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イランへの攻撃が10日以上続いてきたが、そうした中、アメリカ軍がイランに地上部隊を侵攻させるという話が伝えられていた。ところがそうした動きは見られない。ドナルド・トランプ政権がイランに対し、交渉再開を働きかけていると推測する人もいる。 地上戦でアメリカ軍が勝てる可能性はほとんどなく、全滅しても不思議ではない。統合参謀本部はイランでの地上戦には反対、ドナルド・トランプ大統領にもそうしたことを説明しているだろう。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はトランプ大統領を戦争へと駆り立てているようだが、イスラエル軍はイラン軍と戦うつもりはないようだ。 ウクライナにおける対ロシア戦争と同じように、対イラン戦争でもパランティア・テクノロジーズなる会社が戦争の遂行に協力している。この会社はアメリカやイスラエルの情報機関と関係が深く、軍や対テロ分析担当者が使用する情報分析ツールも開発、AIや顔認識システムを利用した監視システムにも関係している。最近ではAIを搭載したドローンの開発だけでなく、作戦の作成にも関与しているようだが、対ロシア戦争でも対イラン戦争でも結果は良くない。 対イラン戦争をアメリカ軍とイスラエル軍は斬首攻撃で開始、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害することには成功したが、その後は彼らの思惑通りには進んでいない。イラン国内は団結、アメリカやイスラエルに立ち向かう姿勢を鮮明にしている。同じことがロシアでも起こっている。 西アジアのアメリカ軍基地やイスラエルの主要施設は壊滅的な打撃を受けている。アメリカ軍の攻撃はホルムズ海峡の封鎖を招き、原油や天然ガスのほか肥料などの供給も途絶えさせてしまう。紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡も封鎖される可能性が出てきた。しかもイランのIRGC(イスラム革命防衛隊)が保有するミサイルやドローンには余裕がある反面、アメリカやイスラエルは余裕がない。 トランプ大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は8月までに枯渇する見通し。アメリカ軍のイランに対する攻撃によってホルムズ海峡は封鎖状態だが、それだけでなく、イエメンのアンサール・アッラーはサウジアラビアに対する報復で、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を通過しようとしたサウジアラビアの石油タンカー2隻を破壊した。さらにサウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃される可能性があり、そうなるとサウジアラビア産原油は止まる。 そうした事態を避けたいなら、アメリカ政府はイランの要求を呑まなければならない。敗北を認めるということだが、それをイスラエルやシオニストは容認しないだろう。アメリカを含むNATO諸国はウクライナでも負けている。そうした敗北を認められないとして戦争をエスカレートさせたなら、状況はさらに悪化する。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.27
ロシア軍は黒海で石油タンカーや穀物を輸送する貨物船に対する攻撃を激化させている。ウクライナ政府は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表、そうした行為に対する報復だ。ウクライナ/NATOが仕掛けた攻撃が裏目に出た。 ロシア側はアゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航も停止したが、それだけでなくオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、ヨーロッパの大手海運会社は自社の船舶を黒海へ入れないとしている。ウクライナの黒海に面した港は封鎖された。その結果、ロシアとの戦争を推進しているヨーロッパ諸国の食糧事情が悪化すると予想されている。 ウクライナ軍はドローンによる民間ターゲットに対する攻撃に力を入れている。ロシア国内にある民間の石油関連施設や倉庫などを目標にしてきた。数百機のうち数機は防空システムを突破、それなりの映像を撮影、それを宣伝してきた。 ウクライナ政府や後ろ盾の西側諸国はそうして作り上げた印象を利用し、戦争の勢いは変わり、戦況はウクライナが優勢だと宣伝すると同時にロシア社会を揺さぶろうとしたのだろう。ところが精油所も急ピッチで修復され、ロシアの燃料状況は回復、防衛態勢は強化された。そのためか、陸上の施設に対するウクライナ軍のドローン攻撃は聞かなくなっている。 ウクライナを舞台としたロシアとNATOの戦況はロシアが圧倒的に有利で、死傷が膨らんで兵士不足は深刻。そこでウクライナ国内では街角だけでなく室内から男性を強制徴兵担当者が拉致する状況だ。それでもバンザイ突撃を繰り返していたオレクサンドル・シルスキー軍総司令官は7月21日に解任され、ネオ・ナチミハイロ・ドラパティが後任に決まった。 ウクライナ国内での拉致では不足を賄えないため、ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は7月18日、ベルト・アム・ゾンターク紙のインタビューで、EUに滞在する若いウクライナ人男性を戦地へ送還することは正当であるとの見解を表明した。 ドローンも兵員不足を補うために重視されているが、その戦術を西側で推進しているのはパランティア・テクノロジーズであり、同社のアレックス・カープCEOが目をつけて国防大臣に据えた男がミハイロ・フェドロフだった。このフェドロフは7月16日に解任されている。 パランティアはCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって2003年に創設された。創設者のひとりで会長を務めるピーター・ティールは決済サービス企業PayPalの創業者。ドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとして知られている。パランティアが雇用した人物の中にはイギリスの対外情報機関MI6で長官を務めた人物も含まれる。 ティールは緊急通報システムで知られるカービンの重役でもあるが、カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校。同社の出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、バラクは同社の会長に就任している。ジェフリー・エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。 パランティアはウクライナやイランを大規模なAI(人工知能)戦の実験場にしている。アレックス・カープCEOによると、同社のソフトウェアがウクライナにおいて「ターゲット設定のほとんど」を実行していると公言、ウクライナ国防省は同社が戦場データを迎撃ドローンのAIへ供給するプラットフォームのブレイブ1・データルームを構築するとしていた。このプラットフォームはウクライナのデジタル変革省、国防省、軍参謀本部、国家安全保障・国防会議、戦略産業省、そして経済省によって設立されたという。 ウクライナ側は戦争をロシア領土に移すと主張、西側メディアはウクライナ軍の驚くべき成功を盛んに報じていたが、戦況がウクライナ有利になった事実はない。ドローンを利用したパランティアの戦術をキエフへ持ち込んだフェドロフが解任されたのはそのためだろう。アメリカ、イスラエル、ヨーロッパ諸国などは苦境に追い込まれている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.26

アメリカ軍がイランを攻撃し、イランからアメリカ軍基地が報復されるという展開が再開されたが、アメリカに勝てる見込みはない。イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)が保有するミサイルやドローンには余裕がある反面、アメリカやイスラエルは余裕がなく、アメリカ軍の攻撃はホルムズ海峡の封鎖を招き、原油や天然ガスのほか肥料などの供給も途絶えさせてしまう。ドナルド・トランプ米大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は遅くとも8月には枯渇する。正確な情報がトランプ大統領のところまで伝えられているのかどうか不明だが、彼の政策は彼自身だけでなく世界を破滅へと導いている。トランプは正気を失ったのか、あるいは目的があるのだろうか? 西アジアの戦乱はアメリカ軍とイスラエ軍による2月28日のイランに対する奇襲攻撃から始まったが、アメリカやイスラエルがイランを攻撃しても勝利できず、大惨事になると言われていた。イランの地形や戦力を考えるならば、アメリカが地上軍を投入した場合、壊滅的な敗北を喫すると見通されていた。 そこで、トランプ政権はイランを攻撃しないだろうと考える人が少なくなかったのだが、攻撃した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に騙されたのか、脅されたのか、あるいはパランティア・テクノロジーズのAIを信じたのか不明だが、ともかく彼は破滅へ向かい始めた。 すでにイランは西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などを破壊、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊。そして予想された通りホルムズ海峡が封鎖された。 そこでトランプ大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は6月17日、戦争終結に向けての話し合いを進めるためだとして合意文書(MoU)に署名した。イラン側の要求を呑む内容で、トランプ政権はこれを守る気がないだろうと少なからぬ人は予想していた。実際、トランプはMoUを無視してイランを攻撃、イランが報復するというパターンに戻ったが、変化がないわけではない。 先日、サウジアラビアはイエメンのサナア国際空港へイランの旅客機が着陸した際、滑走路を空爆した。事前にアメリカから承認されていただろうが、サウジアラビアは「イエメン政府」の承認を得ているとしている。 この政府とはアデンを臨時の首都にしている大統領指導会議を指しているのだろうが、このメンバーはサウジアラビアのリヤドにある高級ホテルを拠点にしている。事実上、アンサール・アッラー(フーシ派)がイエメン政府だ。 イエメンのアンサール・アッラーはサウジアラビアに対して報復すると発表、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を通過しようとしたサウジアラビアの石油タンカー2隻を破壊した。バブ・エル・マンデブ海峡が封鎖される可能性が高まったが、サウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃されると覚悟すべきだろう。そうなった場合、サウジアラビアは石油を輸出することが困難になる。 昨年末にアンサール・アッラーの治安部隊は「高度なスパイ網」を摘発したと発表したが、それはサウジアラビアの情報機関、CIA、モサドの工作員が配置されたリヤドを拠点とする合同作戦室と繋がったネットワークで、イエメンの指導部を排除し、軍事作戦を継続する能力を奪おうとしていた。昨年8月にイスラエル軍は空爆でアンサール・アッラーのアフメド・ガレブ・ナセル・ラハウィ首相を含む9人の閣僚や軍参謀長を殺害したが、これにもこの合同作戦室が中心的な役割を果たした。ハマス、ビズボラ、イランでも行われた一種の斬首作戦だが、結局、失敗に終わった。 ホルムズ海峡の閉鎖によって世界の原油供給量が約20%減少し、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少。この海峡を通過する石油の買い手は約80%が中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国であり、LNG(液化天然ガス)はそれ以上の比率で同じ国々が輸入しているのだが、当然、トランプ政権もこの事実を認識しているだろう。バブ・エル・マンデブ海峡の閉鎖もこうした国々にダメージを与える。 バラク・オバマ政権のウクライナでのクーデターはロシアとヨーロッパ諸国の経済を破壊、ロシアを攻撃する態勢を整えることにあった。台湾で軍事的な緊張を高めたのは中国だけでなく、日本を含む東アジア諸国を破壊することが目的だったのだろう。そして西アジアを支配する上で残された最大の障害、イランの体制を転覆させようとしている。ウクライナやイランにおける状況を見ながらトランプ大統領の背後にいる人びとはほくそ笑んでいるかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.25

すでに世界の多くに人は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を拒否しているようだが、この問題は終わっていない。終わらないまま隠蔽工作が進んでいる。COVID-19騒動の象徴的な人物であるアンソニー・ファウチは1984年11月から2022年12月までNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)の所長を務めたが、騒動の黒幕とは言えない。黒幕はファウチに責任を押し付け、逃げようとしているように見える。 この「COVID-19ワクチン」は人間の細胞へLNP(脂質ナノ粒子)に包まれたmRNAを送り込み、ウイルスのスパイク・タンパクを作らせるのだが、人間の免疫システムはスパイク・タンパクを病原体だと判断、攻撃するため、自己免疫疾患を引き起こす。 そこで「COVID-19ワクチン」には免疫を下げる仕組みが組み込まれているのだが、それだけでなく免疫抑制能力があるIgG4抗体が誘導される。つまりAIDS状態になり、通常なら問題のない微生物でも病気になり、癌も増える。 また、LNPは人体に有害であり、DNAやグラフェン誘導体の混入も報告されている。発癌性のあるDNAウイルス、SV40も混入していることが発見された。ファイザー社のmRNA製剤や多くの「遺伝子編集」カクテルの中に入っているのだが、遺伝子治療に使われるSV40は合成化学物質だという。SV40やその構成要素を意図的に合成し、遺伝子治療の主要成分として組み込むことは許されている。 このCOVID-19騒動は2019年12月の終わりに中国の武漢の病院で肺炎患者9名ほどが見つかったところから始まる。翌年の2月4日、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で患者が発見され、3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言、「重症の肺炎患者が街にあふれ、死者が急増する」というイメージが作られ、人びとを恐怖させ流ことになった。 別のクルーズ船「グランド・プリンセス」でも患者が発見され、3000人以上が拘束された。拘束された人びとは「無症状の致死性疾患」なる話を吹き込まれ、訴追の脅迫を受け、アメリカ空軍の基地にある軍事刑務所(隔離キャンプ)に収容されたという。 しかし、WHOがパンデミック宣言する直前の2020年2月28日、ファウチを含む3名の研究者はCOVID-19の致死率が1%未満かもしれないと発表している。つまり季節性インフルエンザ並みだというのだ。当初、ファウチはCOVID-19騒動を仕掛ける側ではなかった。その後、騒動を煽る側に入ったのだ。 深刻な副作用を引き起こす「COVID-19ワクチン」を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は75年の間封印しようとしたのだが、アメリカでは一部の専門家は情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開が命令された。 長年、医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは公開された文書を分析、その結果、「COVID-19ワクチン」はアメリカ国防総省のプロジェクトだと2022年に発表する。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということ。そうした企業は情報を公開する必要がない。国防総省のプロジェクトだということは軍事作戦だということを意味し、軍事作戦は免責だ。 病原体だとされたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は武漢の研究所で作られたとする話が広まっているが、このウイルスに感染した動物は中国でなく、北アメリカで見つかっている。ジム・ハスラムによると、北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) COVID-19騒動を煽るためにWHOはパンデミックを宣言したが、そのために死亡者数を水増しする必要があった。そこでWHOやCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら死因をCOVID-19として処理して良いとする通達を出している。つまり患者を水増しするように指示しているのだ。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は2020年4月8日、その通達についてFOXニュースの番組で話している。病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話しているのだ。アメリカの場合、COVID-19に感染している患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍に膨らんだともいう。医療関係者を買収したと言われても仕方がない。 パンデミック宣言を正当化するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRを診断に使ってはならないと語っていた。 こうした危険な薬物を日本政府は国民に接種させるため、大規模な宣伝が展開された。通常の国は危険性に気づき、2回程度で止め手いるのだが、日本は何度も接種させた。接種推進のためにマスコミが果たした役割は重い。 この薬物によって少なからぬ犠牲者が出ているのは間違いない。その理由を医薬品メーカーの強欲さに求め、ファウチのような人物に責任を押し付ける意見もあるが、その背後にはアメリカの国防総省が存在している。つまりCOVID-19騒動はアメリカ国防総省の軍事作戦であり、医薬品メーカーは「国家安全保障」という壁に守られている。 サーシャ・ラティポワが早い段階から指摘していたように、COVID-19騒動は国防総省のプロジェクトだ。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至った。 国防総省のDARPAは2001年9月11日の後にワクチン開発の促進、新ウイルスの発見、医薬品製造の迅速化などの技術を開発するために投資するようになった。そうした中、空軍のダン・ワッテンドルフが迅速なパンデミック対応をDARPAの優先事項のトップに押し上げたという。 ワッテンドルフはDARPAでプログラム・マネージャーを務め、診断学、哺乳類細胞合成生物学、RNAワクチン、モノクローナル抗体の迅速な発見、遺伝子導入による免疫予防、人工赤血球などのプログラムを立ち上げたという。DARPAは2013年にモデルナへ最高2500万ドルを助成金として提供することに決め、16年にワッテンドルフはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団へ移籍した。 2005年8月に国防総省はウクライナ政府と契約を結び、同国にある生物研究施設をアメリカ政府が管理することになる。そしてアメリカはウクライナで生物化学兵器の研究開発を開始する。 COVID-19騒動が軍事作戦だとしても、国防総省と契約している医薬品会社にとってはビジネスである。リビアの指導者だったムアンマル・アル・カダフィは2009年、国連で次のように演説した。「将来、多くのウイルスが発生するだろう。企業はそれらを開発するために懸命に取り組んでいる。」ウイルスが世界に蔓延すれば、「ワクチン接種で莫大な利益を得ることができる」というわけだ。そして「ワクチンが無料になれば、こうした未知のウイルスの多くは出現も蔓延もしなくなるだろう」とカダフィは予測している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.24

ウクライナ軍参謀総長がアンドリー・フナトフからイーホル・スクィビュクへ、また軍総司令官がオレクサンドル・シルスキーからミハイロ・ドラパティへ交代した。ドラパティは軍事的に無能だが、記者を買収して自分に都合のいい話を流させることには長けていると言われている。 ドラパティは2014年、クーデターで誕生したクーデター軍の第72機械化旅団第2大隊司令官としてネオ・ナチで編成された親衛隊とマリウポリへ突入、警察署を襲撃し、抵抗する非武装の市民を射殺したり装甲車で轢き殺したりしている。その様子は市民によって撮影され、世界に発信された。NATOを後ろ盾とするクーデター派は事実と違う話を流していたが、実際に映像を見れば西側の嘘は明白だ。(クーデター軍に市民が射殺される映像もいくつかあるが、本ブログでは掲載しない) その後、マリウポリは占領されて地下要塞が築かれ、市民は地下に人質として拘束された。解放されたのは2022年2月にロシア軍がウクライナ軍に対する攻撃を開始した後だ。解放された市民の証言は現地に入っていたジャーナリストによって伝えられた。西側からきたジャーナリストも少なくなかったが、事実を伝えたということで後に母国から制裁を受けた人もいる。 国防大臣に続いて参謀総長や総司令官が交代になる理由はNATO/ウクライナ軍がロシア軍に追い詰められているからだろう。ロシア軍はキエフ、スミ、オデッサなどの主要都市で重要施設に対する攻撃を激化させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃し、黒海へのルートを断ち切った。 戦場では兵士の不足が深刻。キエフ政権は強制徴兵担当者を利用して路上で男性を拉致してきたが、家族や通行人から抵抗される様子が撮影され、世界へ伝えられている。ロシア文化圏の東部や南部と違い、反ロシア感情の強い西部のリビウでも強制徴兵に対する怒りは高まり、7月8日には担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。 戦場でも戦闘から離脱しようとするウクライナ兵の存在が以前から指摘されていた。そうした脱走兵を射殺するためのドローンも徘徊しているようだが、逃げ出す将兵はここにきて増加、ロシア側によると、ウクライナ軍から離脱してロシア軍へ合流、NATO/ウクライナ軍と数万人が戦っているという。ウクライナ人の半数以上がロシアに親戚がいると言われ、戦争中でも連絡を取り合っているとされている。そうしたルートを通じてロシア軍と連絡をとっているとも言われている。 その一方、ウクライナ政府はマイクロソフト、グーグル、アマゾン、そしてパランティア・テクノロジーズと深く結びついている。国防大臣を7月16日付で解任されたミハイロ・フェドロフはパランティアのアレックス・カープCEOが目をつたという。 フェドロフが国防大臣に就任した直後、パランティアは同国の国防省などと共同で、ドローンにAI機能を搭載するための「データルーム」を構築する支援をしている。ウクライナで実際の戦闘を通じてデータを集積、AIに分析させて今後の戦争に役立てようということでもある。同社はガザでの破壊と虐殺のプランも作成してきたようだ。 パランティアは2003年、CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社。イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。 昨日も書いたように、イスラエルは2001年からジョージアの将兵を訓練するだけでなく、ドローン、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどを提供していた。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) そして2008年8月にジョージアは南オセチアを奇襲攻撃。これはロシア軍の反撃でジョージア軍が完敗するが、イスラエルによる訓練と兵器の供給がなければ軍事侵攻することはできなかったはずだ。この攻撃にはアメリカも支援していたが、イスラエルは少なくとも当時からロシアの敵だと言える。 ウクライナに対し、イスラエルは2022年から自国製の兵器、情報、そして傭兵を送り続けてきたと伝えられている。電子機器のほか高解像度の衛星画像、対戦車兵器「MATADOR」もウクライナに提供、ウクライナは実戦で得た対ドローン防衛戦術も知らせていた。 そのほかイスラエルはパトリオット・システムや早期警戒レーダー・システム「レッド・アラート」も提供、イスラエル人のみで構成される部隊がウクライナ軍の情報機関の下で活動している。 ネオ・ナチを中心に編成されたウクライナのアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)に所属するメンバーが2022年12月にイスラエルを訪問し、イスラエル軍の予備役らと会談した。これも両者の関係が深いことを示している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.23

ロシア軍の攻撃によりオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶の航行が遮断され、ウクライナは黒海へのルートを断ち切られた。地上ではキエフ、スミ、オデッサなどが激しく攻撃されている。明らかに攻撃の強度が高まった。「特別軍事作戦」から戦争へステージが進んだと言える。ウクライナ/NATO軍は迎撃システムが脆弱な民間施設を狙ってきたが、ここにきてロシアの石油タンカーや穀物輸送船に対する攻撃が激化、それがロシア側の姿勢を変えたわけだ。 キエフ政権は混乱、街頭では反ウォロディミル・ゼレンスキーのデモが始まっている。ファシズム体制下、思想、言論、言語が統制され、野党の存在も許されない国でこうした運動が起こっているのだ。抗議活動はミハイル・フェドロフ国防相の解任に対する抗議として始まったが、これは不満を噴出させる切っ掛けにすぎない。 フェドロフに目をつけたのはパランティア・テクノロジーズのアレックス・カープCEO。彼は「防衛およびAI分野での協力」を確立するため、2022年にキエフを訪れている。 パランティアは2003年、CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社。イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。 同社はイスラエルを積極的に支援、イスラエル軍によるガザでの住民虐殺に絡んで軍事監視や航法システムを開発した。アメリカ軍は対イラン攻撃でパランティアのメイブン・スマート・システムを使用した。このシステムの導入を自衛隊も検討している。 メイブンはデータ中心型のプラットフォームで、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合して指揮官らの判断を支援する。 このAIがロシアに対するドローン攻撃を立案したのだろう。戦場ではロシア軍が圧倒しているが、それに対してウクライナ/NATO軍はロシア領内にあるエネルギー関連の民間施設を激しく攻撃するようになり、ロシア人を怒らせることになったが、この攻撃もAIの命令なのだろう。パランティアのAIは無能だ。 しかし、そうしたウクライナ/NATO軍の攻撃に対する報復でウクライナの主要都市は壊滅状態。ウクライナが使っているパトリオット防空システムの迎撃率は数%と言われているが、このところパトリオットからミサイルが発射されていない。 ウクライナ軍、正確に言うならばキエフのクーデター軍の兵士不足は2023年の段階で深刻。その年の8月31日までイギリスの国防大臣を務めていたベン・ウォレスが同年10月1日にテレグラフ紙へ寄稿した論稿の中で、ウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えているとしていた。 その後、状況が改善されているはずはなく、強制徴兵担当者が街を歩いている男性を拉致、数週間の訓練で最前線へ送り込み、殺している。すでにヨーロッパ諸国で傭兵の募集に応じる人は見当たらず、目立つのはコロンビア人だ。 ウクライナ西部のリビウでは7月8日、強制徴兵担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。ウクライナの街頭では男性が拉致され、最近ではその家族や通行人と担当者が乱闘になる様子を撮影した映像が発信されてきた。南オセチアへの奇襲攻撃は対露戦争の一環 ロシアや中国の征服を目指す戦略をアングロ・サクソンは19世紀から立てているが、最近の動きとしては2008年8月のジョージアを利用した南オセチアへの軍事侵攻がある。これは北京オリンピックの開催に合わせて実行された。 この軍事侵攻を仕掛けたジョージアのミヘイル・サーカシビリ大統領は西側にとって都合の悪い政権を倒すため、2003年11月に実行された「バラ革命」を経て登場してきた人物。2002年5月から05年8月にかけてジョージア駐在アメリカ大使を務めていたのはクーデターの仕掛け人とも言われているリチャード・マイルズ。トビリシの大使館で彼はサーカシビリ陣営をコーチしていた。(Guardian, November 26, 2004) 2003年の選挙前、CIAの工作資金を扱っているUSAIDは選挙の信頼度を上げるためだとして投票のコンピュータ化を求め、150万ドルを提供。コンピュータ化によって投票数の操作が容易になることはいうまでもない。コンピュータ化を求めたのはアメリカが不正選挙を目論んでいたからだと推測する人もいる。 サーカシビリは1992年に国立キエフ大学を卒業しているが、そこでペトロ・ポロシェンコなる人物と親しくなっている。2014年2月にウクライナではアメリカ主導のクーデターがあったが、その後にポロシェンコはウクライナ大統領に就任した。 サーカシビリは1994年にアメリカのコロンビア・ロー・スクール(法科大学院)で学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。その後、彼はニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ジョージアが南オセチアを奇襲攻撃する約8時間前、サーカシビリ大統領はロシアとの関係強化を求める南オセチアの分離独立派に対話を訴え、油断させていた。奇襲攻撃の開始は23時35分だ。(The Times, August 8, 2008) その当時、南オセチアに駐留していた平和維持部隊は軍事的な能力は低く、アメリカやイスラエルの軍事訓練を受けているジョージア軍の前になす術がなかった。そこでロシア軍は戦闘車両150両を送り込むなど即座に反撃、ジョージア軍に対する空爆も開始。ロシア軍はイスラエル軍に貸されていたふたつの基地も攻撃、航空機を着陸させてジョージア軍を攻撃したと言われている。イスラエル軍を含めてロシア軍は粉砕してしまった。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Progressive Press, 2019) この奇襲攻撃の背後にアメリカ政府がいたことをうかがわせる出来事もある。攻撃の約1カ月前の7月10日にアメリカの国務長官を務めていたコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問していた。奇襲攻撃の直後、8月15日にもライスはジョージアを訪問、サーカシビリと会談している。 また、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣、「アフガニスタンに派遣される部隊」を訓練しているが、それ以上に重要な役割を演じたのはイスラエルだ。 イスラエル軍のガル・ヒルシュ予備役准将が経営する「防衛の盾」は2001年から予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士を教官としてジョージアへ送り込み、ロシアとの戦争に備えて武器を提供、それと同時に軍事訓練を行った。軍事訓練の責任者はヒルシュのほか、イスラエル軍の退役将軍イースラエル・ジブ。イスラエルは「イラクでNATO軍を助けるため」に訓練していることになっていたのだが、実際はオセチアやアブハアーズへ派遣される兵士だった。(Ynet, August 16, 2008) アメリカのタイム誌によると、訓練だけでなくイスラエルから無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどの提供を受けている。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) 当時、ジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたり含まれていた。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣で元イスラエル人のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりはテムル・ヤコバシビリだ。 米英の対ロシア戦争にはイスラエルが深く関与している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.22

