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2023年07月30日
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テーマ: ニュース(96534)
カテゴリ: ニュース


 日本の若手研究者が国内の職場で「雇い止め」と称する失業状態となったため、海外に職を求めた結果、中国の大学教授に再就職が決まったという事例について、16日の朝日新聞は次のように報道している;




 「不当に雇い止めをされて、理研にはもう、未練はなくなりました」

 男性は1年更新の契約で、2013年に理研に採用された。自身の研究室を持ちたいと転職を考え始めていた18年、上司から「ユニットリーダーにならないか」と持ちかけられた。と同時に、若手研究者を支援する国の「卓越研究員」にも応募するよう言われた。採用は18年10月付で、任期は7年とあった。

 だが理研には、通算10年を超える有期雇用の契約を認めない「10年ルール」があった。男性は23年3月末に雇い止めになるはずだ。4年半ではまともに研究できない。それに任期前の雇い止めは問題ではないのか。

 上司に疑問をぶつけると「25年3月までは心配しなくてよい」と言われたことを覚えている。ユニットリーダーの契約書にサインし、卓越研究員にもなった。

■国内、ポストなく

事態が一変したのは、21年春だった。所属長との面談で「契約は残り2年だから、すぐに就活してください」と告げられた。 「おかしくないですか」。反論したが、契約書には23年3月31日までとある、と一蹴された。

25年3月までというのは口約束で、ほごにされたのだ。 1週間は、はらわたが煮えくりかえるような思いだった。だが「理研が自分を必要としないなら、別にいい」と頭を切り替え、手がけてきた研究を急いで論文にまとめ、就活を始めた。

 国内ではポストが見つからず、中国にある大学に応募し採用された。論文は、英国の科学誌ネイチャーに掲載された。男性は契約通り、今年3月末に理研を去った。

■未練ないけれど

 これで理研との縁は切れたと思っていた。

 ところが4月、文部科学省の外郭団体に提出する卓越研究員の実績報告書の確認依頼がきた。昨年までは、本人の確認が必要な部分以外は空白で送られていた。今年は全て記入されており、「任期7年」という文字があった。担当者に確認すると、前年までの表記を踏襲したものだという。

 理研が国に、自分の契約年数を7年と報告してきたのだとしたら、4年半での雇い止めは不当ではないのか――。

 文科省に問い合わせると、理研からは「雇用期間を原則7年間とした安定性のある雇用環境を用意」「評価により2025年3月31日まで再契約可能」と説明されていた、と返信があった。

 男性は理研の理事長に「雇い止めが不適切に断行された」と調査委員会の設置を求めた。理事長からはその日のうちに「早急に調査を開始し、状況を明らかにする」と返信があった。

 業績で評価され、雇い止めに遭ったのならば文句はない。だが約束をほごにされ、将来設計にも不利益を被った。

 「理研に未練はないが、雇い止めが不当だったかどうかは、はっきりさせたい。理研が自分を必要としないのであれば、自分を必要としてくれる条件のよい場所に移るまでです」

■「経緯を調査中」

理研広報室は取材に対し、文科省の外郭団体に、卓越研究員制度の任期を「7年」と報告してきたことを認めた。 当初の説明と異なり契約が4年半で終わった理由や、上司とのやりとりなどについては、経緯を調査中のため「回答を差し控える」とした。

■進む「頭脳流出」、優秀な若手ほど 科学技術力、低下懸念

 研究者の雇い止めは、日本の研究力低下に加え、「頭脳流出」を加速させる可能性がある。

 文科省の昨年9月時点の調査では、今年3月末で約1万2千人の研究者が有期雇用10年を迎えるが、無期転換が見込める人は半数未満だった。 理研の労働組合は5月、研究者ら97人が4月以降の契約を結べず、退職したと明らかにした。

 雇い止めの影響は、有期雇用の割合が高い若手研究者でより深刻だ。国内には安定して活躍できるポストが少ないため、転職先を海外に求めざるを得ない状況もある。

 一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表によると、 2000年前後に民間企業の技術者が中国や韓国に渡る例があったが、最近は基礎科学系の研究者が海外に流出する例が目立ってきた という。「優秀な研究者ほど日本から流出したり、博士課程にすら進まなかったりする地盤沈下が進んでいる。このままでは、日本の科学技術力の低下につながりかねない」と指摘する。
(吉備彩日、竹野内崇宏)


2023年7月16日 朝日新聞朝刊 13版S 3ページ 「雇い止め後 中国で教授に」から引用

 この記事は、日本の現状と将来を暗示する。小泉政権以前の日本は教育や学術の振興を国として支えてきていたのだが、小泉政権の頃から国立大学や理研のような研究機関が「独立採算制」と称して、国の予算で運営する組織ではなくなったため、国立大学の授業料は私立並みに高騰し、卒業して働き始める時点で莫大な借金を背負わせるという「地獄」のような社会になってしまっているのが、日本の現状である。この記事が述べるように、2000年代は企業の技術者が定年になった時点で「お払い箱」扱いされたために、多くの技術者が韓国や中国の企業に再就職して活躍したため、2000年以降は中国や韓国の家電製品が日本製と比較しても遜色ないレベルに達し、両国の経済成長に大いに貢献したのであったが、それから20年経って今度は研究者が国内で冷遇されて、海外に職を求める事態となっている。こうして日本は次第に国力を衰退させて、やがては中国を中心にした強大な国家組織の一部として組み込まれる「運命」にあるのではないかと危惧されます。





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最終更新日  2023年07月30日 01時00分06秒


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