音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年05月05日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ
美しく抒情性に溢れたトランペットのワン・ホーン名盤


 トランペット奏者アート・ファーマー(Art Farmer,1928年生まれ、1999年没)には『モダン・アート』という名盤が存在するが、それだけでは絶対にもったいない。何が何でももう1枚は同等かそれ以上に代表盤扱いされるべきだと思っているものがある。それが、1960年録音の『アート(Art)』という盤である(余談ながら、実物よりもちょっとハンサムめ(!?)に描かれた絵画風ジャケットも初めて手に取った人にもとっつきやすいものとなっている)。

 ひとことで言うと“ワン・ホーンのバラード集”ということになるのだろう。メディアム・テンポ中心にバラードを美しく奏でている。けれども、アート・ファーマーのトランペットは単なる甘いバラードを抒情的に演奏しているというだけではない。抒情性は全編を通して失わない。けれども、しばしば流れるように美しく、しかも、矜持を持った“でしゃばらない”演奏が、その個性として挙げられるべきなのかもしれない。ブラウニーのような閃きでもなく、何か革新的なものをめざすでもなく、余分な音を使わずに美しく感情を表現するというこの人のワザは名人のそれと言ってよいだろう。

 さて、そのワン・ホーンを支えるのは、トミー・フラナガン(ピアノ)、トミー・ウィリアムス(ベース)、アルバート・ヒース(ドラム)のトリオ。静かで安定した演奏で、ところどころでトミー・フラナガンのピアノが目立つものの、全体としては、淡々と演奏している感じがする。“淡々と”というのは、別に単調だとか退屈だとか言う意味ではなくて、アート・ファーマーのトランペットを生かすために、敢えて選択された雰囲気作りだったのではないかと思う。

 どの曲も極上の仕上がりだけれど、聴き手がベストの曲に選びそうなものを何曲かあげておきたい。静寂の中の美といった風情の1.「ソー・ビーツ・マイ・ハート・フォー・ユー」は、個人的には本盤に収録された中で、一、二を争う出来だと思っている。3.「フー・ケアーズ」は、メリハリがありつつも滑らかに流れるトランペットに知らぬうちに耳を奪われていく。7.「アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー」は、美しい演奏が発揮されたこの盤の中でも“美の極致”と言ってよいと思う。


[収録曲]

1. So Beats My Heart For You 
2. Goodbye, Old Girl 
3. Who Cares? 

5. Younger Than Spring 
6. The Best Thing For You Is Me 
7. I'm A Fool To Want You 
8. That Old Devil Moon


[パーソネル・録音]

Art Farmer (tp)
Tommy Flanagan (p)
Tommy Williams (b)
Albert Heath (ds).

1960年9月21・22・23日録音。




 ​
ジ・アート・ファーマー・カルテット/ART AND PERCEPTION(CD)





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Last updated  2018年05月05日 20時52分11秒
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