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May 14, 2012
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カテゴリ: ミステリ(日本)

【送料無料】 再会の街 探偵・竹花 / 藤田宜永 【単行本】
藤田宜永
角川春樹事務所 四六上製
☆☆☆☆☆
 元総会屋の娘がその息子を誘拐されそうになったところを助けた私立探偵竹花とかつての依頼人で今はヤクザなブローカーをやっている新浦。二人はそれがきっかけで、その総会屋中里から娘の居所を探してほしいと依頼される。そして、そこに怪しげなインドネシアの鉱山がからんだ詐欺事件と殺人事件が重なる。
 ハードボイルド小説とはいえ、ミステリ要素がかなり強く、プロットは複雑。舞台も現代の東京。東陽町とか亀久橋とか馴染みのある地名も出てくる。そういえば、前このシリーズを読んだときも葛西橋通りがもろに出てきて楽しかったんだと思い出した。私はこの探偵・竹花のシリーズは数年前に既刊2冊を読んでいるがそのどちらも平成の初めころが舞台だった。それから20年を経ての新刊を読んだわけなのだが、この20年の歳月がいい舞台装置になって、この小説の雰囲気を増している。この20年で世の中はかなり変わった。故意にだろう、震災後の余震の様子も挟み込まれ、それがいい演出効果になっている。でも還暦を過ぎた竹花は何も変わっていないのだ。かつての依頼人だった新浦もブローカーに身を落としているし、彼の仲間も銀行の支店長だったが、取締役になれず辞めてブローカーになっただのどっかで聞いたような怪しげな履歴の持ち主で、インドネシアの鉱山の話も無論以下同文である。そして、かつては羽振りのいい総会屋だった中里もすっかり引退している。ただ影響力は残っているようだけど。そして、竹花に反感を持っていた彼のかつての恋人の弟は(遅い)結婚をして、警部に昇進していた。この人が少し丸くなっているのがいい。そして、総会屋の娘、真澄の息子健太が誘拐されそうになったのも、国際結婚の離婚のトラブルからだった。これも最近時折ニュースになっていることだ。
 私は新浦の周囲のブローカー達の履歴に少し自分の周囲を重ね合わせ、何とも複雑な気分になりながら読んでいた。竹花はタフなのかもしれないが、決して武闘派ではない。向けられた刃に酒と車と時には違法な武器で立ち向かうだけで、あまり考えていないように思える男たちがナルシスティックな言葉を口にするハードボイルドも悪くはないが、向けられた刃に遵法精神を発揮しつつ、絡んだ糸を解きほぐすことによって立ち向かう探偵はもっとかっこいいかも。でも、還暦過ぎて若い女にもてるとかはちょっと違うかもしれないけど。





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Last updated  May 16, 2012 11:42:29 AM
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