音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2010年04月24日
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メキシカン・ロック誕生期の古典曲


 EL TRI(エル・トリ)は、40年以上の活動歴を持つメキシコのロック・バンドで、アレックス・ローラ(アレハンドロ・ローラ)をリーダーとするメキシカン・ロックの草分け的存在である。かつて同国でロックがアンダーグラウンドでしか存在していなかった時代(そもそもメキシコでは英米アーティストのアリーナ・コンサートが解禁されたのすら、ほんの十数年前のことに過ぎない)に、スリー・ソウルズ・イン・マイ・マインド(Three Souls In My Mind)という3ピース・バンドで活動を開始していた。1980年代に入り、ラテン系諸国で“ロック・エン・トゥ・イディオマ”(君の言語のロック、つまりはスペイン語ロック)というムーヴメントが起こると、その前からアンダーグラウンドな活動をしていたロック・アーティストたちはメジャー・レーベルからレコードを出し始める。そんな時期にメジャー・デビューしたバンドの一つが、このEL TRIである。

 この「哀しき愛の歌(トリステ・カンシオン)」は1987年のアルバム『シンプレメンテ(Simplemente)』に収録されたものである。バンドを代表する曲として、今日まで彼らのコンサートのハイライト(聴衆の大合唱)を飾り、後に続く多くのロック/ポップス系アーティストに何度もカヴァーされている超有名曲である。詞の内容は、男と女の物語であるが、振った振られた云々といったありがちな恋物語ではなく、やや芸術チック(?)な詞である。おそらくはそこがこの曲を古典曲として定着させるのに一役買ったのかも知れない。歌詞の一部を少し引用すると次のような感じである。


「彼は神のようで、彼女は聖母のようだ
 神様は二人に罪を犯すことを教えた
 そうして永遠の中で
 二人の魂は一つになり
 この哀しき愛の歌が生まれた」


 音的には、スタンダードなロック調の曲で、ブルースハープ(ハーモニカ)を大幅にフィーチャーしている。ハープの使用はこのバンドの大きな特徴の一つで、現在もメンバーの中に専属のハーピストを抱えている。演奏自体に、特段“ラテン的”要素というものは見られない。むしろ、70年代までの米国のブルースとロックを消化し、ブルース的要素を残した(あるいはそれに根ざした)ロック・サウンドそのものを披露している。つまるところ、1990年代以降のバンドには、ラテン的やメキシコ的という要素を際立たせたバンドが増えてくるのだが、それに対して、EL TRIは、どちらかといえば正統派なロック・チューンを主に提供し続けている。1980年代にこの曲を含めいくつかの代表曲を送り込むことでラテン・ロック界のメジャーに進出して名声を確立したEL TRIは、その後、1990年代、2000年代とメキシコのロック・シーンの王者として君臨し続ける。そして、現在もばりばりの現役大御所バンドとしてロックし続けている。その原点の一つがこの曲と言えるだろう。



EL TRI /  Simplemente  (1987年)



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