音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年03月03日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ
アルト4人のプレスティッジ企画盤


 プレスティッジの企画でアルト奏者を4人集めての競演盤として吹き込まれたのが、この『フォー・アルトス(Four Altos)』という盤である。集った4人のアルト・サックス奏者とは、フィル・ウッズ(Phil Woods)、ジーン・クイル(Gene Quill)、サヒブ・シハブ(Sahib Shihab)、ハル・ステイン(Hal Stein)という面々である。当時の彼らはいちばん若いウッズが25歳、最年長のシハブは31歳という年齢であった。リズム隊には、プレスティッジのハウスピアニストだったマル・ウォルドロン、チャーリー・パーカーのもとでも演奏したベーシストのトミー・ポッター、そして当時まだ19歳だったルイス・ヘイズがドラムを担当した。

 サックス4人だからといって激しいバトルなのかというと決してそうではない。どの曲もアンサンブルあり、その後にソロありで入れ代わり立ち代わり演奏するのだけれど、4人はある種、正統派の、チャーリー・パーカー(愛称はバード)の切り開いた、スウィング感いっぱいの流れるような演奏を披露している。そんなわけで、聴いていてもどれがだれだかわからないほど、4人のスタイルが似ている。このことは、本盤のジャケットにも表現されている。一見すると、横に複数の線が走っているだけのように見えるが、これらは電線で、いちばん上の電線には4羽の鳥がいる。つまりは“今まさに飛び立たんとする4羽のバード(鳥)”というのが本盤のテーマというわけである。

 そのようなわけで、激しいバトルやスタイルの違いを期待してはいけない。全体の、4人もいるにもかかわらず調和しているこの感覚が演奏の要となっている。その中でも特に注目曲を挙げるとすれば、ウォルドロンのペンによる1.「ペダル・アイズ」と6.「スタッガーズ」。前者はゆったりとした感じ、後者は少々スピード感のある感じで上述の特徴がよく出ているように思う。

 この録音の後、フィル・ウッズが4人の中では出世頭となったと言っていいだろう(個人的にはジーン・クイルも好きだけれど)。サヒブ・シハブとジーン・クイルは1980年代末に、ハル・スタインは2008年に、そしてフィル・ウッズは2015年にそれぞれ鬼籍に入った。今となっては、いずれも亡き奏者たちの若き日の1ページとなってしまったわけだけれど、ジャズ演奏の楽しさを伝える好盤に変わりはないと思う。


[収録曲]

1. Pedal Eyes
2. Kokochee
3. No More Nights

5. Don't Blame Me
6. Staggers


[パーソネル、録音]

Phil Woods, Gene Quill, Sahib Shihab, Hal Stein (as)
Mal Waldron (p)
Tommy Potter (b)
Louis Hayes (ds)

1957年2月9日録音。





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Last updated  2018年03月03日 21時31分10秒
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