アメリカ軍はイランを壊滅させることができず、イラン国内を反アメリカで団結させた。その一方でイラン軍はイスラエルやペルシャ湾岸周辺のアメリカ軍基地を破壊している。アメリカ/イスラエル軍が保有するミサイルは枯渇し、イランには余裕があり、時間はイランの味方だ。イランのカゼム・ガリブアバディ外務次官はアメリカが単に覚書に違反しただけではなく海上封鎖を宣言したことをもって覚書は完全に破棄されたと宣言している。 イスラム革命防衛隊(IRGC)が7月13日に発表した声明によると、2隻の超大型タンカーが航法システムを停止させた上、ホルムズ海峡安全管理センターから発せられた度重なる警告を無視して航行、そこで攻撃して航行不能にしたという。IRGCは7月12日、海峡を「追って通知があるまで」封鎖すると宣言、いかなる船舶の通過も許可しないと警告していた。 その後、IRGCはバーレーン、クウェート、ヨルダンにあるアメリカ軍の標的に対する攻撃を継続、バーレーン、ヨルダン、カタールの被害状況を示す高解像度衛星画像を公開、アメリカ側の公式発表とは違い、大きなダメージを受けている。 バーレーンにあるアメリカ海軍の第5艦隊司令部ではパトリオット・ミサイル用レーダー、艦隊の航空管制レーダー、C-RAM用早期警戒レーダー、衛星通信センターや兵器支援倉庫、そしてAI搭載型指揮統制センターが破壊されたようだ。 ヨルダンのムワファク・サルティ空軍基地の画像には損傷または破壊された航空機格納庫と複数のアメリカ製ブラックホークヘリコプターが駐機していた区域が写っている。アメリカ中央軍(CENTCOM)はヨルダンでの攻撃でアメリカ兵2人が死亡、数人が負傷、1人が行方不明になっていることを確認した。IRGCの地上部隊による攻撃を受けたとも言われている。 クウェートにあるアメリカ軍の主要な支援拠点である「クウェート・アンド・ガルフ・リンク・ホールディング・カンパニー(KGL)」の倉庫が破壊された。 そのほか、カタールのアル・ウデイド空軍基地にあるCENTCOMの中央兵站拠点を攻撃したともイラン側は主張している。 パトリオット防空システムのミサイルが枯渇、イランの攻撃を防げないとされているが、パトリオットの迎撃確率はせいぜい数%にすぎず、ミサイルがあっても意味はない。 イラン軍のミサイルがアメリカ軍やイスラエル軍の防空システムを簡単に突破できている理由のひとつは、衛星測位システムをGPSから中国の北斗(BDS)へ切り替え、ジャミング(妨害電波)やスプーフィング(なりすまし信号による欺瞞)の妨害を受けなくなったからだという。 戦争の継続が自分たち立場を悪くすることが明白であるにもかかわらず、アメリカ政府は戦争を継続させようとしている。これは対ロシアでも対イランでも同じだ。ビル・クリントンであろうと、ジョージ・W・ブッシュであろうと、バラク・オバマであろうと、ジョー・バイデンであろうと、そしてドナルド・トランプであろうと、政権を動かしている勢力はロシア、中国、イランを屈服させ、ユーラシア大陸を征服するつもりだった。この計画は簡単に実現すると考えていたようだ。そこでルビコンを渡ったのだが、彼らの思惑通りにはならなかった。賭けに負けたのだが、それでも一発逆転のギャンブルを仕掛けようとしている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.21
ウクライナで国防大臣を今年1月から務めていたミハイロ・フェドロフが先日、解任された。この人物は「改革派」とされ、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官をはじめとする軍幹部と対立していたとも言われている。街頭でフェドロフ支持のデモが行われているのはそのためだ。 しかし、フェドロフが清廉潔白というわけではない。どの国であろうと、そうした類の人間が組織の幹部になることは至難の業だ。フェドロフの場合、アメリカのハイテク企業が背後にいる。 ウクライナ政府はマイクロソフト、グーグル、アマゾンと関係しているが、特に深く結びついているのはパランティア・テクノロジーズ。同社のアレックス・カープCEOが目をつけたと言われている。カープは2022年にキエフを訪れ、「防衛およびAI分野での協力」を確立しようとしていた。 フェドロフは国防大臣に就任して早々、パランティアが同国の国防省などと共同で、ドローンにAI機能を搭載するための「データルーム」を構築する支援をしていると語っていた。ウクライナで実際の戦闘を通じてデータを集積、AIに分析させて今後の戦争に役立てようということでもある。 ウクライナ/NATO軍がロシア軍と直接戦っている戦場ではロシア軍が圧倒しているが、それに対してウクライナ/NATO軍はロシア領内にあるエネルギー関連の民間施設を激しく攻撃するようになったのもAIの命令なのだろう。軍事関連の施設は防御が固く、破壊することが困難なのだが、民間施設はそれほどでない。 ウクライナ/NATOの軍や情報機関は攻撃の「映え」を意識、ドローンに燃焼物を詰み、派手な炎を演出。最近、ウクライナの情報機関はロシアでガソリンスタンドなどへのテロ活動を実行するため、「匿名・流動型犯罪」方式で若者を使おうとしている。 地上の石油関連施設や倉庫だけでなく、ここにきて石油タンカーや穀物輸送船に対する攻撃も激化、グローバル・サウスと呼ばれる国々への影響が大きくなっている。 国連のアントニオ・グテーレス事務総長とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の仲介でロシアとウクライナが2022年7月に調印した「黒海穀物イニシアティブ(BSGI)」、そしてロシアと締結された覚書(MoU)が締結された。この件について、元CIA分析官のラリー・ジョンソンが説明している。 これらの合意によって黒海を経由したウクライナからの穀物輸出が再開され、ロシア産食料品や肥料の世界市場への輸出を円滑化するよう支援することが約束されたのだが、このMoUを国連は守らず、ロシア政府から抗議。ロシアは2023年7月にBSGIから離脱、黒海における安全保証の無効を宣言した。 それでもロシアはオデッサを全面封鎖せず、港に出入りする穀物輸送船を日常的に攻撃することもなかったのだが、ここにきてウクライナ/NATO軍によるロシアの石油タンカーや穀物輸送船に対する攻撃が激化したことからロシア側の態度は一変する。「特別軍事作戦」から戦争へステージが進んだと考えられている。 7月18日から19日にかけてロシア軍はキエフやオデッサなどに対し、ミサイルやドローンで大規模な攻撃を実施した。ミサイルの中には40発以上の弾道ミサイルが含まれていると言われている。その弾道ミサイルとして核弾頭を搭載することが可能なイスカンデルMや極超音速巡航ミサイルのジルコンも使われた可能性がある。 すでに欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結、ロシアとの戦争に向かって驀進中だ。ロシアによる報復攻撃の脅威にさらされない「安全な」場所で、ヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するというのだが、すでにロシアは次の段階へ進んでいる。ヨーロッパ諸国は安全でない。 日本も対ロシア戦争におけるドローン戦略に巻き込まれている。その中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。これは日本の企業とウクライナの軍事会社による連携で、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するという。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表されている。またアメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。台湾もウクライナにおけるドローンの生産に協力している。 ウクライナが始めた民間の施設や船舶に対する攻撃によってロシアは攻撃のレベルを「特別軍事作戦」から戦争へアップさせ、NATO諸国領内への攻撃も視野に入ってきた。中国やロシアは西アジアでアメリカやイスラエルに対する攻撃に加わるとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.20
ウクライナ/NATO軍はロシア領内への攻撃を激化させ、しかも非戦闘員を意図的に攻撃するようになった。地上の石油関連施設や倉庫、海上では石油タンカーだけでなく穀物を輸送する貨物船に対する攻撃も激化、グローバル・サウスと呼ばれる国々への影響が大きくなっている。 グローバル・サウスは欧米諸国の植民地だった国々で、今でもそうした国々に収奪されている。ウクライナ/NATO軍はエネルギー資源だけでなく食糧の流通システムも破壊しようとしているわけだ。 NATO諸国は2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバス(ドネツクとルガンスク)に対する軍事攻勢の準備をしていた。ドンバスへロシア軍を誘い込み、足止めさせている間に別動隊でクリミアを制圧する計画だったと見られている。 要塞線はウクライナ/NATO軍の作戦にとって重要な意味を持っていたのだが、2022年にマリウポリとソレダルが、また23年にはマリーインカとアブディフカがそれぞれ陥落し、ここに来て残された要塞線の要であり、戦略的に重要なコスティアンティニフカも制圧され、掃討が完了した。戦場ではロシア軍がウクライナ/NATO軍を圧倒している。 そこで彼らはロシア領内の民間施設に対する攻撃に力を入れるようになり、石油タンカーや穀物輸送船を攻撃するようになった。軍事施設より防空能力が劣るということもあるだろうが、それでも大半は撃墜されている。これは攻撃されたとされる場所にいた人の証言でもある。そこでウクライナ/NATO軍は「映え」を意識、ドローンに燃焼物を詰み、派手な炎を演出しているようだ。 しかし、それでも都市部における燃料供給システムがダメージを受けていることは事実のようで、イランの国営通信社であるIRNAはロシアに対し、ミサイルやドローンによる攻撃の対象をウクライナ領内に限るべきではないと主張している。もしロシア政府がアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ルーマニア、ポーランドの領土にある産業施設や軍事施設への攻撃をはじめなければ、ロシアに対するドローン攻撃やミサイル攻撃の数は増える一方だというわけだ。 そうした意見はロシア軍を含め、ロシア全体で高まっている。核戦争へエスカレートすることを避けようとしているのか、ウラジミル・プーチン露大統領はこれまでNATO諸国に対する攻撃を極力避けてきた。 ウクライナ/NATO軍はロシア政府に自分たちと直接戦う度胸はないと高を括り、押し切れるのではないかと考えているのかもしれないが、ここにきてロシア軍の攻撃が激しくなり、FAB-3000に続いてFAB-9000が投下されたようだ。 先日、リンゼー・グラハム米上院議員は急死する直前にウクライナのドローン製造工場を訪問していたが、ロシア軍の激しい攻撃でそうした軍事施設は破壊されている。グラハムが訪問していた工場も破壊された可能性がある。 兵士の数だけでなく兵器の製造能力でもロシアがウクライナ/NATOを圧倒しているのだが、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結した。この協定には弾道ミサイルの共同生産も盛り込まれているという。 フォン・デア・ライエンの構想とは、ロシアに攻撃さらされない「安全な」場所で、ヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するというもの。ウクライナ国内はロシア軍の攻撃で破壊され、ドローンやミサイルを製造することができなくなっていることを彼女は告白しているわけだ。ヨーロッパ諸国はロシアとの戦争に参加しているが、ロシアはヨーロッパ諸国を攻撃できないという前提での構想。ヨーロッパ諸国で製造したドローンでロシア国内の石油関連施設などを攻撃し、ロシアを疲弊させるというのだ。 こうした狂気の構想を打ち出したフォン・デア・ライエンの一族は貴族の家系で、ヒトラーの第三帝国との緊密な協力関係から工業的富の多くを獲得したと言われている。 彼女の父エルンスト・アルブレヒトは1930年生まれで、78年から90年までドイツのニーダーザクセン州で首相を務めていた。その際、ナチズムの信奉者を政権に迎え入れ、左翼赤軍派の信用を失墜させることを目的とした黒旗テロ作戦を実行しる。 エルンストは選挙戦略のため、ネオ・ナチのDRP(ドイツ帝国党)をCDU(キリスト教民主同盟)に取り込み、ハンス・プフォーゲルを法務大臣に据えるのだが、この人物は1934年にナチ党の突撃隊に入隊していた。 フォン・デア・ライエンの一族はナチだけでなく奴隷売買でも富を築いたが、こうした富や人脈が彼女の出世を支えている。アンゲラ・メルケル首相は2005年に教育家族高齢者女性青少年大臣に、また09年には労働社会大臣に据えた。そして2013年には国防大臣となり、好戦的な政策を推し進める。欧州委員会の委員長に就任したのは2019年のことだ。 対ロシア戦争で使われるドローンの製造には日本も参加しようとしている。日本とウクライナは「日本ウクライナドローンクラスター」を中心にしてドローン戦略を展開しようとしている。この戦略では日本の企業とウクライナの軍事会社が連携、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加する。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表されている。 またアメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。開発能力や生産能力が衰えてきた欧米が日本に目をつけるのは必然だろう。 高市早苗政権は4月21日に「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を改訂、全ての防衛装備品の移転を可能にした。武器輸出の制限を緩和している。 1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンに従い、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、ロシアや中国との戦争へ乗り出した。日本は戦時体制にある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.19

ドナルド・トランプ米大統領が7月16日、自身が敗北した2020年のアメリカ大統領選挙へ干渉した疑惑があるとして中国を非難した。2016年の選挙で敗北したヒラリー・クリントンが所属する民主党がCIAやFBIと手を組んで展開した「ロシアゲート」キャンペーンと似たような話だが、いずれも戯言だ。 アメリカを含む西側諸国では政府が変わっても政策、特に軍事や外交の分野は基本的に変化しない。実際に政策を決めている勢力は背後にいて表には出てこないからだ。つまり選挙は民主主義を装うための茶番劇にすぎず、そのようなものに中国やロシアが介入してくるとは考えられない。 米英の支配システムを知るには、19世紀のイギリスがどのようになっていたかを調べる必要がある。 1868年2月から同年12月、74年2月から80年4月まで2度にわたってイギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは小説家としても知られ、1844年に発表した『コニングスビー』では、「(ジョン・)ハムデン(=オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(=名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」と書いている。 実際、イギリスは名誉革命以降、寡占体制になり、それは西ヨーロッパ全域に広がった。1855年2月から58年2月、59年6月から65年10月、2度首相を務めた反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)は実際に権力を握っていた人物で、ビクトリア女王に対してアヘン戦争を指示したのもこの人物。パーマスト卿が外務大臣を務めていた1840年にアヘン戦争は勃発、第2次アヘン戦争は首相時代の1856年に始まっている。現在、ウクライナで戦われている対ロシア戦争や日本が準備を進めている対中国戦争はパーマスト卿の戦略だとも言える。 アヘン戦争に投入されたイギリス軍は5000人にすぎず、7000人のインド人兵士が参加。第2次アヘン戦争でイギリス軍は兵士の数を増やしたものの、それでも1万3127人。フランスから7000人ほどが参加している。圧倒的に不足している戦力を補うため、イギリスが目をつけたのが日本にほかならない。 その後、日清戦争で投入された日本軍は24万人。盧溝橋事件があり、日中の全面戦争が始まった1937年には中国の国民党軍が170万人、共産党軍が64万人、それに対して日本軍は60万人で、日本は侵略戦争を始められる状態ではなかった。1945年の段階では国民党軍570万人、共産党軍120万人、対する日本軍は112万人強と傀儡政権軍が約100万人。侵略軍の戦力は相手の数倍は必要だと言われているが、日本軍は圧倒的に足りない。それでも戦争へ突き進めたのは、大本営の侵略反対派を黙らせることのできる存在が侵略推進派にいたからだろう。 パーマストン子爵の後、イギリスの政策を決めたのは1891年2月にセシル・ローズの発案で創設された「選民秘密協会」だと言われている。そのグループにはローズのほか、ナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)、サリスバリー卿(ロバート・ガスコン-セシル)、ローズベリー卿(アーチボルド・プリムローズ)たちが含まれていた。そのうちローズ、ロスチャイルド、ブレット、ステッドの4人が協会の指導者になったとされている。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、『信仰告白』を書いているのだが、その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、そのアングロ・サクソンが「住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」としている。 また、「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土はアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」としている。 現在、アメリカやイギリスをはじめとする西側諸国はロシアと中国のほか、西アジアでも侵略戦争を進めている。そのキーワードはシオニズムだ。 「シオニズム」という用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウムであり、「近代シオニズム」の創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツル。1838年にイギリス政府はエルサレムに領事館を建設、イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは75年にスエズ運河運河を買収。その買収資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだった。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめる。 イギリスはオスマン帝国の解体を目指し、第1次世界大戦の最中にフランスと「サイクス・ピコ協定」を締結。この秘密協定はロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出された。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署にはトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その当時、イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。これがいわゆる「バルフォア宣言」だ。 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱だ。 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。 歴史とは因果の連鎖であり、連続した流れとして理解しなければならない。現在、世界を揺るがしている戦争へ続く流れの中心にはイギリスとその後継国であるアメリカが存在している。その中にはユダヤ教徒も含まれているが、その集団自体を「ユダヤ」で括るべきではない。 19世紀にイギリスは帝国主義国として侵略を始めたが、そうした状況を生み出したのは海賊で富を築いていたエリザベス1世の時代。その時代はオカルトが盛んでもあった。 16世紀のイギリスでは自分たちを古代イスラエルの「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れた。そのひとりがスチュワート朝のジェームズ6世で、自分はイスラエルの王だと信じていたという。そのジェームズ6世の息子、チャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がオリヴァー・クロムウェル。その私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。クロムウェルはキリストの再臨を信じ、「道徳的純粋さ」を達成しようと考え、ユダヤ人は離散した後にパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建すると考えていたという。この信仰は今でも生きている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.18
ウクライナ政府は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表した。海賊行為からテロへとステージが進んだと言える。ロシア側は当面の間、アゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航も停止。この海峡はアゾフ海から黒海、さらにその先へ船舶が出ていくためのルートであるため、アゾフ海沿岸にある大規模な穀物輸出港からの出荷も滞ることになる。NATO諸国は石油だけでなく穀物の供給も止めようとしている。 ロシアは世界最大の小麦輸出国で、世界全体の25%を占める。ロシアの小麦輸出量のうち約30%から40%はアゾフ海から黒海に至る航路が使われ、ここでの輸送が停止するということは、世界の小麦輸出全体の約10%が止まることを意味する。 こうしたウクライナの攻撃に対し、ロシアはオデッサ周辺にある貨物船が攻撃された。ユジュヌイ港、チョルノモルスク港、そしてオデッサ港が標的になったとされている。 ロシア産小麦の主な輸出先はアフリカ、アジア、中東の国々。アフリカを歴訪中のロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はチャド外相と会談した後、アゾフ海や黒海におけるウクライナの行動について「もはや海賊行為ですらなく、純粋なテロリズムに当たる」としたうえで、ロシアは「アフリカの友人たちに対する食料供給の義務を、商業契約に基づくものであれ人道支援の一環であれ、彼らの要望に従い、いかなる状況下でも引き続き履行していくつもりだ」と述べた。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランの主要都市を奇襲攻撃して同国の最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む要人を殺害した。この「斬首作戦」をドナルド・トランプ米大統領はイスラエルやシオニストから早く攻撃を開始するよう強い圧力を受け、実行したと言われている。イスラエル単独でイランを攻撃することはできない。 トランプはこの斬首攻撃でイランの体制を簡単に転覆させられると考えていたのかもしれないが、軍事に関する知識が多少でもあれば、この作戦が失敗し、イランから報復され、ホルムズ海峡が封鎖される可能性が高いことを見通していたはずで、世界の原油供給量が約20%減少、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少することも理解していたはず。その結果、世界経済が大混乱に陥り、恐慌へ突入する恐れがあることも予想できただろう。 タンカーを含む船舶は保険契約なしに航行することはないのだが、その保険は最終的にロンドンの保険市場、ロイズが引き受ける。原油の供給を金融が左右するとも言えるだろう。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。 イギリスの強大な私的権力はソ連消滅後、ロシアの石油利権も狙っていた。その中心にいたのはジェイコブ・ロスチャイルドだ。ボリス・エリツィン時代のロシアでオリガルヒとして同国の資産を略奪していたミハイル・ホドルコフスキーによると、彼が所有していたロシアの石油会社ユーコスの支配権はジェイコブ・ロスチャイルドに渡ったという。 ウクライナの場合、資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。 なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物だ。 アングロ・サクソン系の強大な私的権力は19世紀以来、世界制覇を目指す長期戦略に基づいてい動いてきたが、短期的にみると、ウクライナやイランでの戦争は穀物やエネルギー資源の略奪、あるいは制御された投機バブルの崩壊を目指しているようだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.17

ロシア軍のウクライナに対する攻撃が激しくなっている。これまでウラジミル・プーチン露大統領はドナルド・トランプ米大統領との話し合いで戦争を終結させることを諦めたようだ。 ここにきてロシア軍はキエフなどでUMPK(統合滑空補正モジュール)を装着したFAB-3000を使ったという。この爆弾には高性能炸薬が充填され、強固な陣地や地下壕の破壊、厳重に防衛された地域への攻撃などで使われる。ここにきてロシア軍はNATOの将兵がいる司令部なども攻撃するようになった。 ウクライナでロシア軍が戦っている相手はNATO軍にほかならないのだが、その始まりは1991年1月20日にクリミアでクリミア自治ソビエト社会主義共和国再建の是非を問う住民投票だと言えるだろう。その投票では94.3%が賛成、承認された。ところがそれを西側諸国は無視するのだが、その半年後にウクライナの最高会議で独立宣言法が採択されると承認したのだ。 ロシアに親戚がいるウクライナ国民は多く、独立に合理性はなかったのだが、欧米諸国はウクライナを欲しがった。西側の私的権力に操られていたボリス・エリツィン大統領は1991年12月8日、ゲンナジー・ブルブリス、ウクライナのウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ビトルド・フォキン首相、ベラルーシのソビエト最高会議で議長を務めていたスタニスラフ・シュシケビッチとバツァスラフ・ケビッチ首相をベロベーシの森に集めて秘密会議を開いた。そこで彼らは国民に諮ることなくソ連からの離脱を決め、ソ連は消滅する。ロシアとウクライナは行政区画の問題ではなく、国の問題になった。 独立してもウクライナの東部や南部に多いロシア系住民は西側への従属に反対、彼らに支持されたビクトル・ヤヌコビッチは2004年の大統領選挙で勝利、大統領に就任しそうになる。それを妨害するため、西側が仕掛けたのが「オレンジ革命」だ。その結果、新自由主義者 ネオコンはウクライナでビクトル・ヤヌコビッチが大統領に就任することを阻止するため、2004から05年にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、金融界出身でIMFなどから支援されていたビクトル・ユシチェンコを大統領に据える。彼が推進した新自由主義的な政策は国民の大半を貧困化させ、人気は急速に低下した。 そのため、2010年の大統領選挙ではヤヌコビッチが勝利、その政権を倒すためにバラク・オバマ政権は2014年2月にキエフでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を暴力的に倒したのだが、ロシア文化圏である東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まった。この時にプーチン政権が動かなかったことを批判する人が西側にもいる。 オバマ大統領はロシアとの関係を悪化させる政策を進め、2016年のアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに敗れると、外交官を含むロシア人35名を追放した。その一方で、民主党全国委員会(DNC)はCIAやFBIと共同でロシア政府がアメリカの大統領に介入したとするロシアゲート事件をでっち上げ、反トランプ宣伝を開始した。 その宣伝もあり、次の選挙でトランプはオバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンに敗れるのだが、このバイデンは大統領に就任するとプーチン大統領を人殺し呼ばわりし、ロシアとの戦争へ向かう。そうした政策に少なからぬアメリカ国民が反発、次の選挙でトランプが勝利するのだが、第2期目のトランプはロシアとの戦争を継続、イスラエルの命令に従ってイランを攻撃している。 ソ連消滅後、西側を支配する私的権力は存在意義がなくなったずのNATOを東へ拡大させるが、これは本ブログで繰り返し書いてきたように新たなバルバロッサ作戦にほかならない。 ナチに支配されたドイツがバルバロッサ作戦を実行した頃にウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官を務めたヘイスティングス・イスメイ第2次世界大戦後、初代NATO事務総長に就任、NATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。ソ連消滅後、NATOはイギリスで19世紀に作られた長期戦略に従い、ロシア征服を目指す。 西側を支配する私的権力の中心はシティとウォール街、つまり米英金融資本だが、その米英金融資本はナチのスポンサーだったことが明らかになっている。彼らは1932年のアメリカ大統領選挙でニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが当選すると、ニューディール派を排除するためにクーデターを計画している。この計画の前に立ちはだかり、潰したのはスメドリー・バトラー退役海兵隊少将だ。この金融資本は明治維新以降、日本の政治経済にも大きな影響力を持っている。 バルバロッサ作戦でソ連へ攻め込んだドイツ軍は西側が手薄になっていたのだが、そこでドイツ軍と戦っていたのは事実上、レジスタンスだけ。後にフランス大統領になるシャルル・ド・ゴールはレジスタンスの一員だった。 アメリカの情報機関でCIAの前身であるOSSはイギリスのSOE(特殊作戦執行部)と共同で、レジスタンスを抑え込むためにゲリラ戦部隊のジェドバラを1944年に編成した。なお、SOEは第2次世界大戦後、対外情報機関MI6と一体化する。アメリカでは大戦後、そのメンバーが破壊工作組織OPC(のちにCIAの秘密工作部門)や軍の特殊部隊へ入った。 また、NATO内部に組織された破壊工作部隊ネットワークにもジェドバラ人脈が入っている。そのネットワークの中で最も活発に活動したグラディオはイタリアの組織。NATOが誕生するとネットワークはその中へ入り込み、1951年からCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになる。1957年にはCPCの下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が創設された。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) 1961年に反ド・ゴール派で組織されたフランスのOAS(秘密軍事機構)もジェドバラ人脈と関係していた。この軍事機構はアルジェリアの独立に反対、フランスの情報機関SDECEや第11ショック・パラシュート大隊と結びついていた。 OASは1961年4月12日にスペインのマドリッドで秘密会議を開き、アルジェリアでのクーデター計画について討議。会議にはCIAの人間も参加していた。その計画とは、アルジェリアの主要都市、アルジェ、オラン、そしてコンスタンチンの支配を宣言した後でパリを制圧するというもの。計画の中心には1960年6月から61年2月まで中央欧州連合軍司令官(CINCENT)を務めていたモーリス・シャレをはじめとする4名の将軍がいた。 1961年4月22日にクーデターは実行に移されるのだが、その直前、アメリカではCIAと軍の好戦派が主導してキューバ侵攻作戦を実行していた。そうした中、ジョン・F・ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。アルジェリアにいるクーデター軍がパリへ侵攻してきたならアメリカ軍を投入するということを意味していると理解された。アメリカの好戦派はケネディ大統領をコントロールできず、クーデターは4日間で崩壊した。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) フランスの治安機関は1961年から犯罪組織のメンバーをスパイとしてOASへ潜入させ、62年1月にはこの機構の幹部が逮捕され、その5カ月後にOASは休戦を宣言する。(Henrik Kruger, “The Great Heroin Coup (2nd),” Trine Day, 2015) しかし、この決定に従わないグループも存在した。ジャン-マリー・バスチャン-チリー大佐に率いられた一派で、1962年8月22日にパリでド・ゴール大統領の暗殺を試み、失敗。暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕され、全員に死刑判決が言い渡されたが、実際に処刑されたのはバスチャン-チリー大佐だけだった。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) ド・ゴール大統領はポール・グロッシンSDECE長官を解任、第11ショック・パラシュート大隊を解散させたが、グロッシンはOPCの初代局長でアレン・ダレスの側近、つまり破壊工作人脈の中心的な存在だったフランク・ウィズナーと親しい。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) アレン・ダレスCIA長官を解任したケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。ド・ゴール大統領暗殺未遂とケネディ暗殺の背後にはパーミンデックスなる会社が存在、ケネディ大統領暗殺を捜査していたニューオリンズのジム・ギャリソンは、同社の理事を務めていたクレイ・ショーを逮捕している。その逮捕に対する反発は凄まじかった。 ド・ゴール大統領は1966年にフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出す。SHAPEはベルギーのモンス近郊へ移動した。ド・ゴールはNATOの危険性を認識していた。フランスがNATOへ復帰するのはニコラ・サルコジの時代になってからだ。そのNATOは現在、ロシアと戦争状態にある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.16
ドナルド・トランプ米大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は7月、遅くとも8月には枯渇する。しかもトマホーク巡航ミサイルやJASSM(統合空対地スタンドオフ・ミサイル)、あるいはHIMARS(高機動ロケット砲システム)用ミサイル(ATACMSかPrSMとみられている)は補充ができていないため、1カ月は持たないとみられている。イラン軍の攻撃能力を低下させるために必要な兵器をアメリカ軍は保有していないということである。そうした状況の中、同大統領はイランに対する攻撃を再開した。トランプ大統領がそうした無謀なことをするほど衝撃的な出来事があったのかもしれない。アメリカ軍は部隊の配備も混乱しているようだ。 ペルシャ湾海峡局(PGSA)は7月12日、ホルムズ海峡は閉鎖されたと宣言、イスラム革命防衛隊(IRGC)が7月13日に発表した声明によると、2隻の超大型タンカーが航法システムを停止させた上、ホルムズ海峡安全管理センターから発せられた度重なる警告を無視して航行、そこで攻撃して航行不能にしたという。アメリカの駆逐艦がタンカーの護衛を試みたようだが、阻止できなかった。 IRGCはアメリカ軍が拠点をにしているヨルダンのプリンス・ハッサン空軍基地、カタールのアル・ウデイド空軍基地、オマーンのドゥクム港にある海軍艦艇の兵站支援センターおよびアメリカ空母の給油プラットフォームのほか、クウェートやバーレーンも攻撃された。またホルムズ海峡を通らないルートとしてUAE(アラブ首長国連邦)のフジャイラ港を利用する動きもあるが、イランは同港の機能を停止するとも示唆している。トランプ政権は攻撃でイラン政府が屈服するとでも思ったのかもしれないが、反撃されて窮地に陥りつつある。 今回の交戦ではアデン湾から紅海への通り道であるバブ・エル・マンデブ海峡の閉鎖も懸念されている。イエメンの空港へイランの旅客機が着陸した際、サウジアラビアが滑走路を爆撃しようと試みたのだ。イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はサウジアラビアに対して報復すると発表した。サウジアラビアは自らを苦しい状況に追い込んだ。 サウジアラビアの行動はアメリカから事前に承認されていたと思われるが、アンサール・アッラー側は、もしアメリカがイエメンに対するサウジアラビアの措置を支援し続ければ、危機はバブ・エル・マンデブ海峡に及ぶとしているが、サウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃される可能性があり、そうなった場合、スエズ運河を利用することが困難になる。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.15

リンゼー・グラハム米上院議員が7月11日夜、「短期間の急な病気」によって死亡したという。同議員は10日にキエフでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと会談、帰国したとされているのだが、元CIA分析官のラリー・ジョンソンは公式発表には矛盾があるとしている。 公式発表によると、議会議事堂の近くにあるグラハムの自宅から午後8時30分(東部時間)に心停止の疑いがあるとの通報があり、救急隊が駆けつけたのだが、彼は「自宅で死亡した」とされている。そこに至るまで彼がどのように動いたかをジョンソンは分析、矛盾があるとしているのだ。 グラハムは7月9日にダレス国際空港からポーランドのワルシャワへ向かい、同日18時15分(現地時間)に列車でワルシャワを出発、7月10日の9時45分から10時45分の間にキエフに到着。18時15分の列車に間に合わせるためには、ダラス空港を7時頃には出発する必要がある。ダレスからワルシャワまでの飛行時間は9時間だからだ。キエフでグラハムはゼレンスキーと会談、スカイフォール社のドローン工場を視察した。 キエフからワルシャワへ戻る最も早い列車は11日の午前7時40分から8時頃にキエフ・パサジルスキー駅を出発し、17時から18時頃にプシェムィシル・グウォブヌィ駅に到着する。所要時間は少なくとも9時間。その時点でワシントンD.C.は午前11時頃だ。 そこから空港への移動に1時間かかり、ポーランドを19時に離陸すると仮定すると、西へ向かうフライトには10時間必要なので、飛行機がダレスに到着し得るのは最も早くて11日の深夜ということになる。グラハムが自宅で死亡したとされる時刻には間に合わない。そこで暗殺説や爆死説が出てくるわけだ。 ポーランドで生まれたマルクス主義の理論家で活動家でもあったローザ・ルクセンブルクはドイツ共産党を創設したが、1919年1月に逮捕され、虐殺された。彼女は生前、反対者を「シャボス・ゴイ(安息日の非ユダヤ教徒」と呼んでいたという。シャボス・ゴイとはユダヤ教徒の僕を意味する。安息日に労働が禁じられているユダヤ教徒を助ける非ユダヤ教徒が必要で、その非ユダヤ教徒を指している。ルクセンブルクの発言には、主人の代わりに国を統治するという意味が含まれているのだろう。 イスラエルの通信社JTAによると、エルビス・プレスリー、バラク・オバマ、アル・ゴア、ハリー・トルーマン、マリオ・クオモ、コリン・パウエル、サーグッド・マーシャルが含まれているのだが、リンゼー・グラハムもそうだという話がある。 グラハムはロシアや西アジアだけでなく、あらゆる戦争を扇動していた。勿論、自分は戦地に赴かなかったが、今回、キエフにあるドローンの製造工場を訪れた直後に急死してしまった。死亡したのは工場を訪問した数時間後だとも伝えられている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.14

