh Yeah)』では、ベースを弾かずにアルバムの吹き込みを行うという、思い切った行動に出た。 本盤でミンガスが担当しているのはピアノとヴォーカル。したがってミンガスの作品としては、本職(ベース)の代表作というよりも、“異色作”という方が適当だろう。収められた7曲は、いずれもミンガス自身の作で、基本的にブルース曲である。 アルバム全体として、演奏は奥行きや厚みがあるもので、ミンガスの作曲能力の高さと、曲によっては彼のヴォーカルの妙なドスの効いた勢い(?)が妙に耳につく。そう、“ヴォーカル”というより“声”と呼んだ方が適切なような気すらする。そして、この“声”というのが、本盤を“ねちっこい”ものにしていると表現してもいいように思う。 とはいえ、その“ねちっこさ”の理由は、ミンガスの声と同時に、もう一つにあるように思う。それは、ブッカー・アーヴィンのサックスである。アーヴィンは筆者お気に入りのテナー奏者でこれまでもリーダー作(参考過去記事(1) ・(2) ・(3) )を取り上げているが、彼の存在がその“ねちっこさ”に拍車をかけているのである。 聴きどころはと言われると、全体を通して聴くのがよいと思うのだけれど、敢えてこれはという収録曲を挙げるなら、1.「ホッグ・コーリン・ブルース」と2.「デヴィル・ウーマン」。後半になるとさらにハチャメチャな部分を含むが、個人的には5.「神よ原子爆弾を降らせ給うな」が気に入っている。[収録曲]1. Hog Callin' Blues2. Devil Woman3. Wham Bam Thank You Ma'am4. Ecclusiastics5. Oh Lord Don't Let Them Drop That Atomic Bomb on Me6. Eat That Chicken7. Passions of a Man[パーソネル、録音]Charles Mingus (p, vo)Rahsaan Roland Kirk (fl, siren, ts, manzello, strich)Booker Ervin (ts)Jimmy Knepper (tb)Doug Watkins (b)Dannie Richmond (ds)1961年11月6日録音。 【輸入盤CD】CHARLES MINGUS / OH YEAH (チャールズ・ミンガス) 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年11月19日
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パリでのピアノ・トリオとの共演 1929年生まれのチェット・ベイカー(Chet Baker)は、1950年代半ばには、ジャズ・リスナーから大きな人気を得ていた。まさしくその時期に相当する1955年に録音されたのが、この『サマータイム(Plays Standards)』である。現在は“ジャズ・イン・パリ”シリーズの1枚としてリイシューされているが、元々はフランスのバークレイ(Disques Barclay)というレーベルから発売されたLPだった。 1955年秋、チェットはフランスにいた。バークレイ・レーベルで6枚のアルバムを録音したいとの申し出に応えたものだった。この際、チェットはスイスやドイツでも演奏したとのことだが、フランスで最初に録音したメンバーと本作のメンバーには異動がある。本盤で共演しているピアノ・トリオのうち、ベースのジミー・ボンドは、最初のセッションでも一緒だった人物である。一方、ドラムスのバート・ダーランダーは、チェットと揉めて出ていったピーター・リットマンに代わって加わっていた。さらに、先に共演したピアノのディック・ツワージクは、この間に薬物の過剰摂取によってホテルで急死するという運命をたどっていた。代役を務めたのは、バークレイと契約したばかりの若手ピアニスト、ジェラール・グスタンだった。 このように、突然のパーソネル変更の中、“スタンダード”が共通項となって本盤は録音された。要するに、ジャズ・ミュージシャンが慣れ親しんでいる定番曲をレコーディングの曲目にするというわけである。結果的に、チェットが普段あまり演奏していなかったスタンダードも本盤には収録されることになった。 肝心の演奏内容だが、まず、ベースの安定感が光り、ドラムスもこれによく合っている。そして、代役だった若きピアニストの活躍も目立つ。このピアノ・トリオをバックに“歌う”のがチェット・ベイカーのトランペットである。個人的にとくにお勧めな演奏としては、1.「サマータイム」、5.「ゼアズ・ア・スモール・ホテル」、6.「ニューヨークの秋」、8.「アイル・リメンバー・エイプリル(4月の思い出)」といったところか(いや、他にも捨てがたい曲が複数あったりする…)。ともあれ、日常ではない環境の中、当時のチェット・ベイカーがトランペットで本領を発揮した盤なので、“そもそもチェットのトランペットってどんなの?”と思う人にも聴いてもらいたい盤だと思う。[収録曲]1. Summertime2. You Go To My Head3. Tenderly4. Lover Man5. There's A Small Hotel6. Autumn In New York7. These Foolish Things8. I'll Remember April[パーソネル、録音]Chet Baker (tp)Gérard Gustin (p)Jimmy Bond (b)Bert Dahlander (ds)1955年10月24日録音。 【中古】 Chet Baker チェットベイカー / Plays The Standards 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月17日
