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July 14, 2010
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カテゴリ: 海外の小説
バラバ

バラバ

価格:567円(税込、送料別)



岩波文庫
☆☆☆☆◎
 タイトルの「バラバ」はキリストが磔刑になる時、代わりに赦免された盗賊の名前だ。バッハのマタイ受難曲では合唱(群集)が「バーラバ!(意味的にはバラバを殺せ!)」と属7の和音で絶叫するところが印象的だった。また盗賊だと思っていてウィキを見たら、福音書によって罪状が違うらしい。ラーゲルクヴィストのこの作品では、ヨハネ福音書により盗賊という設定。この小説、中学校の時に読んだ世界地理の本で紹介されていたのが、薄らぼんやりと記憶に残っているスウェーデンの小説だ。単行本での初版が1953年、岩波文庫初版が1974年(ラーゲルクヴィストの没年)である。今年15刷。文庫で読める数少ない(児童文学ではない)北欧文学の一つではないだろうか。
 ストーリーはキリストの磔刑でバラバが赦免されてから、彼が死ぬまでの半生を描く。その半生でもバラバは何度か死んでいてもおかしくないところで死を免れている。聖書に詳しければ、バラバ以外の登場人物も誰が誰だか分かるかもしれないが、私はペテロくらいしか分からなかった。しかもバラバは非常に分かりにくい人物に描かれている。自分の命が助かるきっかけになったイエスに何か思うところがあるのだが、自分の奴隷としての名札にイエスの名前を彫ってもらっても、「信じているのか」という問いは否定する。それでも彼は、キリスト教徒に近いところにいて、それでも「神を信じない」。このあたりがよく分からない。彼の周囲の人間達は「神を信じ」て処刑されていくのに。そして最後、バラバも 「キリスト教徒が放火してまわっている」というデマに振り回されて自分も放火して捕まり、磔刑となるのだ。 読んでいると、バラバはまるで感情のない人間のように思えた。この小説に何か意味づけをすることがナンセンスなのかもしれないが、なんとなく思ったのは、バラバは「神」も「神の子」イエスも信じることは出来なかったが、ただ自分の命を助けてくれることになった、自分の代わりに死んでくれた「イエス」は信じたのか、ということだ。バラバが最初にイエスの信者でシンパシーらしきものを感じたのはイエスに生き返らせてもらった男で、彼の話に対してだけは割合強い反応を示したように描かれている。この著者は信仰深い家庭に育ったと解説に書いてあったのだが、作中のバラバの姿勢は一番純粋な形で「イエス」を信じたといえるのかもしれない。
 字が小さいので意外に読みでがあるものの190ページほどの薄い本だが、内容は難解に感じた。まあ典型的日本人の信仰しか持ち合わせない私が読んでもそんな程度だろう。





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Last updated  July 14, 2010 02:48:20 PM
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