キプロス船籍のコンテナ船「GFSギャラクシー号」が7月11日にイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)からの攻撃を受け、船内で火災が発生し、乗組員1名が行方不明になった。同船はアメリカ軍が管理しているオマーン寄りのコースを航行していたとされている。IRGCの発表によると、トランスポンダー(船舶自動識別装置)の電源を切り、警告を無視していたようだ。 ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が6月17日に署名した合意文書(MoU)の第5項によると、「イラン・イスラム共和国は、商船がペルシャ湾からオマーン海へ(およびその逆方向へ)安全に通過できるよう、最善の努力を払って手配を行うものとする。なお、通過料は最初の60日間に限り無料とする。」つまり、アメリカやオマーンではなくイランがホルムズ海峡の航行を管理するというわけだ。 IRGCは全ての船舶がホルムズ海峡を航行することを許可しないと表明、その直後にアメリカ中央軍(CENTCOM)はペルシャ湾に面したイランの沿岸地域を攻撃した。ミサイルやドローンの発射拠点、弾薬庫、レーダー施設など約140カ所が標的になったという。アメリカ軍は高機動ロケット砲システム(HIMARS)でバーレーンとクウェートからイランを攻撃したとも伝えられている。 それに対し、IRGCはアメリカ軍の拠点を報復攻撃した。その中にはヨルダンのプリンス・ハッサン空軍基地にある弾道ミサイルによって指揮統制センター、MQ-9ドローンの格納庫、カタールのアル・ウデイド空軍基地の戦闘機整備センターや指揮統制センター、「オマーンのドゥクム港にある海軍艦艇の兵站支援センターおよびアメリカ空母の給油プラットフォーム」も含まれている。さらにクウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)も攻撃されたという。イランは数週間前、カタールやアラブ首長国連邦のアブダビと凍結されたイランの資金を返還するという条件で両国を攻撃しないと保証していたようだが、この合意は崩れたようだ。 アメリカ/イスラエルのイランに対する攻撃にはレバノンやパレスチナでイスラエル軍が実行している大量虐殺の問題も関係している。MoUの中でもその点は指摘されているのだが、イスラエルは虐殺と破壊を続けているのだが、イスラエルはイランからの攻撃で疲弊している。 そこで登場してきたのがシリアを支配しているアーメド・フセイン・アル-シャラー(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)。この人物はダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国などとも表記)を創設したアブ・バクル・アル-バグダディの副官を務めていた人物で、アル-バグダディの命令でシリアへ入り、アル-ヌスラ戦線を結成している。アル-ヌスラはAQI(イラクのアル・カイダ)の後進で、後にHTS(ハヤト・タハリール・アル・シャム)へ改名した。 イギリスの外相を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが05年7月に指摘した通り、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リスト。プロジェクトが決まると、そのリストから戦闘員を選ぶ。これはCIAが作った仕組みだが、HTSを雇っていたのはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアンだった。 バシャール・アル・アサド時代のシリアではウクライナ軍の特殊部隊員がドローンの操作法などをアル・カイダ系武装集団に教えていた。ジハード傭兵は顔を布で隠しているため、ウクライナの特殊部隊員が戦闘に参加してもわからない。アル-シャラー配下の戦闘員も非シリア人が多く、シリア人は弾圧されている。 現在、そのアル-シャラー配下の戦闘員をレバノンで戦っているヒズボラとの戦闘に投入しようという動きがある。イスラエル軍が疲弊しているためだろう。そこでトランプ政権はトルコのエルドアン大統領に話をつける必要が生じ、F-35の売却という話た出てきたと推測する人もいる。もしアル-シャラー配下の戦闘員がヒズボラと戦うということになると、エルドアンはパレスチナやレバノンでイスラエルが続けてきた民族浄化の片棒を担ぐことになり、イスラムの裏切り者と言われる可能性がある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.13

ウクライナ西部のリビウでは7月8日、強制徴兵担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。ウクライナの街頭では男性が拉致され、最近ではその家族や通行人と担当者が乱闘になる様子を撮影した映像が発信されてきた。 拉致された人びとは十分に軍事訓練しないまま最前線へ送られ、数週間で戦死すると言われている。NATOはウクライナ人を対ロシア戦争における「バンザイ突撃」に利用している。反ロシア感情の強いリビウで徴兵担当者が襲われたと言うことは、そうした怒りの感情がウクライナ全域に広がっていると考えて良いだろう。 ウクライナではロシアとの戦争が繰り広げられているが、ウクライナ人の多数はロシアとの戦争をやめるように願っている。2019年の大統領選挙で勝利したウォロディミル・ゼレンスキーはロシアとの関係修復を訴え、支持されたのだが、今ではロシアとの戦争を継続させようと必死だ。 ウクライナの背後にはNATOが存在しているが、ゼレンスキーにはイギリスの対外情報機関MI6がついている。彼は2020年10月にイギリスを公式訪問したが、その際、MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーアMI6長官だと推測されている。ゼレンスキーの周囲で警護している要員はイギリス人だとも言われている。 ウクライナでの戦争は2013年11月から14年2月にかけてのバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターで始まった。2014年2月に大統領の座から引き摺り下ろされたビクトル・ヤヌコビッチは東部や南部が地盤。そうした地域の住民はクーデターを拒否、南部のクリミアはロシアと一体化し、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まる。ウクライナの軍や治安機関ではメンバーの約7割がネオ・ナチ政権を拒否して離脱、一部はドンバスの反クーデター軍に合流したいう。そこでNATOはクーデター政権の戦力を増強するため、時間を稼ぐ必要があった。そのためにロシアを停戦合意へ導いた。2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。 そして2022年2月24日、ロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設をミサイルなどで攻撃した。ロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書には、ウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した2022年1月22日付秘密命令が含まれていた。 ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。 NATO側は8年かけ、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いていた。ウクライナの軍や親衛隊はドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線の内側に封じ込め、その間に別働隊でクリミアを攻撃するという計画だったのではないかと推測されている。 マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍は制圧、最近、残された要塞線の要であり、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧、掃討を完了した。 戦場ではドローンが飛び交っているが、ロシア軍は新型の対ドローンシステム「Redut-UR」を配備、スターリンク衛星を妨害するために電子戦システム「ボルナ・クポル・ガラント」も使っている。 ドナルド・トランプ政権はイランを奇襲攻撃する前、昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを演出した。そのデモをコントロールするため、アメリカは約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。 スターリンクのシステムを使い、アメリカやイスラエルの情報機関は反政府デモの指導者たちに対し、イランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、どのように動くべきかを指示していた。そのスターリンクをイラン政府は遮断することに成功したと言われている。スターリンクが遮断されたことでデモは沈静化した。この時、ボルナ・クポル・ガラントが使われた可能性もある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.12

アメリカ空軍は7月9日、イラン北部のゴレスタン州にあるアク・テケ・ハーン鉄橋を爆撃した。イランとトルクメニスタンを結ぶ鉄道の橋だ。ロシアは2025年11月からこのルートを利用してイランへ貨物を輸送している。 イラン、中国、ロシアはアメリカが支配する海路を避け、陸路で物資や人を輸送しようとしてきた。そうしたプロジェクトの一環として建設された鉄橋だと言えるだろう。ホルムズ海峡やマラッカ海峡を回避するため、中国はユーラシア大陸を横断する鉄道を建設したのだ。 鉄道を使うとテヘランから上海まで15日、つまり海上ルートの半分で移動できる。イランと中露を結ぶ重要な輸送手段であり、そこをアメリカ軍やイスラエル軍が攻撃するであろうことは予想されていた。復旧作業は困難でないだろうが、この攻撃はロシアや中国に対する挑発である。この攻撃がどこから行われたのかも興味深い。 ドナルド・トランプ米大統領は7月7日、NATOの首脳会合が開かれていたアンカラでイランとの合意(MoU)は終わったと宣言、「もう彼らとは関わりたくない」と述べていた。その直前、ウクライナ/NATO軍はモスクワやクリミアを含む都市を固定翼ドローンやミサイル500機以上で攻撃、ロシア国防省によると、その大半を撃墜している。 アメリカとイスラエルによる騙し討ち攻撃で殺された最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師やその家族の葬儀は参加するためにテヘランの通りには市民数百万人が集まり、イラクでも葬儀のために200万人以上が参加、「アメリカに死を」、「トランプに死を」と叫んでいる。テヘラン、ゴム、ナジャフ、カルバラ、マシュハドの街路は数千万人で埋め尽くされたという。シーア派の人びとを屈服させるどころか団結させてしまった。トランプはイラン人を「クズ」「病んだ人間」と呼んだが、火に油を注ぐ発言だ。 イランを屈服させられないことを認識したトランプ大統領は攻撃を再開したと見る人もいるが、別の理由があるとする人もいる。 トランプ大統領はアンカラで「日本・イスラム共和国」がアメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」へ111機の対艦ミサイルを発射したのだが、艦船には命中しなかったと発言した。勿論、トランプはイラン軍がミサイルを発射したと言いたかったのだ。 アメリカの空母にミサイルは命中しなかったとトランプは主張したのだが、実際は数発が命中、ダメージを受けたのではないかとも言われている。そこで、戦争再開がアメリカを経済的に厳しい状況に追い込む報復を実行せざるをえなくなったというのだ。 もっとも、MoUは早晩崩壊すると言われていた。戦争を終結させる条件としてイランが求めている項目は一貫、トランプ大統領は停戦を実現するためにその要求を呑まざるをえなかった。ホルムズ海峡が封鎖されて原油などの供給が減少、それを補うためにアメリカ政府は保有している戦略石油備蓄(SPR)から石油を放出、残りが急速に減少していたからだ。停戦の実現で減少は止まったものの、回復ていない。 イランは戦争を終結させる条件として、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することなどを求めていたが、これをアメリカが呑むとは思えない。 それにも関わらずアメリカがイランの条件を呑んだのは、それだけ厳しい状況だからだが、状況が改善されれば合意を破棄することは自明のことだった。トランプ大統領は状況が改善されない段階で合意を破棄してしまった。すでにホルムズ海峡を通過する船舶の数が急減している。通過している船舶も大半はイランが指定した航路を使っている。 イランはアメリカに対し、ガザでの「ジェノサイド(集団殺害)」をやめるように求めていたが、虐殺、破壊、占領、つまり民族浄化をイスラエルは継続している。かつて、アングロ・サクソン系の人びとがアメリカやオーストラリアで行ったように、先住民を殲滅して自分たちに都合の良い移民に入れ替えるつもりだろう。イスラエルはすでにガザにおける支配地域を53%から70%へ拡大したという。 その大量虐殺には欧米の少なからぬ富豪が参加しているが、その中にはシェルドン・アデルソンや妻のミリアム・アデルソンも含まれている。アデルソン夫妻は日本にも影響力を持っている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.11

TVドラマの制作現場でトラブルがあったとする週刊誌の記事に少なからぬ人の関心が集まり、高市早苗政権が断行している日本を破滅へと導く政策を忘れてしまった人もいるようだ。「火事と喧嘩は江戸の花」と言われてきたが、確かに喧嘩は好きなのだろう。 高市政権は「右翼」を演出してきたようだが、その政策はアメリカの軍事と外交を動かしてきたネオコンの計画に基づく。アメリカ大統領に抱きつくような人物が「右翼」を装うのは滑稽であり、その演出を喜ぶ人の気がしれない。 1991年12月にソ連が消滅した直後、ネオコンはアメリカが冷戦に勝利、唯一の超大国になったと認識し、誰に気兼ねすることなく侵略戦争を実行できる時代が到来したと考えた。その考えに基づき、国防次官を務めていたネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になり、国防総省のDPG(国防計画指針)草案が1992年2月に作成された。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本がそのネオコンのプロジェクトを受け入れたのは1995年のこと。2001年4月に発足した小泉純一郎政権以降、日本は戦争へ向かって爆進している。その流れを止めようとした鳩山由紀夫政権を大手メディアと検察によって粉砕された。 アメリカではビル・クリントン政権が1999年3月にユーゴスラビアを空爆、2000年にネオコンのシンクタンクであるPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)はDPGに基づいて「アメリカ国防の再構築」というタイトルの報告書を作成した。(PNAC, “Rebuilding America’s Defenses,” PNAC, September 2000) ジョージ・W・ブッシュ(H・Wの息子)政権はその報告書に従って政策を進めるが、2001年9月11日にこの報告書を始動させる出来事が引き起こされる。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのだ。いわゆる9/11だ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、9/11から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)。 2001年10月にアフガニスタンを攻撃、03年3月にアメリカ主導軍はリストに載っていたイラクを先制攻撃したが、計画通りには進まない。そこで2009年1月からアメリカ大統領を務めたバラク・オバマは自国軍ではなくムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵、いわゆるアル・カイダを使うことにする。そして始まったのが「アラブの春」であり、2011年春にはリビアに続いてシリアへの侵略戦争が始まる。 イギリスの外相を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは2005年7月、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストを意味すると書いている。そのムジャヒディンの供給源はムスリム同胞団やサラフィ主義者にほかならない。このシステムを作り上げたのはオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーだ。 2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒されるとアメリカなど侵略勢力は傭兵と兵器をシリアに集中させた。この段階でNATOとアル・カイダ系武装集団が連携していることが発覚している。 そうしたオバマ政権の政策を危険だと判断、2012年8月にそれを警告する報告書を政府へ提出したのがアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)。当時、そのDIAを指揮していたのがマイケル・フリンだった。 DIAの報告書によると、外部勢力が編成した反シリア政府軍の主力はAQI(イラクのアル・カイダ)であり、その集団の中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告している。 この警告通り2014年には新たな武装集団ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)が登場する。この武装集団はこの年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック、ハイラックスを連ねてパレードし、その後、首を切り落とすなど残虐さをアピールし、NATO軍の介入を誘った。 こうした戦闘集団を率いていた人物が現在、シリアを支配しているのだが、そのメンバーの大半は非シリア人。その占領勢力を指揮しているアーメド・フセイン・アル-シャラー(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)はダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国などとも表記)を創設したアブ・バクル・アル-バグダディの副官を務めていた人物で、アル-バグダディの命令でシリアへ入り、アル-ヌスラ戦線を結成している。アル-ヌスラの前身はAQI(イラクのアル・カイダ)だ。現在、シリア人は虐殺の対象になっている。 ネオコンはシオニストの一派だが、シオニズムはエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にイングランドで現れた「ブリティッシュ・イスラエル主義」。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。 その妄想が19世紀に具体化する。侵略戦争を指揮したのは反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。ロシアだけでなく中国(清)も侵略のターゲットになった。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。 イギリス首相だったベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収し、1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。シオニズムと帝国主義によってイギリスは世界を侵略していく。 小説家でもあったディズレーリは『コニングスビー』という作品を書いている。その中に、「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」 「ベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国」とは寡頭制にほかならず、現在のイギリスはそのプランに従って築かれた。王室も政府も飾りにすぎず、実際に支配しているのは国境の拘束されていないオリガーキー。その支配者が拠点にしているのがシティであり、そこからスピンオフした場所がウォール街だ。その下にEUはある。 つまり、ロシアやイランは欧米と話し合いで問題を解決できない。いうまでもなく、中国も同じだ。西側のオリガーキーは世界をアメリカやオーストラリアのように先住民を殲滅し、「移民」によって自分たちが所有しようとしている。 ドナルド・トランプ大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と共同でイランの体制を転覆させようとしている。アメリカ政府は昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを誘発させ、2月28日にアメリカ軍とイスラエル軍がイランを奇襲攻撃したが、失敗した。 そこで停戦合意だが、言うまでもなく、これはイランを再攻撃するための時間稼ぎだ。そのことを熟知しているイランはアメリカの思惑通りには動かない。騙されないと言うことだ。戦争の再開は不可避だと多くの人が考えているだろう。 ロシア国民の大多数はアメリカの欺瞞を認識、決着は戦場でつけざるをえないと考えているが、クレムリンの経済部門には今でも西側から離れられない人たちがいるようだ。そうした姿勢を批判する声は高まっている。 すでにロシア軍はウクライナの地下司令部を破壊することでNATO軍の将校を殺害するようになった。このところ、死傷者を運ぶ航空機がウクライナからポーランドへ盛んに飛んでいるとも言われている。早晩、ロシア政府はNATO加盟国への攻撃を決断せざるをえなくなると見られている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.10

西アジアとウクライナで攻撃の応酬があった。西アジアではアメリカ軍とイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)、ウクライナではウクライナ/NATO軍とロシア軍だ。 西アジアではイランの「ペルシャ湾海峡管理当局(PGSA)」がイスラマバード覚書(MoU)の規定に従って正規の手順を踏まずに航行したタンカー3隻を攻撃した。MoUに定められたイラン側のルートではなく、アメリカ軍が管理しているオマーン寄りのコースを航行していたようだ。オマーン寄りの航路は国際海事機関(IMO)が調整していたものだが、IRGCは6月25日、このルートについて警告を発していた。 この攻撃を受け、アメリカ中央軍(CENTCOM)はイランの防空システム、指揮所、ミサイル発射拠点、60隻以上の小型ボートを含む80以上の標的を攻撃した。「60隻以上の小型ボート」は民間の漁船だが、アメリカはIRGCの高速艇だとしている。 その報復としてIRGCはサウジアラビアのサルマン港、バーレーンにある第5艦隊基地、クウェートのアリ・アル・サレム空軍基地を含むアメリカ軍の主要施設85カ所を標的とした報復攻撃を実施したという。 こうした戦闘の後、イランとの停戦や覚書が終わったのかと問われたドナルド・トランプ米大統領は終わったと答えた。その発言が何を意味しているのか、彼は理解しているのだろうか? アメリカとイスラエルによる騙し討ち攻撃で殺された最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の葬儀に参加するため、テヘランの通りには市民数百万人が集まっている。イラクでも葬儀のために200万人以上が参加した。イランとイラクの連帯を象徴する光景を作り出しているのだ。そうした中でアメリカ軍はイランを攻撃したのだが、また逆効果になりそうだ。 トルコのアンカラではNATOの首脳会合が7月7日から8日にかけて開催されているが、その直前、ウクライナ/NATO軍はモスクワやクリミアを含む都市を固定翼ドローンやミサイル500機以上で攻撃、ロシア国防省によると、その大半を撃墜した。 それに対し、ロシア軍は7月6日にキエフ周辺やハリコフをミサイルとドローンで攻撃、その激しい攻撃の様子はソーシャルメディアで伝えられているのだが、その中には巨大なキノコ雲も映っている。劣化ウラン(DU)弾やクラスター弾が保管されている倉庫が爆撃され、大規模な二次爆発が発生したとウクライナの元国会議員、イゴール・モシチュクは主張している。 ウクライナ/NATO軍がロシアの市民をターゲットにした「映え」の良いターゲットを攻撃する中、ロシア軍は戦略的に重要な場所を着実に制圧しつつある。最近では、戦略的に重要な都市のコスティアンティニフカをロシア軍は制圧、掃討を完了したようだ。この都市には防衛戦が築かれていて、約150キロメートルに及ぶ塹壕や地雷原があった。 NATO側は2014年から8年かけキエフ体制の戦力を増強するため、キエフのクーデター体制の戦力を増強するため、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いたが、マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍が制圧、ウクライナ/NATO軍の劣勢は決定的になった。そして現在、残された要塞線の要であり、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧、掃討を完了した。 NATO諸国は2014年2月のクーデター後、キエフ体制の戦力を増強するため、ロシア政府に停戦を持ちかけた。そして締結されたのが2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。その間、兵器を供与して兵士を育成、訓練、要塞線を構築した。 特に重要だったのはドンバス(ドネツクとルガンスク)を取り囲むように地下要塞をマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルに建設、それを軸に要塞戦を築いたのだ。コスティアンティニフカも要塞として機能していた。 しかし、マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍はそれぞれ制圧、そしてウクライナ/NATO軍に残された最後の砦とも言うべきコスティアンティニフカも押さえたわけだ。 今年第1四半期の時点でウクライナの対外債務総額は2367億ドルを突破している。ウクライナ/NATO軍が勝利すればウクライナやロシアの資産、資源、耕作地を奪うことができ、大儲けできたはずだが、ロシアの勝利は決定的な状況だ。 日本政府は明治維新からイギリスやアメリカに返済できないような多額の借金をしていた。コツコツ真面目に働いて返せるような借金ではないのだが、第2次世界大戦に敗れた後、いつの間にか返済していた。 今から89年前の7月7日に引き起こされた「盧溝橋事件」を切っ掛けにして日本軍は侵略戦争を本格化、同年12月に南京を制圧する。中支那方面軍司令官は松井石根だったが、南京攻略戦を指揮したのは上海派遣軍司令官になったばかりの朝香宮鳩彦王だった。この人物は昭和天皇の叔父にあたる。 この攻撃で日本兵は住民を虐殺するなど残虐行為を働いたと報告されている。当時、南京周辺で活動していた特務機関員も虐殺があったことは間違いないと語っていた。その南京攻略戦の際、日本軍は組織的な財宝の略奪作戦「金の百合」を始めた。指揮したのは秩父宮雍仁、その補佐役は竹田宮恒徳だ。 その後も略奪作戦は続き、財宝はフィリピンに一旦集めた後、日本へ運ばれる仕組みが作られたのだが、途中で戦局が悪化して輸送が困難になり、相当部分がフィリピンに隠された。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本が降伏すると、アメリカ軍のエドワード・ランズデール大尉(当時)は1945年10月中旬、財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功する。当時、ランズデールはアメリカ軍のG2(情報部)に所属、その部のトップはチャールズ・ウィロビー少将だった。 そのランズデールの下にいた情報将校のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナも日本軍が隠した財宝に関する情報を持っていたが、その愛人がイメルダ・ロムアルデス。ロマーナはこの女性をフェルディナンド・マルコスに紹介、ふたりは結婚した。 回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移す作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。 グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 ランズデールは財宝に関する情報を東京のダグラス・マッカーサー元帥、ウィロビー少将、そしてGS(民政局)のコートニー・ホイットニー准将に報告、さらにワシントンDCへ行き、ジョン・マグルーダー准将に説明している。ランズデールをフィリピンへ行かせたのはこのマグルーダーにほかならない。 マグルーダー准将はウィリアム・ドノバンOSS長官の部下。マグルーダー准将の指示で、ランズデールはハリー・トルーマン大統領の国家安全保障を担当していたスタッフにも会っている。 金の百合の回収が進められていた頃、ヨーロッパでは「ナチ・ゴールド」が回収されていた。ジョン・ロフタスとマーク・アーロンズによると、ナチがヨーロッパで略奪した資金はドノバンのWCC(世界通商)でロンダリングされ、戦後にタイへ運ばれたという証言もある。(John Loftus & Mark Aarons, “The Secret War against the Jews”, St. Martin’s Press, 1994) 米英金融機関からの借金を返済するため、日本政府がこうした略奪財宝を使った可能性はある。キエフ政権はロシア軍に負けたとしても、資産、資源、耕作地などを奪うことができれば「任務完了」ということになる。すでにマネーロンダリングや生物化学兵器の研究開発という役割も果たした。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.09

ウクライナにおける戦争でロシア軍に勝てないNATO軍はロシア深奥部にあるエネルギー関連施設を攻撃しているが、それに対してロシア軍はキエフを含む都市を激しく攻撃し開始、それに対してウクライナ軍の迎撃システムは機能しなかった。NATOの軍人や情報機関員にも犠牲者が出ていると伝えられている。 7月6日にもキエフ周辺はミサイルとドローンで攻撃され、その激しい攻撃の様子はソーシャルメディアで伝えられた。この攻撃はウクライナ軍がモスクワやサンクトペテルブルクに対して行った攻撃への報復だとされている。 こうした攻撃がロシア国民の間に厭戦気分を広めるとNATOは考えているようだが、厳しい報復を求める声が強まっている。イラン人と同じように、ロシア人は脅されても屈しない。これまで戦争がエスカレートすることを避けようとしてきたウラジミル・プーチン露大統領も厳しい姿勢を見せざるをえなくなった。 NATO側は2014年から8年かけ、キエフのクーデター体制の戦力を増強するため、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いたが、マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍が制圧、ウクライナ/NATO軍の劣勢は決定的になった。そして現在、残された要塞線の要であり、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧、掃討を完了した。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、ドンバス(ドネツクとルガンスク)を含む東部やクリミアを含む南部はロシア語を話し、ロシア正教を信仰、住民の多くはロシア文化の中で生活、ロシア領内に親戚がいて、自分たちをロシア人だと考えている。だからこそロシア軍は住民の犠牲を極力少なくしようとしているが、逆にキエフのクーデター体制は東部や南部で住民を虐殺してきた。ロシア軍にとってウクライナの東部や南部はホームである。コスティアンティニフカの陥落でドンバスの全域をロシア軍が制圧するのは時間の問題になった。 それに対し、キエフ/NATO軍は長距離を飛行できるドローンやミサイルでロシアの深奥部を攻撃、ロシア軍と対等に戦っているかのように見せようとしているが、戦況をウォッチしている人にとってロシア軍が戦場で圧倒していることは明白だ。 長距離を飛行できるミサイルやドローンを飛ばすためには衛星や地上で収集される軍事情報、そうした飛翔体を誘導するシステムが必要なわけで、どこから離陸したかに関係なく、NATO軍がロシア領内の目標を攻撃していることになる。 ロシア領空へ侵入する飛翔体の中にはエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国から飛来するものも少なくないようだ。E3、つまりイギリス、ドイツ、フランスがロシア領への攻撃で中心になっているようだ。ロシア政府は自国領への攻撃に関連する意思決定センター、ドローン発射基地、生産施設などを追跡しているとしたうえでバルト三国も侵略者とみなしていると警告、バルト三国に対する攻撃が迫っていると考える人は少なくない。 ロシアへの攻撃に自国領土や領空を使用することをウクライナに許可していないとリトアニア、ラトビア、エストニアは主張しているが、状況証拠はバルト三国の関与を示している。勿論、実際に攻撃しているのはE3とアメリカだ。アメリカはともかく、イギリス、ドイツ、フランスの都市が攻撃されても不思議ではない。 ウクライナ/NATO側が劣勢なるにつれ、当初は同じ反ロシア国として親密な関係にあったポーランドと対立し始めている。ウクライナの体制派データベースのミロトボレツはポーランドのズビグニェフ・ボグツキ大統領府長官を「反ウクライナのプロパガンダ工作員」としてブラックリストに登録、これに対してボグツキ長官は自分自身を「バンデラ主義」やキエフによる「歴史的虚偽」の敵だと表現している。この対立が高まる切っ掛けは、5月にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーがある特殊部隊に対して「ウクライナ反乱軍(UPA)」にちなんだ名誉称号を授与したことにある。 UPAは1943年春にOUN-B(ウクライナ民族主義者組織-ステパン・バンデラ派)から誕生、ユダヤ人やポーランド人を虐殺し始めた。その殺害方法は残虐で、妊婦の腹を引き裂いて胎児や内蔵を取り出し、脅しのために灌木に引っかけるといったことさえしたという。1943年から45年の間にOUN-BとUPAが殺したポーランド人は7万人から10万人と言われている。1943年11月には「反ボルシェビキ戦線」になった。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 反ボルシェビキ戦線は1946年4月にABN(反ボルシェビキ国家連合)へ名称を変更、1966年にABNはAPACL(アジア人民反共連盟、後のアジア太平洋反共連盟)と合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になった。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) APACLは1954年、台湾の蒋介石政権や韓国の情報機関によって創設されたが、その背後にはアメリカの情報機関が存在していた。日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加している。日本支部を設置する際には岸信介が推進役になった。1954年には統一教会が設立されている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.08
NATOの首脳会合が7月7日から8日にかけてトルコのアンカラで開催される。その直前、ロシア国防省によると、ロシア軍はモスクワやクリミアを含む都市に飛来したウクライナの固定翼ドローンやミサイル519機を撃墜。その一方、7月6日にはキエフ周辺がミサイルとドローンによる複合攻撃を受けた。激しい攻撃の様子はソーシャルメディアで伝えられている。 狙われたウクライナの施設は、ドローンの製造企業、ギュルザM型砲艇を製造する造船所、装甲車両の製造/供給企業、ミサイル製造工場、対空ミサイル・システムの修理工場、燃料貯蔵施設などだが、ロシア国内では対ロシア戦争を主導しているNATO諸国を攻撃するよう求める声が高まっている。 現在のE3、つまりイギリス、ドイツ、フランス、あるいはバルト三国はロシアと直接的な戦争を主張、2030年までに準備を整えるとしている。ロシアを挑発してNATO諸国を攻撃させればアメリカが出てくると信じているようだ。E3がこれだけ好戦的になったのは2014年2月のキエフにおけるクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功してからである。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は以前から、戦争が不可避ならば先に攻撃すると宣言している。1941年6月、ナチス時代のドイツはソ連を奇襲攻撃した。「バルバロッサ作戦」だ。この時、ソ連はドイツ軍に攻め込まれるまで動かず、大きな被害を受けた。同じ間違いを犯さないというわけだが、これまでプーチン大統領はリスクを冒そうとせず、反応は鈍かった。 ソ連は1991年12月に消滅、その後にアメリカをはじめとするNATO諸国はこの軍事同盟を東へ拡大させていく。ミハイル・ゴルバチョフが1990年に東西ドイツの統一を認めた際、NATOを東へ拡大させないという条件がついていたのだが、その約束を西側諸国は守らない。当時のソ連政府に外交のプロはいなかったと言えるだろう。 その条件の存在を国務長官だったジェームズ・ベイカーは否定していたが、ドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) また、ドイツの外務大臣だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年2月にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) それ以外にも、例えばゴルバチョフ大統領やシェワルナゼ外務大臣に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないとベイカー米国務長官が1990年2月9日に語ったとする記録をジョージ・ワシントン大学のナショナル・セキュリティー・アーカイブが2017年12月に公開している。 NATOの東への拡大は新たな「バルバロッサ作戦」にほかならず、ウクライナのNATO加盟はロシアにとって絶対に認められないことのはずだが、プーチンは動かなかった。 キエフでクーデターを仕掛けたネオコンは1990年から91年にかけての湾岸戦争でソ連軍が出てこなかったこともあり、アメリカが軍事力を行使してもロシア軍は出てこないと信じているのだが、それはソ連が消滅する寸前だったからで、プーチンが立て直した後のロシアには当てはまらない考え。ところがネオコンは今でも「脅せば屈する」と信じている。 イギリスをはじめとするアングロ・サクソンの支配層は遅くとも19世紀からオスマン帝国を解体し、ロシアや中国を征服する長期戦略を立てていた。その中心にいたのがヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。イギリスの首相や外相を務めた政治家。1840年にアヘン戦争を始めたのも彼であり、ロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなしていた。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。 また、パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を始めたが、陸軍が弱体なイギリスは征服できない。そこで明治維新を仕掛けることになった。 クーデターを成功させた後もオバマ大統領はロシアに対する挑発を続けるが、2016年のアメリカ大統領選挙でオバマと同じ反ロシア派のヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに敗れると、オバマ大統領は外交官を始めとするロシア人35名を追放してロシアとの関係を悪化させた。その際、民主党全国委員会(DNC)だけでなくCIAやFBIはロシア政府がアメリカの大統領に介入したとするロシアゲート事件をでっち上げ、ロシアとアメリカの関係が良くならないように活動し続けた。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、ウクライナの東部と南部はロシア文化圏で、クーデターを拒否、ドンバスでは武装抵抗が始まる。クーデター後、ウクライナの軍や治安機関からメンバーの約7割が離脱し、その一部は抵抗軍に合流したと言われている。 そのため反クーデター軍は強く、キエフのクーデター軍は劣勢になった。そこでNATO諸国はクーデター体制の戦力を強化するための時間が必要になり、ドイツやフランスが仲介する形で停戦合意を成立させた。それが2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。この停戦がクーデター政権の戦力を増強する時間稼ぎにすぎなかったことを、のちにアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。 その間、ロシア軍は合意内容を守ったものの、ウクライナ側は合意を守らない。NATOは兵器を供給、兵士を訓練、地下要塞を含む要塞線を築いて戦争に備えた。そして2022年になるとドンバスの反クーデター派に対する砲撃を激化させ始め、2月24日にロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃しはじめた。 ロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書には、ウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した2022年1月22日付秘密命令が含まれていた。これにはドンバスにおける合同作戦に向けた部隊の準備内容が詳述されていた。 ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。 NATO側は8年かけ、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いていた。ウクライナの軍や親衛隊はドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線の内側に封じ込め、その間に別働隊でクリミアを攻撃するという計画だったのではないかと推測されている。 2022年4月9日にイギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令(ココやココ)する。イギリスを含む西側は簡単にロシアを打ち破れると考えていたようだが、現実は違った。地下要塞が陥落した段階でロシアの勝利は決定的だった。 マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルはすでに陥落、残された要塞線もここにきて制圧されようとしている。つまりウクライナ軍の敗北は決定的な状況だ。西側の大手メディアはこうした事実を隠蔽するため、ロシアは劣勢であり、敗北すると宣伝しているが、事実をチェックすれば、嘘はすぐにバレる。 ヨーロッパのNATO諸国がロシアを挑発しているのはNATO軍が前面に出てロシアを脅すしかないと考えているのだろうが、ロシアに脅しは通じない。ロシア政府はNATO軍との直接的な戦争に備え、軍備を増強している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.07

