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December 26, 2009
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カテゴリ: 海外の小説

リヴァトン館
ケイト・モートン
ランダムハウス講談社 四六上製
☆☆☆☆☆

*ネタバレ部分は文字色を背景と同色にしてあります。

 書店の店頭で見かけ、あまりに面白そうだったので、これも図書館で借りた。(書店さんごめんなさい)
 こちらも↓に書いてある本と同様イギリスを舞台とした小説だが、時代は20世紀初頭だ。1998年に98歳で老人福祉施設にいるグレースが若い頃に貴族階級の広大な邸宅でのメイドとしての体験をその邸宅でおこった悲劇的事件を映画化するに当たって語るという設定の小説。グレースは14歳でそのお屋敷リヴァトン館に奉公に出る。娘時代に同じくリヴァトン館でメイドをしていた母の強い薦めによるものだった が、これが後に大きな意味を持ってくる 。彼女がそこで体験したのは華やかな舞踏会や社交界デビューといった上流階級の暮らしぶりと厳格で古風な考え方の執事や使用人たちだった。しかし、第一次世界大戦が始まって、彼らの生活や行動の指針、道徳律といったようなものも、根底から覆されていく。
 著者はオーストラリア人だそうだが、古きよきイギリスの上流階級の様子が映画を観ているようで面白い。また作中に張られた伏線が、結末になって見事に表面に現れてくる。とにかく、 期待をかけていた跡継ぎを戦争で失ったことから始まる 凋落していくイギリス貴族の一家の様子が日本人的な感覚でいえば、「もののあはれ」といえるんじゃないだろうか。そして、そのリヴァトン館の現在の姿に文字通り亡霊が現れるラスト付近の描写も好きだ。ちょうど↓のようにジェイン・オースティンを読んだあとで読んだためもあるが、やはりこの小説でもオツムの緩いお嬢様と読書が好きで夢見がちな(ある意味アタマでっかちな)お嬢様が出てくる。他の女性登場人物の厳格な貴族の女性である祖母、やはりオツムの緩いその友人の女性と彼女が世話しているタイタニック号の事故で両親を失った女性、子供にあまり愛情をかけなかった主人公の母、名門でありながら、だからこそその血におびえる女性…。(ここはちょっとネタバレっぽいかも…まあ仄めかされてるのですぐ分かる人も多いだろう。私もすぐ分かったし)
祖母の名前 でこの3代のストーリーは完結するし、メビウスの輪が繋がるように同じ歴史が繰り返されたことが読者にも分かるようになっている。あまり長い台詞でもないのだが、印象的な場所だ。実は他にも 小さな誤解を解かなかったことが 後の悲劇に繋がる箇所があり、この二つの伏線の張り方はかなり見事だ。休日だったこともあり600ページの小説だが一日目に約60ページ、翌日に一気に全部読んでしまった。
 ただ、難を一つ上げるとすれば、グレースの孫の事情がもう少し描写されていると良かったかな。これがあればもう少し満足できたかも。訳者のあとがきによると、次作も既に上梓されているらしい。内容も面白そうなので、日本語訳が出たら読んでみたい。





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Last updated  December 26, 2009 06:47:16 PM
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