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August 29, 2007
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テーマ: 本日の1冊(3712)


角川ホラー文庫
☆☆☆☆☆
 海外出張中のリゾートホテルで可愛らしい手作りの亀のブックカバーをかけて読んでいた。内容は思いっきりそぐわなかった。
 厳密にはホラーやオカルトと言いがたいものがある。主人公の女性は15くらいから妾奉公、しかし、最後の旦那に切りつけられて左目を失い、美貌に大きな傷がつき、妾廃業、代わりに霊能力らしきものを得て霊能者(つまりは拝み屋)になる。彼女のもとにきた依頼がストーリーになっている短編集。この設定なので、そのテの幽霊らしき描写はあるのだが、あくまでも事件の中心は生きた人間なのだ。とはいえ、それはそれで、ストーリー展開が面白く語り口が方言を用いた(無論かの大家も多少連想するが)ものなので、なんとなく不気味に感じてしまう。出てくる人間、特に女性は非常に生臭い。皆、どこか女特有のいやらしさを持っている。そして、明治時代に岡山のような本当の田舎とは言いがたいが、東京などの大都市とはいいがたい地域で都市から「文明」が入ってくる過程が面白い。特に勧商場(今でいうデパート)の描写やハイカラもの好きな様子は女性ならではかも。
 舞台設定も非常に某大家に似通っていながら、中身は別物。某大家が田舎臭さをそのまま作品に書いているとしたら、こちらは、都市化していく最中の田舎を描いているというところか。しかし、その都市化していった後が(時代の流れでは)某大家の描いた作品世界なのだ。また女性ならではの視点もはっきりとその差別化に貢献していると思う。
 実は、この著者は少々好みと違いそうで今まで食わず嫌いしていた。しかし代表作の「ぼっけえぎょうてい」は読んでみよう。





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Last updated  August 30, 2007 12:15:42 AM
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