日本はアメリカの戦略に従い、中国やロシアと戦争する準備をしてきた。その一環として自衛隊は2016年、与那国島にミサイル発射施設を建設、それに続いて19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させている。そして現在、フェルディナンド・”ボンボン”・マルコス・ジュニアはアメリカの手先として、日本と手を組み、中国と戦争する準備を進めている。 アメリカ国防総省系の「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、与那国島を除く3島へASCM(地上配備型対艦巡航ミサイル)部隊とSAM(地上配備型地対空ミサイル)部隊の配備が重要。アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているのだ。ロシアの周辺やイランの周辺にミサイルを配備しているのと同じことである。 15世紀から17世紀にかけての「大航海時代」、スペインやポルトガルは地球全域で押し込み強盗を働き、そうした国々が略奪品を運ぶ船をイギリスは海賊に奪わせた。 ヨーロッパの富はこの時に築かれたと言われているが、特にラテン・アメリカでの稼ぎが大きかった。1521年にエルナン・コルテスは武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、インカ帝国(現在のペルー周辺)ではフランシスコ・ピサロが金、銀、エメラルドなどを略奪しながら侵略を続けて1533年には帝国を滅ぼしている。 ヨーロッパの侵略者は莫大な量の貴金属を盗んだだけでなく、鉱山開発も行うために先住民を奴隷として酷使した。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。スペインは16世紀の後半にフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始めた。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) 1593年から1603年のエリザベス1世の時代、イギリスを支配する人びとの中で「ブリティッシュ・イスラエル主義」が現れた。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だという信仰で、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配するとされている。 17世紀と18世紀、イギリス東インド会社はインドの各都市に商館を設立、インド全体を支配。その過程で傭兵のセポイ(シパーヒー)を育成、略奪に利用されるが、中国を制圧することはできなかった。イギリスはその一方、アラビア半島ではカルトのひとつであるワッハーブ派を支配が支配するサウジアラビアなる国を樹立させている。 イギリスは東インド会社を介してアヘンを中国へ売り始めるが、中でも悪名高い企業がジャーディン・マセソン。当時、世界最大のアヘン取引企業で、香港上海銀行と密接に結びついていた。それに対し、清の皇帝は林則徐を広州に派遣し、アヘン貿易の撲滅を命じ、1839年9月から42年8月までの「第1次アヘン戦争」と1856年10月から60年10月までの「第2次アヘン戦争」につながったが、イギリスは中国(清)を征服できなかった。 そこで目をつけられたのが日本。長州と薩摩を支援して徳川体制を倒すことに成功、明治体制は琉球併合、台湾派兵、そして江華島事件を引き起こし、日清戦争、日露戦争へと突き進んだ。ロシア革命後の1918年から22年までシベリアへ派兵、その後もソ連へ軍事侵攻する動きを見せていた。その流れが変わるのは1941年8月に関東軍特種演習が中止になり、同年12月にマレー侵攻と真珠湾攻撃を実行してからだろう。 アメリカ人も麻薬取引に手を出していた。エール大学の秘密結社、スカル・アンド・ボーンズを1833年に創設したウィリアム・ハンチントン・ラッセルもその中に含まれている。ラッセル家はイギリスの東インド会社とつながっていた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 19世紀後半、アメリカはスペインやポルトガルの植民地になっていた中南米を植民地にしようと目論んでいた。そうした中、キューバのハバナ港に停泊していたアメリカの軍艦メインが爆沈。メインの燃料は石炭だが、その石炭庫で火災が発生したのだ。 それが原因で爆発したとチャールズ・シグスビー艦長は推測していたのだが、ウィリアム・ハーストが発行するメディアはスペインが爆破したと宣伝、政府による調査が行われる前に議会は戦争に向かって突進、ウィリアム・マッキンリー大統領は宣戦布告せざるをえなくなる。その背後では海軍次官補だったシオドア・ルーズベルトが戦争熱を高めていた。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009) この戦争に勝利したアメリカはスペインにキューバの「独立」を認めさせ、プエルトリコ、グアム、フィリピンへ矛先を向け、ハワイも支配下におく。フィリピンは中国市場へ乗り込む橋頭堡としての役割を果たすことになった。 日本は台湾やフィリピンと軍事的な関係を強めている。フィリピンの大統領を務めるボンボン・マルコスはフェルディナンド・マルコスの息子。フェルディナンド・マルコス・シニアは1965年12月にフィリピン大統領に就任したが、その際、日本軍が隠した財宝の一部を掘り出し、使ったと噂されている。 マルコス・シニアは1954年にイメルダ・ロムアルデスと結婚、59年から65年にかけて上院議員を務めた。イメルダをマルコスに紹介したのはフィリピン系アメリカ人のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナ。この人物はアメリカ軍の情報将校で、OSS(CIAの前身)のエドワード・ランズデール大尉の下、日本軍の略奪財宝を調べ、捕虜からありかを聞き出していた。 ロマーナは回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移すためのパイプを持っていて、そうした作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 中央銀行が民間から金を直接購入することが国際的に認められるようになると、マルコスは新しい法律を制定した。フィリピンで採掘された金はすべて中央銀行に売却しなければならないとし、1981年11月には「過剰に保管されている金」を国際マーケットで売却すると発表している。マルコスはサウジアラビア人のアドナン・カショーギの手を借りたという。(Sterling & Peggy Seagrave, "Gold Warriors", Verso, 2003) この頃からフィリピン国内が騒がしくなり、1983年8月にベニグノ・アキノ元上院議員がマニラ国際空港で射殺される。社会が不安定化する中、1986年2月にアメリカ軍がマルコスを拉致して国外へ連れ出しているが、この誘拐作戦を指揮したのはポール・ウォルフォウィッツだったとも言われている。アキノへはNEDを通じてCIAのカネが流れ込んでいた。その妻、コラソン・アキノもCIAの傀儡だったと言われている。 2016年6月から22年6月にかけて大統領を務めたロドリゴ・ドゥテルテはフィリピンをアメリカから独立させる政策を推進していたが、25年3月、麻薬業者の取り締まりが違法だとしてICC(国際刑事裁判所)に逮捕された。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.06

ドナルド・トランプ米大統領のスポンサーだったシェルドン・アデルソンはカジノの経営者で、彼の賭場はラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)にもあった。2021年1月に彼が死んだ後、ビジネスと政治活動は妻のミリアム・アデルソンが引き継いだ。シェルドンの両親はウクライナからアメリカへ移り住んだユダヤ系の人びとで、ミリアムの両親はポーランドからイスラエルへ移住したユダヤ系の人びとだ。 シェルドン・アデルソンは日本との関係もある。彼は2013年11月、「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」の細田博之会長に会って日本におけるカジノ構想を説明、この構想を実現するよう日本に圧力を加え始めた。アデルソンはカジノ計画を2020年の東京オリンピックに合わせて実現するつもりで、14年2月には日本へ100億ドルを投資したいと伝えたが、その計画は実現せず、大阪でIRの建設が始まった。 トランプだけでなく、アメリカの大統領首席補佐官や駐日大使を務めたラーム・エマニュエルやマルコ・ルビオ国務長官もシェルドン・アデルソンは支援していた。 ラーム・エマニュエルの父親、ベンジャミン・エマニュエルはエルサレム生まれだが、シオニストのテロ組織であるイルグンに所属、1948年9月に国連パレスチナ調停官のフォルケ・ベルナドッテがシオニストのテロ組織、レヒ(スターン・ギャング)に暗殺された後にイスラエルから逃亡した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の親はエマニュエルの親と親密な関係にある。 レヒはイルグンから、またイルグンは後にイスラエル軍の母体になるハガナからスピンオフしているが、その源には修正主義シオニストの開祖でオデッサ生まれのウラジミル・ゼエブ・ジャボチンスキーがいる。 ジャボチンスキーは1940年8月にニューヨークで心臓発作のために死亡したが、その当時、彼の秘書を務めていたのはベンヤミンの父親であるベンツィオン・ネタニヤフ。ゼエブ・ジャボチンスキーを信奉する修正主義シオニストは1970年代、アメリカのキリスト教シオニストと連携して台頭したが、現在、この集団はベンヤミン・ネタニヤフを中心に集まっている。 この集団は次期アメリカ大統領候補として共和党はマルコ・ルビオ、民主党はラーム・エマニュエルを考えているとされ、J. D. バンス副大統領はネタニヤフと繋がり、パランティア・テクノロジーズを創設したピーター・ティールをスポンサーとしている。エマニュエルの父親はシオニストのテロ組織「イルグン」のメンバーだった。 エマニュエルを売り出したフィナンシャル・タイムズ紙は日本経済新聞が所有する新自由主義の代弁紙的な存在だが、ジョージ・ソロス一派の影響下にある。 ラームはイスラエル軍に志願して湾岸戦争に参加。バラク・オバマ政権の第2期目とトランプ政権の第1期目でシカゴ市長を務めたが、その際に公立学校約50校を閉鎖、公共交通機関の運賃や駐車料金を大幅に引き上げ、シカゴ交通局の民営化を断行している。ジョー・バイデン政権ではは駐日大使を務めたが、その際、彼はCIAの指揮下、統一教会の自民党議員に対する工作を監督したとされている。 ウクライナやイランだけでなく、全世界を戦争へと導いている修正主義シオニストは日本にも入り込んでいる。その日本は1992年2月のウォルフォウィッツ・ドクトリンに従い、中国やロシアと戦争する準備を進めてきた。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.05

ロシア軍は7月2日、キエフを含むウクライナの都市に対する大規模な攻撃を実施した。ウクライナ軍はすでに壊滅状態だが、最近はNATO諸国で生産された長距離ドローンやミサイルをロシアの深奥部へ打ち込み、攻撃を演出している。ドイツなどヨーロッパ諸国では自動車などの製造工場をドローン工場に切り替えているようだ。 イギリス、ドイツ、フランス(E3)はウクライナを支援するため、迎撃ミサイル、長距離打撃能力、弾道ミサイル迎撃システムの共同開発や増産が急務だと主張。そうした国々の首脳は、ウォロディミル・ゼレンスキーを利用してロシアにダメージを与えようとしている。 事実上、ウクライナでロシア軍と戦っているのはNATO軍だ。NATO軍が兵器を供給、オペレーターを派遣、衛星からのデータや目標に関する情報を提供し、その目標までドローンやミサイルを誘導する。つまりNATO軍がミサイルやドローンをウクライナからロシアに向かって発射しているのであり、ロシア軍とNATO軍の直接的な戦争になってきている。 E3などはネオコンに洗脳されているのか、ロシア軍がヨーロッパ諸国を攻撃することはないと信じている。そこでロシアに対する攻撃をエスカレートさせてきたのだが、限界を超えた。7月2日のロシア軍による攻撃はそうしたことを示している。このまま進めば、どこかの時点で核兵器が使われるだろう。 ロシアとNATOのヨーロッパ諸国が核戦争を始めた場合、ユーラシア大陸が壊滅的なダメージを受けるが、南北アメリカは部外者でいられると考えている人もいる。その地域が今、イスラエルの影響下に入りつつある。イスラエルの背後に何が潜んでいるかはともかく、イスラエルの存在が注目されている。 アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が熱烈なシオニストで、イスラエルに心酔していることは広く知られている。彼はアルゼンチンのモロッコ系ユダヤ人コミュニティのラビ、シモン・アクセル・ワニッシュから個人的にトーラー(律法)を学んでおり、退任後にユダヤ教へ改宗する意向を表明している人物で、「私は世界で最もシオニスト的な大統領であることを心から誇りに思います」と今年3月にイェシーバー大学で口にしている。 そのアルゼンチンには鉱物資源に恵まれ、雄大な自然でも知られているパタゴニアがある。ジャーナリストのセバスチャン・サルガドによると、そのパタゴニアをシオニストは19世紀から目をつけていた。 ここにきてパタゴニアでは大規模な山火事が発生、当局は火災の一部は燃焼剤かガソリンを使った放火だと主張している。知事は根拠を示すことなく、先住民のマプチェ族に火災の責任を押し付けているが、現地では、退役したイスラエル軍兵士が火をつけたと主張する人が少なくない。パタゴニアへはガザで戦争犯罪を犯したイスラエル兵が逃げ込んでいるとも言われている。またパランティア・テクノロジーズを創設したひとりのピーター・ティール(会長)はブエノス・アイレスの高級住宅街にある住宅を1200万ドルで購入した。 ペルーでは6月7日に大統領選挙の第2回投票があり、最終的にはアメリカとの関係が深いケイコ・フジモリがロベルト・サンチェスを破り、当選した。前者の投票率は50.1%、後者は49.9%なのだが、この選挙でも外国での投票が結果を逆転させている。 6月17日の夜、国内の全投票の集計が完了した時点でサンチェスがフジモリを4万票以上リードしていたのだが、そこで海外からの票が加わると、逆に5万票差をつけて勝利したのだ。登録有権者全体の3パーセントにも満たない国外の投票でフジモリがサンチェスを9万票上回っていたことになる。 コロンビアの選挙でもアメリカやイスラエルとの関係が深いアベラルド・デ・ラ・エスピエジャが左派のイバン・セペダを僅差で破った。前者は49.7%、後者は48.7%だ。選挙結果判明から数時間のうちにイスラエルのギデオン・サール外相から祝いの電話が入った。デ・ラ・エスピエジャはコロンビアが「イスラエルとの関係をかつてないほど回復、強化するだろう」と宣言している。 パラグアイ、グアテマラ、ホンジュラス、エクアドル、チリ、ボリビア、エルサルバドル、パナマも親イスラエル派が政権を握った。10月には現職のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバが親イスラエル派のフラビオ・ボルソナーロ上院議員と競っている。 パレスチナ人を大量虐殺、カネとスキャンダルで各国の要人を操っているイスラエルは世界的な嫌われ者だが、ラテン・アメリカが「新たなイスラエル」になるかもしれない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.04
J. D. バンス米副大統領は7月1日にマイケル・ロールズ・ショーに登場し、ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が6月17日に署名した合意文書(MoU)は石油の供給を回復させて石油経済を立て直し、備蓄を補充、枯渇したドローンやミサイルを補充してイランを壊滅させるために行う次の戦争に備えるための時間稼ぎだということを明らかにした。マルコ・ルビオ国務長官はイランに対する攻撃を再開しようと必死だ。 トランプ大統領はイラン攻撃に関する新たな計画を作成するように求めたものの、そうした試みはリスクが大きすぎると報告され、現時点では「外交交渉」を継続することにしたと伝えられている。まだ時間を稼がねばならないということだろう。 MoUではイランとレバノンへの攻撃が全面的に停止され、凍結されたイラン資産の一部を返還、イラン船舶に対する制裁を緩和し、海上貿易と国際輸送ルートを正常化、そして核問題は初期段階の協議に含まないとされている。 そのため、これはアメリカの降伏文書だとする人もいたのだが、トランプ政権はこの合意を守る意思がないので同意したのだろうと言う人もいた。バンス副大統領はMoUを単なる時間稼ぎだと主張、この懸念が正しかったことになる。 イラン側もこうしたことを理解している。最高指導者の選出および解任権限を持つ、上級イスラム法学者らで構成される「専門家会議」は、イランの交渉担当者らが欺瞞に満ちた邪悪な敵(アメリカ)の策略を十分に警戒し、指導部の「レッドライン」を遵守することは宗教的義務であり、いかなる状況下でもそれを侵害することは許されないと勧告している。 イランの交渉担当者とは、マスード・ペゼシュキアン大統領、モハンマド-バーゲル・ガーリーバーフ国会議長、そしてアッバス・アラグチ外相。アメリカ側の覚書に関する違反に対し、イラン側の対応は不十分だと批判されてきた。「専門家会議」もアメリカがMoUに書かれた条件を事項する意思がないと考えている。ペゼシュキアン大統領は自分自身の見解を専門家会議に説明しなければならなかった。イラン議会も交渉担当者を批判している。 アメリカ側もイラン側も戦争が再開されると考えているようだが、再開された場合、アメリカとイスラエルが勝てる見込みは小さい。2月28日にアメリカとイスラエがイランを奇襲攻撃した際にはイランからすぐに報復攻撃があり、西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などが攻撃され、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊された。再建などできていない。 斬首作戦でもイランの体制を転覆させることができず、カラー革命も機能しなかった。クルド人やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)の戦闘員を投入するとも言われたが、成功するとは思えない。核兵器を使用した場合、ロシアが報復する可能性がある。 イラン側の定めたルールを遵守する船舶はホルムズ海峡を航行できているというが、タンカーは減少したままだと伝えられている。すでにアメリカでは保有している戦略石油備蓄(SPR)の減少が激しく、余裕はない。トランプ政権は追い詰められているだろう。 トランプ大統領はウクライナにおける戦闘から距離を置こうとしてきたが、この戦況はNATO諸国にとって厳しい。状況を追いかけてきた人なら西側の大手メディアが事実を伝えていないことを理解しているだろう。 戦況に関する嘘は算数ができれば見抜かれてしまうような代物。すでにウクライナ軍は崩壊状態で、NATOが対ロシア戦争の主体になっている。 NATOから持ち込まれた長距離を飛行するドローンやミサイルはウクライナ軍が独力で飛ばせない。衛星からの情報、地上の情報網、ミサイルやドローンの誘導システムなどはNATOに頼らざるをえない。NATO軍がウクライナからロシアを攻撃しているのであり、すでにロシアとNATOが直接戦争を始めているのだが、劣勢。敗北は時間の問題だ。 ロシア社会が不安定化しているわけでもない。仕事や旅行でロシアにいる西側の人は少なくない。2022年2月からしばらくの間、ロシアにいる西側の人びとが西側でメディアが伝える話の嘘を発信していた。 一般人だけでなく、アメリカ人ジャーナリストのタッカー・カールソンが2024年2月6日に行ったウラジミル・プーチン露大統領とのインタビュー映像が公開されたが、その際、モスクワの様子も伝えている。 こうした偽情報を流す場合、西側の大手メディアは何らかの情報源を挟むことがある。その一例がモスクワ・タイムズ紙だ。オランダ人のダーク・ザウアーがモスクワで始めたオンライン新聞で、英語を話す観光客や駐在員が訪れる場所で無料配布されていた。2020年にはロシア語でのサービスを開始したが、2022年に本社をオランダのアムステルダムへ移転した。 同紙からキャリアを始めた記者のひとりがエレン・バリー。エール大学を卒業した1993年にスタッフ記者となり、95年まで働いた。2007年にニューヨーク・タイムズ紙へ入り、08年にモスクワ特派員、そして11年から13年までモスクワ支局長を務めている。 国民から支持されていないE3(イギリス、フランス、ドイツ)などの指導者はロシアを挑発してNATO諸国の領土を攻撃させ、完全な戦時体制へ持ち込んで支配システムを維持しようとしているようだが、ロシアがNATO加盟国を攻撃する時は、そうした国々を破壊すると決断したときだろう。沈みゆくNATO諸国は日本を巻き込もうとしている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.03

ウクライナを舞台としたロシア軍との戦闘ではドローンが飛び交い、戦場の様子は一変したが、戦況に変化はない。日本には「ウクライナの戦果は明らか」だと宣伝する人もいるのだが、その「戦果」とは何を意味しているのだろうか? ウクライナの衣を着たNATOは、生産力でロシアに圧倒されている。言うまでもなく、中国にも圧倒されている。1970年代からアメリカをはじめとする西側諸国は新自由主義と呼ばれる通貨カルトに支配され、製造業を衰退させてきた。通貨カルトにとって製造会社も商品のひとつにすぎず、解体され、売り飛ばされてきて経済力は急低下したのだ。 2022年2月にロシア軍がウクライナをミサイル攻撃しはじめめた当時には「ウクライナ軍」が前面に出ていた。すぐに停戦交渉が始まってほぼ合意に達したのだが、イギリス政府などの圧力で戦闘が激化した。当初、ロシア軍の戦力はウクライナ軍の戦力の数分の一だったが、ロシア軍が当時から優勢。 侵略軍は相手の数倍の戦力が必要だと言われているが、2022年にはそうした展開にならなかった。その理由は単純で、ウクライナの東部や南部はソ連時代にロシアから割譲された地域。ロシア文化圏に属し、住民は自分たちをロシア人だと考え、ロシアとウクライナにまたがって親戚がいるという人たちが多い。つまりウクライナ軍は占領軍であり、ロシア軍は「ホーム」で戦っているのだ。 すでにキエフを拠点とし、NATOの支援を受けているクーデター軍は壊滅状態。当初からNATOは兵器だけでなく将兵や情報機関員を派遣、軍事情報を提供していたが、その度合いが高まってきた。代理戦争のステージは終わり、直接戦争のステージに移行しているのだが、それでもロシア軍に圧倒されている。 そこで長距離を飛行できるミサイルやドローンを大量に発射、数機でも迎撃を免れることを期待するという戦法を採用、それを大手メディアに「大勝利」だと宣伝させているのだが、そうしたミサイルやドローンを飛行させるには専門のオペレーター、衛星からの軍事情報、地上からの情報、誘導するシステムなどが必要である。 ウクライナ軍だけでは長距離を飛行するドローンやミサイルを飛行させることは不可能であり、NATOの支援が必要だ。つまり現在のロシア攻撃はイギリス、フランス、ドイツを中心とするNATOが実行していると言えるが、ミサイルやドローンを生産するNATOの能力もロシアに圧倒されている。生産能力の不足を日本で補おうとするのは自然だ。 防衛研究所で中国研究室長を務める増田雅之は日本も将来の戦場における戦闘の大部分を担うであろうドローンの開発に注力しているとしているが、日本がウクライナへ接近する動きを見てロシア大統領府はロシアと日本の関係が「ゼロにまで低下した」と語っている。 すでにウクライナでの戦闘に足を踏み入れているからだが、中国政府も日本の軍事部門に警戒し始めている。アメリカの命令で中国やロシアとの関係を悪化させ、経済を崩壊へと導いている日本の政治家や官僚は兵器ビジネスに活路を見出そうとしているようだ。 日本とウクライナのドローン戦略で中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。これは日本の企業とウクライナの軍事会社による連携で、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するというが、現在、ウクライナにおける対ロシア戦争で使われているドローンはヨーロッパで生産されている。そうした西側の戦争ビジネスを日本のアカデミーの世界へも浸透させようとしているのだろう。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表されている。またアメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。開発能力や生産能力が衰えてきた欧米が日本に目をつけるのは必然だろう。 高市早苗政権は4月21日に「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を改訂、全ての防衛装備品の移転を可能にした。武器輸出の制限を緩和したのだ。 すでにアメリカはウクライナにおけるロシアとの戦争や西アジアにおけるイランとの戦争でミサイルやドローンが枯渇、戦場で圧倒される事態になっている。工業製品の生産能力が不足しているからで、その不足を日本に補わさせようということだろう。今後、日本は侵略戦争を続けているアメリカやイギリスをはじめとする国々に対し、殺傷能力のある兵器を輸出することになる。 日本では防衛装備を担当する部署として2015年10月に防衛装備庁が設置された。その下に防衛イノベーション科学技術研究所(DISTI)という機関が設置されたのは2024年10月のこと。DISTIのモデルはアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)と国防イノベーション・ユニット(DIU)で、DIUとは協力関係を推進していくようだ。 兵器にしろドローンにしろ、研究、開発、生産の背後にはアメリカが存在している。日本独自に行うということはありえない。2024年3月には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が編成されたが、これによって自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入ると言われている。 自衛隊の「指揮統制」において、指揮官らの判断を支援するAI(人工知能)としてパランティア・テクノロジーズの「メイブン・スマート・システム」を導入する動きがある。今年3月、アメリカ国防総省はこのAI指揮統制システムを採用すると発表しているので、アメリカの動きと連携している可能性が高い。このAIが自衛隊をアメリカ軍の一部として指揮するのだろう。 メイブンはデータ中心型のプラットフォームだとされ、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合する。今年2月に実施された日米共同統合演習「キーン・エッジ」でも試験運用された。 アメリカ国防省はロシアと並んで中国との戦争を想定しているが、その際にウクライナ的な役割を期待されているのが日本だろう。その布石として、菅直人政権は日本が経済的に強く結びついていた中国との関係を破壊する政策を開始した。昨年11月7日には衆院予算委員会で「台湾有事」について問われた高市早苗首相は「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言して中国を挑発している。 ところで、アメリカがロシアやイランに負けている最大の理由は新自由主義と呼ばれる通貨カルトの政策にある。その中でも生産の軽視と教育システムの破壊は大きな要因だろう。 新自由主義のアメリカでは公教育が破壊され、生産現場で働く技術者が足りなくなっている。アップルの故スティーブ・ジョブスは2010年の秋、当時アメリカ大統領だったバラク・オバマからアップルの工場をアメリカに建設してほしいと頼まれたのだが、それを拒否した。 ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニアが必要。アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできないというのだ。中国なしにアップルは機能しないということでもある。アメリカで工場を作って欲しいならそれだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だが、状況は改善されていない。 アメリカのエリート校は私立であり、高額の授業料を要求される。トルーマン・カポーティが書いた『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物は「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」と言っている。(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫) エクセター校とは「一流大学」を狙う子どもが通う有名な進学校で、授業料も高い。そうしたカネを捻出するため、「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないとカポーティは書いているのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重い。 その結果、アメリカでは経済的に豊かな親を持つ愚か者が高学歴になり、優秀でも貧しい子どもは排除される。知性のない富豪の子どもたちが跋扈する「一流大学」をありがたがるの愚かだ。 ハーバード大学教授から上院議員になったエリザベス・ウォーレンによると、教育費の負担が親の肩に重くのしかかり、破産する人が少なくないという。公立の学校へ通わせようとしても、少しでもまともな学校を選ぼうとするなら、家賃の高い地域へ引っ越さなければならないと彼女は指摘していたが、その時より現在はひどい状態だ。日本も同じ道を進み、国の力は衰退している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.02

