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July 22, 2010
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カテゴリ: 歴史・地誌・旅行
首塚巡礼花魁道中

首塚巡礼花魁道中

価格:2,415円(税込、送料別)



現代書館 四六上製
☆☆☆☆☆
 「マージナル」という雑誌に1988年から1994年の間に連載されたエッセイで、書籍初版は1998年。この著者の伝奇小説が好きで、学生時代よく読んでいたのだ。ただ、この本は積読の期間が非常に長く、先日の大掃除で発掘し読み始めた。エッセイは首塚巡礼と花魁道中(昔の花街探訪)とはっきり二つに分かれている。
 首塚については、歴史的に首塚を残した人は不幸な死に方をした人に限られるが、関東、吉野、鎌倉、熊野、上方と鬼の首についてのエッセイ。個人的には吉野の南北朝時代にまつわる部分と鬼のところで触れられる桓武天皇と平安遷都にまつわる部分が特に面白かった。あと冒頭、刺青で生首を入れる、という彫師のことにも触れられていて、興味深く読んだ。まあ早い話が「首塚」にちなみ歴史的におどろおどろしい場所に対する著者の物思いや思索をエッセイに仕上げたものだ。熊野に関してはかつて読んだ「夢熊野」(2006年2月16日のブログにある)の内容が重なる。
 花魁道中の方は吉原の他、洲崎、玉の井、千住など私娼がかつて商売をしていた場所にも焦点をあてて、地元の古老の人々に話を聞いている。エッセイが執筆されたのは90年代前半のため、大きく開発された洲崎のあたりや隅田川のあたりは、この本に挿入された写真の風景からも既に風景が変わっている。それに、この本のあとがきが書かれた98年当時でさえ、話を聞いた人々の何人かはもう鬼籍に入っていたそうで、今となってはどうなっていることか……。江戸から戦後にかけての花街の貴重なルポルタージュだと思う。特に、江東区の洲崎のところは自宅の近くでもあり、読んでいて胸が痛んだ。この近くの図書館に行ったとき、くしくも3月10日だった時があり、道すがらちゃんとお供えのある東京大空襲の慰霊碑を見つけたのだが、この洲崎、東京大空襲に限らず、空襲の時、中の女性の逃亡を許さなかったため、大勢が無残な姿で亡くなったそうだ。にしても、日本人の男はロクなことをしない。
 この本、つまりは歴史の闇を象徴するかのような首塚と近代・現代の、男女の闇を象徴するような遊郭・花街のルポである。遊郭・花街の方は正直私にはピンとこなかったが、首塚の方は小説で好みの題材を好みに料理してくれる方が書いているだけに、幻想・妄想への流れ方にとても親近感を感じ、非常に面白かった。桓武天皇と平安京遷都、南北朝は私自身の予備知識があまりないため、特に興味深い。今度、関連した本を読んでみよう。





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Last updated  July 23, 2010 03:19:49 AM
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