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June 27, 2010
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深泥丘奇談
綾辻行人
メディアファクトリー 四六上製
☆☆☆☆☆◎
 連作短編集。ブックデザインも水彩画調でとてもキレイ。見返しにも絵が入っている。というか、著者あとがきが本文と見返しの用紙にわたって印刷され、さらに見返しの部分に著者略歴や初出がイラストとともに印刷されている。こんなことになっている本を他に見た記憶がない。もしかして、土壇場でページ数に何か問題がでたんじゃないだろうか、といううがった想像をしてしまった。
 このタイトルをみておや?と思う人も多いと思う。その通りで、この小説、京都を模した都市が舞台である。有名な地名がはっきりと分かり易い変名で登場する。深泥丘もその一つだ。
 著者にそっくりな「本格ミステリ作家」が主人公。彼は、検査入院で一日深泥丘病院に入院するのだが、そこで怪異に遭う。そして、その後、ことあるごとにこの病院に通うことになるのだが、その度に怪異に巻き込まれる。しかし、その時の主人公の反応がとても面白い。また、主人公の妻の反応など、彼の住む地域には怪異が日常に溶け込んでいるかのような描写もいい。さらに、深泥丘病院もかなりアヤしい雰囲気が芬芬としているのだ。
 著者本人等身大の主人公なので、私小説のようだが、私小説とは全く逆で、まず現実にはありえそうもない事件に遭遇する。なまじ主人公の日常に生活観がにじみ出ているだけに、非現実的な事件とのギャップと、その事件の記憶に対する主人公の反応とあいまって、現実と非現実の間のあいまいさを感じるが、それがいい雰囲気になっている。古代を舞台にした本や翻訳の小説ばかり読んだ後で、現代日本の小説が読みたかったところで、ちょうど好みの小説に出会えたのだ。続巻が出るといいなあ。





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Last updated  June 27, 2010 10:24:18 PM
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