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June 16, 2007
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カテゴリ: ミステリ(海外)


創元推理文庫
☆☆☆☆◎
 非業の死を遂げた実在の人物の、その死の周辺について独自の解釈を試みた、ミステリ作家によらない歴史ミステリ。

 一部ネタバレともいえる記述がありますので、その部分は地色と同じ文字色に変えてあります。

 この著者はフランスの高名な作家で、 カストラートや同性愛者を素材にした作品を発表している、というイメージを私は持っていた。そして、この作品もそういった傾向の元に書かれている。 ゴンクール賞というフランスの文学賞を受賞する前年に書かれた作品だそうだ。
 非常に短い作品なのだが、18世紀の半ばにトリエステのホテルに泊まっていた、自分のことをシニョール・ジョヴァンニと呼べといった男が前科のある料理人に惨殺されるに至る過程を供述調書などから20世紀の人間が新たな視点から推理してみる、という内容。ホテルの人間に自分のことをシニョール・ジョヴァンニと呼ぶようにと指示した男は、実際は貧しい身分から当時のオーストリアの女帝マリア・テレジアやローマ法王庁からも尊敬を受けた美術史家であるヨーハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンだった。そして、彼は当時海のないオーストリアウィーンの外港だったトリエステのホテルで殺される。しかし、名誉に似合わない死や目撃者のコメントによれば、謎だらけの彼の死について、対話体のような形で解釈が試みられるという内容。
まあ、著者の作品の傾向が傾向なので、まあそういうオチなのだろうとは予測していたが、その内面への解釈はこの時代の同性愛に対するイメージが伺えて少々興味深かった。しかし、愛のあの字も直接的な描写はないし、ロマンティックでもなくひたすら分析的かつ書類の記述を並べているだけなのでこちら向き。





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Last updated  June 16, 2007 11:55:13 PM
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