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June 23, 2010
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カテゴリ: ミステリ(海外)

遠き面影(上)

遠き面影(下)
ロバート・ゴダード
講談社文庫
☆☆☆☆☆
 前から気になっていた著者だが、上下巻が多く読み終わるのに時間がかかりそうなので何となく敬遠していた。今回はじめて読んでみた。
 期待して読み始めたせいか、最初は少々退屈に感じなくもなかった。大体、自分の仕事先で友人でもある社長の奥さん(この女、ジコチュウリア充のなれの果てで結構ウザいかも)と付き合っていて、それが後ろめたいからと、この社長の依頼で、彼の叔父が所有する18世紀の指輪を社長の兄を助けて競り落としにイギリスに行き、そこで知り合った美女(らしい)と…というのがあんまり好みじゃなかった。主人公ハーディングが巻き込まれた事件が大きく動き始める上巻の最後の方から面白くなってきて、(上記の女二人の出番も減ったな、そういえば…)最後は14世紀にまで話が及ぶ。また、この18世紀にある船の難破事件も13世紀の事件も実際に起こった事件だったり、実際に語り継がれている出来事のようだ。著者のプロフィールによるとゴダードはケンブリッジで歴史を勉強した人だったんだ…。現代の事件・18世紀の難破(史実)・14世紀の伝説の三つが見事に絡まったストーリーで読み応えはある。さらに、ミステリの謎解きに超自然的なネタを隠し味的に加えていて、イギリス史に詳しい人ならかなり面白い内容ではなかろうか。ただし、作中扱われている難破事件と14世紀の伝説(背景になった社会状況はかなり有名というか常識に入りかねないので、日本人でも欧州史に詳しい人なら14世紀と聞いてピンと来ると思う)がイギリスでどの程度の知名度なのかは知らないが。個人的な好みだとこの作品の14世紀に由来する「隠し味」がもう少し味わえるともっと好みだった。
 また、知らずに読んだのだが、イギリスの小説だが、舞台はモナコ、イギリス、イギリスの島、ミュンヒェンなどあちこちに飛ぶ。そして、偶然一月前にミュンヒェンに行ったことがあるため、空港からアウトバーンをタクシーで、とか、地元の人が来ないから、ホフブロイハウスで…などと書いてあって、モロ、私が通ったり、行ったりした場所である。でもホフブロイハウスはかなり騒々しいから密談には不向きだと思うけど。
 歴史ネタに伝説や現代の事件を絡めた日本の小説も好きで結構読むが、外国の歴史や伝説であってもやっぱり興味深い。この著者、こんな作風なら他の小説も読んでみたいが、登場人物の設定があんまり好みじゃないかもなあ…





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Last updated  June 23, 2010 12:18:36 PM
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