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初期の地味な好盤 クレア・フィッシャー(Clare Fischer)は、1928年生まれのピアノ奏者で作編曲家(2012年没)。ボサ・ノヴァやポップ音楽界(プリンス、マイケル・ジャクソン、ポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ、セリーヌ・ディオンなど)のアレンジャーとしてのイメージが強いという人もいるかもしれない。 そんな彼自身は1940年代から音楽活動をし、1960年代にはリーダー作を残している。パシフィック・ジャズで吹き込まれたいくつかの盤のうち、デビュー盤として発表されたのが、本作『ファースト・タイム・アウト(First Time Out)』である。 それでもって、この作品は、“実にいい仕事をしている”盤なのである。そのよさというのは、主に次の2つの点に集約されるように思う。まずは、彼自身のピアノ演奏。あちらこちらで演奏に工夫が凝らされ、硬質な音ながら哀愁やもの悲しさを随所に漂わせるところが印象に残る。もう一点は、後世にも発揮されることになるアレンジ力である。ありがちにスタンダードを演奏するといった風情はまったくなく、様々な場面で、スリリングな展開をおそらくは意図し、結果的にベース(ゲイリー・ピーコック)とドラムス(ジーン・ストーン)がそれに応じている。 上で述べた2点が見事に結実しているのは、1.「ナイジェリアン・ウォーク」で、本盤では真っ先に(と言っても1曲目だけれど)聴かれるべき楽曲である。もちろん、この曲だけではない。筆者の好みでは、2.「トッドラー」、4.「アフターファクト」、さらにアルバム後半では、5.「フリー・トゥー・ロング」、コール・ポーター曲の8.「アイ・ラヴ・ユー」なんかを特に楽しんでもらいたい。流して聴くと、最初は地味に聞こえるかもしれないが、一つ一つを気にしながら聴くと、やっぱり“いい仕事”という感想に落ち着いてしまう、そんな好盤だと思う。[収録曲]1. Nigerian Walk2. Toddler3. Stranger4. Afterfact5. Free Too Long6. Piece for Scotty7. Blues for Home8. I Love You[パーソネル、録音]Clare Fischer (p)Gary Peacock (b)Gene Stone (ds)1962年4月12日、14日録音。 クレア・フィッシャー/FIRST TIME OUT + JAZZ 【CD】 【輸入盤CD】Clare Fischer / First Time Out/Jazz (クレア・フィッシャー) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年10月20日
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名脇役的ドラマーが実は主役であることを示す盤 アート・テイラー(Art Taylor)もしくはアーサー・テイラー(Arthur S. Taylor Jr.)は、1929年生まれのジャズ・ドラム奏者で、1995年に65歳で没している。モダン・ジャズの“名脇役”として数多くのセッションに参加しているが、決してリーダー作は多くない。そんな中で、代表的な盤の一つと言えそうなのが、1960年にブルーノートへの吹き込みとしては唯一のリーダー作となった『A.T.ズ・デライト(A.T.’s Delight)』である。 トランペットのデイヴ・バーンズ、テナー・サックスのスタンリー・タレンタインがフロントを務め、コンガのカルロス・“パタート”・バルデスも複数の曲で参加している。実際に本盤を聴いてみれば、これらの楽器の存在感が大きい。そのことは、言い換えると、リーダーたるドラム奏者の存在感はどうなのかということにもなる。正直なところ、本盤ではドラムスが他の楽器に比べて特段目立った存在感を示しているという感じがしない。 とはいえ、本盤のリーダーは、ドラムスのアート・テイラーである。全体としてみれば、アート・テイラーの存在感はドラムスではないところにより感じられると言っていいように思う。演奏全体のバランスをとり、メンバーの演奏を下支えするといった意味でのリーダーだったのではないだろうか。DJやライターもしていたというアート・テイラーだが、自らが目を引く演奏の主役としてリーダーを務めるのではなく、“下支え的リーダー”という役割を見事に全うした作品と言えるようにも思う。 個人的な好みとしては、1.「シーダス・ソング・フルート」や2.「エピストロフィ―」がまず挙げられる。トランペットやテナーの存在感が大きくて、上述の通り、ドラムスの演奏自体は脇役的であるものの、これこそが、アート・テイラーの目指した姿という風に感じられる。他には、4.「ハイ・シーズ」や6.「ブルー・インタールード」のようないかにもモダン・ジャズですといった趣は本盤の重要な特徴なのだけれど、敢えて別の曲に着目しておきたい。 5.「クークー・アンド・フンジ」は、とりわけコンガの存在感が大きく、面白いナンバーだと思う。普通に考えれば、コンガの存在感を増せばドラムスの存在感が低くなる可能性もあり躊躇しかねない。けれども、ドラムスの演奏でリーダーの存在感を出そうとするわけではなく、作品全体のコーディネーターとしてやっぱり彼がリーダーというまとめ方の結果が本盤だったということは、こんなところにも反映されているのかなと思うとなかなか興味深いように思う。[収録曲]1. Syeeda's Song Flute2. Epistrophy3. Move4. High Seas5. Cookoo and Fungi6. Blue Interlude[パーソネル、録音]Art Taylor (ds)Dave Burns (tp: 5.を除く)Stanley Turrentine (ts)Wynton Kelly (p: 5.を除く)Paul Chambers (b)Carlos "Patato" Valdes (conga: 2., 3., 5.)1960年8月6日録音。 【中古】 Art Taylor (Arthur) アートテイラー / At's Delight 【CD】 ↓LP盤です↓ Art Taylor (Arthur) アートテイラー / At's Delight (180グラム重量盤レコード / Drummer Leader VINYLS) 【LP】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年10月09日