ロシア軍はイギリスの海軍特殊部隊SBS(特殊舟艇部隊)が駐留するペルヴォマイスキー島に続き、キエフのダルニツキーにある化学会社の生産設備を6月29日に破壊した。 ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊は2022年2月以降にウクライナで回収した機密文書をイゴール・キリロフ中将の指揮下、分析し、アメリカ国防総省の内局であるDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると2022年3月に発表している。 ロシア軍が6月29日に破壊した会社はキリロフの報告書に含まれていることから、ダルニツキーの会社は生物化学兵器の製造に関わっていたとロシア軍は考えているのだろう。ところがキリロフの発表後も攻撃されずにきた。ロシア政府の姿勢に変化があったことを示唆する出来事のひとつである。 2023年4月にはロシア議会が報告書を発表しているが、その中で、アメリカの研究者が人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたと指摘している。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。この特性は「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と似ているのではないか。 長年医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワはその前にCOVID-19と国防総省の関係を指摘していた。アメリカでは裁判所の命令で医薬品メーカーやFDA(食品医薬品局)が隠蔽しようとした文書が公開されたが、彼女はその文書を分析、「COVID-19ワクチン」についてアメリカ国防総省のプロジェクトだと2022年に発表。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということになる。そうした企業は情報を公開する必要がなく、免責だ。 2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしている。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 1991年12月にソ連が消滅、翌年の2月にジョージ・H・W・ブッシュ政権でも軍事と外交はネオコンが抑えていた。ブッシュ大統領時代の国防長官はディック・チェイニー、そして作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツ。そのため、この指針は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと認識、国連や他国に配慮することなく、好き勝手に侵略できる時代が来たと考えた。そのドクトリンの最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。 手始めはビル・クリントン政権が1999年3月に実行したユーゴスラビア空爆。2000年にネオコンのシンクタンク、PNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)はこのDPGに基づいて「アメリカ国防の再構築」というタイトルの報告書を発表、ジョージ・W・ブッシュ(H・Wの息子)政権はその報告書に従って政策を進めることになる。(PNAC, “Rebuilding America’s Defenses,” PNAC, September 2000) この報告書を始動させ、アメリカに侵略戦争を開始させたのは2001年9月11日の出来事、いわゆる9/11だ。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、9/11から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)。そして2003年3月、ブッシュ・ジュニア政権はアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させ、リストに載った国々をアメリカは攻撃していく。そしてアメリカはイランにとりかかったのだが、敗北した。 こうした軍事作戦と並行して「COVID-19ワクチン」プロジェクトが進められた。ウクライナでアメリカの国防総省が生物化学兵器の研究開発をしていたのは必然だ。 西側の大手メディアは「COVID-19ワクチン」の危険性、ましてそれがアメリカの軍事作戦だということを伝えない。同じように、メディアはアメリカが展開してきた侵略戦争、例えばユーゴスラビア、イラク、リビア、シリア、イラン、ウクライナなどについて事実を無視、西側世界を支配している勢力が望む物語を宣伝してきた。 いわゆる「右翼」も「左翼」も大手メディアと同じ。強大な私的権力が支配する寡頭体制の枠組みの中で動き、発言している。民主主義体制を樹立するために私的権力と戦う意思のある人を大手メディアが取り上げることはない。 現在、西側の私的権力の手先として動いているウクライナ、NATO、イスラエルなどは追い詰められている。ウクライナでの戦闘はNATOが前面に出てきたが、そのひとつの結果がNATO諸国の軍人や情報機関員の死傷者増大だ。 ロシア軍はドンバス(ドネツクとルガンスク)方面で戦略的に重要なコスティアンティニフカを制圧したのに続き、ポクロウスクで進撃、ドンバス全域の制圧が視野に入ってきた。北東ウクライナにあり、ロシアとの国境に近いスームィまで数キロメートルまでロシア軍は迫り、ハルキウでも進撃している。ザポリージャやヘルソンでも前進、ウクライナやNATOは大手メディアを使った「大本営発表」で対抗するしかない状況だ。これがパランティアのAIが作成した作戦なのだろうか? すでにアメリカのネオコンがNATOを引き連れてウクライナで始めた対ロシア戦争、「新バルバロッサ」は敗北したと言える。ナチ政権下のドイツが1941年6月22日に300万人以上の兵力で始めたソ連への軍事侵攻作戦、「バルバロッサ」は失敗、ドイツは1945年5月8日にベルリンで降伏文書に署名した。 その直後、イギリスの首相だったウィンストン・チャーチルはソ連を奇襲攻撃するための作戦を立案するようにJPS(合同作戦本部)へ命令し、5月22日に「アンシンカブル」作戦が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が発動しなかったのは、イギリスの参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 現在、イギリス、ドイツ、フランス(E3)はロシアとの直接的な戦争へ向かっている。「新アンシンカブル」を考えているのかもしれないが、アメリカを巻き込まなければ話にならない。1945年にはイギリス軍がブレーキをかけたが、今回、ヨーロッパ諸国はロシアとの直接戦争に突入し、自滅するかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.01

ウクライナを舞台として戦闘に対するウラジミル・プーチン露大統領の姿勢が変化した。クレムリン大宮殿の聖ゲオルギーの間で行われた式典で、プーチン大統領はロシア軍の進撃状況を説明、ウクライナ東南部のドンバス(ドネツクとルガンスク)を含むノボロシアの完全な解放を訴えている。ここにきて戦略的に重要な工業都市、コスティアンティニフカをロシア軍は制圧したが、これは大きな節目になるかもしれない。 イギリス、ドイツ、フランス(E3)はウクライナを支援するため、迎撃ミサイル、長距離打撃能力、弾道ミサイル迎撃システムの共同開発や増産が急務だと主張している。そうした国々の首脳は、ウォロディミル・ゼレンスキーを利用してロシアにダメージを与えようとしている。長距離を飛行できるドローンやミサイルでモスクワやサンクトペテルブルクを攻撃、ロシア国内を動揺させようとしている。 当初、NATOは核戦争へ発展するリスクを避けるためにロシア領内を攻撃しなかったが、戦況が悪化するにしたがい、核戦争へ近づこうとしている。そうした無謀な作戦を実行するため、「ウクライナ軍は主導権を奪還し、ロシア軍に勝っている」というプロパガンダを必死に広めようとしている。E3の指導部はロシアに勝って賠償金を支払わせ、ロシアの指導部を戦争犯罪で裁くという妄想を頭の中に描いているようだ。 これに対し、ロシア政府はNATO諸国との話し合いで戦争を終えることは不可能だと認識、アラスカにおけるプーチンとトランプに会談はウクライナが軍を再建・再武装するための時間稼ぎだったと考えている。それは正しいだろう。西側情報機関の少なからぬ元分析官や情報将校は会談当時からそう指摘していた。 モスクワ高等経済学院の世界経済/国際関係学部の学部長を務めるセルゲイ・カラガノフ教授や元ロシア連邦軍参謀総長のユーリー・バルエフスキー退役上級大将のように、リスクを取らずに中途半端な政策を続けるべきでないと主張する人もいる。 カラガノフは、ロシアが核兵器を使用しない限りロシアへの攻撃は止まないだろうと主張、バルエフスキー退役上級大将は、「いつになったら本当に戦いが始まるのか?」と問いかけている。 プーチン大統領は6月23日、聖ゲオルギーの間で士官候補生に対し、西側諸国は「ロシアの脅威」を捏造した上で、その脅威を作り出したとしてロシアを非難していると述べている。西側では最初からわかっていた話だが、それをロシアの大統領が口にした意味は重い。 また、本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、ミハイル・ゴルバチョフが1990年に東西ドイツの統一を認めてから始まったNATOの東への拡大は新たなバルバロッサ作戦。プーチン大統領もそのことを指摘している。 この作戦は2014年2月にNATOがウクライナに手を伸ばした時に始まった。だからこそ、その時に動かなかったプーチン大統領が批判されてきたのだ。2014年2月にバラク・オバマ米大統領がキエフでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を暴力的に倒してネオ・ナチ体制を樹立したが、このクーデターは明らかに対ロシア戦争の一環だった。「新バルバロッサ」。この段階でロシア政府が動かなかったことをポール・クレイグ・ロバーツ元米財務次官補が批判していたのはそのためだ。 しかし、クーデター体制を拒否する国民は多く、特に東部や南部では7割以上がネオ・ナチ主体の政権を拒否、南部のクリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まった。 この反クーデター軍は強く、NATO諸国はクーデター体制の戦力を増強するため、ロシアに「停戦」を持ちかけて2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」を実現する。この停戦合意をキエフ政権は守らなかったが、ロシア政府は守った。 2022年に入るとNATOの指揮下にあるキエフ政権はドンバス(ドネツクとルガンスク)への砲撃を激化させ、大規模な軍事侵攻が噂される事態になる。 そこでロシア軍はウクライナに対するミサイル攻撃を開始、終結していたウクライナ軍部隊や軍事施設、そして生物兵器の研究所を攻撃したのだが、ロシア側は全面戦争を避けようとしてきた。ロシア軍の将軍が殺されても、モスクワやサンクトペテルブルクが攻撃されても自重してきた。 その間、ロシア軍はウクライナ軍を圧倒し、イギリスのベン・ウォレス元国防大臣は2023年10月1日、テレグラム紙に寄稿した論稿の中でウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えていると指摘していた。それだけウクライナ兵の死傷者は多く、武器弾薬も兵員も不足している。 必然的にNATOがウクライナへ派遣する軍人や情報機関員が増え、長距離を飛行してロシア領内の深奥部を攻撃できるドローンやミサイルがNATOから供給されるようになったが、そうした兵器を使うためには衛星からのデータ、地上の要員からの情報、飛行ルートの設定などが必要だが、そうした能力をウクライナの軍や情報機関は持っていない。そのためNATOが行っているわけで、すでに代理戦争から直接戦争へステージは進んでいる。 2014年のクーデターはソ連が消滅した1991年12月から始まったとも言える。ソ連消滅後、シオニストの一派であるネオコンは、アメリカが他国に気兼ねすることなく好き勝手に軍事侵略できる時代になったと考え、その考えに従い、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツを中心として、1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案が作成された。 このプロジェクトにおける最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンになる準備、つまり中国と戦争する準備を急ピッチで進めた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.30

自衛隊の「指揮統制」において、指揮官らの判断を支援するAI(人工知能)を導入する方針で、そのAIにパランティア・テクノロジーズの「メイブン・スマート・システム」が検討されているという。今年3月、アメリカ国防総省はこのAI指揮統制システムを採用すると発表している。 メイブンはデータ中心型のプラットフォームだとされ、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合するのだという。今年2月に実施された日米共同統合演習の「キーン・エッジ」でも試験運用された。 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が2024年3月に編成され、自衛隊がアメリカ軍の指揮下に入ると言われているが、アメリカ軍の自衛隊がメイブンを導入するのなら、その意味はそこにあるのだろう。 アメリカ軍は2月28日の対イラン攻撃でパランティアのメイブンを使用、攻撃開始から24時間に約1000カ所を破壊、10日以内に攻撃目標は5000に達したとされている。 その際、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害。そして女子小学生が通う学校も攻撃して約150名を殺害した。 アメリカの外交と軍事に大きな影響力を持つネオコンはソ連が消滅した直後の1992年2月、アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界征服プロジェクト、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成した。 そのドクトリンの最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。 しかし、日本はこの方針を嫌がり、抵抗する。1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗した結果、94年4月に倒されてしまう。同年6月から自民党は社会党やさきがけを巻き込んで連立政権を樹立、抵抗したが、押し切られた。 そして1995年2月、ジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令。このタイミングで日本を震撼させる出来事が相次いだ。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。 そして1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載、墜落の際に自衛隊が不適切なことを行なったと示唆した。 こうした衝撃的な出来事のあった1995年を境にして、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、2001年4月に内閣総理大臣となった小泉純一郎は新自由主義を積極的に導入、日本を戦争へと導いていく。そうした流れを止めようとした鳩山由紀夫政権は大手メディアや検察から激しく攻撃され、潰された。そして誕生した菅直人政権は中国との関係を破壊、その次の野田佳彦政権は「自爆」し、2012年12月に安倍晋三が総理大臣に復帰した。 アメリカのバラク・オバマ政権は2011年春にジハード傭兵を使ってリビアやシリアへの軍事侵攻を開始、14年2月にはウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させている。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。 日本は国防総省の計画に基づき、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を進め、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。中国を攻撃する準備が粛々と進められている。辺野古へ人々の注意を逸らさせる必要はなくなった。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。核弾頭を搭載することも可能で、中国やロシアの内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。 ところが、2月28日にアメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した後、イランから激しく反撃され、防空ミサイルやトマホーク・ミサイルが枯渇してしまった。そこで日本への配備が遅れている。日本に配備されるトマホークはイランと同じように中国を攻撃するために使われるということだろう。 下院議長だったナンシー・ペロシが2022年8月2日に台湾を訪問、中国を挑発した。リチャード・ニクソンは大統領として1972年2月に中国を訪問、「ひとつの中国」を認め、米中の国交を正常化した。中国をアメリカ側へ引き入れることでソ連との関係を引き裂こうとしたのだが、その目的は達成できたと言えるだろう。ニクソンが訪問した後、中国では新自由主義化が進んだ。 ペロシは2022年4月30日に下院議員団を率いてウクライナを訪問、ウォロディミル・ゼレンスキーに対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。2024年1月に彼女は、ガザにおけるイスラエルの大量虐殺に反対する人たちは「プーチンのメッセージ」を広めているのだと批判した。 ペロシを含むネオコンは中国との関係を悪化させ、ウクライナでの対ロシア戦争を推進、ガザでの大量虐殺を進めようとしていた。彼らにとって台湾独立(中国)、ウクライナのクーデター(ロシア)、ガザでの虐殺(西アジア)はひとつの戦争だということなのだろうが、いずれもネオコンの思惑通りには進んでいない。そうしたネオコンの作戦を作成しているのがパランティアだ。 この会社は2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設された。創設者はピーター・ティール(会長)とアレックス・カープ(CEO)を含む5名。ウォロディミル・ゼレンスキーは5月12日、カープCEOと会談したと語っている。 ティールは決済サービス企業のPayPalを創業した人物で、ドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサー。緊急通報システムで知られるカービンの重役でもあるが、カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校。同社の出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、バラクは同社の会長に就任している。ジェフリー・エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。 エプスタインは未成年の少女を性的に搾取/虐待するネットワークを構築した人物。そうした少女を世界の要人に提供し、その様子を記録、その弱みを利用して世界の政治経済を操っていた。 1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) ティールとエプスタインは2014年から16年にかけて会合を6回ほど予定していたことを示す文書が存在する。ティールの友人であるリード・ホフマンが彼をエプスタインに紹介したという。アメリカ下院の文書によると、エプスタインは2018年に彼を自身のプライベート・アイランドに招待していた。ただ、ティール側は彼がその島を訪れたことはないと主張している。 パランティアは2019年11月、SOMPOホールディングスと共同で日本法人のパンティール・テクノロギーズ・ジャパンを設立し、ヤマトホールディングスと提携、20年11月に富士通はパランティア・ジャパンと戦略的なグローバル・パートナーシップの発展に向けた契約を締結したと発表。今年1月に小泉進次郎防衛相はワシントンDCのパランティアを訪問した。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.29
ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が6月17日に署名した合意文書(MoU)には軍事攻撃の停止、ホルムズ海峡の商業船舶に対する60日間の通行料無料での航行再開、イランの港湾に対するアメリカ海軍の封鎖解除、停戦の60日間の延長などが規定されているが、イランは別名目で船舶から料金を徴収している。最終合意に到達すれば、アメリカによって凍結されたイラン資産の返還に加え、イランへの投資を促進することを目的とした少なくとも3000億ドルの民間基金も盛り込まれるというが、これをアメリカが呑むとは思えない。 MoU調印後もホルムズ海峡はイランが管理してきたが、国連の専門機関である国際海事機関(IMO)はUAE(アラブ首長国連邦)やムサンダム半島の海岸線に沿って進む代替ルートについてオマーンと調整してきた。これはイランが管理する航路を迂回するものだ。イランの革命防衛隊(IRGC)は6月25日、この新ルートについて警告を発した。 イランのIRNA通信によると、イランの海軍関係者はこのルートがイランへの事前通知や調整なしに設定されたと指摘、「容認できず、極めて危険である」と主張した。 ホルムズ海峡を通過するために認可された唯一のルートは自分たちが宣言したルートだとイランは主張、違反者に対しては厳正に対処すると宣言。そして6月25日、台湾の長栄海運(エバーグリーン・マリン)が運航するシンガポール船籍のエバー・ラブリーがオマーン沿岸近くの水路を航行中、IRGCのドローンに攻撃され、1機が甲板に命中。エバー・ラブリーはIMOが組織した船団を利用せず、単独でペルシャ湾を抜け出そうとしていた。 6月26日にアメリカ中央軍(CENTCOM)はアメリカ軍機がイランのミサイル/ドローンの貯蔵施設や沿岸レーダー拠点を攻撃したと発表した。ただアメリカ軍による攻撃はアメリカの大手メディアの主張とは違い、イラン側の被害は軽微で、イラン軍による報復攻撃もパフォーマンスにすぎなかったと伝えられている。 国際海事機関の試みはオマーンの協力があってのこと。同国はIMOと連携してペルシャ湾内から船舶を避難させるための回廊を開設した。オマーンの領海でイランが航行を妨害するわけにはいかないため、その回廊を常態化させた後に双方向の航行へ拡大、イランがホルムズ海峡を支配できないようにしようとしたわけだ。イラン政府はこうした展開を避けるため、オマーンの抱き込みを図っていたが、失敗したようだ。 イランとの戦争に敗れたアメリカだが、停戦期間を利用し、なし崩し的にホルムズ海峡の航行を復活させようとしたのだろう。この海峡をイランに管理させておくと、アメリカはペルシャ湾周辺の同国軍基地を再建することができない。逆にイランはアメリカからの軍事的な脅威を減らすため、ホルムズ海峡を管理する必要がある。 また、両国の間にはイスラエルという大問題が存在している。イスラエルはレバノンやパレスチナでの殺戮と破壊を継続、イランとアメリカが最終合意にたどり着ける可能性は大きくない。つまりアメリカとイランの軍事衝突は不可避だと見る人もいる。その時のためにもイランは海峡を管理し続けようとするはずだ。 このところ、イスラエルとアメリカが対立しているかのような話が伝えられている。そうしたことが起こっている可能性はあるが、深いところでイスラエルはアメリカやイギリスと結びついている。イスラエルはアメリカやイギリスの私的権力が作った「不沈空母」で、最終目標は西アジア全域の支配だろう。アメリカやオーストラリアと同じように、先住民を皆殺しにして全域を支配するつもりかもしれない。ちなみに、米英両国がユーラシア大陸の東側に作った「不沈空母」が日本にほかならない。ウクライナも似た状況だ。 そのウクライナにおける対ロシア戦争でアメリカやイギリスを含むNATO諸国は窮地に陥っている。ロシアが長期戦を仕掛けているため、生産能力の低いNATO諸国は軍事的にも経済的にも追い詰められているのだ。しかもアメリカとイスラエルが始めたイランとの戦争の余波で苦しみが強まっている。 西側の帝国主義国が対立しているロシア、中国、イランはいずれも資源があり、生産能力があり、技術力もある。そのベースになっているのは教育。アメリカの公教育は崩壊、有名大学もカネとコネで汚染されている。そのアメリカを追いかけているのが日本だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.28

ロシア軍は6月24日、黒海にあるペルヴォマイスキー島を攻撃したと伝えられている。ここは軍事要塞として作られた人工島で、攻撃の前にはイギリスのSBS(特殊舟艇部隊)が駐留、黒海北部を監視すると同時に海上ドローンと破壊工作活動に調整にあたっていた。ロシア領内への攻撃も指揮していた可能性がある。ロシア軍の攻撃でSBSの隊員10名以上が死亡したという。 ロシア軍の内部には2022年2月から同島を攻撃するように主張する意見もあったのだが、これまでロシア政府はそうした攻撃を許可していなかった。昨年8月15日にアンカレッジでドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領が会談、ロシア側は戦争終結を期待した人もいたようだが、そうしたことになるはずはなかった。プーチン政権もすでにそうした機体を失っている。 ウクライナを舞台にした対ロシア戦争はウクライナを使った代理戦争支援からNATOを主体とする直接戦争へ移行しつつある。アメリカは兵器や情報を提供しているが、戦場で目につくのはイギリスだ。 ロシア領の深奥部を攻撃するために射程距離550キロメートルの巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」が使われているが、これはイギリス製であり、衛星情報データの提供や攻撃目標や飛行ルートの設定はイギリスが行っている可能性が高い。ウクライナ単独で攻撃することは不可能だ。 キア・スターマーはイギリスの首相としてロシアを挑発し、首相の座を降りたわけだが、首相が国を動かしているわけではない。これは西側諸国全般で言えること。莫大な富を保有する私的権力が動かしている。その拠点はロンドンのシティであり、ニューヨークのウォール街と連携している。 長距離ドローンでロシア国内のエネルギー関連施設が攻撃され、燃料タンクが炎上している映像も流れているが、ロシア社会に対する影響は小さい。西側ではウクライナが勝利しつつと宣伝する人もいるが、そう知った状態ではない。戦闘でドローンの役割が高まったことから地上での戦闘方法が変化していること、またロシア軍は住民を救出しながら都市を制圧しているので時間を使っているだけだ。確実にロシア軍は支配地域を拡大させている。ロシア軍はここにきて戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧した。 本ブログでは繰り返し書いているようにウクライナの東部や南部はロシア文化圏であり、そこに住む人びとは自分たちをロシア人だと考えている。実際、大半の人はロシアに親戚がいて、今でも連絡を取り合っているようだ。そうした人びとをウクライナ軍は粛清している。 ウクライナの街頭では徴兵担当者が戦争の最前線へ送り込む男性を拉致しているが、最近ではその家族や通行人と担当者が乱闘になる様子を撮影した映像も伝えられている。さらわれ、兵士として戦場へ送り込まれた人びとは親衛隊などに監視され、トイレへ行くのも集団だと言われている。事実上、彼らは戦闘奴隷だ。 コロンビアなどラテン・アメリカからも傭兵が送り込まれているが、その中には犯罪組織のメンバーもいて、実戦で戦闘技術を身につけ、兵器を持って帰国し、警官隊と戦うケースもある。 戦闘奴隷や傭兵に戦わせているNATO諸国は自分たちがロシアと戦うつもりはなかったのだろうが、そうは言っていられない状態になっている。ロシア国内では対ロシア戦争の本体であるNATO諸国を攻撃するべきだとする意見が強まっている。 ボリス・エリツィン時代のロシアで西側の私的権力の手先になることで巨万の富を得たオリガルヒのうちクレムリンに従うことを誓った人びとは今でも影響力はあり、エリツィン時代のカネ儲けを夢見ているのだろう。そうした人びとの影響力が低下すれば、それはロシアにとって良いことだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.27

ホルムズ海峡が封鎖されたことで原油やガスのほか肥料の供給も途絶えて供給チェーンが混乱、世界経済は危機的な状況になっている。ドナルド・トランプ米大統領はホルムズ海峡が開放され、石油の輸送量が封鎖前の水準に近づいているかのように主張しているが、この主張は事実でないと言われている。 6月23日にホルムズ海峡を通過した石油タンカーのうちAIS(船舶自動識別装置)信号を発信していたのは7隻で、それ以外を含めると12隻になるとも言われているが、2月28日より前は1日平均40から50隻程度だという。つまり4分の1にも達しないということだが、現在、通過しているタンカーの行き先はアジア向けで、その大半は中国。日本政府とは違い、中国政府はイラン政府と交渉しているのだろう。 日本政府はアメリカ政府の代弁者であるかのようにイラン政府と話してきたと伝えられている。歴代日本政府は中東の産油国と友好的な関係を築き、イランとの関係も悪くなかったのだが、高市早苗政権はそうした関係を壊している。 日本の場合、最も有利なエネルギー資源の潜在的供給源はロシアなのだが、高市政権は中国と同様、ロシアとの戦争へ向かっている。西側の大手メディアによるプロパガンダとは違い、すでにウクライナ軍はロシア軍に圧倒され、ネオ・ナチで編成された親衛隊が残っているくらいのようだ。西側メディアが派手に伝えるロシアのエネルギー施設への攻撃は大勢に影響がない。石油を積んだドローンが攻撃に使われ、数機が防空システムに引っかからずに着弾すれば派手に燃え上がるようになっているだけだ。 2月28日とはアメリカとイスラエルがイランに対する騙し討ち攻撃を実行した日で、イランの最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺している。 トランプ政権はこの「斬首攻撃」でイランの体制は転覆すると考えていたようだが、そうはならなかった。イランはすぐに反撃し、西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などが破壊され、イスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺を攻撃している。 トランプ政権は昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを演出した。そのデモをコントロールするため、アメリカは約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。 スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関は反政府デモのリーダーたちに対し、イランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、どのように動くべきかを指示していたのだが、イラン政府はスターリンクを遮断することに成功して事態は沈静化した。 アメリカとイスラエルはイラン国内を不安定化する工作に失敗、そのまま斬首攻撃を実行して目的を達成できず、イランの反撃にあって敗北したわけだが、イランの体制転覆計画は1980年代からある。 アメリカのシオニスト、いわゆるネオコンはイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を樹立、シリアとイランを分断して個別に破壊しようとしたのだが、この計画はフセイン体制をペルシャ湾岸諸国の防波堤と認識していたジョージ・H・W・ブッシュ、ジェームズ・ベイカー、ロバート・ゲイツを含む勢力と衝突、両勢力による暴露合戦に発展し、「イラン・コントラ事件」や「イラクゲート」が表面化した。 1991年12月にソ連が消滅、ロシアが属国化されるとブッシュ政権で外交や軍事を握っていたネオコンは世界征服計画を作成する。ソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったと認識、誰にも配慮せずに行動できる時代になったと考えたのだ。その計画は、1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案として書かれている。 この草案を作成する際に中心的な役割を演じた人物が国防次官のポール・ウォルフォウィッツだったことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このプロジェクトにおける最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンになる準備、つまり中国と戦争する準備を急ピッチで進めた。 ネオコンのシンクタンク、PNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)はこのDPGに基づき、「アメリカ国防の再構築」というタイトルの報告書を2000年に発表、ジョージ・W・ブッシュ(H・Wの息子)政権はその報告書に従って政策を進めることになる。(PNAC, “Rebuilding America’s Defenses,” PNAC, September 2000) この報告書を始動させ、アメリカに侵略戦争を開始させたのは2001年9月11日の出来事。いわゆる9/11だ。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、9/11から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)。そして2003年3月、ブッシュ・ジュニア政権はアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させ、リストに載った国々をアメリカは攻撃していく。そしてアメリカはイランにとりかかったのだが、敗北した。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.26

