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April 25, 2012
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カテゴリ: ミステリ(海外)
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スティーグ・ラーソン
早川書房 四六並製
☆☆☆☆☆
 前作で大金を手にしたリスベットは南の島でのんびりとヴァカンスを過ごしている。彼女の数学への造詣が描写されるのだが、私はワケがわからない。この島を季節外れのハリケーンが襲うときの描写は面白い。やっぱり南にあるときのパワーは日本くらいまで北上しているときのパワーとは違うんだろうな。ここで彼女の倫理観を示すようなエピソードが起きている。
 一方で前作の事件以来すっかりマスコミの寵児となっているミカエルはスウェーデンにおける人身売買と売春についての著作の出版を計画しているが、そのネタを持ち込んだジャーナリスト、ダグ・スヴェンソンは「ザラ」という名前の存在を気にしていた。そしてそれは天才的ハッカーであるリスベットの知るところとなり、彼女はダグと彼の同居人であるミア・ベルイマンを訪ねるが、その直後にダグとミアは射殺されてしまう。そして、その第一発見者がミカエルとなったのだ。ダグとミアの殺人容疑に彼女に恥をかかされ遺恨を持つ弁護士までが殺され、リスベットは警察に追われる身となる。そして、マスコミは扇情的にそれを報道し、彼女の数少ない友人まで面白おかしく言及されることになる。だが、ミカエルや彼女の前の後見人であり脳卒中で倒れた弁護士など彼女の人となりを直接知る人間は彼女の無実を信じて、殺人犯を探し始めるのだ。ミカエルは 彼女が自分のパソコンに侵入しているのを逆手に取り、 彼女とのコンタクトをとることに成功する。そして、徐々に彼女の頑なな心を解きほぐしていく。パソコンでのコンタクトを通じて懐柔(?)されるあたりも結構天才ハッカーのリスベットらしい。そういえば、彼女と仲のいい引き籠りハッカープレイグも事件を知っても彼女に協力を申し出ている。
 作中リスベットが「最悪な出来事」と言っていた12・3歳頃彼女の身に起こった事件についても思わせぶりに描写され、やがて、それがどんな事件であったか、そして、ダグとミアが殺される直前、リスベットが「ザラ」を知っているというほのめかしがあるのだが、その実に意外に理由があきらかになる。「最悪な出来事」とザラはこれ以上もなく繋がっているし、やがて私のような忘れっぽい読者でも前作で死んでしまった彼女の母がまだ若いのにケアホームにいたことを思い出し、そしてその理由を知ることになるのだ。ここのあたりからは前作よりは新しいものの、さらに大きなパワー(怨念?)を伴った過去の亡霊が復活し、リスベットはそれとの最終決着をつける勝負に出る。この段階でリスベットは孤立無援なのだが、彼女の無実を信じるミカエルや雇い主のアルマンスキー、そして古い知り合いである引退したボクサーなどが彼女を助けようと動き始める。
 かなり陰惨な事件の中、決して人当りがいいわけでもないリスベットにも信じてくれる人々がいるのが、読んでいて救いになる。そして先に進み、「ザラ」と周囲の人間の正体が明らかになると、その人間模様のおどろおどろしさに慄然とする。 リスベットのあの悪魔的な頭のよさって父親似だったんじゃないの? と言いたくなってくるし。それに、 ザラの子供がリスベットとあの金髪の大男ってアダムスファミリーみたいで、遺伝子への挑戦としか思えないし、ましてあの金髪の大男が無痛症ってちょっとできすぎのような気がしないでもないなぁ。
22口径の銃で頭を撃たれて、生き埋めにされたところから雑に埋められていたとはいえ自力で脱出って、彼女が華奢で小柄なことを考えるとありえるんだろうか?にしても父ザラチェンコは車の中に火炎瓶投げ込まれてもとりあえず生き残ったし、異母兄の大男は無痛症で筋肉鋼なリーサルウェポンだし、恐ろしい遺伝子の持ち主たちだ。この巻でザラは取りあえず無力化できそうだが、ザラの背後がついに動き始める。 第二部と第三部の繋がりは第一部と第二部の繋がりよりかなり強い。これから一気に読むことになりそうだ。
 にしても……何度も書くことになるが、カッレ君モテすぎ。それにいい人すぎ。しかし、この小説の最低男は半端なく最低なのが取揃っている。もう少しその中間層ってのはいないのだろうかと思わないでもないなあ。





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Last updated  April 25, 2012 12:15:08 PM
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