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ジャズ界のみならず、音楽界の不朽の名作 リーダーの名義はキャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)となっているが、契約の都合上の理由でそのようにならざるを得なかった。けれども、本盤の実質的な軸は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)その人である。ジャズ界の名作というよりは、音楽界の名作と言った方が相応しいほど、有名かつ賞賛の対象となっているのが、1958年に吹き込まれて発表されたブルーノート盤、『サムシン・エルス(Somethin’ Else)』である。 1958年と言えば、マイルス・デイヴィスのクインテットにキャノンボールが合流し、セクステットに発展していった時期である(実際、本盤の録音の1か月前と数日前には、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイの揃い踏みとなった『マイルストーンズ』のレコーディングがなされている)。本盤では、マイルス(トランペット、5.を除く4曲に参加)とキャノンボール(アルト・サックス)を含むクインテットで、リズム隊には、ハンク・ジョーンズ(ピアノ)、サム・ジョーンズ(ベース)、アート・ブレイキー(ドラムス)が名を連ねる。 どのメンバーの演奏も素晴らしいのだけれど、筆者の思い入れとしては、マイルスのトランペット(特にミュート演奏が続くLP時代のA面に相当する1.と2.はジャズ喫茶のリクエストで断トツの人気を誇った)、粒の立った演奏を披露するハンク・ジョーンズのピアノだろうか。いや、この人たちだけに言及するのでは、そもそもリーダー扱いのキャノンボールに申し訳が立たない。ドラムスのアート・ブレイキーもこれでなければならないし、ベースのサム・ジョーンズの安定感も然り。ありがちだけれど、このメンバーでないといけないと確信をもって思わさせられてしまうほどの完成度と言うことになる。 そんなわけで、収録の5曲のうちどれが優れているかという話をし始めると、結局は申し訳が立たず、全曲に触れることになってしまうように思う。それでもなお、1曲だけは触れておきたい。名演として有名な1.「枯葉(オータム・リーヴズ)」である。マイルスのミュート・トランペットの絶品演奏はもちろんだが、上で述べたように、他のメンバーがやはりこのメンツでなければいけなかったという気にさせてくれる。個人的には、2か所、何度聴いてもぞくっとする箇所がある。一つ目は、開始早々のマイルスのミュート・トランペットが入ってくるところ。もう一つは、マイルスの絶品演奏の後にキャノンボールのアルトが始まるあの瞬間。音楽を聴いていて、背筋が震えるというのは、そうしょっちゅうある体験ではない。それがしっかり詰まっているのが本盤であり、“ジャズの”というようなジャンルを超えて、“音楽界の”名作と言えるように思う。 超有名盤なので、ジャズが好きという人にいまさらこの盤を勧める必要はないだろう。けれども、声を大にして言いたい。ジャズ愛好者ではない音楽愛好者すべてにとっても、本盤は必聴盤だと思う。ジャズを聴かない人にも、“音楽界の不朽の名作”の一つとして、ぜひ聴いてほしい盤とも言えるんじゃないだろうか。[収録曲]1. Autumn Leaves 2. Love for Sale3. Somethin' Else4. One for Daddy-O5. Dancing in the Dark[パーソネル・録音]Cannonball Adderley (as)Miles Davis (tp)Hank Jones (p)Sam Jones (b)Art Blakey (ds)1958年3月9日録音。Blue Note 1595 サムシン・エルス+2/キャノンボール・アダレイ[SHM-CD]【返品種別A】 サムシン・エルス +2 [ キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイヴィス ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年10月06日
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2部構成のLPから3部構成のCDへ 1963年に録音され、翌年にリリースされた『ゲッツ/ジルベルト』は、幅広いリスナーに受け入れられ、見事に成功を収めた。ジャズ界でのボサ・ノヴァ・ブーム到来とでも言った状況である。それが真のボサ・ノヴァだったのか、このブラジリアン・ブームに本当に先鞭をつけたのは誰だったのか、などと言う議論はさておき、スタン・ゲッツ(Stan Getz)とジョアン・ジルベルト(João Gilberto)の共作は、確かにヒットし、多くの聴衆を惹きつけた。そして、それを受けて、1964年10月にはニューヨークのカーネギー・ホールでライヴが催された。 本盤『ゲッツ/ジルベルト#2(Getz/Gilberto #2)』は、そのライヴ・コンサートの演奏を収めたものである。つまり、“第二弾”と言っても、前作の続編というよりは、その成功にあやかった“2匹目のどじょう”的なアルバム・リリースだったといえる。とはいっても、ゲッツとジルベルトの相性はあまりよくなかったらしく、そもそも『ゲッツ/ジルベルト』も録音から1年を置いてリリースされた。