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July 26, 2011
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テーマ: 本日の1冊(3712)
カテゴリ: 日本の小説

【送料無料】弦と響
小池昌代
光文社 四六上製
☆☆☆☆
 解散する弦楽四重奏団の最後のコンサートを軸に、その団員の周囲の人々や聴衆、そしてこの弦楽四重奏団の終焉と同時に閉館する室内楽専用ホールの人々の半生や生活の一部が交錯する小説。ストーリーは淡淡と進行する。
 この弦楽四重奏団はリーダーの1stVn.とVc.が創立当時からのメンバーでもう古稀を過ぎている。それに次ぐ年齢が冷静な美女と表現されるが還暦前後の年齢であろうVa.の女性で、最年少は美貌だと描かれているが男性で50歳の2ndVn.だ。他に唯一家庭を持っているVc.の妻、ドン・ファンな1stVn.、そのモトカノ(まあ、Va.の女性もモトカノだが、そのVa.の友人でもあったという設定の女性)、弦楽四重奏団のマネージャー、偶然このコンサートを聴きに来た平凡な主婦などがときにはモノローグ形式で、時には作者へのインタビュー形式で綴られていく。
 しかし、確かに弦楽四重奏団って4人の結びつきはロックバンド並みだと思うので、音楽やそのあたりの描写はおかしいと思わないけれど、4人中3人が独身、しかも唯一の家庭持ちも子供がいない設定にしてあるためか、全体的に生活感がまるでない。私はもっと生活感のある生臭い内容の方が好きだ。男女のややこしい関係もあったようなのだが、描写も設定もあまりにもあっさりしすぎている。それは、経年によって枯れてしまったことなのかもしれないが。けれども、特にこの本の描写で好きなのは、終演後のホールの描写だ。自分が演奏会に出た後は後片付けにバタバタしていて、そんな余韻を楽しんだことなどないが、(というか私は演奏会当日のホール開場直後の雰囲気の方が好きだし)かつて中野駅前の多目的大ホールでバイトをしていたときの終演後の雰囲気は好きだった。空虚だがどこかに人の温かみや感動が残っているような気がするのだ。この本のそんな演奏会後の描写が好きだ。
 そういえば、この小説、やっぱり閉館するホールのモデルはカザルスホールなんだろうなぁ。





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Last updated  July 27, 2011 01:16:58 AM
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