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June 24, 2010
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カテゴリ: ミステリ(日本)

斑鳩宮始末記
黒岩重吾
文藝春秋 四六上製
☆☆☆☆◎
 短編集。タイトルから聖徳太子が探偵役だと思ったら、彼が創設した犯罪捜査専門の下級官吏、調首子麻呂(つきのおびとねまろ)が主人公。彼の上司が秦河勝、腹心の部下が魚足(のちに秦部魚足)。推古八年(西暦600年)が第一話。子麻呂30歳。後、大体一年ごとに一作くらいで小説の中の時間が推移していく。
 子麻呂の捜査は関係者に話を聞くことだけで行われる。最初のうちは、慣れぬことで先入観から捜査を進めてしまったりもする。事件は結構男女関係絡みで気持ちの悪い描写も多い。ストーリーが進むにつれて、子麻呂の捜査手法も慣れていく。時折登場する聖徳太子(作中では厩戸皇太子)の論理的に考え、何事も平等・公平に見ようとする姿勢が子麻呂の指針となっている。実際の捜査にあたる子麻呂や魚足よりも厩戸皇太子や秦河勝の方が探偵役のように書かれているかも。
 蘇我氏の妨害に合いながらも、旧来の大豪族が血筋のみで高位を独占している状況を打破し、有能な渡来人系の一族を冠位十二階によって登用しようとしたり、憲法十七条で仏教国家としての理想とする律令政治を目指そうとする厩戸皇太子の姿勢が作中にずっと描かれている。とはいえ、庶民の子麻呂にしてみれば雲の上のこと。まるで現代の公務員の捜査刑事をそのまま飛鳥時代にもってきたようで、根麻呂の妻子や魚足の結婚(一夫多妻の当時、2番目の奥さんをもらう記述がある)の様子、また妻問い婚の当時の住宅事情も描かれている。
 事件の内容がグロかったり、えげつない男女関係にしているのが少々不満だが、斑鳩を中心とした当時の地形の描写も楽しく、地図を見ながら読んでも面白そうだ。





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Last updated  June 24, 2010 10:58:35 AM
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