そうしたそりの悪さからか、本盤でもべったり共演するのではなく、まずはスタン・ゲッツのカルテット演奏、続いてジルベルトが登場してボサ・ノヴァを披露という構成で、最後はアストラッドが登場し、ジャズ側メンバーと共演して「イパネマの娘」などを披露するというものだったようだ。 ともあれ、この音源がLPとなって発売された時には、A面がスタン・ゲッツのカルテットによる部分(“ザ・スタン・ゲッツ・サイド”)、B面がジョアン・ジルベルトの演奏(“ザ・ジョアン・ジルベルト・サイド”)となった。アストラッドが登場する部分については、音質の問題もあってお蔵入りとなってしまった。結局、CD時代になって、問題の部分はボーナストラックとして収録され、LP風に言えば、いわば“C面”が増えたような形になった。 上記のそれぞれのセクションごとに注目曲を少し挙げてみたい。スタン・ゲッツのカルテット部分では、1.「グランドファザーズ・ワルツ」と4.「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」がお勧め。ジョアン・ジルベルトの部分では、5.「我がふるさとのサンバ」、7.「ボンファに捧ぐ」が個人的には聴きどころかと思うものの、やはり、アストラッド登場後の方が万人受けのいかにもボッサの魅力満開となる。CD追加曲の中では、人気曲の13.「コルコヴァード」、14.「イパネマの娘」が人気ということになるのだろうが、英語で歌っている11.「春の如く」とポルトガル語の15.「エウ・イ・ヴォセ」の2曲もなかなかお勧めではないかと思ってたりする。[収録曲]1. Grandfather's Waltz2. Tonight I Shall Sleep (With a Smile on My Face)3. Stan's Blues4. Here's That Rainy Day5. Samba da Minha Terra6. Rosa Morena7. Um Abraço No Bonfá8. Bim Bom9. Meditation10. O Pato (The Duck)11. It Might as Well Be Spring12. Only Trust Your Heart13. Corcovado14. Garota de Ipanema (The Girl from Ipanema)15. Você e Eu[パーソネル、録音]1.~4.:Stan Getz (ts), Gary Burton (vib), Gene Cherico (b), Joe Hunt (ds)5.~10.João Gilberto (g, vo), Keter Betts (b), Helcio Milito (ds)11.~15.Stan Getz (ts), João Gilberto (g, vo), Astrud Gilberto (vo), Gary Burton (vib), Gene Cherico (b), Joe Hunt (ds) 1964年10月9日録音。 CD/ゲッツ/ジルベルト #2 +5 (解説歌詞付) (限定盤)/スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト/UCCU-90288 【輸入盤CD】Stan Getz / Getz/Gilberto 2: Limited Edition (Bonus Track) 【K2017/7/21発売】(スタン・ゲッツ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年10月03日
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ジャズ・ギターの有名盤 ジョニー・スミス(Johnny Smith)は、1922年アラバマ州に生まれ、メイン州で育ったジャズ・ギタリストで、2013年に死去している。早くに第一線から退いたため、作品数は決して多くないが、クール・ジャズの演奏者として1950年代に人気を博した。ベンチャーズ(ザ・ヴェンチャーズ)の演奏で有名な「急がば廻れ(ウォーク・ドント・ラン)」の作曲者としても知られる人物である。 そんなスミスの代表盤と言えば、『ヴァーモントの月(Moonlight in Vermont)』である。スタン・ゲッツをフィーチャーした表題曲の1.「ヴァーモントの月」は、1952年にシングルとして好評を博した。この曲は、翌1953年に『ジャズ・アット・NBC』という10インチ盤に収録されたが、ややこしいことに、1952年にも同名タイトルの10インチ盤が出されていた。要するに、『ジャズ・アット・NBC』と題された10インチ盤が2つ存在し、1956年になってからこれらを1枚の12インチLPにまとめたのが、この『ヴァーモントの月』ということになる。 そんな経緯に影響されたせいか、ジャケットも2種類が流通していて紛らわしい。一つは月の輝く風景にギターを弾くスミスの写真というもの。筆者の手元にあるのはこちらなので、何となくこれがしっくりくるのだけれど、もう一つ別のジャケットもよく知られる。ピンク地の背景にイラストでギターを弾くスミスが大きくあしらわれ、左下にはテナーを吹くスタン・ゲッツが小さめに描かれているものである。どうやら写真を使ったものの方がこの盤の元来のジャケットで、イラストのものは10インチ盤に由来するということのようである。 いずれもテナー・サックスの入ったクインテット演奏なのだけれど、1952年から1953年にかけての複数回のセッションが含まれていて、ジョニー・スミス本人とピアノのサンフォード・ゴールド以外はセッションごとに異動がある。テナーは全16曲のうち、スタン・ゲッツが8曲で、残りは、ズート・シムズとポール・クイニシェットが4曲ずつである。全体としては、ギター演奏があくまでメインで、テナーがでしゃばり過ぎることはない(とはいえ、ゲッツ、シムズ、クイニシェットの個性の違いははっきり出ている)。ピアノ・トリオも全体的に抑え気味で、ムードよくギターを中心に聴かせようという意図があったかのように見える。