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December 4, 2006
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テーマ: 本日の1冊(3712)
カテゴリ: 日本の小説
野沢尚
扶桑社 四六上製
☆☆☆☆☆
 1994年に本木雅弘主演で公開された映画(だったっけ?)のノベライズ。
 しかし、著者(映画では脚本を手がけた)の手腕だろう。見事な青春小説になっていると思う。それに、結末が分からなくなっているのも非常に上手い。実は、共演者目当てでノベライズに写真が載ってないかと期待して職場近くの図書館で借りたのだが写真は一点もナシ。が、一読し始めたら、一気に読んでしまった。

 九州でインディーズとして活躍してきたバンドが上京して、そしてその中で才能を見出されたのは、そのバンドのリーダーではなく…。かなりありきたりの設定だと思うが、著者の腕で見事に読まされてしまう。特に、語り手となっている主人公の相手役の女性の設定が上手い。語り手となっている時は30代半ば。が、語っているのはその10年以上前のできごと。彼女のワープロのキーボードを通して語られるのは上記のバンド、特にリーダーとギタリスト(これもありがち)。この二人の音楽の才能を巡る嫉妬と愛憎が面白いが、どうもギタリスト役の俳優さん目当てで読んだとはいえ、彼の優駿での薄幸の少年役がそのままこのギタリストとも重なってしまった(苦笑)。

 そうそう、作中函館にあるというトラピスト男子修道院が出てくるが、函館にあるのは女子修道院。実際のトラピスト男子修道院は函館から少し電車でいったところにある。偶然だが、私はそのトラピスト修道院にも行ったことがある。女性禁制なので門前までだが。そういえば、ちょうどこの作品に設定されてる時代かもしれない。個人的に非常にタイムリーな年齢でこの本を読んだと思う。にしても、ありきたりで陳腐になりがちな設定の話をよくここまで読まされる青春小説に仕立てたと思う。映画も観てみたいが、自宅ではもうビデオは見れないし、DVDにはなっていないそうだ。せめて、作中歌でもDLしようかなぁ…。





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Last updated  December 5, 2006 12:59:05 AM
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