その一方で、彼自身のリーダー作は少ない。そんな数少ないリーダー盤の1つが、これまたマイナーな短命レーベルのトランジション(1955~57年まで3年足らずの間に15作品ほどを手掛けた)に吹き込まれたこの『ワトキンス・アット・ラージ(Watkins at Large)』という盤である。参加メンバーは、まさしく時代を象徴する面々で、ドナルド・バード、ハンク・モブレー、デューク・ジョーダン、ケニー・バレル、アート・テイラーという顔ぶれ。録音は、ワトキンスの生まれ故郷でもあるミシガン州デトロイトで行われた。