それでいて、高度な演奏技術のギターをさらりと披露しているところが本盤全体としては注目したいところと言えるだろうか。 個々の曲で筆者のお気に入りをいくつか挙げておきたい。1.「ホエア・オア・ホエン」のまったりした感じは、このアルバムのリラックス・ムードを象徴する演奏。アルバム表題にもなっている3.「ヴァーモントの月」も1.と同じ流れの中にある演奏で、スタン・ゲッツならではのサックスも相まって、ヴァーモント(行ったことすらないけれど)の月景色が浮かんでくる。面白いのは、「ジャガー」で、スタン・ゲッツが入った4.とズート・シムズが入った15.が聴き比べられる(個人的にはズートが参加した方に軍配を上げたい)。12.「チェロキー」も個人的にお気に入りで、難しいことをクールにさらりとやってのけるというジョニー・スミスの本領が発揮されている演奏だと思う。他にも個々の曲を挙げていくときりがないのだけれど、とにかく聞き流したい人にも集中して楽しみたい人にもどちらにも満足のいく盤というのは、どこにでもあるものではない。本盤はそういう性質をもった稀有の盤の一つでもあるのかなと感じる。[収録曲]1. Where or When2. Tabú3. Moonlight in Vermont 4. Jaguar5. Stars Fell on Alabama6. Tenderly7. (I Don't Stand a) Ghost of a Chance8. Vilia9. Cavu10. I'll Be Around11. Yesterdays12. Cherokee13. Sometimes I'm Happy14. Nice Work If You Can Get It15. Jaguar (別ヴァージョン)16. My Funny Valentine[パーソネル、録音]Johnny Smith (g)Stan Getz (ts, 1.~6.,13.~14.),Zoot Sims (ts, 7.~8.,15.~16.),Paul Quinichette (ts, 9.~12.)Sanford Gold (p)Eddie Safranski (b, 1.~4.,7.~8.,15.~16.), Bob Carter (b, 5.~6.,13.~14.), Arnold Fishkind (b, 9.~12.)Don Lamond (ds, 1.~4.,7.~12.,15.~16.), Morey Feld (ds, 5.~6.,13.~14.)1952年3月11日(1.~4.)、1952年4月(7.~8.,15.~16.)、1952年11月(5.~6.,13.~14.)、1953年8月(9.~12.)録音。 【輸入盤CD】Johnny Smith / Moonlight In Vermont (リマスター盤) (ジョニー・スミス) 【中古】 ヴァーモントの月 /ジョニー・スミス 【中古】afb 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年07月20日
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トロンボーン奏者の密かな好演 ベニー・グリーン(Bennie Green)は、1923年シカゴ生まれのトロンボーン奏者で、1977年に亡くなっている。1950年代から60年代にかけて、自身のリーダー作を多く残したほか、様々なミュージシャンのサイドマンも務めた。ちなみに、同姓同名のピアノ奏者も存在するが、そちらは全くの別人である。 ベニー・グリーンは、J・J・ジョンソンとは違った流れに位置するトロンボーン奏者ということになるが、小気味よいスウィング感、優れた演奏技術、そしてソウル感のあるバックグラウンドを感じさせる演奏の組み合わせがその特徴と言える。本盤『ウォーキング・ダウン(Walking Down)』は、1956年プレスティッジでの吹込み盤で、彼のトロンボーンに加えてテナーが入ったクインテット演奏盤である。 全部で5曲(自作が1曲で、残りはスタンダード曲)が披露されているが、特に素晴らしいのは、前半(LPだとA面)の2曲の演奏。いずれも12分ほどの長めの尺の演奏なのだけれど、1.「ウォーキング」も2.「過ぎし日の夏の思い出(ザ・シングズ・ウィー・ディド・ラスト・サマー)」も、演奏の流れや展開が絶妙で、曲の途中で大きく変化をつける工夫もいい。トロンボーンをしっかり聴かせる部分があるだけでなく、サックスのエリック・ディクソンの見せ場、ピアノがいい味を出す箇所、といった具合で、とにかく聴き手を飽きさせない10数分をそれぞれ展開している。とりわけ、1.のエリック・ディクソンのテナーは聴きどころになっていると言える。 ついでに面白いのは、ベニー・グリーン自作曲の3.「イースト・オブ・ザ・リトル・ビッグ・ホーン」。短いながら、トロンボーンのよさに加え、テナーのエリック・ディクソンの演奏も冴えている。ベニー・グリーンの魅力を楽しみ、なおかつマイナーなサックス奏者エリック・ディクソンのテナーも堪能できるという、決して有名な盤というわけではないかもしれないが、なかなか贅沢な好演奏盤ということができるように思う。[収録曲]1. Walkin' (down)2. The Things We Did Last Summer3. East of The Little Big Horn4. It's You or No One5. But Not for Me[パーソネル、録音]Bennie Green(tb) Eric Dixon(ts) Lloyd Mayers(p) Sonny Wellesley(b) Bill English(ds)1956年6月29日録音。 【中古】 Bennie Green / Eight Classic Albums 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年07月01日
