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暴力でパレスチナ人を支配する軍務を自ら経験し、祖国の正しさに疑問を抱いた元兵士らによるNGO「沈黙を破る」(ブレーキング・ザ・サイレンス)だ。
中東を30年以上取材するジャーナリストの土井敏邦さん(70)は、ドキュメンタリー映画「沈黙を破る」(2009年公開)でその活動を紹介し、高い評価を得た。不法占領の長期化が、個々の兵士とイスラエル社会の倫理観をいかに腐食し、ゆがめているか。NGOは苦悩する兵士の証言を公表し、一般向けの現地ツアーを行って、占領の中止を訴えてきた。
イスラエルのガザ地区攻撃が年々悪化の一途をたどるにつれ、活動を「祖国の裏切り者」「敵のスパイ」と敵視する政府や極右勢力からの攻撃はひどくなった。社会で孤立しながら、どのように非戦の信念を貫いているのか。
活動家たちのその後を訪ねた第2作「愛国の告白」が昨年公開された。今の戦争勃発を受け、10月末から各地で緊急再上映中だ。
決して落後兵ではない。それどころか創設者は大隊指揮官、現代表は落下傘旅団の特殊部隊、渉外担当は特別精鋭部隊に所属。
いずれも厳格なシオニストの共同体や家庭で育った。つまり皆が人一倍イスラエルを愛している。でもだからこそ、信じていた国軍の非道さは衝撃だった。
「ハンマーを持って歩き回る者は、打つクギを探している。個人の資質ではなく、軍隊は人を血に飢えた優秀な兵士に変える」
「私は大きなシステムの歯車にすぎなかった。十数人の仏教僧に同じ任務を与えても同じ行動をとるだろう。問題は教育や文化ではなく、他の人々を支配し続けるという考え方にあるからだ」
「イスラエルだけの安全保障などあり得ない。入植地建設は不正な植民地プロジェクトだ」
ナチス親衛隊のアイヒマン中佐が、罪の意識なく国家の方針通り数百万人のユダヤ人を強制収容所へ輸送したのと同じ精神構造に、現在のイスラエル人もいつの間にか染まっている。 覚醒した愛国者たちの痛切な告白である。
占領批判に父親たちは激怒し、家族とは論争が絶えない。活動への迫害は時に暴力も伴う。
イスラム組織ハマスのテロで国内が激高する中、直ちに声明を出した。 「ハマスは恐ろしい罪を犯したが、それでもガザヘの無差別攻撃に反対する。この土地に住む全ての人に、安全で自由に暮らす権利がある」
(専門編集委員)
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