ベルギ-永住ミステリー小僧のブログ

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2023.03.29
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カテゴリ: 恋愛


その時までには、僕らの仲はクラスメ-トの間ではかなり知れ渡っており、当日出席した者は全員知っていたはずでしたが、それについて触れたり、ましてやからかうようなことはありませんでした。



話は少し遡りますが、二週間前のある朝、ちょっとした事があったのです。まあ、単なる悪戯です。


僕が教室の中へ入ると教室内が妙に騒がしく、ス-リエは僕の姿を見ると目だけ笑っているような複雑な顔で駆け寄ってきて、黒板を無言で指さしましたのです。

そこには、白赤緑のチョ-クで色鮮やかに描かれた抱き合ってキスをしているカップルが描かれていたのです。ちょっと上手い絵だったので一瞬感心しましたが、そのカップルが誰であるかは一目瞭然でした。結構特徴を上手く捉えており、特に女はポニ-テ-ルでしたから。当時この教室でその髪型はスーリエだけでした。

クラスの皆には付き合っていることは黙っていました。付き合ってますよ、と宣言する必要なんてありませんから。でも、何処かで見られていたんですね。抱き合ってキスしている姿を。

実は昨日、御茶ノ水からそれほど遠くない千鳥ヶ淵か何処かのお堀で、ボートに乗ってイチャイチャしてたのを思い出し、頭に血が上ってしまいました。

別に付き合っていることを知られたのなら、実はそうなんだよ、と言って笑って誤魔化せますが、抱き合ってキスとなるとちょっと厄介です。


​​僕はいいけどス-リエが可哀そう
​​


そう思うや否や、黒板の絵をすごい勢いで消していました。ちょっと怖い顔をしていたと思います。

こんなこと、小学生の時にあったな、黒板に憧れの女の子と相合傘を描かれ、恥ずかしいが嬉しい、でも彼女はどう思っているだろう、と複雑な心境で、でも必死に黒板消しで消していたのを思い出しました。
今更同じことが起きるとは。

消しているうちに気持ちが落ち着き、あとは何事もなかったようにニコっと、それこそ今迄で一番の笑顔でス-リエに笑いかけました。大したことじゃないよ。

それから僕らのことは知っているけど知らない振り、という事でからかう者は誰もいなかったのです。

​​​​
さて、話を元に戻します。

当日の参加者に、実はちょっと気になる女子がいました。
その子(仮にB子とします)は服装化粧それに振る舞いが派手で、小悪魔的な雰囲気のある、でも僕のような初心な男には危ない女子でした。
まあ、僕の彼女ス-リエとは真逆のタイプの美人でしょうか。

実は、その日B子は何故か僕によく話しかけてきたんです。それ迄は殆ど話したことのない相手だったので、少し意外な気がしましたが、他の女の子と同様に話ていたつもりでした。勿論ス-リエにも気を使いながら。

そう思っていたのですが、傍から見るとかなり親しげに話しをしていた、と映っていたようなのです、まるでス-リエに見せつけるかのように。


異変に気付いたのは、僕の隣に座っていたC子が突然僕に向かって、Aさん(僕のこと)、

​彼女の顔が強張ってるよ​

​一瞬何のことを言われているのか分かりませんでしたが、ス-リエの顔を見た時、笑顔になる直前の強張った顔が見えて全てを理解しました。​

​これはやばい!​

ス-リエは怒っている、それも凄く怒っている​​
!
​​ ​​​​​​
それまで僕はス-リエの怒った顔は見たことがありませんでした。もしかしたら怒ったことがないんじゃないの、と有り得ないことを想像させるほどいつも優しい無邪気な笑い顔をしていたからです。

場が、一瞬凍りついた様に冷たく静かになった、ような気がしました。

その時C子が、もうお開きにしようか、と救いの手を差し伸べてくれなかったら、きっと修羅場になっていたでしょう。ありがとう、君は本当によく気が付くね。

ただ、本当の修羅場はそれからでした。

皆と別れると、ス-リエはスタスタと早足で御茶ノ水駅に向かっていきます。あれ以来、僕の顔を見ようとしません。顔が無表情なのが、妙に怖い。

女性を嫉妬で怒らせてしまった時、男はどういう態度をとるべきなのでしょうか。そういう経験をしたことがない僕は、かなり焦っていました。

どうしよう、どうしよう、 と。

頼りない頭で考え付いたことは、兎に角、謝り続けよう、でした。

何てダラシナイ奴なんだ、お前は!、という罵倒する声が聞こえてくるようですが、繰り返しますが、こんなこと人生で初めてのことなんだから、しようがない、としか言えないんです!



新宿に着くと、西口にあるデパ-トの方向にスタスタと相変わらず僕を無視して行ってしまいました。

追いかけて行っても事態は変わらないだろう。今ス-リエは僕に罰を与えているつもりなんだろう、そうであればここは一時撤退して出直したほうがいいのでは、でもこのまま険悪な状態を放置して、どのように明日接すればいいのか、いや、まず会ってくれるのかどうか、やっぱり今日何とかしないと。

アホな僕が出した結論は、まず家に帰って車でス-リエが降りる駅に行き、そこで帰ってくるまで待っていようというというものでした。
すぐ行動を起こせば、2時間後には駅に着く、そうすればス-リエより先回りできるんじゃないか、夕方には会える、と。

考えるより早く、僕は中央線のホームに向かって走り出していました。


TO BE CONTINUED

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最終更新日  2024.02.16 05:37:34
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