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次なるステップへの足がかりとなった非ブルーノート盤 時は1956年のことである。アート・ブレイキーと袂を分かったホレス・シルヴァー(Horace Silver)は、ジャズ・メッセンジャーズを離れ、自身のクインテットを形成することになる。そして、まもなく彼はブルーノートへ復帰し、引き続き吹き込みを重ねていくことになるのだけれど、実はその狭間にエピック・レーベルに1枚のアルバムを残している。それがこの『シルヴァーズ・ブルー(Silver's Blue)』という盤というわけである。 都合3日間の録音で、メンバーの異同があるのだけれど、ブルーノート・レーベルに戻って吹き込んだ『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』のメンツの原型が既にここにあると言える。つまり、トランペットがドナルド・バード(ただし数曲を除く)、テナーはハンク・モブレー、ベースがダグ・ワトキンスというものである。 個人的な本盤の印象は、“新たなものの形成過程”である。言い換えると、“まだ完成していない”という言い方もできてしまうのかもしれないのだけれど、この3か月ほど後に吹き込まれることになるブルーノート盤『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』の原型となるイメージを作り上げていく過程が反映されているように思える。収録曲全体としては、そのようなイメージを筆者は持っているのだけれど、中でもこれぞという演奏を少し挙げておきたい。4.「アイル・ノウ」は少し地味な印象だけれど、安定感が抜群にいいように思う。5.「シャウティン・アウト」はこれぞシルヴァー節といった好演奏。7.「夜は千の眼を持つ」は、この何年か後のジョン・コルトレーンの演奏でよく知られるが、意欲的な演奏ぶりが目を引く。 アルバム作品としてトータルでの評価というと、正直なところ、本盤はそれほど高くならないかもしれない(何と言ってもその後の活動ぶりも見事だったわけで…)。とはいえ、上で述べたようなホレス・シルヴァーの変遷を意識して聴けば、実によくその当時の状況が反映された演奏内容で、なおかつその後のブルーノートでの活躍の足がかりがよくわかる盤でもあるように思う。[収録曲]1. Silver's Blue2. To Beat or Not to Beat3. How Long Has This Been Going On?4. I'll Know5. Shoutin' Out6. Hank's Tune7. The Night Has a Thousand Eyes[パーソネル、録音]Horace Silver (p)Donald Byrd (tp: 1, 4, 6, 7)Joe Gordon (tp: 2, 3, 5)Hank Mobley (ts)Doug Watkins (b)Art Taylor (ds: 1, 4, 6, 7)Kenny Clarke (ds: 2, 3, 5)1956年7月2日(2, 3, 5)、7月17日(1, 4)、7月18日(6, 7)。 ↓LP盤です↓ HORACE SILVER ホレス・シルヴァー / SILVER'S BLUS 180g重量盤 LP【KK9N0D18P】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年06月28日
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技術と洗練度の高いピアノ+アルバムとしての完成度の高さ マリアーノ・ベッロペーデ(Mariano Bellopede)は、1983年、イタリアのナポリ出身のピアノ奏者、作曲家である。音楽ジャンルで言うとジャズに分類されるということになるのだけれど、地中海や南米の音楽に影響を受けた作品を世に送り出している。目下のところ、筆者が唯一聴いている彼の作品が、2015年発表の『ディ・アルトリ・ズグアルディ(Di altri sguardi)』という盤である。 この盤には副題がついていて、“Racconti dal Mediterraneo”とある。上記の表題と合わせると、イタリア語で“別の見方:地中海のストーリー”といったような意味合いである。つまりは、既存の概念にとらわれず、なおかつ地中海をキーワードとして紡いだ音楽、といったところだろうか。 個人的な好みからいくつか聴きどころになりそうな演奏をピックアップしておきたい。まず、1.「ジャスミンズ・エレジー(ジャスミンの哀歌)」は、雄大な雰囲気を保ちながら、次第にピアノを中心とした演奏に収斂していくのが、本盤の特徴をよく表しているように思う。地中海らしさを感じさせるという点では、4.「ラ・メール・ヴェルス・リタリエ(イタリアに向かう海)」に注目したい。 この“海”をテーマにした演奏は、激しさも静けさも併せ持つ。続く5.「フオッコ・ア・マーレ(海の火)」も海をテーマにした曲で、筆者的には特にお気に入り。ジャズ的な枠組みに拘らず、大胆なコーラスを含む勇壮な演奏は、本盤の中でいちばんの効きどころという風に思う。同じく意表をついたナンバーとして、9.「ウナ・カンツォーネ・ビアンカ(白い歌)」にも触れておきたい。アレッシオ・アレーナなる人物がヴォーカルを務めている曲である。曲ごとに言及していると見落としてしまいがちなのだけれど、本盤は曲の並びもよく考えられているようで、通して聴いて飽きない工夫があるという風に思う。この曲のような“歌もの”も流れの中に取り込んでしまうあたりは、アルバム全体としての作りのよさを反映しているようにも思う。 何だか誉め言葉のようなコメントばかり並べてしまったけれど、実際のところ、飽きずに聴き続けられる(それどころか、聴くたびに惹き込まれてしまう)50分間の演奏と言えるように思う。何か確信があってこのアルバムを手にしたわけではなかったのだけれど、筆者の中では、今となっては、本当に買ってよかったと思えるアルバムになっている。