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不安定な雇用形態で働く人が多い。 労働力調査によれば、非正規の従業員は2017年度では37%である。私自身の職場である大学は、この問題がより先鋭的に表れる現場だ。データを見てみたい。
教員では、学校基本調査によると51・5%が非常勤である。専任であっても約4分の1が任期付き(朝日新聞と河合塾による調査)。職員も、半数以上が非常勤であるケースは少なくない。私か勤める関西学院大でも、全職員のうち専任以外で働く職員は54%を占める。
大学において広がる、少人数教育や、外部資金に基づくプロジェクト型の教育・研究活動、 時代とともに変化するニーズへの対応。これらは不安定な雇用形態にある人たちの存在によって実現されている のが現状であり、彼ら・彼女らは、現代の大学の中核を担っているといっても過言ではない。
にもかかわらず、不安定な働き方をする人は、さまざまな不利益にさらされている。 給与や雇用の保障における差が大きい のはもちろんのこと、日常業務の場面でも、職場ミーティングや飲み会の出席、文書の閲覧など、職場における細かな差別を受けやすい。契約更新の決定権を握っている上司からセクハラやパワハラを受けることもまれではない。
また、これらの問題に対して意見を言おうにも、連帯がくじかれる要素が大きい。大学の事務組織を例に取ると、非正規職員であっても、派遣、嘱託、契約、アルバイトなどさまざまな立場があり、直接雇用か間接雇用か、契約更新に「3回まで」などの回数制限を設けているかどうか、などによって 分断されている。 こうした背景の下では、ハラスメントに対して同じ職場の非常勤職員が声を上げても、連帯するより「自分は口をつぐもう」となってしまいがちだ。これはある面では当然といえる。
大切なのは、不安定な働き方をする人の 収入と雇用を安定させ、労働者としての権利を保障すること である。
学卒時に就職氷河期に見舞われ、非正規で働いてきた世代が40代半ばとなる現在、非正規の仕事には生活が懸かっているケースが少なくない。 組織の都合で物品のように使い捨てられることを、黙ってはいられない切羽詰まった現実がある。 こうした問題を放置すれば、配慮を欠く組織は、雇用契約を巡るトラブルや法的紛争を抱えることになるだろう。そして 社会は、その世代が高齢化したとき、多くの生活保護受給者や野宿者に向き合うことになるだろう。
これは 非正規で働く個人の問題ではなく、社会の問題であり、個々の職場の問題である。
大学でも、日々さまざまな雇い止め問題・ハラスメント問題が起こっている。まずそのことを、私自身を含む専任の教員・職員は知っているだろうか。非正規同士の連帯が、その雇用の不安定さゆえに難しいとすれば、 この問題に向けて動くことは、雇用保障された者の務め ともいえる。
「正規職の自分には関係ない」ではなく、「あのとき、何かの弾みで自分も非正規雇用だったかもしれない」という想像力を持つことができたら、職場を変える一歩を踏み出せるのではないか。社会を変えることは、目の前の現実を少し変えるところから始まるのだ。
(関西学院大学准教授)
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