1945年3月26日にアメリカ軍は慶良間諸島を占領、沖縄を戦場とする戦いは始まり、6月23日に第32軍の牛島満が自殺。9月7日の降伏調印で戦闘は終結した。アメリカ軍の推計によると、回収された日本兵の死体は14万2058人(日本軍に徴用された民間人を含む)、そのうち約4万2000人は戦闘に巻き込まれて死亡した民間人だという。「平和の礎」に名前が刻まれている沖縄人は14万9703人。日本軍が戦争を続けていた目的は「国体護持」、つまり天皇制官僚システムを守ることにあり、国民のために戦っていたわけでも沖縄を守っていたわけでもない。 現在、当時の沖縄と似た状況にあるのがウクライナだ。アメリカのバラク・オバマ政権はビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すため、2013年11月にキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で反政府運動を開始した。 翌年の2月から棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にして前面に出てきたネオ・ナチのグループは石や火炎瓶を投げるだけでなく、ピストルやライフルで銃撃も始め、クーデターを成功させた。その際、2500丁以上の銃をネオ・ナチは広場へ持ち込んでいたとも言われている。 広場の状況を一気に悪化させたのは広場での狙撃。第1発目は音楽協会ビルから撃たれたのだが、そこを管理していたのはネオ・ナチの指導者だったアンドレイ・パルビー。スナイパーは外国人も雇われていた。 この狙撃を調査するため、2014年2月25日にエストニアのウルマス・パエト外相がキエフへ入った。その結果を彼は26日にEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話でスナイパーはヤヌコビッチでなく、反ヤヌコビッチ勢力だと報告しているが、ヤヌコビッチの排除を優先するアシュトンは「議会を機能させなければならない」と応じている。 2017年11月にはパエトの報告を裏付けるドキュメントがイタリアで放送されている。その中で自分たちが狙撃したする3人のジョージア人が登場、警官隊と抗議活動参加者、双方を手当たり次第に撃つよう命じられたとしている。この3人は狙撃者グループの一部で、治安部隊のメンバーとしてジョージアから送り込まれたいう。その証言者によると、キエフのクーデターはジョージアで実行されたバラ革命と同じシナリオで、狙撃の指揮者はアンドレイ・パルビーだとも語っている。(その1、その2) またふたりの研究者、オタワ大学のイワン・カチャノフスキーとカリフォルニア州のCETIS(テロ情報研究センター)のゴードン・ハーンも狙撃はスボボダや右派セクターなどによって行われたという結論に達しいている。(Medea Benjamin & Nicolas J. S. Davies, “War In Ukraine,” OR, 2022) パルビーは2014年5月2日のオデッサ虐殺において中心的な役割を果たした。この虐殺では、数十人のロシア系住民が労働組合会館に閉じ込められ、建物が放火された後に殺害された。元SBU職員のヴァシリー・プロゾロフによると、パルビーは当日、武装民族主義過激派のオデッサへの移送を組織し、その調整を監督していた。 その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、サッカー・ファンを乗せた列車が午前8時に到着、そのファンをネオ・ナチの「右派セクター」が挑発、広場へと誘導、住民虐殺に繋がった。 こうしたウクライナを舞台にした戦争が始まるのだが、軍や治安機関のメンバーのうち約7割は組織を離脱、一部はドンバスの反クーデター軍に加わったと言われている。そのため反クーデター軍はクーデター軍より強く、NATO諸国はロシアに停戦を持ちかけ、同意させた。それが2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。 クーデター体制は西側に支援されていたが、国民から支持されていたとは言えない。特にヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部は明確に拒否、オデッサはネオ・ナチによる住民虐殺で抑え込まれたが、クリミアはいち早くロシアと一体化、ドンバスでは武装抵抗が始まった。これらの地域はウクライナが独立を宣言した当時、住民投票でウクライナからの独立を決めていたが、西側から拒否され、実現しなかった。 クーデター後のウクライナではネオ・ナチが跋扈する国になり、ロシア系住民は弾圧され、言論の自由はなくなり、西側の意に沿わない政党は存続することができなくなった。そうした中、2019年の大統領選挙で登場したのがコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキー。反エスタブリッシュメントや反汚職を訴え、「平和の大統領」を名乗った。 その結果、腐敗してロシアとの戦争へ向かうクーデター体制を嫌っていた人びとに支持されて当選したのだが、政策は変わらなかった。西側の「民主主義国」と同じことが起こったわけだ。ゼレンスキーの任期は2024年で切れ、国民にも支持されていないが、いまだに「大統領」を名乗っている。 このゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問したが、その際、同国の対外情報機関MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーアMI6長官だと推測されている。 現在、ウクライナでの戦闘はNATOが前面に出てきた。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが中心だが、ここにきて特に目立つのはイギリス。ロシア領の深奥部を攻撃するために使われている射程距離550キロメートルの巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」はイギリス製だ。 このミサイルで攻撃するためには衛星情報データが必要で、攻撃目標や飛行ルートを設定する必要もある。つまりウクライナ単独では不可能であり、イギリスがロシア領を攻撃したのだ。このミサイルによるロシア領への攻撃を無視した場合、ウラジミル・プーチン露大統領に対する国内の批判は高まる。キア・スターマーはイギリスの首相としてロシアを挑発し、首相の座を降りた。 ウクライナにおける対ロシア戦争でNATOは代理戦争支援から直接戦争への準備へと移行した。ロシアはこれまで以上に大きな戦争に備えていると言われているが、ヨーロッパ諸国は状況を認識できているのだろうか?**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.25

ウクライナを操っているNATOはモスクワやクリミアへの攻撃を実施しているが、使用しているドローンには石油を搭載、数機が防空システムを掻い潜って爆発しても派手に見えるようになっていた。西側諸国が得意なハリウッド映画風の演出だ。 その攻撃から85年前の6月22日、ナチス政権下のドイツ軍は同盟国の軍隊とともにソ連に軍事侵攻した。バルバロッサ作戦だ。その時に投入されたドイツ兵は300万人以上だが、西部戦線に残ったドイツ軍は100万人に満たなかった人と言われている。 この作戦を実行するのに必要な量の石油をドイツは保有していなかったのだが、アメリカのスタンダード石油から供給を受けていた。ドイツへ石油を直接売ることが難しくなったスタンダード石油はベネズエラにあった支社からスイス経由でドイツ占領下のフランスへ売り、そこからドイツへ運んでいたという。 バルバロッサ作戦が始まってから半年後の1941年12月7日、日本軍はマレー上陸作戦を開始、その直後にハワイの真珠湾にあったアメリカ軍基地を奇襲攻撃したのだが、当時、日本にも十分な石油がなかった。真珠湾攻撃の前に行われた試算によると、アメリカと戦争を始めれば3年目から石油が不足すると見通されていた。 日本軍は1939年5月から同年8月にかけてソ連軍とノモンハン付近で戦闘、惨敗した。そこでソ連へ攻め込むべきだとする「北進論」が日本軍の中で勢いを失っていた。1940年からは東南アジアの資源を狙った「南進論」に基づいて動き始め、その年の9月にはフランスが植民地にしていたインドシナを攻撃する。その地域にはイギリスの利権も存在していた。1941年7月に日本軍は「関東軍特種演習」という名目でソ連への軍事侵攻を計画したが、8月に中止が決まり、北進論は消えた。 フランクリン・ルーズベルト大統領はその当時、日本に対する石油の禁輸は「日本をインドシナへ駆り立てる」として消極的。日中戦争が始まる前、つまり1937年までの日本に対する石油輸出量は維持するとしていたが、アメリカでは財務省が石油代金の支払い方法で日本に圧力を加えていた。(岩間敏「戦争と石油(1)」石油・天然ガスレビュー、2006年1月) バルバロッサ作戦の準備に半年から1年は必要だっただろう。1940年6月から12月ということになるが、ドイツ軍は1940年9月から41年5月にかけてロンドンを空襲している。この攻撃でロンドン市民4万人から4万3000名が死亡したという。ソ連への軍事侵攻を計画していたであろう時期にドイツ軍はロンドンを攻撃していた。陽動作戦だった可能性がある。 ロンドンへの空襲が始まる直前、1940年5月下旬から6月上旬にかけてイギリス軍とフランス軍の兵士34万人がフランスの港町ダンケルクから撤退しているのだが、その際にアドルフ・ヒトラーは追撃していたドイツ機甲部隊に進撃を停止するように命じている。その命令は「謎」とされている。 バルバロッサ作戦の際にドイツ軍が西側に戦力をあまり残さなかったことと考え合わせると、ヒトラーには英仏軍を壊滅させる意思がなく、警戒もしていなかったように見える。(David M. Glantz, “The Soviet-German War 1941-1945,” Strom Thurmond Institute of Government and Public Affairs, Clemson University, October 11, 2001) ソ連へ攻め込んだドイツ軍は1941年7月にレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫る。ソ連軍は敗北し、再び立ち上がることはないと10月3日にヒトラーはベルリンで語り、ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) ところが1941年12月からソ連軍の反撃が始まり、モスクワ攻防戦は翌月上旬にドイツ軍の敗北で終わる。1942年8月にドイツ軍はスターリングラード(現在のボルゴグラード)市内へ突入して市街戦になった。当初はドイツ軍が優勢に見えたが、11月になるとソ連軍が猛反撃に転じ、ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲され、1943年1月に生き残ったドイツの将兵9万1000名は降伏する。 それを見てチャーチルとルーズベルトはすぐにモロッコのカサブランカで会談、シチリア島とイタリア本土への上陸を決め、「無条件降伏」を要求し始める。 計画通り、その年の7月にアメリカ軍とイギリス軍はシチリア島に上陸する。ハスキー計画だ。9月にはイタリア本土を占領、イタリアは無条件降伏する。ドイツ軍の主力は東部戦線で壊滅していたわけで、難しい作戦ではなかった。すでに書いたように、この作戦を主導したのはアメリカ。チャーチルはバルカン半島からの攻撃を望んでいた。ノルマンディー上陸作戦はその翌年だ。最近はアメリカ軍とドイツ軍が戦ったと思っている人が少なくないようだが、これはハリウッドが作り出した御伽話にすぎない。 アメリカが参戦しなくてもヨーロッパではドイツが敗北し、ソ連が勝利することは確定的だったが、アメリカが参戦しなければ、東南アジアでイギリスは日本に利権を奪われることになる。イギリス政府の高官もアメリカの参戦なしに戦争で勝利できないことを理解していた。日本軍の真珠湾攻撃によってチャーチルは大英帝国を生きながらえることができたのだ。(Nu’man Abd Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle, Zero Books, 2020) 真珠湾攻撃で日本とアメリカとの戦争が始まったわけだが、日本にとってこの戦争がいかに無謀だったかを論じる人は今でも少なくない。確かにその通りだろうが、日本はすでに大陸で戦争を行い、泥沼化していた。1937年時点で中国側の戦力は1600万人、そこへ410万人の日本軍が侵攻したわけで、無謀としか言いようがない。中国を制圧することが不可能なことは最初から明白だった。なぜそのような無謀な侵攻作戦を実行したのだろうか? アメリカ人ジャーナリストのスターリング・シーグレーブとペギー・シーグレーブによると、日本軍は南京を攻略した1937年12月から組織的な財宝の略奪、いわゆる「金の百合」を始める。この略奪工作を指揮していたのは秩父宮雍仁で、補佐役は天皇の従兄弟にあたる竹田宮恒徳だという。秩父宮は駐日アメリカ大使を務めていたジョセフ・グルーとつながっていった。グルーのいとこはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアの妻だ。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) ちなみに、上海派遣軍の司令官として南京攻略戦に参加、事実上の最高責任者だった人物は朝香宮鳩彦。昭和天皇の叔父にあたる人物だ。南京攻略の中心人物は秩父宮と朝香宮、つまり皇族のふたりだったとも言えるだろう。 金の百合作戦で日本軍が略奪した財宝の総重量は6000トンに達したと言われている。それらはフィリピンに集められ、そこから日本へ運ぶことになっていた野田が、戦争の途中で輸送が困難になり、フィリピンに隠すことになる。いわゆる「山下兵団の宝物」だ。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本の敗戦が決まった当時、フィリピンを担当していた日本軍第14方面軍の司令官が山下奉文大将だったことからそう呼ばれるのだが、赴任してきた1944年9月に財宝の集積作業は終盤にさしかかっていた。作戦を指揮した人物とは言いがたい。 作業が進められていたと思われる1941年11月当時の第14軍司令官は本間雅晴中将、翌年8月からは田中静壱中将(当時)、43年5月からは黒田重徳中将、その次が山下大将だ。途中1944年に第14方面軍へ名称が変更された。このうち本間中将は1946年4月にマニラで刑死、田中大将は45年8月に自殺し、山下大将は46年2月にマニラで刑死している。 日本軍の財宝略奪作戦をアメリカやイギリスの情報機関は戦争中から知っていて、日本が降服するとすぐに回収工作を始めた。そして1945年10月中旬、OSS(CIAの前身)のエドワード・ランズデール大尉(当時)は財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功した。このランズデールはこの後、CIAの秘密工作に関わる。ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺でも名前が出てきた。 1991年12月にソ連が消滅した後、アメリカをはじめとするNATO諸国はこの軍事同盟を東へ拡大させていく。NATOの東への拡大は「新バルバロッサ作戦」にほかならない。 ミハイル・ゴルバチョフが1990年に東西ドイツの統一を認めた際、NATOを東へ拡大させないという条件がついていた。その条件の存在を国務長官だったジェームズ・ベイカーは否定していたが、ドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) また、ドイツの外務大臣だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年2月にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) それ以外にも、例えばゴルバチョフ大統領やシェワルナゼ外務大臣に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないとベイカー米国務長官が1990年2月9日に語ったとする記録をジョージ・ワシントン大学のナショナル・セキュリティー・アーカイブが2017年12月に公開している。 バラク・オバマ政権は2014年2月にキエフでクーデターを成功させ、NATOはウクライナを飲み込もうとする。「新バルバロッサ」が始まろうとしていたと言えるのだが、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は動かなかった。これはアメリカ側も意外に思ったようだ。 クーデターの後、ウクライナの軍や治安機関のメンバーは約7割が新体制に残ることを拒否、その一部は東部のドンバスで武装抵抗を始めた。一般のウクライナ人も同程度の比率でネオ・ナチが支配する新体制を拒否していた。 それをNATO諸国は力で押さえ込もうとしたのだが、反クーデター軍はキエフのクーデター軍より強く、西側諸国は「停戦」で時間稼ぎすることになったのだ。 そして2022年2月にNATOはウクライナでロシアと戦闘を開始するのだが、一貫して劣勢。アメリカやイギリスはウクライナのスラブ人とロシアのスラブ人に殺し合いさせ、共倒れになってから乗っ取ろうとしたのだろうが、ロシア軍が圧倒している。明治維新以降、日本はイギリスやアメリカの影響下にあり、アングロ・サクソンの支配者に従属することで富と地位を得てきた集団が存在している。そうした集団は「神風」が吹いてロシアが負けることを願っているようだが、神風は吹かない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.24

キア・スターマー英首相は6月22日にダウニング街10番地前で演説、辞任すると発表した。同時に労働党の党首からも退く。EU、そしてほかのEU諸国と同じようにスターマーはヨーロッパの利益を無視してロシアとの戦争を推進、パレスチナで大量虐殺を続けているイスラエルを支援してきたほか、増税、福祉削減、検閲、政治スキャンダルといった政策を推進、国民からの反発は強まっていた。これはフランスやドイツと似た状況だ。 イギリスの二大政党である保守党と労働党はイスラエルのロビー団体である労働党イスラエル友好協会(LFI)と保守党イスラエル友好協会(CFI)の影響下にあるが、その2協会に資金を提供している人物としてサー・トレバー・チン卿が知られている。チンはイスラエルのパレスチナ人虐殺に批判的だったジェレミー・コービンを攻撃する一方、キア・スターマーが首相になるのを助けた。 2005年にチンは「イスラエル・英国ビジネス協議会」の共同議長としてイスラエルを訪れ、アリエル・シャロン首相の輸出国際協力会議に参加、18年にはトニー・ブレア元首相をはじめとするイギリス政界の有力者数名が出席したハイム・ヘルツォグ元イスラエル大統領の盛大な祝賀会を共同主催している。またイギリス外務省と密かに会談し、イスラエルへの武器輸出について助言を行ってきたとも言われている。 有力メディアもコントロールしている親イスラエル勢力は2020年にパレスチナ人虐殺に批判的だったコービンを労働党党首の座から引き摺り下ろすことに成功、その年の党首選挙でスターマーが勝利した。その年にスターマーはチン卿から5万ポンドを受領。それ以来、彼は「無条件でシオニズムを支持する」と公言している。2019年までスターマーは労働党のパレスチナ中東友好協会に所属、「人権を外交政策の中心に据える」と公約していたのだが、チンから資金を受け取ってからわずか数週間後、シオニストへ豹変したわけだ。 スターマーの前は保守党の首相が続いた。2010年から16年にかけてはデイビッド・キャメロン、16年から19年にはテリーザ・メイ、19年から22年にはウクライナの停戦合意を破壊したボリス・ジョンソン、22年にはロシアに対する憎悪を丸出しにしていた地理の知識がないリズ・トラス、22年から24年まではリシ・スナク。1997年から2007年までは労働党のトニー・ブレアだったが、この人物も親イスラエルで有名だ。 イギリスの労働党は元々親イスラエルだったが、1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラで虐殺事件が引き起こされた後、親パレスチナへ変化。危機感を抱いた親イスラエル派が引っ張り出したのがブレアにほかならない。 ブレアとイスラエルとの関係は遅くとも1994年1月に始まった。このときにブレアは妻のチェリー・ブースと一緒にイスラエル政府の招待で同国を訪問、帰国して2カ月後にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介されたのだ。 その2カ月後、つまり1994年5月に労働党の党首だったジョン・スミスが心臓発作で急死、その1カ月後に行われた新党首を決める投票でブレアが勝利している。レビーやLFIのようなイスラエル・ロビーを資金源にしていたブレアは労働組合の影響を受けず、マーガレット・サッチャーの再来と言う人もいた。 ブレアはオックスフォード大学で富と地位のある親を持つ学生しか入れない結社「ブリンドン・クラブ」に所属していた。デイビッド・キャメロンもボリス・ジョンソンも同クラブ出身だ。そのほかナサニエル・ロスチャイルドもいる。政党名にとらわれていてはイギリスの支配構造を理解することができない。 ロシアのエネルギー資源を支配しようとしたジェイコブ・ロスチャイルドはナサニエル・ロスチャイルドの父親。その計画はウラジミル・プーチンのグループによって阻止された。 そのジェイコブの下で働いていたのがミハイル・ホドルコフスキー。ソ連時代に彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者を務めていたが、そのときにロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばす手助けをしていた疑いがある。ソ連時代の1989年に彼はリチャード・ヒューズなる人物とロシアの若い女性を「モデル」としてニューヨークへ送るビジネスを始めたのだ。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998) ジェフリー・エプスタインのグループも未成年の女性を「モデル」として売買していた。欧米のショー・ビジネスはこのシステムの一部を構成している。エプスタインはギレーン・マクスウェルと親密だった。ビル・クリントン元米大統領によると、彼がエプスタインよりギレーン・マクスウェルと親密だったのはロスチャイルド家との関係が深かったからだと宣誓供述しているが、エプスタインもロスチャイルド家と結びついている。 NATOはウクライナでロシアと戦っているが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントで、ハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官を務めていたリチャード・ムーアだろうとアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターはドキュメンタリーの中で推測している。 現在、対ロシア戦争でNATOの中心にいるのはMI6だと見られているが、その背景にはシティ、つまりイギリスの金融資本が存在している。これは一種の私的権力だ。 それを遡ると19世紀のイギリス政界では反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)、その後にはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、セシル・ローズというグループが存在する。 ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、『信仰告白』を書いているのだが、その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、そのアングロ・サクソンが「住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」としている。 また、「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土は単にアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」という。 実際、イギリスはアイルランド、アメリカ、オーストラリアで先住民を大量虐殺、パレスチナをはじめとする西アジアで同じことをしていると言える。 イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開いた。いわゆる「バルフォア宣言」だが、ここからパレスチナ人虐殺が始まる。 ところで、ディズレーリが書いた小説『コニングスビー』の中に、次のようなことが書いてある。「(ジョン・)ハムデン(=オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(=名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」 その計画通りイギリスは寡頭勢力が支配、そのシステムはEUにも採用されている。その寡頭体制を民主主義だと主張する人の気がしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.23
イラン革命防衛隊(IRGC)が船舶の航行許可証の発行を当面停止、ホルムズ海峡は閉鎖されたと伝えられている。イランとアメリカは6月18日に遠隔で合意文書(MoU)に署名したが、イスラエルがレバノンに対する攻撃をやめず、軍を撤退させてもいないからだ。 アメリカとイスラエルは2月28日にイランを騙し討ち攻撃し、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む指導部を一気に暗殺して始まった戦争でアメリカとイスラエルは事実上、負けた。攻撃用のミサイルやドローン、そして防衛用ミサイルが枯渇してしまったのだ。その間にイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺を攻撃し、アメリカ軍が西アジアに駐留している基地、例えばカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地などが破壊されている。 アメリカとイスラエルはこの奇襲攻撃でイランの体制を転覆、親イスラエル体制を樹立するつもりだったのだろうが、逆に敗北、ホルムズ海峡封鎖という事態になり、アメリカだけでなく世界の経済が危機的な状態になった。 少なからぬ人が指摘していることで、本ブログでも書いたことだが、アメリカが保有している戦略石油備蓄(SPR)の減少が激しい。ニューズウィーク誌はEIA(エネルギー情報局)が公表した統計に基づき、5月中旬にSPRを含む総貯蔵量はほぼ1年ぶりの低水準まで落ち込んだと指摘。5月下旬には3億7200万バレル、6月12日までの週には3億4025万まで減少していた。また夏には東アジアや欧州諸国で「在庫が底をつく」状態となるため、アメリカからの輸入需要がさらに高まるともしている。 SPRの地下貯蔵庫の石油レベルが貯蔵容量の約20%を切ると貯蔵庫の構造的健全性が損なわれる可能性があると言われているが、SPRの設計貯蔵容量約7億2,700万バレルであり、約1億4500万バレルが危機ラインだと言える。6月12日までの週に3億4025万バレルだったので、余裕は約1億9500万バレルということになる。アメリカでは1日に2000万バレルを消費するとされているので、10日弱。SPRだけを消費すると仮定すると10日分にもならない。 それだけ逼迫しているわけで、だからこそドナルド・トランプ米大統領はイランに「降伏」したのだが、これはホルムズ海峡の航行を復活させることが目的だったと推測されている。 イスラエルはイギリスを支配する私的権力がサウジアラビアの後に作り上げた国であり、イギリスもアメリカも「航空母艦」として使っている。イスラエルを運営しているカルト集団もいるが、この集団が主人であるわけではない。アメリカやイギリスがその気になればイスラエルは存在しえない。 パレスチナにイスラエルを「建国」しようというシオニストが生まれたのはエリザベス1世の時代(1593年から1603年)のイングランド。当時、スペインやポルトガルは南アメリカを侵略し始め、アステカ王国やインカ帝国を倒して金、銀、宝石などを略奪、先住民を酷使して鉱山開発も行った。 そうした鉱山の象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。この銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。 そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイングランド。エリザベス1世が雇った海賊にはジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーがいる。人身売買にも手を出してた海賊にはナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) こうしたイングランドの支配集団から「ブリティッシュ・イスラエル主義」が出現、これがシオニズムになる。 最初のキリスト教シオニストは16世紀に生きた司祭のギヨーム・ポステルだとも言われている。彼はフランス国王に聖地の再征服、ローマ教皇制の腐敗の終焉、そして黄金のモスクの跡地に第三神殿の再建を求めた。それが実現すれば、すべての隠された事柄が明らかになり、世界にはカバラという一つの宗教だけが存在するようになるというのだ。 当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった。 19世紀のイギリスには世界侵略を推進する政治家がいた。反ロシアで有名だったヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)だ。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで彼は首相を務めている。ビクトリア女王に対し、アヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継ぐ。 アングロ・サクソンが世界を征服するべきだと主張したセシル・ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした。 ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会した後、『信仰告白』を書いたが、その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張し、そのアングロ・サクソンが「住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」と主張、「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土は単にアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」としている。 キャロル・クィグリーによると、1901年まで「選民秘密協会」を支配していたのはローズ。彼以降はアルフレッド・ミルナーを中心に活動した。ミルナーはシンクタンクのRIIA(王立国際問題研究所)を創設した人物としても有名で、「ミルナー幼稚園」や「円卓グループ」も彼を中心に組織されたという。アメリカのCFR(外交問題評議会)はRIIAの姉妹組織だ。 アメリカ、イギリス、イスラエルはヨーロッパの属国を率いてロシアに戦争を仕掛け、西アジア全域の支配を目指し、アルバニアやアゼルバイジャンの政府はイスラエルに乗っ取られ、キプロスの半分はイスラエルの植民地と化し、アルゼンチンもイスラエルに支配されつつある。 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は根が深く、和平の実現は至難の業。アメリカやイギリスの私的権力が彼らの長期戦略を放棄しない限り、無理だ。アメリカやオーストラリアの先住民が大量虐殺されたのも、そうした長期戦略に基づいている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.22
露軍がコスティアンティニフカ包囲を継続 ロシア軍は包囲してコスティアンティニフカの市内へ市の北西部から入り、工業地帯と高層住宅街へ立てこもったウクライナ軍部隊を掃討、私服で市外に脱出するウクライナ軍将校も少なくないという。 この都市はドネツクにおける戦略的に重要な工業都市で、この地域におけるウクライナ軍最後の主要防衛線を形成する一連の都市へ繋がっている。そのため、コスティアンティニフカが陥落すれば、北部地域はロシア軍が使っているドローンの射程圏内になる。またウクライナ軍はすでに装甲車両で移動できない状態で、兵站線が断ち切られつつあるようだ。このほか全ての戦線でロシア軍が前進している。 そこでウクライナ軍はロシア軍の進撃を阻止するため、コスティアンティニフカ近郊のルシン・ヤール村付近でアンモニアパイプラインを爆破したのだが、そこまで追い詰められていると言える。だからこそドナルド・トランプ大統領はウクライナから離れ始めたのだが、イギリス、フランス、ドイツ(E3)をはじめとするヨーロッパの寡頭体制はロシアとの戦争に執着している。イスラエルと同様、米国頼りの欧州寡頭制 E3と同じように、日本を管理している勢力はアメリカがロシアやイランを簡単に粉砕できるという前提で戦争を始めた。その前提が崩れているのだが、軌道修正できずにいる。戦況が不利だと認識してウクライナやイランから距離を置きたがっているアメリカとは違う。 イスラエルと同じようにアメリカを戦争へもう一度引き込もうと必死なE3では政府の支持率が大きく低下している。自国を破滅へと導いていることを認識しているからだが、日本政府は「首なし鶏」のように走り回りながらロシアや中国との戦争へ向かい、イランを敵に回した。 日本では明治維新以来、天皇制官僚システムというカルト体制が続いている。その背後に存在しているのがシティやそこからスピンオフしたウォール街の私的権力、つまり金融資本。戦前も戦後も日本を動かしているのは米英の私的権力が代理人として使っている人びとだということは本ブログで繰り返し書いてきた。 ところが、現在、日本を動かしている勢力が従っている米英の私的権力は揺らいでいる。その私的権力の政治部門として活動してきたネオコンは傲慢で、その腕力頼みの戦術が中国とロシアを接近させ、ここに来てイランが中露と同盟関係を結ぶことになった。 それを見てアメリカの非ネオコン勢力はウクライナやイランでの戦乱から距離を置き始め、混乱の責任をウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフに押し付けて逃げようとしている。 オバマ政権がロシアとの政治的、そして軍事的な緊張を高め、結果としてロシアと中国を接近させたネオコンの戦略に危機感を覚えたヘンリー・キッシンジャーは2016年2月にモスクワを訪問してロシアとの関係修復を図り、その路線をドナルド・トランプが進ことになるが、民主党はCIAやFBIと共同で「ロシアゲート事件」をでっち上げ、その目論見を妨害した。 これも本ブログで何度も書いてきたことだが、ネオコンはキエフのネオ・ナチ体制の軍事力を増強するため、2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」、ふたつの「停戦」で時間を稼いだ。 2022年に入るとNATOの指揮下にあるキエフ政権はドンバス(ドネツクとルガンスク)への砲撃を激化させ、大規模な軍事侵攻が噂される事態になったが、ウクライナ軍が動く前にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を開始、終結していたウクライナ軍部隊や軍事施設、そして生物兵器の研究所を攻撃した。 当初、ロシア軍の兵力はウクライナ軍の数分の1だったと言われているが、ウクライナ軍は圧倒される。ドンバスの反クーデター軍が強かったこともあるが、ドンバスを含むウクライナの東部や南部はロシア文化圏で、そこに住む人びとは自分たちをロシア人と認識していた。つまり、ロシア軍はホームで戦っていたのであり、事実上、ウクライナ軍は占領軍だったのである。 そこでキエフ政権はすぐにロシア政府と停戦交渉を開始、ほぼ合意に達した。仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話した。 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。SBUはその3月5日、キエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われ、やはり停戦でほぼ合意に達していた。その際に仮調印されているのだが、「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。 それに対し、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領に命令、停戦合意は壊された。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) ウクライナで戦争を始めたネオコンはイギリスと関係が深く、そのイギリスはウクライナとロシアの停戦も壊した。ロシアを戦争で疲弊させようとしていたイギリスはウクライナが戦争を止めることを許さなかったわけだ。その一方、ネオコンはイスラエルと共同でイランを奇襲攻撃して体制の転覆を図った。そのネオコンが書いたシナリオ通りに動いているのが日本だ。キエフ体制とシティの私的権力 現在のウクライナ体制を作り出したのはアメリカのバラク・オバマ政権。ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すため、2013年11月から14年2月にかけての時期にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で仕掛けたクーデターを仕掛け、成功したのだ。 当初の反政府集会はカーニバル的な雰囲気で、2014年12月に参加者は約50万人に膨らんだという。翌年の2月にネオ・ナチのグループが前線に現れ、広場は修羅場と化した。 ウクライナでは当時、軍や治安機関の大半はネオ・ナチを拒否していた。そこでヤヌコビッチはネオ・ナチの暴動を鎮圧することができたと見られているが、彼は国外へ脱出、ネオ・ナチ体制が樹立された。その体制を軍や治安機関の約7割は組織を離脱、その一部はドンバス(ドネツクとルガンスク)の反クーデター軍へ合流したと言われている。 それに対してアメリカ/NATOはロシアに対する威嚇を開始、2014年4月にはアメリカ海軍の駆逐艦ドナルド・クックを黒海へ入れ、ロシア領に接近させたが、その艦船の近くをロシア軍のSu24が飛行した後に状況は一変した。ドナルド・クックはすぐルーマニアの港へ入り、その後、ロシアの国境には近づかなくなったのだが、ロシアでの報道によると、ロシア軍機は「キビニECMシステム」を搭載、ドナルド・クックのイージス・システムを麻痺させたという。 ロシアを征服、スラブ人を殲滅する前段階にウクライナを制圧するのはイギリスを支配する私的権力が19世紀から計画していたことだ。その計画はイギリスの政界に君臨していたパーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)の発案だという。 パーマストン子爵は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めた人物。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿。彼はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語っている。 しかし、バラク・オバマ政権にしろイギリスの私的権力にしろ、1991年12月にソ連が消滅した際、ロシアも彼らの植民地になったと認識、世界征服プロジェクトを始める時がきたと考えたようだ。手始めに攻撃した相手がユーゴスラビアである。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された2001年9月11日以降、ジョージ・W・ブッシュ政権は計画通り、侵略戦争を開始するのだが、その侵攻作戦は失敗、しかもロシアではウラジミル・プーチンを中心とするグループが再独立に成功したのだ。 欧米の強大な私的権力の植民地になったロシアには彼らの代理人としてオリガルヒと人びとが生まれていた。そのひとりがミハイル・ホドルコフスキーである。 ジャーナリストのマイケル・グロスによると、ソ連時代に彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったが、そのときにロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがある。ソ連時代の1989年に彼はリチャード・ヒューズなる人物とロシアの若い女性を「モデル」としてニューヨークへ送るビジネスを始めたのだ。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998) ジェフリー・エプスタインの稼業を連想させるが、その1989年にホドルコフスキーは銀行設立のライセンスを取得し、メナテプ銀行を設立した。違法送金やマネー-ロンダリングが目的だったとみられている。そして1995年に彼は石油会社のユーコスを買収した。(The Village Voice, September 7, 1998) ホドルコフスキーによると、会社の大株主を監視する「保護者」が存在、その株主に何らかの圧力がかかった場合、管理書類を別の人物に渡すのだという。会社を本当に支配しているのはその「保護者」だと言えるが、ホドルコフスキー場合、それはシティに君臨するジェイコブ・ロスチャイルドだった。欧米の計画通りに進めば、ロシアの石油利権はジェイコブ・ロスチャイルドが握っていたのだろう。 そのジェイコブの前に立ちはだかったのがウラジミル・プーチンにほかならない。大統領に就任したプーチンはロシアの国営石油会社ロスネフチにユーコスの資産を買収させ、ロスチャイルドの計画を阻止した。 ウクライナにおける資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。シティの私的権力と明治体制 ロシアの隣国やイランを戦乱に巻き込んだアメリカやイギリスの私的権力、いわゆるウォール街やシティは明治維新以降、日本の大きな影響力を及ぼしてきた。その私的権力の中心にはアヘン戦争で儲けた麻薬業者がいる。歴史の教科書に出てくるジャーディン・マセソンもそうした業者のひとつであり、中国(清)における麻薬取引の中心にはイラク系ユダヤ人のサスーン家が存在していた。蒋介石も麻薬取引に関係していたひとりだ。 ジャーディン・マセソンは1859年にふたりのエージェントを日本へ送り込んできた。ひとりは長崎へ渡ったトーマス・グラバーであり、もうひとりは横浜のへ送り込まれたウィリアム・ケズウィック。後者の母方の祖母はジャーディン・マセソンを創設したひとりであるウィリアム・ジャーディンの姉だ。 グラバーとケズウィックが来日した1859年にイギリスのラザフォード・オールコック駐日総領事は長州から5名の若者をイギリスへ留学させることを決め、井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)が選ばれる。この若者は1863年にロンドンへ向かうが、この時に船の手配をしたのがジャーディン・マセソンだった。 薩摩も1865年に留学生15名をイギリスへ派遣しているが、この時に船を手配したのはグラバー。その留学生の中には五代友厚、森有礼、長沢鼎も含まれていた。年少の長沢以外はロンドン大学へ入学した。 その後、薩摩からの送金が途絶えたことから9名の留学生は帰国したが、長沢や森を含む6名はアメリカへ渡り、ニューヨークに拠点があった心霊主義を信奉するキリスト教系カルト団体「新生兄弟」へ入る。イギリスでこのカルトに取り込まれていたのだろう。 何人かはすぐに離脱したが、長沢と森は残る。その森も1868年に帰国したが、長沢ひとりは残った。のちに長沢は教団を率いることになるが、1890年代前半に解散している。その一方、ワインの醸造所を建設してビジネスは成功、「ワイン王」とも呼ばれている。 森は文部大臣に就任、「教育勅語」を作るなど天皇カルト体制の精神的な基盤を作るが、その一方、森の下、日本へ迎えられたルーサー・ホワイティング・メーションを中心に唱歌が作られる。安田寛によると、その目的は日本人が讃美歌を歌えるようにすることにあった。(『唱歌と十字架』音楽之友社、1993年) 日本の中国侵略は1872年に琉球を併合した時から始まる。「維新」で誕生した明治体制は琉球併合の後、1874年に台湾へ派兵、1875年に江華島へ軍艦を派遣、そして1894年の日清戦争、1904年の日露戦争へと進んだが、こうした侵略はアメリカやイギリスの外交官に煽られてのことだ。 この時と同じように歴代の日本政府は沖縄にミサイル発射施設を建設し、台湾、韓国、フィリピンと軍事協力を推進しようとしている。日本国内で戦争体制が整えられているのは必然だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.21

