音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2022年02月03日
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テーマ: 洋楽(3310)
バランスのとれた好作


 ジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)と言えば、イーグルスのギタリストというイメージが強いことだろう。とはいえ、無名の人物がイーグルスで突然に開花したり注目を浴びたというわけではなかった。彼は、1975年にイーグルスに加入した時点で、既に複数のバンドなどでの活動歴を重ねたアーティストであった。1960年代末から1970年代に入る頃までの数年間、ジェイムズ・ギャングで活動したが、ソロの活動へと向かい、バンドを脱退して発表したのが、1972年の本盤『バーンストーム(Barnstorm)』だった。

 少々ややこしいのだけれど、この作品の性質について少しだけ説明しておこうと思う。本盤はジョー・ウォルシュ名義の“バーンストーム”という表題の作品ということになっている。けれども、実態としては、ジョー・ウォルシュがバーンストームという名のバンドを結成していて、その実質的ファースト作がこのアルバムということになる。

 本盤の楽曲と演奏は、ジェイムズ・ギャングのハードな演奏のイメージとは異なり、適度にロックしつつ、適度にマイルドかつキャッチーである。バーンストームのメンバーは、ウォルシュに加え、ベーシストのケニー・パサレリ、ドラマーのジョー・ヴァイタル(ヴィタール)。注目すべきは、それぞれが実にマルチなプレーヤーという点である。前者はギタロン(メキシカン・ギター)を操り、後者はピアノやキーボード、さらにはフルートも担当する。ウォルシュもギターに加えてシンセやキーボードを演奏するので、3人の演奏面の引き出しは多い。さらに、全員がヴォーカルを担当できたというのもそうしたマルチぶりの重要な要素だった。

 本盤で筆者が特に気に入っているのは、アルバム全体の統一されたトーンである。特にアルバム前半にこのことが強くあてはまる。前に迫って来るのではなく、奥行きのある空間から届いてくるサウンド、といった雰囲気と言えばよいだろうか。1.「ヒア・ウィ・ゴー」は収録曲の中で上位の好ナンバー。本盤の楽曲の大半はウォルシュのペンによるが、4.「ジャイアント・ボヘモス」と5.「マザー・セッズ」は各メンバーとの共作で、インストの4.は特に聴きどころと言える。

 アルバム後半に移って、やや牧歌的な雰囲気の曲も目立つようになる。上で述べたように奥行き感のあるサウンドが基本なので、前へ前へという目玉的な目立つ曲がないというのも事実だけれど、粒ぞろいの好曲がひたすら続く。筆者の好みとしては、6.「バードコール・モーニング」、8.「お前の世界(アイル・テル・ザ・ワールド)」がいい。ちなみに、ちょっとだけハードなギター・サウンドが顔をのぞかせる場面として、上述の5.と9.「ターン・トゥ・ストーン」がある。アルバムを通して聴いたとき、単調さを避ける上でのいいアクセントと言える曲配置になっていると感じる。


[収録曲]

1. Here We Go
2. Midnight Visitor

4. Giant Bohemoth
5. Mother Says
6. Birdcall Morning
7. Home
8. I'll Tell the World
9. Turn to Stone
10. Comin' Down

1972年リリース。




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バーンストーム [ ジョー・ウォルシュ ]




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Last updated  2022年02月03日 03時49分50秒
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