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December 1, 2010
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カテゴリ: ミステリ(日本)

カンナ(天草の神兵)
高田崇史
講談社ノベルス
☆☆☆☆◎
 実家の神社の盗まれた社殿とそれを盗んだらしい兄のようなご近所さん諒司を探すシリーズ。今回、それらしい人物が天草に現れたという情報を得て、主人公の鴨志田甲斐と東大生(休学中)巫女の中村貴湖、前作で出てきた柏木竜之介、そして鴨志田家の愛犬でミニチュアブルテリアのほうろくが天草に飛ぶ。
 ここで、天草四郎の正体や島原の乱の意味を勉強しつつ、諒司を探すが、彼は見つからず、また、地元では彼が関わったとも考えられる殺人事件が発生する。それは、過去の悲しい出来事から起因したものであるが、隠れ切支丹とも関係が深かったこの地方の教会などには、忍者屋敷さながらに隠し部屋などもあったり、天草本ローマ字(ポルトガル語を元にしたローマ字標記の日本語)で天草四郎の名前を読んでみると……といった面白い指摘がある。ただ、殺人の方はちょっと単純な解決だったし、天草四郎の正体もちょっと論拠が寂しい。島原の乱ももう少し詳しく書いてあってもよかったかも、で少々物足りなかったが、この天草本ローマ字の表記が非常に興味深いからまあいいか。
 これ、日本が"Nifon"、はひふへほが"fa, fi, fu, fe, fo"となっている。か行にもc, qが用いられたりしていて面白い。古い日本語では、はひふへほがfで発音されていたという。これだと16世紀後半から17世紀初頭にかけて、少なくとも九州地方で用いられていた日本語の発音がまだfだったことになるはずだ。古い日本語を勉強している人にとっては今更なことなんだろうが。(今でも沖縄方言にはこの発音があるらしいし)著者が作中に載せている例には、Historiaという言葉があり、hとfは区別されている。本編そっちのけでこちらに気を引かれてしまった。それにカ行のqも今より喉に近いあたりで発音していたってことなんじゃなかろうか。ヘボン式のローマ字表記は19世紀後半あたりに江戸近辺の発音を元にできたんだろうから、較べてみるとちょっと面白い。まあ、あれも正確に日本語の発音を写してはいないから、天草本も同じで近似値なのかもしれない。fじゃなくてphだったりして。
 そういえば、毎回犬のほうろくがご主人達を守ろうとして犯人に蹴飛ばされたり、壁にぶつけられたりしているのが気になる。手当てしてもらっている記述がないのだが、打ち身にはなってるんじゃないかなぁ。かわいそうに。
 このシリーズ結構巻数が多くなることを最初から見越して書かれている。読みやすいし、ライトではあるが、日本史の解釈はとても興味深いので、引き続き読んでいこう。ブログの総投稿数の目標年内500にかなり貢献してくれそうだ。





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Last updated  December 2, 2010 02:46:41 AM
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