フランスのエビアンでG7サミットが開催された直後、モスクワへ向かって約200機の燃料油を積んだドローンが発射され、そのうち6機が防空システムを突破して集合住宅や石油精製施設に命中、炎上した。撃墜率は97%ということになる。せいぜい1割程度と言われているアメリカやイスラエルの防空システムに比べると格段に優秀だ。この攻撃による経済的な打撃は大きくないが、炎と黒煙は人びとを驚かす。それが攻撃の目的だろう。 ロシア周辺には弾道弾迎撃ミサイル・システムのS-400やS-500が配備位されているが、市内の主要建造物には対空機関砲と短距離対空ミサイルを組み合わせたパーンツィリが設置されているが、そのほかEMP(電磁パルス)兵器が配備されている可能性もある。いずれにしろ、アメリカやイスラエルのシステムとは違い、機能している。 モスクワを攻撃しているドローンは長距離を飛行することが可能な機種で、ウクライナでは生産されていない。つまりNATO諸国で生産されているのだが、ドローンを誘導するシステムもNATO頼み。飛行経路もロシアからの攻撃を避けるため、バルト三国からロシアへ侵入しているようだ。以前からNATO諸国は特殊部隊や情報機関員をウクライナへ侵入させていたが、今ではNATOの将校が作戦を指揮している。ウクライナでの戦闘はすでにロシア軍とNATO軍の戦いになっている。 今回のモスクワ攻撃を受け、スーミ、ポルタバ、ドニエプロペトロフスク、そしてキエフが報復攻撃された。キエフでは地下軍事司令部が破壊されたほか、ウクライナの政治エリートが居住するコンチャ-ザスパも攻撃された。これまでクレムリンはウクライナのエリートやNATOの将校たちに対する攻撃を控えてきたが、方針を変えたのかもしれない。 アメリカとイスラエルはイランを奇襲攻撃した際、パランティア・テクノロジーズの指揮統制システム「メイブン・スマート・システム」を使ったと言われている。同社を創設したひとりのアレックス・カープCEOは5月12日、ウォロディミル・ゼレンスキーと会談するなどウクライナとも深く結びついている。同社の指揮統制システムはイランとの戦争で敗北したが、ウクライナでもロシア軍に圧倒されている。ウクライナでもパランティアは負けていると言えるかもしれない。それを誤魔化すため、「映え」を狙って石油施設をドローンで攻撃、戦況は半年遅れで発表している。 しかし、プーチンの慎重な姿勢に対する批判は国内で高まっている。一般人だけでなく、モスクワ高等経済学院で世界経済/国際関係学部の学部長を務めるセルゲイ・カラガノフ教授、あるいは元ロシア連邦軍参謀総長のユーリー・バルエフスキー退役上級大将も、リスクを取らずに中途半端な政策を続けるべきでないと主張している。 前線で死んでいる兵士はウクライナ人であっても、兵器を供与し、軍事情報を提供、作戦を指揮しているのはアメリカやイギリスをはじめとするNATO軍。なぜNATO諸国を攻撃しないのかという怒りの声がロシア国内で高まっている。NATOがネオ・ナチを使っていることもロシア人を怒らせている。プーチン大統領としても、強硬策を取らざるをえなくなりそうだ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.20
ドナルド・トランプ米大統領は6月17日、フランスのベルサイユ宮殿で合意文書(MoU)に署名してその写真をイラン側へ送付、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領も署名した。それを受け、イラン外務省は覚書の本文が正式に確定、「双方によって署名された」ことを確認した。予定されていたスイスでの署名式は行われない。何らかの妨害工作が行われるという情報があり、式はキャンセルされたようだ。 覚書の本文は事前に流れていたものと大差はなく、アメリカの降伏文書だという人もいるが、今回の署名は交渉の始まりに過ぎず、最終合意までの道のりは長い。イランにはアメリカとの交渉に反対するグループが存在、アメリカではAIPACのようなシオニスト・ロビーと親イスラエル派議員(つまり大半の議員)が交渉を止めるように迫っている。最終的には隠されている「ジェフリー・エプスタインのファイル」が明らかにされる可能性もある。 しかし、イスラエルとアメリカが2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む指導部を一気に暗殺して開始された戦争はイランの反撃にあい、イスラエルはテルアビブやハイファといった都市が破壊され、情報機関の本部や軍事基地、またディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)も攻撃された。 西アジアにあるアメリカ軍基地も破壊されたが、その中にはカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地なども含まれる。 3月27日にはサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に駐機していたAWACS(早期警戒管制機)のE-3と2機のEC-130H電子戦機をイラン軍は破壊、KC-135空中給油機複数機も機能不全の状態にした。6月10日にはアメリカ海軍第5艦隊の基地やヨルダンにあるアル・アズラク空軍基地などに対する報復攻撃を実施して管制センターを破壊。同空軍基地に配備されていたF-35戦闘機12機を収容していた格納庫を破壊したことをロシア軍のウラジミル・ポポフ少将が確認している。 一連の戦闘でイスラエルやアメリカは攻撃用のミサイルやドローン、そして防空用ミサイルが枯渇、戦闘の継続が難しくなったが、重要な軍事施設は地下にあるイランはミサイルやドローンの余裕があり、生産もしている。地上では建造物が破壊され、住民が殺害されているものの、戦闘は継続できる。 こうした軍事面だけでなく、原油などの輸送が止まったことでアメリカを含む世界は厳しい状況に陥った。EIA(エネルギー情報局)が公表した最新統計によると、5月15日までの1週間で原油在庫は1780万バレル減少、その結果、戦略石油備蓄(SPR)を含む総貯蔵量はほぼ1年ぶりの低水準まで落ち込んだ。輸送が再開されなければ、夏には備蓄された石油が底をつくと見られていた。 アメリカはSPRを高値をつける外国へ振り分けていたようだが、その備蓄が枯渇しつつあるわけで、日本のような国も危機的な状態だった。今回の合意でホルムズ海峡の航行が始まるとしても、原油を積んだタンカーはすでに4カ月ほど経過、原油の状態は悪く、何らかの処理をする必要があり、タンカー自体の状態もチェックしなければならない。 また到着地で原油を受け入れるタンクが存在しているか、処理するためのプラントを稼働させるためにどの程度の時間が必要かという問題もある。輸送の再開が順調に進んだとしても、戦争前の状態に戻るまでに数カ月は必要だと言われている。 タンカーの航行が止まった理由のひとつは保険にあった。船の保険を扱っているロイズ・オブ・ロンドンはペルシャ湾とホルムズ海峡の周辺を戦争リスク区域に指定、船体や貨物の保険に割増保険料が課されている。覚書が締結されても保険会社はすぐにこの指定を解除することはない。この指定が解除されるまで、タンカーの航行が元に戻ることはないはずだ。 数カ月後に状態が元に戻ったとしても、11月の中間選挙が終わった後にトランプ大統領はイランに対する攻撃を再開する可能性がある。戦闘が再開された場合、イスラエルやアメリカ軍の基地はこれまで以上に大きなダメージを受けるが、イスラエルやその背後にいる勢力がそれを望んでいるからだ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)。これはネオコンの計画にほかならず、1980年代から彼らはイランを破壊、傀儡体制を樹立しようとしていた。 イランは中国やロシアとの関係を強化しているが、この3カ国はアメリカやイギリスを支配する私的権力が征服しようと狙っている。これが19世紀から続く長期戦略だということは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。イスラエルはサウジアラビアなどと同様、イギリスの寡頭制支配者が作り上げた国であり、事実上、「航空母艦」として機能してきた。その私的権力はウクライナでロシアを攻撃、そして現在、イランを攻撃している。中国を攻撃する場所は新疆ウイグルと台湾だろう。対中国ということを考えると、マラッカ海峡は無視できない。 シオニストの一派であるネオコンはイラン、中国、ロシアを征服しようとしてきた。2014年2月にバラク・オバマ政権がキエフでクーデターを仕掛けたのもその一環。その年にアメリカのCIAとイギリスのMI6は香港で反中国運動を仕掛けた。佔領行動(雨傘運動)だが、そうした工作はロシアと中国を接近させることになった。今では同盟国だ。そこにイランが加わった。 そうした流れを嫌ったのがヘンリー・キッシンジャー。彼は2016年2月10日にロシアを訪問してウラジミル・プーチン露大統領と会談、風向きを変えた。 2015年当時、民主党ではヒラリー・クリントンを次期大統領候補にすることで内定していた。彼女はオバマのロシア敵視政策を継承していたのだが、バーニー・サンダースの支持者が増え始める。共和党ではドナルド・トランプが台頭、彼はロシアとの関係修復を訴えた。そしてトランプが当選するが、そのトランプを攻撃するために民主党はCIAやFBIと手を組み、「ロシアゲート事件」をでっち上げている。 このスキャンダルは嘘だということが今では明確になっているが、次の選挙でトランプはジョー・バイデンに敗北、バイデンはロシアとの戦争へ向かった。トランプも大統領時代、ネオコンに従属している。 ここにきてアメリカでは再びロシアとの関係修復を目指す動きが見られる。タッカー・カールソンはプーチン大統領にインタビュー、モスクワを紹介しているが、ここにきてネオコンを批判していることで知られているキャンディス・オーウェンズもロシアを訪問、西側メディアの反露プロパガンダを否定するレポートをしている。次の大統領選挙でロシアとの関係修復を目指す政権が誕生する可能性もある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.19

イランとアメリカは6月19日、覚書(MoU)に署名する予定で、その後、最終合意を目指しいて交渉するのだという。いくつかのメディアが覚書の内容だと伝えている文書の正確さは不明だが、概ね正しいとするならば、これはアメリカが敗北を認めた内容だ。 アル-アラビーヤなどによると、まずレバノンを含むすべての戦線における戦争を即時かつ恒久的に終結させることを宣言とされ、またイランとアメリカは互いの主権と領土保全を尊重し、互いの内政に干渉しないことを約束するとされている。イランのアッバス・アラグチ外相はレバノンでの戦争終結を地域全体の戦争終結に不可欠な要素だと指摘、戦争の完全終結にはイスラエル軍の撤退が必要だとしている。 海上封鎖に関しては、署名の直後にアメリカは封鎖を解除し、イランはホルムズ海峡の航行を元の水準まで30日以内に戻す。イランは核兵器を決して製造しないことを改めて表明すると同時に、これまで行ってきた核開発は維持するともされている。またアメリカは最終合意から30日以内に周辺地域から軍隊を撤退させるとも約束しているようで、これが事実なら西アジアにおける軍事バランスは大きく変化する。 アメリカが3000億ドル以上のイラン向け投資ファンドを支援すると伝えられているが、フランスで開催されたG7サミットに出席したドナルド・トランプ米大統領はその報道を事実無根だと否定した。 アメリカが凍結したイランの資産240億ドルを60日間の交渉期間中に返還することが求められ、そのうち120億ドルは交渉が始まる前にイランへ返されるとされているが、これを否定する声がアメリカ政府の内部から聞こえてくる。この受け渡しについては、ペルシャ湾岸諸国が仲介役になるとも言われているが、真偽は不明だ。 イスラエルやイスラエルを支援する欧米の私的権力(シオニスト)は西アジア支配の野望を捨てることはないだろうが、原油の生産やホルムズ海峡の航行が復活する道筋は見えてきた。そこで注目されているのがマラッカ海峡であり、周辺国のインドネシア、マレーシア、シンガポールである。 第2次世界大戦後の1955年の総選挙と57年の地方選挙でスカルノの国民党とインドネシア共産党(PKI)が勝利、成立したスカルノ政権は外国資産の国有化を開始。それに対し、CIAは1957年秋からフランク・ウィズナーを中心とし、イスラム教徒を使って秘密工作を始める。この工作で沖縄は訓練基地や兵站基地として重要な役割を果たした。(William Blum, “The CIA”, Zed Books, 1986) インドネシアのイスラム教徒は大半がスンニ派だが、サウジアラビアなどからの資金でワッハーブ派が影響力を強めてきたとも言われている。後にアル・カイダ系武装集団の主力になった宗派である。 CIAから武器を供給された武装勢力がインドネシアで最初に蜂起したのは1958年のことで、スカルノが日本を訪問している時を狙い、決行された。反乱グループの中心は旧貴族階級と地主だが、実行部隊はスマトラ島を拠点としていたインドネシア軍の将校。この蜂起軍はCIAの爆撃機だけでなくアメリカ海軍の潜水艦の支援を受けていたのだが、結局、失敗に終わる。 そうした中、スカルノは「非同盟外交」を推進、1961年9月にはユーゴスラビアの首都、ベオグラードで第1回非同盟諸国首脳会議を開いている。会議に参加したのはスカルノのほか、インドのJ・ネルー、アラブ連合(エジプト)のガマール・アブデル・ナセル、ガーナのK・エンクルマ、エチオピアのハイレ・セラシエ皇帝たちだ。 これに対し、アメリカのフォード財団はインドネシア社会を研究、貴族階級出身のインドネシア人をアメリカに留学させて訓練していく。このプロジェクトに協力した大学にはカリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、コーネル大学などが含まれていた。こうして育成されたエリートは後に「バークレー・ボーイズ」とか「バークレー・マフィア」と呼ばれているようになり、ケンタッキー大学の「制度改革計画」やCIAの指導力養成留学生計画などで訓練された学生とともにスカルノ打倒の中核部隊になった。 ジョン・F・ケネディ大統領暗殺を受けて大統領に就任したリンドン・ジョンソンは1965年2月から北ベトナムに対する大々的な爆撃を開始、その7カ月後の9月30日にインドネシアでは小集団の若手将校が6名の将軍を誘拐のうえ殺害、ジャカルタの主要箇所を占拠するという出来事が引き起こされた。若手将校は放送の中で自分たちをCIAの支援を受けている反乱軍の一部だと主張、スカルノから権力を奪取すると宣言したのだが、この混乱を利用して反スカルノ派のスハルト将軍が率いる軍隊が若手将校たちを制圧、そして親米派による大量虐殺が始まった。 このときインドネシアのアメリカ大使館は反スカルノ派の武装グループへ、全て、あるいはほぼ全ての共産党員が記載された名簿を渡したと言われている。翌年の3月にスカルノは排除されて親アメリカ派の政権が出来上がるが、この間、犠牲になった人数は推計30万から200万人。 この虐殺にはバラク・オバマの義理の父親であるロロ・ソエトロも軍人として参加していたと言われている。1967年10月にオバマは母親とインドネシアへ移動、ソエトロは後にモービル石油の幹部になる。(Jeremy Kuzmarov, “A Company Family: The Untold History of Obama and the CIA,” CovertAction, October 1, 2021) 現在、アメリカの情報機関はインドネシアを含む東南アジアで秘密工作を展開、体制転覆を目論んでいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.18

アメリカの政界にイスラエル・ロビーが食い込んでいるように、日本の政界には宗教団体が食い込んでいる。高市早苗首相と統一教会(世界基督教統一神霊協会、現在は世界平和統一家庭連合)の関係も伝えられてきたが、その統一教会の背後には韓国やアメリカの情報機関が存在していることも忘れてはならない。 統一教会は1954年5月、文鮮明を含む5名によって設立され、57年に朴普煕など4名の韓国陸軍将校が入信、幹部として活動する。朴普煕は1950年に士官学校へ入り、朝鮮戦争を経験してからアメリカのフォート・デニングにある陸軍歩兵学校で訓練を受け、61年2月に駐米韓国大使館の陸軍武官補佐官に任命されてアメリカへ赴任。その年の5月に朴正煕少将らが軍事クーデターを成功させている。 入信した4名の将校と緊密な関係にあった金鐘泌は陸軍情報局に所属していた軍人で、1961年5月のクーデターに参加、62年10月にサンフランシスコで統一教会の幹部と秘密裏に会談、韓国における政治的な支援を教団側に約束したという。(Jeffrey M. Bale, “The Darkest Sides Of Politics, II,” Routledge, 2018) 統一教会が設立された1954年、台湾の蒋介石政権や韓国の情報機関によって、韓国でアジア人民反共連盟(後のアジア太平洋反共連盟/APACL)が創設され、日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加。日本支部を設置する際には岸信介が推進役になっている。 その一方、文鮮明の命令で日本における布教を命じられた崔奉春(西川勝)が1958年7月に日本へ密入国、逮捕されて有罪判決を受け、広島刑務所に収監された。1964年6月にも入国管理法違反容疑で警察に連行され、出入国管理局に移されるのだが、統一教会顧問を務めていた笹川良一の力で7月1に釈放されている。崔は一旦帰国、再入国が許可されたようだ。 APACLは1966年、東ヨーロッパ系親ファシストが組織したABN(反ボルシェビキ国家連合)と合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になる。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) ABNは第2次世界大戦後の1946年4月まで反ボルシェビキ戦線と呼ばれていた団体。反ボルシェビキ戦線は1943年春、ウクライナのファシスト団体であるOUN-B(ウクライナ民族主義者機構-ステパン・バンデラ派)によって設立されている。 第2次世界大戦が勃発する直前、ウクライナにはヨーロッパで最大級のユダヤ人共同体が存在、その人数は約270万人に達していたと言われているのだが、1941年にドイツ軍がキエフを占領すると、ユダヤ人やロマを含む「望まざる者たち」約3万4000人がバビ・ヤール渓谷へ連行され、銃殺されている。大戦中、そこで殺された人数は最大10万人。この虐殺に現地のウクライナ人が協力したとも言われている。 OUN-Bのゲリラ部隊がUPA(ウクライナ反乱軍)。UPAはユダヤ人やポーランド人を虐殺する際、妊婦の腹を引き裂いて胎児や内蔵を取り出し、脅しのために灌木に引っかけるといったことをしたという。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 1947年7月にインテルマリウム(中央ヨーロッパにカトリック帝国を建国しようとしていた)とABNは連合、9月にはポーランドのプロメテウス同盟も合流。翌年の後半、新装ABNはバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコを中心として活動を始める。ステツコの背後にはイギリスの対外情報機関MI6が存在していた。 この人脈はKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)も組織、ヤロスラフ・ステツコが指揮するのだが、1986年に彼が死亡すると彼の妻であるスラバ・ステツコが引き継ぎ、2003年に死ぬまで率いることになる。1991年12月にソ連が消滅した後、彼女はミュンヘンからウクライナへ帰国していた。 KUNの指導者グループに所属していたひとりにワシル・イワニシンなるドロボビチ教育大学の教授がいたが、その教え子のひとりがウクライナでネオ・ナチを率いてきたドミトロ・ヤロシュにほかならない。イワニシンが2007年に死亡するとヤロシュが後継者になった。このタイミングでヤロシュはNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。 日本の政界は単に統一教会という単独の宗教団体と結びついているわけではない。その背後にはアメリカやイギリスの情報機関が存在、日本の政界はその世界戦略に基づいてい動いているのであり、台湾問題にもウクライナ問題にも関係している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.17
アメリカとイスラエルがイランを騙し討ちし、イランの最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師らを殺害して始まった戦争の終結を目指す合意を文書化するため、6月19日にジュネーブで署名式を開く予定だと伝えられている。 ドナルド・トランプ米大統領によると、この交渉でロシアのウラジミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席が重要な役割を果たしたという。アメリカは中央アジアの制圧を虎視眈々と狙い、カフカスの政府はイスラエルが影響下に置いている。そうした状態の中、イランでの戦乱が拡大、アメリカの配下に入ることをロシアや中国は阻止したいはずだ。 アメリカとの交渉団で戦略顧問を務めるメフディ・モハマディによると、第1にイランとレバノンへの攻撃は全面的に停止され、戦闘の再開を防ぐためのメカニズムが設けられる。第2にイランの凍結資産の一部が解除され、アメリカは特定の制裁を緩和する。第3にイランの船舶に対する制裁を緩和し、海上貿易と国際輸送ルートを正常化する。第4に核問題は初期段階の協議には含まれず、合意の第一段階が完了した後に取り上げる。最終段階でアメリカは制裁を解除し、戦争および経済的損害に対する賠償と復興支援について協議する。 核兵器を保有しないことを国の方針としてきたイランにとって核兵器保有放棄の誓約は問題ないとして、レバノンに対する攻撃の停止をイスラエルが守るだろうかという疑問がまず生じる。6月14日にイスラエルがベイルート南郊を爆撃、イランは報復攻撃の準備を始めたが、トランプ大統領は「賄賂」を提示、攻撃を思いとどまらせたという。 また、アメリカが凍結したイランの資産240億ドルを60日間の交渉期間中に返還することが求められ、そのうち120億ドルは交渉が始まる前にイランへ返されるとされているのだが、アメリカ政府の内部からは、交渉開始前に120億ドルの凍結資産を無条件で受け取るという主張を否定する声が聞こえてくる。120億ドルはイランを従わせるための餌にすぎないと言うことだ。アメリカがイランの内政に干渉しないという約束も求められているが、内政干渉はアメリカの常套手段。ホルムズ海峡を再開する場合、その仕組みをどうするかも不明確だ。 トランプ大統領を窮地に追い込んだ最大の理由はイランとの戦争に負けたということだが、そこからアメリカが保有する原油の在庫減少という問題も生じている。この問題はアメリカのニューズウィーク誌も報じている。 EIA(エネルギー情報局)が公表した最新統計によると、5月15日までの1週間で原油在庫は1780万バレル減少、その結果、戦略石油備蓄(SPR)を含む総貯蔵量はほぼ1年ぶりの低水準まで落ち込んだと指摘している。夏には東アジアや欧州諸国で「在庫が底をつく」状態となるため、アメリカからの輸入需要がさらに高まり、在庫の減少が一段と加速するともしていた。 日本では備蓄石油にほとんど手をつけていないとも言われているが、アメリカでは「在庫取り崩しはこれまで緩衝材として機能し、原油価格のさらなる急騰を防いできた」という。 アメリカによるSPR放出が原油価格を下げていたのだが、「この夏に在庫が運用上の最低水準まで低下し、緊急時の放出をする余裕がなくなれば、その緩衝効果は失われる」と5月下旬には懸念されていた。ホルムズ海峡の開放は緊急を要す事態だったのだ。 アメリカで備蓄されている石油の枯渇もトランプにイランの要求を受け入れさせる圧力になっているのだろうが、イスラエルやアメリカの新イスラエル派はこうしたイランへの譲歩を潰そうとしている。イラン側にも、自分たちの指導者を騙し討ちしたアメリカやイスラエルとの停戦合意に反発している人も少なくない。イランの経済を握っている勢力は米英の金融機関と繋がっているが、庶民は違う。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.16
アメリカとの交渉団で戦略顧問を務めるメフディ・モハマディが概説した「暫定合意」をイランの通信社は伝えた。 それによると、第1にイランとレバノンへの攻撃は全面的に停止され、戦闘の再開を防ぐためのメカニズムが設けられる。第2にイランの凍結資産の一部が解除され、アメリカは特定の制裁を緩和する。第3にイランの船舶に対する制裁を緩和し、海上貿易と国際輸送ルートを正常化する。第4に核問題は初期段階の協議には含まれず、合意の第一段階が完了した後に取り上げる。最終段階でアメリカは制裁を解除し、戦争および経済的損害に対する賠償と復興支援について協議する。 それに対し、イランは戦争を終結させる条件として次のことを挙げている。レバノンを含む全戦線における戦争の即時かつ恒久的な停止、アメリカがイランの内政に干渉しないことの約束とイランの主権尊重、アメリカによる海上封鎖の解除、ホルムズ海峡の再開通、イラン周辺からのアメリカ軍撤退、イラン産原油に対するアメリカの制裁を止める、アメリカとその同盟国による「少なくとも3000億ドル相当」のイラン復興計画の策定、核問題と制裁の完全解除を基盤とした最終合意を目指し、60日間の交渉を実施、イランは核兵器を製造しないことを改めて表明、交渉期間中、アメリカは地域における軍事力を増強したり、新たな制裁を課したりしない、凍結されているイランの資金240億ドルを解放、。合意履行のための監視メカニズムを設置、最終合意は国連安全保障理事会決議によって承認される。最終交渉はイランの凍結資金の半分が解放され、石油制裁が停止され、海上封鎖が解除されるまで開始されない。 イランにとって、レバノンへの爆撃を止め、凍結資産を返還、アメリカ軍によるホルムズ海峡の封鎖解除、エネルギ資源の輸出制限の解除は絶対条件だと見られていた。モハマディの概説はこれらを満たしているように思えるが、交渉相手のドナルド・トランプ米大統領はアメリカがイランを屈服させたというイメージを振り撒き続けてきた。 仲介役を務めているパキスタンのシャバズ・シャリフ首相は24時間以内に電子署名を行う準備を進めており、来週には技術レベルの協議が行われる見込みだと述べたというが、この合意をトランプが本当に呑んだのだろうか?トランプ大統領はイスラム世界を挑発している。 トランプは協定が6月14日に締結され、ホルムズ海峡再開への道が開かれと断言、イランの濃縮ウランを管理下に置き、破壊するとも述べている。協定に両国が調印したとして、アメリカにそれを守る意思はあるのだろうか? アメリカとイスラエルがイランを騙し討ちして始まった戦争だが、イランの反撃で西アジアのアメリカ軍基地は大きな損害を受け、イスラエルの重要施設も破壊された。トランプ大統領は数日でイランを制圧できると信じていたのだろうが、アメリカとイスラエルは戦場だけでなく国内経済も苦境に陥った。 アメリカは世界有数の産油国であり、エネルギーの備蓄もあるが、その備蓄の減少が深刻だ。中間選挙が近づいているということやペルシャ湾岸諸国の苦境も無視できない。 アメリカの重要なエネルギー拠点であるオクラホマ州クッシングの施設は7500万バレル以上の原油を貯蔵する能力があり、アメリカにおける総貯蔵量の15%以上を占めているという。戦争開始から100日以上を経た現在、その残量は2160万バレルだ。これはアメリカ全体で言えることだろう。しかも、残量が2000バレルを下回ると大半はスラッジをかき集めているようなものだと言う人もいる。アメリカは石油の輸出を制限するかもしれない状況だ。 イラン国内ではアメリカとの交渉を進めているセイエド・アッバス・アラグチ外相に対する批判が高まっている。またIRGC(イラン革命防衛隊)で政治担当副司令官を務めるヤドッラー・ジャヴァニ少将は「いつでも引き金に指をかける準備ができている」と述べ、「外国人や略奪者がこの地域に存在していた時代は終わったことを知るべきだ」としている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.15

