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May 2, 2012
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カテゴリ: ミステリ(日本)
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スティーグ・ラーソン
早川書房 四六並製
☆☆☆☆☆
 いよいよ三部作完結。前巻で瀕死の重傷を負ったリスベットはザラチェンコとともに病院に収容される。そして、ザラチェンコの悪事を隠蔽しようとする公安警察の一派、「班」が動き始める。このあたりの感じは冷戦がとうに終了しているにも関わらず、スパイ小説のようだった。班vs狂卓の騎士(当然女騎士もいるぞ)の息詰まるやりとりは緊迫感がある。本当に冒頭では班がすぐに動いたため、ブルムクヴィスト名づけるところの「狂卓の騎士」、リスベットの支持者達のグループは先を越されるんじゃないかと思った。実際、エーヴェルト・グルベリの動きは実に見事。しかし、彼の失策は 自分がザラチェンコの口封じをしてとっとと自殺してしまって指揮を後に任せてしまったことだろう。 さらに、名探偵カッレ君が実に冴えているのだ。この後は、カッレ君の方が有利に事を進めていく。
 とはいえ上巻のほとんどは公安警察の説明に費やされて少々読むのに時間がかかってしまった。しかし、後半からの怒涛の展開はやっぱり一気読み。班の動きがやっぱり高齢化のせいで動きが鈍く、カッレ君に先を越されてしまったのは大きい。彼らは自分達がいつしか過去の遺物になっているのに気づかなかったのだ。
 あまりに無愛想で独立心の強いリスベットにもミカエルをはじめ、彼女の不当な立場に憤りを感じて彼女の名誉を回復し、現在の状態から救おうとする「狂卓」の騎士たちがついていた。カッレ君は「ことが決着したら狂卓のメンバーで彼女を悪口を言おう」とか言い出している。
 最後まで一気に読ませるが、伏線の引き方も見事だったといえるだろう。スウェーデン警察が殺傷力の強い実弾を使っていることで、リスベットは自分の友人に怖い思いをさせた金髪の巨人を見事に葬り後始末まで済ませてしまうのだ。
 だが、身を守るためには眼を瞠る強さと賢明さを見せるリスベットもこと友人問題に関しては子供のようだ。唯一信頼していた元後見人の弁護士パルムグレンが倒れた時ももう助からないという言葉を鵜呑みにしてしまって、非難されるが、今度も女にだらしないカッレ君や怖い思いをさせられた挙句、マスコミに叩かれた不運な友人にどう対応していいかわからないのだ。この三部作を通してリスベットの精神的な成長も描かれているので、これがもし完結していたら、どうなっていたか興味深い。
リスベットの妹の設定 はおそらく次への布石だったのだろうと思われるが、それがどう扱われたのか見ることはもうできないのだ。
 そういえば、細かいことなのだが、作中ゲイの登場人物がいるのだが、彼の言葉遣いがオネエ言葉なのが少々引っかかる。原書がそうなっているのならいいのだが、何もゲイだからってオネエ言葉にする必要は必ずしもないよなぁ。
 この本の底流にあるのは女性への暴力なのだが、この本の男で最低な男は本当にどうしようもなく最低だ。そしてふと思ったのが、主人公のミカエル・ブルムクヴィストは本当にどうしてそんなにモテる男なんだ???と疑問に思うレベルの女ったらし。リスベットはそれで彼に不信を抱くし、妹でリスベットの弁護士となるアニカは「兄は恋愛に関しては本当に無責任」とか言われている。ただ読んでいても、最低男という感じはしないのだが。このミカエルの女に節操がないのは三部作では変わらなかった。もし第五部まで完結していたら、これにも何らかの結果が現れたのだろうか?今となってはもう永遠に分からないけれど、ずっとミレニアム執筆を手伝っていた女性の存在があるそうなので、この女ったらしがなんらかの報いを受けてたら面白いのに。
 そうそう、このザラチェンコの事件に関する報道が最終的に高い評価を受けたという記述が本文にあるのだが、これって自身もジャーナリストだった著者の夢かな、とか思ってしまった。かなり読み応えのある小説だったし、私は北欧に興味があるので、全六巻とても楽しく読めた。映像で見たらスウェーデンの国の様子がビジュアルで見られるから、DVDを観てみようかな。





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Last updated  May 2, 2012 09:38:03 PM
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