[収録曲]1. Jasmine’s Elegy 2. Paquito 3. Till The Rain 4. La Mer Vers L’Italie 5. Fuoco A Mare 6. Dormi Ancora Un Po’ 7. Sabir 8. Springtime Revolution 9. Una Canzone Bianca 10. Song for My Sister’s Son[パーソネル、録音]Mariano Bellopede (p), Alessandro Anzalone (b), Davide Esposito (ds), Gigi Patierno (sax, fl), Carmine Marigliano (fl, 2.と5.), Ciro Cascino (hammond, 7.), Gino Evangelista (oud), Federico Luongo (g, 4.), Gabriele Borrelli (perc, 5.), Michele Maione (perc, 7.), Alessio Arena (vo, 9.), Francesca Colapietro (vo, 5.)Ondanueve String Quartet (9と10): Paolo Sasso (vln), Andrea Esposito (vln), Gigi Tufano (viola), Marco Pescosolido (cello)Chorus: Viviana de Angelis, Raffaela Carotenuto, Daniela Fiorentino, Martina Mollo, Caterina Bianco, Mariano Bellopede, Carmine Marigliano, Simone Spirito, Davide Esposito, Lele D’Alessio 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援くださると嬉しいです! ↓ ↓
2021年05月31日
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新世紀の注目ジャズ・テナー奏者盤 ミゲル・フェルナンデス(Miguel Fernández)は、1978年スペイン出身のテナー・サックス奏者。地元で活動した後、21世紀に入るとアメリカのバークリー音楽院で学び、その後、2005年からは再びスペインに戻り、バルセロナを拠点に活動している。 本盤『アフリカン・ブルース(Afrikan Blues)』は、2013年にニューヨークで録音された。フェルナンデスのテナーに加え、ジェイソン・パルマーのトランペットをフィーチャーした構成になっている。本盤の特徴としては、以下の二点を挙げることができるように思う。 一点目は、その音楽的な無国籍性である。表題の“アフリカン”から民族的な音楽を想像する人もいるかもしれないが、表題曲のリズムにいくぶんそんな感じが現れるのみで、特にそういった志向の強い演奏ではない。NYC録音という場所なのか、はたまたこのフェルナンデスという人の経歴によるのか、盤全体を支配する雰囲気はむしろ都会的な気がする。もう一点は、テナーの音そのものである。大らかで、時に激しく吹くのだけれど、そのスタイルの根底にはここ何十年というモダン・ジャズの積み重ねが透けて見えるように思う。いい喩えかどうかわからないのだけれど、1950年代当たりのモダン・ジャズの巨匠たちが21世紀初頭に生きていたら、きっとこういう風に演奏していたのではないか。そんな風に思わせてくれる演奏なのである。 全体を通して聴くことを勧めるものの、いくつかの曲をあえてピックアップしてみると、まずは、表題曲の2.「アフリカン・ブルース」である。上述の通り、アフリカンという表題にもかかわらず都会的な響きで、モダン・ジャズの歴史的積み重ねも透けて見える。5.「マラビージャ」は、冒頭こそ少しじらされるのだけれど、演奏が乗ってくると、往年のサックス奏者(例えば、ソニー・ロリンズかデクスター・ゴードンなんかを思い浮かべてみるとよいかも)が、この時代に若き日を過ごしていたならば、こういう風に吹いたのではないかなんて想像してしまう内容である。さらには、9.「Bクラス」なんかがそうなのだけれど、いい意味での“肩透かし”のようなタイプの演奏も登場する。今後さらに何度も聴くうちに印象がさらに変わってくるかもしれない気がする盤なので、ここで書いたことがすべてとはならない気もするのだけれど、繰り返し聴き続けたい盤であるということは強調しておきたいという風に思う。[収録曲]1.The Opener2.Afrikan Blues3.Júpiter I4.Fuga5.Maravilla6.Mellow One7.Agripa8.Sé que te gusta, KBI9.B Class[パーソネル、録音]Miguel Fernández (ts)Jason Palmer (tp)Leo Genovese (p)Chris Lightcap (b)Joe Hunt (ds)2013年1月24・25日録音。 ↓ジャケット・イメージと演奏のさわりはこちら↓ 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年02月20日
