音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2019年10月05日
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テーマ: Jazz(1972)
カテゴリ: ジャズ
現代ジャズの到達点


 保守的な人の中には“もはや××など存在しない”と口にする人もいる。時に懐古的に、“もはやロックは死んだ”や“マイルスと共にジャズは死んだ”などと言う人もいる。ジャズに限って話を進めると、そうはいえども、現代的ジャズの行きつく先というのは確かにあってしかるべきだと思う。いかなる音楽も、時の流れにともなって姿や形を変えていく部分はあると考える方が自然だろう。保守的な人がそれをそういうもの(つまりは、従来のジャズやロックなどといった括りに含まれるもの)と受け止めるかどうかは別にして。

 マイケル・ブレッカーのリーダー作『テイルズ・フロム・ザ・ハドソン(Tales from the Hudson)』を聴くと、いま述べた“ジャズの行く末”あるいは“ジャズの到達点”という話を想起せずにはいられない。“ジャズとは○○なものである”と型にはめたがる観点からすると、いろいろ批評したくなる人もいることだろう。でも、リリースから四半世紀近く経った現在、上のような見方に立てば、この作品は、現代ジャズの一つの到達点を如実に示していたと言えるのではないだろうか。

 演奏面では、リーダーのブレッカー以外で特に注目したいのは、ドラムスのジャック・ディジョネット、そして3.と5.に参加しているピアノのマッコイ・タイナーである。前者の激しいドラミングは全体の雰囲気や演奏の流れを決めているともいえそう。後者のピアノ演奏は安定感があり、3.「ソング・フォー・ビルバオ」では流れるようなプレイがとりわけ印象に残る。それから、忘れてはならないのは、パット・メセニーのギター。筆者の好みでは、1.「スリングス・アンド・アローズ」でのプレイが特に印象的。

 でもって、最後にブレッカー自身のサックスについても触れないわけにはいかないのだが、その演奏内容は多彩かつ融合的と表現できるように思う。一人で背負って立つというよりは、中心にいつづけながら他とのバランスを意識した演奏である。ブレッカー自身はこれ以前にエレクトリックな試みなどもやったわけだけれど、本盤の演奏には純粋にテナーのみで臨み、おそらくはそれだからこそ多彩な演奏の幅や起伏を意識したプレイに専念しているように感じる。


[収録曲]

1. Slings and Arrows
2. Midnight Voyage
3. Song for Bilbao

5. African Skies
6. Introduction to Naked Soul
7. Naked Soul
8. Willie T.
9. Cabin Fever

[パーソネル、録音]

Michael Brecker (ts)
Pat Metheny (g; synth-g: 3.)
Jack DeJohnette (ds)
Dave Holland (b)
Joey Calderazzo (p)

Don Alias (perc: 3.と5.)

1996年録音。




 ​
テイルズ・フロム・ザ・ハドソン [ マイケル・ブレッカー ]




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Last updated  2019年10月05日 22時14分53秒
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