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しかし、私自身が安倍政治の毒気にあたったようだ。デモや集会で話をするのも、われながらマンネリだと思う。けしからんことを次々あげつらっても、どうせ高度プロフェッショナル制度もカジノも淡々と進むのだろう。安倍首相はやすやすと自民党総裁三選を決めると思うと、批判の筆を執る気力が起こらない。ぼんやりしているうちに土曜の午後になり、編集部から督促の電話を受ける羽目になった。
政権批判の先鋒(せんぽう)を任じてきた私がこの体たらくでは、まさに向こうの思うつぼである。ここは同じことの繰り返しと言われようとも、おかしいことをおかしいと言わなければならない。
同時代の読者だけに読まれると思うから、マンネリだと感じるのだろう。80年前、石橋湛山(たんざん)や清沢冽(きよし)のような勇気あるジャーナリストは過酷な環境で政権批判を繰り返していた。今われわれはそれを読み、勇気を得る。ならばわれわれも、 2010年代の日本の愚かさを書き残す ことが同時代のみならず、後世の日本人に対する責務となる。
(法政大教授)
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