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心機一転の録音盤にして、その後の活躍の端緒 ホレス・シルヴァー(Horace Silver)とアート・ブレイキー(Art Blakey)のグループが合流したのは1955年のことだった。もともと、“アート・ブレイキーズ・メッセンジャーズ”というバンド名が存在してたが、頭に“ジャズ”を冠して“ジャズ・メッセンジャーズ”としたのは、シルヴァーの発案だったという。その後、『ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ』なんてアルバムもあった。ところが、ジャズ・メッセンジャーズは翌1956年5月には空中分解してしまい、結局は、元来の創始者であるアート・ブレイキーの下で形を変えたものになっていく。詳しい事情は知らないが、シルヴァーとブレイキーの二人の間には何か相容れないものがあったということなのだろうか(シルヴァーの自伝によればブレイキーが全員分のギャラを使い込んでいたりということもあったみたいだけれど)。 1952年からブルーノートでの吹き込みをしていたシルヴァーは、一瞬は浮気(?)をしてエピックに吹き込みを残したりもするが、結局は心機一転、自身のクインテットを形成して、ブルーノート・レーベルでの録音を重ねてゆくこととなる。その第1弾となったのが、1956年11月録音の本作『6ピーシズ・オブ・シルヴァー(Six Pieces of Silver)』であった。 収録された曲のうち、知名度という点では、5.「セニョール・ブルース」がもっともよく知られていて、確かにイチオシのナンバーである。手持ちの再発CD盤では、シングル・ヴァージョン(6.)にヴォーカル入りヴァージョン(10.)と、元のものを入れて合計3ヴァージョンも収められている。CD追加曲で3ヴァージョンも収録されると飽きが来そうなので、通して聴くには本来の5.だけを楽しむというのでいいと個人的には思う。 他に注目したい演奏をいくつか挙げておきたい。まずは、冒頭の1.「クール・アイズ」はホレス・シルヴァーらしさが溢れるナンバーで、ドナルド・バードのトランペット、ハンク・モブレーのテナーというメンバーのよさがよくわかる演奏。3.「カムフラージュ」も同じように彼らしい曲作りで、“ああ、ホレス・シルヴァーっていいよね”というほっとした感じになれる楽曲と演奏である。あと、CD追加曲も一つぐらい挙げておこうと思うのだけれど、9.「ティッピン」がいい。テナー奏者がモブレーではなくジュニア・クックに代わっているのだけれど、この人は味のあるサックスを吹き、筆者のお気に入りの演奏者の一人だったりする。この曲については、ジュニア・クックがいかにもホレス・シルヴァー節といった曲の中でなかなか生き生きと吹いているように思う。[収録曲]1. Cool Eyes2. Shirl3. Camouflage4. Enchantment5. Señor Blues6. *Señor Blues [single version]7. Virgo8. For Heaven/s Sake9. *Tippin’10. *Señor Blues [vocal version]*印の3曲はCD追加曲。Blue Note 1539[パーソネル、録音]Donald Byrd (tp)Hank Mobley (ts, 9.と10.を除く)Junior Cook (9.と10.のみ)Horace Silver (p)Doug Watkins (b, 9.と10.を除く)Gene Taylor (9.と10.のみ)Louis Hayes (ds)Bill Henderson (vo, 10.のみ)録音: 1956年11月10日(1.~8.)、1958年6月15日(9.、10.) 【中古】 シックス・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3 /ホレス・シルヴァー 【中古】afb USED【送料無料】6・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3 [Audio CD] ホレス・シルヴァー ↓LP盤↓ 輸入盤 HORACE SILVER / 6 PIECES OF SILVER [LP] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年02月17日
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チック・コリア追悼 有名なジャズ・ピアニスト/キーボーディストのチック・コリア(Chick Corea)が亡くなったとのニュースが報じられました。2021年2月9日、死因は癌とのことで、心よりご冥福をお祈りします。 追悼の意を込めて、彼の曲を少し取り上げてみたいと思います。マイルス・デイヴィスのグループでの活動、自身のバンドであるリターン・トゥ・フォーエヴァーの活躍などを繰り広げた彼でしたが、まずは、1972年、リターン・トゥ・フォーエヴァーの出発点となった個人名義のアルバム『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の末尾を飾っていた「ラ・フィエスタ(La Fiesta)」をお聴きください。1978年のライヴ演奏の映像です。 続いてもう1曲。彼の代表曲としてよく知られている「スペイン(Spain)」です。元はリターン・トゥ・フォーエヴァー名義のアルバム(『ライト・アズ・ア・フェザー』)に収められたものです。以下の映像は、2011年、リターン・トゥ・フォーエヴァーIV(第4期)の演奏の模様です。 R.I.P.[収録アルバム]Chick Corea / Return To Forever(1972年)Return To Forever / Light as a Feather(1973年) リターン・トゥ・フォーエヴァー [ チック・コリア ] スペイン~ライト・アズ・ア・フェザー [ チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエヴァー ] 輸入盤 CHICK COREA / VERY BEST OF [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓
2021年02月12日
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