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November 30, 2010
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ぼくのキャノン
池上永一
文春文庫
☆☆☆☆☆◎
 実はタイトルを一見してカメラの話だと思った間抜けは私……。実際は「カノン砲」のこと。沖縄の村を見守る60年前のカノン砲とその村の秘密だ。
 主人公は10歳の雄太。彼の祖母マカトはこの旧帝国陸軍が設置した「キャノン様」を祀るノロでもある。そして雄太の住む村はマカトとプロの泥棒チヨの二人のおばぁと無口で隻腕の樹王の三人、とくにマカトおばぁが天才的(?)ともいえる政治手腕で独裁体制を敷き、しかもチヨおばぁの手腕のせいか、何故か非常に豊かな村だ。しかし、この村には実は秘密があった。。。その秘密を狙って自称アメリカの地質学者だの開発業者だのが押し寄せてくるのだ。
 911のテロに世界を揺るがす 金貨 、第二次大戦の記憶を巧みに織り交ぜて、悲惨な戦争の記憶にも目をそむけることなく、それを「ファンタジー」にして未来へと繋ぐ物語になっている。戦闘機、輸送機、キャノン砲の描写が非常に詳細。よく考えれば、登場人物の設定がカリカチュアライズされているのだが、設定や舞台装置はもちろん、テーマ自体が非常にしっかりしているので、安っぽい小説にはなっていない。寧ろそうした性格設定のお陰でとっつきやすくなっているような気がする。そして最後の方になって、村の秘密が語られるところは出先で読んでいたにもかかわらず涙腺が緩くなっている私には泣けてきた。
 この著者もファンタジーノベル大賞を受賞した人だが、ファンタジーノベル大賞ってやっぱりレベル高いなぁ。





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Last updated  December 1, 2010 03:15:10 AM
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