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March 1, 2010
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カテゴリ: 歴史・地誌・旅行

会津八一と奈良
西世古柳平 入江泰吉(写真)
二玄社 A5並製
☆☆☆☆☆
 奈良を詠んだ歌があるのは私も知っていた歌人、書家、美術史家である会津八一(1881~1956、大学の先輩にもなるのがちょっと嬉しいかも)の奈良に関係した短歌に著者が解説をつけ、晩年(つまり終戦後)親交のあった入江泰吉氏が写真を提供したもの。1992年初版。巻末のあとがきによると入江氏は写真は提供したが、本の上梓の前になくなったそうだ。通販の書店で検索してみたら、今でも新刊で手に入る。しかし、私は図書館で借りているので、少々インクが褪せたかな~という感じがした。
 本は短歌を書き付けた書(若い頃の作品は原稿用紙に万年筆だが、他はほとんどかな書きの墨書)とその歌の書き下し、解説からなっている。最初は解説要らないかと思ったが、ひらがなだけなので、短歌になじみのない私には区切りが分かりにくく、あったほうがいいかも。また写真は意外に白黒が多いが、それが却って趣がある。
 実際に奈良を詠んだのは戦前であり、昭和18年に盗難に遭い、以来行方不明になっている香薬師や昭和24年に焼失した法隆寺の金堂壁画(入江泰吉が写そうとした直前に焼失したと↓のエッセイにあった)についての歌もある。入江氏が奈良と撮り始めたのは戦後だから、彼の写真にもなく、どちらももう今は見ることの出来ない貴重な文化財の記録だ。現存していたら、見たかったな。法隆寺の壁画焼失とその絵柄の写真は日本史の教科書でアジャンタ壁画との類似点か何かで見たことがあったし、香薬師はなんとな~く覚えがあるので、かつて読んだ「大和古寺巡礼」か「大和古寺風物誌」のどちらかか、あるいは双方で言及されていたんじゃないかと思う。ただ、そこに盗難の記述はなかったので知らなかった…。(というかどこかで耳にしていても忘れていたんだろう)
 他にも私が行った寺院に歌碑があったり、(奈良には結構会津八一の歌碑があるようだ…)その寺院の古い写真があるが、歌碑なんてあったっけ?という感じだし、古い写真も今より荒廃した情景を写している。平城宮跡の史跡も今は朱雀門が再建され、入江氏の写真とはまたちょっと違っている。春日野の写真でも片側の枝のない懸崖のような傾いた立ち木の写真があるが、この木、今でもあるかな?
 やはり奈良が好きには堪えられない一冊だと思う。会津八一の歌集は写真がなくてもいいから、文庫本で座右に一冊ほしいな。でも探したら、殆ど絶版だった…。





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Last updated  March 1, 2010 11:22:55 AM
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