《櫻井ジャーナル》

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2015.11.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ギリシャのアレクシス・チプラス政権はイスラエルとの関係を強めている。今年7月に 国防大臣をイスラエルへ派遣 チプラス首相自身が訪問、エネルギー問題を話し合ったほか、国連が管理する国際都市だと定められていうエルサレムをイスラエルの「歴史的首都」とだと表現 したのだ。イスラエルによるパレスチナ人弾圧を肯定、国連の決議を否定したことを意味する。

 今年1月の選挙でチプラスが率いるシリザ(急進左翼進歩連合)は勝利したが、そのときにはIMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)、EC(欧州委員会)、いわゆるトロイカが要求していた「緊縮財政」を拒否していた。

 3月17日にはウクライナでクーデターを指揮、破壊と殺戮で国を破壊したアメリカの ビクトリア・ヌランド国務次官補がギリシャを訪問、チプラス首相と会談 している。チプラス首相らを恫喝したと見られている。金融機関も政府に揺さぶりをかけていたようで、7月5日にはネオコンのルパート・マードックが所有するイギリスのサンデー・タイムズ紙が、ギリシャで軍も参加したネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えている。

 そうした中、7月5日に行われた国民投票ではトロイカの政策を61%以上の人びとが拒否した。トロイカの要求によって年金や賃金がさらに減り、社会保障の水準も一層低下、失業者を増やすことになり、利益を得るのは巨大資本や富裕層だけだからだ。富裕層はオフショア市場のネットワークなどを使って資産を隠し、課税も回避している。

 ところが、チプラス政権は国民の意思に反する方向へ動き始める。トロイカに妥協したのだが、それでも9月20日に行われたギリシャの総選挙でシリザ(急進左翼進歩連合)が300議席のうち145議席を獲得した。1月25日の選挙より4議席減らしたが、第1党だということに変化はない。

 新自由主義を受け入れ、イスラエルを祭り上げたということは、ネオコン/シオニストに屈服したことを意味する。シリアでの戦乱ではアル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)を支持、ロシア、中国、イランなどの国々を敵視するということでもある。



 その米英両国にとって邪魔な存在だった政治家が平和運動を行っていたグリゴリス・ランブラキス。この政治家は1963年5月に暗殺され、1967年から74年にかけての期間、ギリシャは軍事政権に支配される。その後も軍備への出費が財政を圧迫する一因になった。なお、1968年に行われたアメリカの大統領選挙ではギリシャの軍事政権から共和党のリチャード・ニクソン陣営に資金が提供されたとも言われている。

 こうした歴史的な背景もあり、ギリシャの政治経済は脆弱だったが、致命傷は2001年に行われた通貨のユーロへの切り替え。その際、 ゴールドマン・サックス は財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたことが事態を悪化させたのだ。こうした状況を欧州委員会は遅くとも2002年に気づいていたと言われているが、問題は放置された。ちなみに、2002年から05年にかけて同銀行の副会長を務めていたマリオ・ドラギは2011年、ECBの総裁に就任して借金の取り立てに参加する。

 2004年にはアテネ・オリンピックがあり、06年頃から国内で開発がブームになる。中には、建設が許可されていない場所で、違法な融資によって開発しようとして中止が命令されていたケースもあり、このブームで業者と手を組んだ役人の中には賄賂を手にしたものが少なくなかったと言われている。こうした違法融資も含めてIMFはギリシャ政府に返済を迫り、金融機関を救済した。

 言うまでもなく、金融機関を救済するのは富裕層や巨大資本の利害に直結しているからで、当然のことながら尻ぬぐいは庶民に押しつけられる。その結果、ギリシャでは年金や賃金が減らされ、社会保障の水準は低下して失業者は大きく増えた。

 こうした政策を実行すれば経済力が衰えることは当たり前で、GDP(国内総生産)は2010年から−4.9%、−7.1%、−7.0%、−4.2%と下がり続け、失業率は12.6%、17.7%、24.3%、27.3%。若年層の失業率は60%に達すると言われている。しかも、借金の返済は不可能な状況だ。

 腐敗勢力が富を独占する体制下では犯罪組織が肥大化し、街には売春婦が溢れる。これはボリス・エリツィン時代のロシアでも見られた現象だが、 ギリシャ もそうなりつつあるようだ。食費を稼ぐために学生が売春を強いられ、料金が大きく値下がりしていると伝えられている。

 似たような現象はイギリスにもあるようで、2012年にイギリスのインディペンデント紙が行った覆面取材の結果、 学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介する、いわゆる「援助交際」を仲介するビジネスの存在が明らかに なったのである。

 手取りはサービスの内容によって違い、年間5000ポンドから1万5000ポンド。17歳から24歳までの学生、約1400名が在籍していると仲介業者は主張しているが、ほかにも似た業者がいるようで、これは氷山の一角だという。

テキサス州で授業の欠席が多いという理由で高校生が100ドルの罰金と、24時間の収監が言い渡された のだが、この女子生徒は両親が離婚し、家計を助けるためにクリーニング店で働くほか、週末にはウェディング・プランナーを助ける仕事をしていたのだ。そのため、疲労などもあって授業に出られないことが多くなり、「犯罪者」扱いされることになったという。

 新自由主義に基づく政策を推進している安倍晋三政権が目指している社会の姿がここにある。それを支援している政治家、官僚、学者、マスコミも日本をそうした国にしたがっているということだ。





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最終更新日  2015.11.30 00:48:28


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