ベルギ-永住ミステリー小僧のブログ

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2023.04.05
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1978年の歳は明け、3月まであっという間に過ぎてゆきました。

彼女とは明治神宮に初詣に行き、彼女のご両親公認で翌朝まで二人きりで過ごすことができたのは、本当にいい思い出になりました。

卒論は首尾よくいったようです。大学での最後の公式行事である卒業式は、残念ながら全く記憶がありません。

そして、最後の最後、3月31日に彼女を連れて大学構内を案内できたのは、何とも誇らしい幸せな気分にさせてくれました。

明日は入社式、その後東京本社と九州本社の工場での全体研修、2か月間の工場実習、2か月間の販売会社での研修、そして最後に技術系のみ東京にある技術センタ-での研修、と気が遠くなる程の研修が続きます。

つまり、明日以降6か月間は彼女と会う機会を見つけることは、極めて難しいと言わざるを得ません。
だから、今日は一日中どうしても彼女と一緒にいたい、彼女の肌を直に感じていたい、彼女の腰に回している手が触れる肌の温もり、柔らかさをわが手に記憶させたい、そういう思いで一杯でした。





それから2週間ほどのち、僕は北九州の或る町で研修を受けていましたが、夜に時間を工面して街に出て彼女に電話しました。しばらくぶりに聴く彼女の声です。

その時、予期してはいたことですが、彼女が某航空会社のキャビンアテンダントに合格したことを知らされました。

彼女はこれから始まる新しい生活や未来への喜び、そして会社での研修やその準備でものすごく忙しくなること、などを時間を気にしながら話しています。
当時は携帯電話などなく、テレホンカ-ドもありませんでしたから、積み上げた小銭を公衆電話に入れるだけでもひと苦労でした。

やっと電話出来る時間があっても、九州から東京に電話するのはかなりのお金がかかり、一回の電話はどんなに長くても1分半が限度でした。

それに気を取られていたこともありますが、彼女の言葉は僕の耳には入りませんでした。

1分半で何が話せるんだろう。何とか時間を見つけて電話しているのに、受話器の向こうの彼女が見えない…。


こんなこと一度もなかったのに。 電話なんか、しなきゃよかった。

電話をかける前はウキウキしていた気分は一気に失せ、僕の気持ちはざらついていました。

想像してみてください。
もし、今の時代のように携帯やSMSでやり取りができれば、僕らは遠くにいてもホンのちょっとした合間に彼女の声を聴いたり、おやすみ、頑張れ、愛してるよ、僕はいつも君のそばにいるよ、と僕の思いを伝えることが出来たでしょうに。

きっと僕等の仲は何とか続いていたでしょう。

研修は精神的に結構ハードですが、同期の連中とは毎日毎晩ワイワイやっているので、彼らに混ざっているとざらついた気持ちが晴れるような気がします。何よりも忙しいことが何かに心底打ち込むことが、彼女を忘れさせてくれる唯一の処方箋なんです。


僕らは一緒になれないかも…


僕は初めて彼女のいない未来を見た様な気がしました。


TO BE CONTINUED

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最終更新日  2024.02.16 05:40:26
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