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June 25, 2010
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テーマ: 本日の1冊(3712)
カテゴリ: 日本の小説

持衰
篠埼紘一
郁朋社 四六上製
☆☆☆☆
 縄文時代・弥生時代・古墳時代の三つの時代に材を採った短編?中編?三作。どれも男女の関係を書いていて、古代小説で恋愛小説ともいえるかも……。表題の持衰(じさい)とは、弥生時代に一族のものが遠い旅に出るとき、過酷な物忌みをして、道中、旅人に降りかかる災いをわが身に引き受け、彼らが帰らなければ殺されてしまうという悲惨な役目のことだ。異母兄がその一行の長になり、若い妹はその無事を祈り…という設定だった。この作品には邪馬台国や他の魏志倭人伝で見た記憶のある地名が出てくる。ちなみにこの当時異母きょうだいの婚姻はOKである。縄文時代を舞台にした「夕日を浴びて」は、狩猟のみで生きる一族の飢え、農耕民である弥生人の集落、その両者の中間にある村の描写や、縄文人と弥生人の容貌の違いなども描写されていて面白い。古墳時代の話「常世へ」は一族の長の後とりと奴婢の娘との恋愛話だが、最後に別のカップルの様子も出てくる。
 三作品とも時折古代の言葉らしい大和言葉?が挿入されていて、文章が独特だった。専業の小説家の人ではないそうだ。作中では感じないが、あとがきや作品の紹介の仕方がどーもビジネス書というかP●P文庫のようというか…もうすこし感覚的・感情的な描写があるととっつきやすいと思う。邪馬台国卑弥呼の後継者、台与(とよ)を主人公にした長編が代表作のようで、第一回古代ロマン文学大賞受賞作とのことだ。この表題作はその長編のスピンオフ的なところもあるのかな。





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Last updated  June 25, 2010 11:43:15 AM
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