Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2022年08月01日
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カテゴリ: 絶対存在論
神の存否-488
   定理一〇の備考後半
  定理一〇の備考前半身体の変状を正しく秩序づけ・連結する理性の力に続く
 同様に我々は、恐怖を脱するためには勇気について思惟しなくてはならぬ。すなわち人生において普通に起こる諸々の危難を数え上げ、再三これを表象し、そして沈着と精神の強さとによってそれを最もよく回避し・征服しうる方法を考えておかなくてはならぬ。
 しかしここに注意しなければならぬのは、我々の思想および表象像を秩序づけるにあたっては、常におのおのの物における善い点を眼中に置くようにし、こうして我々がいつも喜びの感情から行動へ決定されるようにしなければならぬことである(第四部定理六三の系 理性から生ずる欲望によって我々は直接に善に就き、間接に悪を逃れる。及び、第三部定理五九 すべて、働きをなす限りにおいての精神に関係する感情には、喜びあるいは欲望に関する感情があるだけである。により)。例えばある人が、自分はあまりに名誉に熱中しすぎることに気づいたなら、彼は名誉の正しい利用について思惟し、なぜ人は名誉を求めなければならぬかまたいかなる手段で人はそれを獲得しうるかを思惟しなければならぬ。だが名誉の悪用〔弊害〕とか、その虚妄とか、人間の無定見とか、その他そうした種類のことは思わないほうがよい。そうしたことは病的な精神からでなくては何びとも思惟しない事柄である。というのは、最も多く名誉欲に囚われた者は、自分の求める名誉を獲得することについて絶望する時に、そうした思想をもって最も多く自らを苦しめるものである。そして彼は、怒りを吐き出しつつもなお自分が賢明であるように見られようと欲するのである。これで見ても名誉の悪用やこの世の虚妄について最も多く呼号する者は、最も多く名誉に飢えているのであることが確かである。
 しかしこれは名誉欲に囚われている者にだけ特有なことでなく、すべて恵まれぬ運命をにないかつ無力な精神を有する者に共通な現象である。なぜなら、貧乏でしかも食欲な者もまた金銭の悪用や富者の罪悪を口にすることを止めないが、これによって彼は自分自身を苦しめ、かつ自分の真のみならず他人の富もが彼の忿懣(ふんまん)の種であることを人に示す結果にしかなっていない。これと同様に、愛する女からひどく取り扱われた者もまた、女の移り気や、その不実な心や、その他歌の文句にある女の欠点などのことしか考えない。しかも愛する女から再び迎えられると、これらすべてのことをただちに忘れてしまうのである。(*尾崎紅葉著「 金色夜叉」)
 ゆえに自己の感情および衝動を自由に対する愛のみによって統御しようとする者は、できるだけ徳および徳の原因を認識し、徳の真の認識から生ずる歓喜をもって心を充たすように努力するであろう。だが彼は人間の欠点を観想して人間を罵倒したり偽わりの自由の外観を喜んだりするようなことは決してしないであろう。そしてこれらのことを注意深く観察し、なぜならそれは困難なことではないから、且つ、それについて修練を積む者は、たしかに短期間のうちに自己の活動を大部分理性の命令に従って導くことができるようになるであろう。



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最終更新日  2022年08月01日 06時16分24秒
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