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January 31, 2013
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カテゴリ: 海外の小説

【送料無料】カジュアル・ベイカンシー(1) [ J.K・ローリング ]

【送料無料選択可!】カジュアル・ベイカンシー 突然の空席 2 / 原タイトル:The Casual Vacancy (単行本・ムック) / J.K.ローリング/著 亀井よし子/訳 芦原由紀/翻訳協力 梅田智世/翻訳協力 露久保由美子/翻訳協力 村井智之/翻訳協力
J. K. ローリング
講談社 四六上製
☆☆☆☆☆
 「ハリーポッター」次作となる大人向きの小説。この人のインタビュー本か何かで若いころJ・オースティンを読んでいたと目にしていたせいか、成人女性の描写がどうもオースティンと重なった。ハリポタと違って、謎解き要素・起承転結も曖昧で、ドロドロ人間模様の昼ドラのような感じだ。オースティンとゾラの「居酒屋」「ナナ」を混ぜ合わせ、21世紀風に再構成したような感じだろうか。DV、人種差別、ドラッグ、虐待、自傷癖、神経症、ネットでの誹謗中傷などなど、盛り込まれた気の滅入るような舞台装置はまさに21世紀の現代だ。登場人物がどいつもこいつも一難ある人物ばかりで、ここまでしょーもない人物ぞろいだと、逆に爽快。特に噂好きの婆さんたちは本当にオースティンの小説にそのまま出てきそうだ。ただ、ジャンキー、(日本でいう)生活保護受給者、職業婦人はオースティンの時代にはいなかった女性像だろう。
 ストーリーはバリー・フェアブラザーというパグフォードという名の小さな地方自治体の代議員が40代で急死することから始まる。彼の死により空席(カジュアル・ベイカンシー)となった議員席の埋めるための選挙を背景にいくつもの家族のドロドロの人間模様が描かれる。そこには中流以上の住民の住むパグフォード、そのパグフォードにぶらさがっている低所得者住宅地フィールズ、パグフォードに近接した少し大きな町ヤーヴィル、そして首都ロンドンの「都会」というイメージ……。パグフォードの名士だと思っているデリの主人モリソンがかつての領主館を買い取った金持ち夫婦にへりくだりつつ、スラム化したフィールズをパグフォードから切り離そうとしたりして露骨にフィールズを嫌悪する、地域格差、ロンドンから来た転校生への同級生への憧れ、夫婦共に医者のパキスタン人夫婦とリベラルな考え方でフィールズをパグフォードから切り離すことにバリーは反対していた。そしてフィールズの不良娘に肩入れする彼を苦々しく思っていた妻メアリ。大人と子供との人間模様が入り混じるのだが、親同士の反目は置いておいて、モリソンのカフェでバイトする同級生三人組の描写にちょっとハリポタを思い出してニヤリとしてしまった。
 確かに色々盛り込みすぎとは思うが、舞台のパグフォードに現実感を持ちやすいイギリス人と同じような社会問題を抱えた国の人々には「あるある」で確かにページターナーになりうると思う。フィールズのような第二次大戦後に建てられた低所得者用の住宅団地はイギリスだけでなく他のヨーロッパ諸国にもあって住環境の悪化が問題になっている国があるのはアイスランドのミステリでも読んだことがあるし、そういう住宅は日本にもある。だが、日本人の場合、状況は理解できるが、(そういう住宅も老朽化・高齢化が問題にはなっているものの)スラム化してないため、読んでいても実感はない。ただ、身もふたもない事件の連続につい、ドロドロドラマを読んでいる気分になる。どうというストーリーのある小説でもないのに、読んでいると結構面白いというのは、オースティンにも共通しているかも。
 また、フェアブラザーの双子の娘、ニーアヴとシュヴォーンだが、スペルが分からず(作中の不良娘クリスタルも読めなかったという記述があるが)調べてみたら、ゲール語系の名前で"Niamh"、"Siobhan"という綴りだった。私も読めないよ……。この二人だけでなく、他の登場人物の名づけ方も、(ハリポタがそうだったのだが)案外、向こうの人には何か他に喚起されるイメージがあるのではないかと思っている。フェアブラザー家の子供たちは親は違うのにこの二人以外の兄と弟もゲール語源の名前だ。これ、何かのイメージシンボルなんのではないだろうか。この小説、背景に隠されたイメージシンボルがもっと読み取れればもっと面白かったのではないかと思う。





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Last updated  January 31, 2013 02:14:20 PM
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