イラン情勢 イランのアッバース・アラグチ外相はアメリカとの和平合意はかつてないほど実現に近づいているとしている。凍結資産を返還し始めたとする話も流れているが、詳細は不明だ。 イランが戦争を終結させる条件として求めている事項は、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力(レバノンやパレスチナ)に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することだ。 レバノンをガザのようにし、イランの政権を転覆させて乗っ取ろうとしてきたイスラエルがこうした条件を呑むとは思えないのだが、ここにきて戦乱の責任をイスラエル、特にベンヤミン・ネタニヤフに押し付けようとする動きが見られる。所詮、イスラエルは米英を拠点とする私的権力の航空母艦にすぎず、いざとなれば処分されるだろう。 アメリカとイスラエルが2月28にイランを騙し討ちして始まった西アジアの戦争はイランだけでなくアメリカが同地域に保有していた軍事基地が破壊され、イスラエルも大きな損害を被った。アメリカとイスラエルは攻撃用ミサイル/ドローンも迎撃用ミサイルも枯渇、イランが勝利していると言えるだろう。それを誤魔化すためにドナルド・トランプ米大統領は迷走しているように見えるが、イラン側はトランプを精神疾患の患者と見ているようだ。米国の生物兵器研究 対イラン戦争と同様、西側の大手メディアはウクライナの状況についても嘘をつき続けてきた。 バラク・オバマ政権は2013年11月にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターを開始、翌年の2月にはネオ・ナチのグループを全面に出してビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功するのだが、ヤヌコビッチの支持基盤でロシア文化圏である東部や南部では反クーデターの住民が立ち上がった。 南部のオデッサでは住民がネオ・ナチに虐殺されて制圧されたが、いち早く動いたクリミアはロシアと一体化、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装闘争が始まる。クーデター後、軍や治安機関のメンバーの約7割はネオ・ナチ体制を拒否して組織を離脱、一部は反クーデター軍に加わったと言われている。 そこでNATO諸国はロシアに停戦を持ちかけ、2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」に繋がった。その後、2022年までNATO諸国はネオ・ナチ体制の軍事力増強に努める。少年に反ロシア思想を叩き込んで軍事訓練、兵器を供給、ドンバスの周辺に地下要塞を結ぶ要塞線を築いた。その一方、アメリカの国防総省はウクライナ国内で生物兵器の研究開発を進めている。 6月30日付で国家情報長官(DNI)を辞任すると表明しているトゥルシー・ギャバードはアメリカの資金でウクライナの生物研究所が危険な病原体の研究していたことを示す新たな証拠を6月12日に公開した。 それによると、アメリカはウクライナに40カ所にのぼる生物研究所で炭疽菌、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、ペスト、結核などの「特に危険な病原体」を扱っていた。 これらの研究所のうち少なくとも12カ所では人体実験が行われ、一部の研究所は「機能獲得研究」、つまりウイルスを改変して毒性や感染力を高め、人体への影響を研究する研究が行われていた。 ロシアは2022年2月にウクライナに対するミサイル攻撃を開始しているが、その直後にドネツク、ルハンスク、ヘルソンにある研究所から数千ページに及ぶ文書を回収、イゴール・キリロフ中将の指揮下、放射線・化学・生物防衛部隊が文書の分析を進めた。 その結果、アメリカ国防総省の内局であるDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると2022年3月7日に発表している。研究開発はDTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められたという。キリロフは2024年に暗殺されたが、ウクライナ保安庁(SBU)が実行したと考えられている。 また、ギャバードが公開した文書によると、ハリコフにある獣医学研究所の地下室には炭疽菌とブルセラ菌が保管されていたが、これらは生物兵器になりうる病原体だ。 ロシア国防省によると、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものも含まれ、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 そのほか、国務省、USAID、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省とメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。メタバイオタにはジョー・バイデンの息子であるハンター・バイデンの投資会社が出資している。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日、2022年3月8日にアメリカの上院外交委員会で国務次官を務めていたビクトリア・ヌランドはウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 日本では接種が進められてきた「COVID-19ワクチン」なる遺伝子操作薬は深刻な副作用を引き起こす。この新薬を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は75年間封印しようとしたのだが、アメリカでは一部の専門家は情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開が裁判所から命令された。 元製薬研究開発部門の幹部で、最終的にはファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、グラクソ・スミスクライン、ノバルティスなど60社以上の製薬会社向けに臨床試験を実施する複数の受託研究機関を所有・管理していたサーシャ・ラティポワは裁判所の命令で公開された文書を分析、「COVID-19ワクチン」は軍事プロジェクトであり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業だということを突き止めた。その事実をさまざまな形で告発している。(例えばココ) 病原体だとされたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は人工的に作られた可能性が高いのだが、このウイルスに感染した動物は中国でなく、北アメリカで見つかっている。北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) ラティポワによると、2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしている。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 アメリカの国防総省がウクライナで生物兵器の研究開発を行なっていたとする批判をアメリカの政府や大手メディアは否定してきたが、ギャバード長官は12日の声明で、危険な病原体に関する研究が世界に壊滅的な影響を与える可能性は明白だと指摘、その件について政治家、アンソニー・ファウチ元NIAID(国立アレルギー感染症研究所)所長などの医療専門家、そしてジョー・バイデン政権の国家安全保障チームはそうした事実についてアメリカ国民に嘘をつき、真実を明らかにしようとした人々を脅迫したと批判している。 ロシア軍の攻撃を受け、アメリカはウクライナから生物兵器の研究開発施設をアフリカなどへ移転させたが、日本にも施設が作られた可能性がある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.14
バラク・オバマ大統領が2014年2月にウクライナでクーデターを成功させて始めた対ロシア戦争と同様、ドナルド・トランプ大統領が2月28日にイスラエルと共同で実行したイランに対する斬首作戦は西側諸国を窮地に追い込んだ。ロシアとの戦争もイランとの戦争もアメリカとその従属国は負けている。 イランに負けていることを認められないトランプは作り話で誤魔化そうとしている。トランプはアメリカは勝利した、イランは降伏を懇願していると繰り返し主張、記者のバラク・ラビドに合意が間近であることを発表するよう命令、そしてイランを爆撃し、アメリカは勝利したというパターンを繰り返してきた。取り引きのプロであろうとメディアの記者であろうと、この「嘘の輪廻」に気づかないはずはない。トランプが嘘を繰り返す目的のひとつは石油や株式の相場が暴騰することを防ぐためだろう。 ちなみに、ラビドはアメリカのニュース・ウェブサイトAxiosやイスラエルの12ニュースで記者を務めている人物。テルアビブ大学へ入る前に18歳で徴兵され、イスラエルの電子情報機関8200部隊に配属されている。 アメリカとイスラエルによる奇襲攻撃でイランのインフラなどは破壊されたが、トランプ大統領は「インフラ、新しい橋、新しい設備、新しい発電所などをすべて建設しなければならない」とした上で、「われわれは復興に関与する」と主張、その見返りとして「アメリカはイランの石油の半分をいただく」としている。好い気なものだ。 トランプ大統領はアメリカがイランを軍事的に圧倒しているかのように宣伝しているが、ミサイルやドローンの枯渇に苦しんでいるのはアメリカであり、戦力不足から地上戦を始めれば大惨事になる。クルド人やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)の戦闘員を投入してもイラン軍に勝つことは難しいだろう。 トランプが作り出す「嘘の輪廻」はイラン政府によって否定されてきたのだが、市場も西側メディアも騙されたふりをしている。相場を操作する口実にしているようにも見える。本ブログでも繰り返し書いてきたように、イラン政府の立場は2月28日以来一貫している。 今回のアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃に伴う石油相場の上昇について、かつての石油ショックと比べる人もいる。 リチャード・ニクソン政権は1971年8月にドルと金の兌換を停止、スミソニアン体制を経て1973年初めに変動相場制へ移行していく。そして1973年10月に第4次中東戦争が勃発、それを受けてOPEC(石油輸出国機構)加盟国のうちペルシャ湾岸6カ国の石油相がクウェートに集まって原油価格を70パーセント引き上げると決定した。 しかし、1962年から86年までサウジアラビアの石油鉱物資源大臣を務めていたシェイク・アーメド・ザキ・ヤマニは2001年1月14日付けのオブザーバー紙に掲載された記事の中で、「ある秘密会議」で石油価格の引き上げは決定されたと語っている。会議の席上、アメリカとイギリスの代表は400パーセントの原油値上げを要求したという。(“Saudi dove in the oil slick,” Observer, January 14, 2001) この値上げにサウジアラビアのファイサル国王は反対で、ヤマニはイランのモハンマド・レザー・パーレビにその旨を伝えたのだが、ジェフリー・ロビンソンは自身の著作『ヤマニ』の中で「ファイサル王は、高い石油価格を望んでいたキッシンジャーの本心をご承知でなかったようだ」というヤマニの話を紹介、「1973年の値上げは、イラン国王がアメリカの支援のもとに画策したお芝居だ」とするOPECの報道担当の元スポークスマン、ハメド・ザヘリの見方も明らかにした。 この引き上げはペトロダラーの基盤になり、アメリカの石油業者にも利益をもたらした。またイギリスが利権を持つ北海油田にとっても原油価格の上昇は朗報。イギリスは1981年から2005年の間、原油の純輸出国になった。これがなければ、1979年5月にイギリス首相となったマーガレット・サッチャーが新自由主義を導入することはできなかった。 ヤマニは秘密会議について詳しく語っていないが、イギリスのジャーナリスト、ロビン・ラムゼイはビルダーバーグ・グループの会議だということを突き止めた。1973年5月にそのグループは確かにスウェーデンで会議を開いている。(Robin Ramsay, "Was the 1974 oil price hike engineered by the Bilderberg group?" Lobser 41, Summer 2001) 実は、石油価格高騰の背景で巨大石油企業の思惑が働いていたという疑惑は早い段階からあり、アメリカではフランク・チャーチ上院議員が委員長を務めていた「多国籍企業小委員会」が調査に乗り出している。1974年から公聴会が開かれ、翌年には報告書が公表されたが、その後も大手石油会社の抵抗を受けながら議会は調査を続け、司法省も乗り出す事態に発展した。捜査が打ち切られたのはロナルド・レーガン政権になってからのことだ。 石油価格の引き上げは石油業界の利益という次元の話ではなく、アメリカを中心とする支配システムを維持する仕組みが関係していた可能性が高い。石油の価格が上げれば取引総額も膨らみ、ペトロダラーのドル回収効率も上がる。石油価格の上昇でアメリカの製造業は打撃を受けるが、アメリカ国内の製造業が繁栄すると、ドルの少なからぬ部分がアメリカ国内で流通し、相当部分は実社会に留まる。新たにドルを発行する余地が広がりにくいということだ。 ペトロダラーの仕組みができあがって間もない1975年3月、アメリカにとって好都合なことが引き起こされる。自立の意思を持っていたサウジアラビアのファイサル国王が暗殺されたのだ。この暗殺はアメリカの支配力を強めることになった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.13
ドナルド・ドランプ米大統領はオマーン沖で哨戒飛行だったアメリカ軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターをイラン軍が6月9日に撃墜したと主張してイランを攻撃、シリクにある2つの貯水槽などを破壊したようだが、先日も書いたように、イランがヘリコプターを撃墜したという主張には疑問がある。 イラン側の説明によると、今回の攻撃でアメリカ軍は2機のP-8哨戒機を離陸させている。1機はインド洋中央部のディエゴガルシア空軍基地から、もう1機は西ヨーロッパのアメリカ軍基地から飛び立ったようだが、イラン軍はその飛行経路と位置を追跡していた。両機はバーレーンのシェイク・イサ空軍基地とクウェートのアリ・アル・サレム空軍基地にいたようだ。 イランの革命防衛隊(IRGC)は6月10日、バーレーンにあるアメリカ海軍第5艦隊の基地やヨルダンにあるアル・アズラク空軍基地などに対する報復攻撃を実施して管制センターを破壊。同空軍基地に配備されていたF-35戦闘機12機を収容していた格納庫を破壊したことをロシア軍のウラジミル・ポポフ少将が確認している。 アメリカとイスラエルは2月28日にイランを奇襲攻撃、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。その「斬首攻撃」でイランは屈服するとトランプ大統領は信じていたのだろうが、その思惑は外れた。 しかも戦闘でアメリカとイスラエルはミサイルやドローンが枯渇、事実上、イランに敗北した。その事実をトランプ大統領は隠そうとしているのか、本当に認識できていないのか不明だが、ともかく勝利のイメージを広めようとしている。日本のように「エリート」がアングロ・サクソンに従属することで権力と富を握っている国では、アメリカが負けるということは、彼らが権力と富を失うことを意味する。アメリカは無敵の絶対的な存在でなければならないのだが、そのイメージを維持することが難しくなっている。日本を含む西側諸国で言論統制が強化されているのは必然だ。 ウクライナにしろ、西アジアにしろ、東アジアにしろ、戦乱の根源にはアングロ・サクソンが存在している。ロシアや中国に対する侵略戦争をイギリスが始めたのは19世紀。「グレート・ゲーム」や「アヘン戦争」だが、その流れを作り出したのはパーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)。彼は1855年2月から58年2月、59年6月から65年10月、総理大臣を2度経験している。このパーマストンはウクライナ人について「われわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したことでも知られている。このロシアと中国を海軍力で囲い、締め上げて征服するという長期戦略をイギリスやアメリカの私的権力はおそらく今でも維持している。「昔の話」ではない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.12
オマーン沖で哨戒飛行だったアメリカ軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターが6月9日に撃墜されたものの、乗員2名は救助されたとアメリカ中央軍(CENTCOM)は発表した。ドナルド・トランプ政権は「自衛のため」にイランを攻撃するように命令、ホルムズ海峡のケシュム島になどが攻撃されたと伝えられている。アメリカの大手メディアは「報復攻撃」の標的はレーダー施設だったとしているが、イラン側はシリクにある2つの貯水槽が攻撃されたとしている。 AH-64アパッチ攻撃への攻撃という主張を疑問視する専門家もいる。例えば元CIA分析官のラリー・ジョンソンや退役アメリカ陸軍中佐のダニエル・デイビスだ。ジョンソンは操縦席かメインローターに被弾していたら機体は海に墜落、乗員は死亡していたはずだと指摘。乗員が救助されたという話が成り立つのは、双発エンジンのうち片方が損傷しただけで機能していたか、後部ローターが損傷しただけだった場合だけだとジョンソンは主張している。デイビスは公表された映像が過去のものだとし、またイランのカミカゼ・ドローンが命中したヘリコプターの乗員が生き残るとは考えられないとしている。 アメリカ軍のケシュム島などへの攻撃に対し、イランはバーレーンにある第5艦隊の基地を攻撃、またヨルダンにあるアメリカ軍の標的4カ所にミサイル攻撃を行い、F-35戦闘機の格納庫を破壊したとイラン外務省は発表。そのほかペルシャ湾岸にある標的20カ所以上をイランは攻撃したとも言われている。 本ブログでも繰り返し書いてきたように、アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃して始まった戦争を終結させることは不可能に近い。戦争で事実上勝利したイランは戦争終結の条件として、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止することのほか、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイランの資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することを示し、これに対してアメリカはイランに「降伏」を要求している。トランプ大統領は敗北を認めるわけにはいかない。 イランは戦争終結につながる有効な合意が可能であり、レバノンとガザの安全も確保できると信じている勢力が政府内にいるようだ。それに対し、アメリカ側が流している「ヘリコプター撃墜話」は交渉を頓挫させることが目的だろうとジョンソンは推測している。イスラエルが戦争終結も認めるとは思えず、必然的にトランプ大統領も認めない。 これも繰り返しになるが、イスラエルは基本的にイギリスによって作られた国であり、その背景にはエリザベス1世の時代、支配層の内部に現れた「ブリティッシュ・イスラエル主義」がある。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。 その流れの中で19世紀に出現したパーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語っている。そのパーマストンはビクトリア女王にアヘン戦争を指示したことでも知られている。 パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を仕掛けたのだ。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継いだ。 言うまでもなく、アヘン戦争でイギリス軍は勝利したものの、内陸部を制圧できなかった。陸軍の力が圧倒的に小さかったからだ。そこで目をつけられたのが日本であり、イギリスの戦略が明治維新に繋がったと言えるだろう。その時に作られた支配構造は現在も生きている。 1972年9月に田中角栄首相が中国を訪問、周恩来と共同声明に調印、友好関係を結ぶことに成功した。日本と中国が手を組むことはアメリカ政府にとって好ましくなかったが、日本経済にとっては有益だった。その関係を破壊したのは菅直人政権だ。 菅政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることにして「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月に石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まった。菅政権は田中角栄と周恩来が決めた尖閣諸島の領土問題を棚上げにするという取り決めを壊したのだ。 1995年から入って日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、中国との戦争に備える政策を推進していたが、菅政権の動きはその一環にほかならない。 同政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることに決め、2000年6月に発効した「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月、石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まったのである。それ以降、日本政府は中国との関係を壊そうとしてきた。 高市早苗首相は2025年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言、日中関係は一気に緊迫化した。 歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているので、彼女の発言は中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するという意味になる。干渉戦争だ。これを「失言」で片付けようとする人もいるが、質疑の流れから考えても確信犯であり、台湾での動きと連動しているだろう。1995年に始まった日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む政策の一環だ。言論統制を強化、治安維持法を彷彿とさせる政策を推進、ゲシュタポを連想させる組織を創設する動きも進められている。そうした政策を進めるように指示している勢力が海の彼方に存在しているはずだ。 高市政権は今年3月31日の閣議で「緊急事態を想定した避難施設の確保に関する基本方針」を決定したが、これも1995年から進めてきた戦争準備の一環だと言えるだろう。大深度地下を掘り進めているリニア中央新幹線も「地下要塞」と解釈することができる。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.11
イランの公益判別会議で議長を務めるサデク・ラリジャニ師は新たな戦略的地域防衛ドクトリンを宣言、ヒズボラやパレスチナへの攻撃もイランの報復を引き起こすことになった。イランと停船合意しながらパレスチナやレバノンで破壊と殺戮を展開することを許さないとイラン政府は表明したのだ。イスラエルがパレスチナやレバノンへの攻撃を止めるとは思えず、アメリカを含む世界の経済は混乱が続くことになる。 イランは戦争を終結させる条件として、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止することのほか、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイランの資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することを示している。 アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを奇襲攻撃して始まった戦争はイランが勝利したと言える状態だ。奇襲攻撃でイランの最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人をアメリカ軍とイスラエル軍は殺害することに成功したが、それで戦争は終わらなかった。「斬首作戦」は機能しなかったということだ。 イランが勝利した以上、イランの要求をアメリカやイスラエルは拒否できないのだが、勝利を演出している彼らはその要求を受け入れることができない。 イスラエルはアメリカに対し、これまで以上の攻撃を求めているだろうが、ここにきてイランが核兵器を保有しているとする話が流れはじめた。イスラエルとアメリカが奇襲攻撃までイランは核兵器の開発をしていなかった可能性が高く、イランがすでに核兵器を保有しているとするならば、パキスタン、ロシア、中国、そして朝鮮のいずれかから入手したということになるだろう。 その経緯はともかく、イランが核兵器を手に入れたとするならば、アメリカは慎重にならざるをえないが、イランの要求を呑むことはできない。そうなると、ホルムズ海峡だけでなく、アデン湾から紅海への通り道であるバブ・エル・マンデブ海峡も閉鎖されることになり、原油や肥料などの供給は滞る。備蓄がなくなれば大混乱だろう。「目詰まり」で誤魔化すことはできなくなる。ドナルド・トランプ大統領の一貫性のない態度やイランに対する軽蔑的な発言にイランは強く反発、状況を悪くしているが、高市早苗首相の言動は状況の悪化に拍車をかけている。 日本は明治維新以降、軍事力の増強や関東大震災の復興などでアメリカやイギリスの金融資本に頼り、大きな影響を受けてきた。その金融資本は日本へ資本主義を導入、貧富の差を拡大させて社会を破壊したが、そうした政策のひとつが金解禁(金本位制への復帰)。1932年1月までに総額4億4500万円の金が日本から流出、景気は悪化して失業者が急増し、農村では娘が売られるなど一般民衆には耐え難い痛みをもたらすことになった。 そこで血盟団が1932年に井上準之助や団琢磨らを暗殺、36年2月26日には陸軍の青年将校が軍事蜂起すという事態になるのだが、天皇は決起した青年将校を鎮圧するように命令、その周辺の軍人は粛清された。そして1937年7月の盧溝橋事件を切っ掛けにして日本と中国は全面戦争に突入する。青年将校の背後で動いていた人物を見ると、彼らは中国侵略を推進していた勢力の罠にはまったように見える。 その当時より現在の日本は状況は悪い。高市早苗政権に限らず、日本は全体的に「頭のない鶏」状態であり、しかもアメリカやイギリスを拠点にする私的権力に抵抗する勢力は存在しない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.10
イスラエルはイランの警告を無視して6月7日にベイルート郊外のダヒヤを攻撃、6月8日にはイランのマフシャフルにあるカルーン石油化学工場を空爆。それに対し、IRGC(イラン革命防衛隊)は6月7日にイスラエルの占領地北部にあるラマト・ダビデ空軍基地をミサイル攻撃、8日にはネバティム空軍基地とテルノフ空軍基地を攻撃した。イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)もイスラエルに向けてミサイルを発射、展開によってはイスラエルとイランの戦闘が激しくなり、ホルムズ海峡だけでなく、アデン湾から紅海への通り道であるバブ・エル・マンデブ海峡も閉鎖される可能性があった。 しかしその後、ハタム・アル・アンビヤ中央司令部はイスラエルに対する軍事作戦の停止を発表。アメリカのドナルド・トランプ大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に電話をかけ、和平協定の締結を目指しているのだからイランへの報復をしないように伝え、イスラエルが攻撃に踏み切った場合、アメリカはイスラエルを支援しないとも通告したというが、イスラエルはイランをミサイルで攻撃した。 イスラエルがベイルート攻撃を決断した目的はイランにイスラエルへ報復攻撃させ、アメリカを戦争へ復帰させて和平協定を潰すことにあったと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは推測している。この推測が正しいなら、ハタム・アル・アンビヤ中央司令部がイスラエルに対する軍事作戦の停止を発表したことでイスラエルの目論見は外れたと言えるだろう。 イスラエルとアメリカの間に不協和音が生じさせたのではないかと思われる話が伝わっている。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領はパキスタンのシャバーズ・シャリフ首相と非機密回線を使った電話会談を実施、その中でペゼシュキアン大統領はアメリカの攻撃が続く場合、核和平交渉からの即時撤退、将来の核条約枠組みの完全放棄、イラン領土内での核爆発という3段階の「最後通牒」を伝えたというのだ。アメリカとイスラエルに傍受させるため、非機密回線を使ったと考えられている。同じ内容の話をマルコ・ルビオ国務長官はパキスタンのイシャク・ダル外相から電話で伝えられたという。 アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害する前、イランは核兵器の開発をしていなかった可能性が高い。 イランがすでに核兵器を保有しているとするならば、「友好国」から入手したということになるだろう。入手先として考えられるのはパキスタン、ロシア、中国、そして朝鮮。中国やロシアは核以外でイランを支援していることは明確だ。 1992年2月に世界征服プロジェクトを作成したネオコン、そのネオコンを含むシオニストはイランを殲滅して「大イスラエル構想」を実現しようとしている。シオニストを産んだイギリスの支配層は権謀術数をめぐらせ、ロシア、中国、そして西アジアを支配しようとしてきた。 こうした長期戦略を彼らが放棄するとは考え難いのだが、アメリカが動かないと前に進まない。日本やドイツにアメリカの代わりはできないだろう。すでに一度、失敗している。イスラエルはイランに対する攻撃を中断してもレバノンへの攻撃は継続し、ガザへの物資搬入は妨害している。イランに反撃させ、アメリカを戦争へ引き摺り込むしか道はないのかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.09

アメリカ、イスラエル、日本が軍事的に一体化する動きがある。日本とアメリカの場合、2024年3月に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が編成され、事実上、自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入った。日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれたということだ。イギリスの長期戦略を引き継いでいるアメリカは世界を征服するためにロシアと中国の制圧を目指している。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。アメリカはロシアの周辺にもミサイルを配備しているが、同じことだ。日本を占領しているアメリカ軍について「防衛」や「核の傘」という切り口で語ることは正しくない。「攻撃」が目的であり、「核の槍」として存在しているのだ。 国防総省の計画に基づき、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。巡航ミサイル『トマホーク』の配備も計画されている。中国やロシアを攻撃する準備が粛々と進められているのだ。昨年11月の「台湾有事発言」が「失言」だとは思えない。 アメリカでは5月26日、下院で「2027年度国防権限法案(NDAA)」が公表された。下院軍事委員会のマイク・ロジャース委員長(共和党)とアダム・スミス議員(民主党)によって提出されたもの。特に注目されているのは第224条の「アメリカ・イスラエル防衛技術協力イニシアチブ」だ。 この条項は両国の研究開発、兵器の共同生産、合弁事業、ライセンス契約、そしてあらゆる形態の軍産複合体協力の基盤を築くもので、AI、量子技術、自律システム、指向性エネルギー、サイバー、バイオテクノロジーなど、軍事技術のほぼすべての分野における連携が拡大する。さらに「ネットワーク統合」や「データ融合」も提案され、イスラエルは事実上、アメリカ軍のあらゆるデータにアクセスすることが可能。この法案は国防総省内に両国間の協力と統合を調整する執行機関を設置することも義務付けている。 こうした動きの背後にはシオニストが存在している。シオニストの一派であるネオコンはアメリカの外交や軍事の分野で大きな影響力を持つ存在で、ソ連が終滅した直後の1992年2月、アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクトを作成した。第一の目的は新たなライバルの出現を許さないことだが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むということだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ、2001年4月に小泉純一郎が総理大臣に就任してから強者総取りの新自由主義的な政策を推進、戦争体制を整え始めた。その年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されるとアメリカ政府は侵略戦争を本格化、日本も同調することになる。 アメリカはイスラエルの影響下に入り、日本はアメリカの手先になるわけだが、その背後では強大な私的権力が蠢いている。例えば、ロシアのエネルギー資源を乗っ取る寸前だったジェイコブ・ロスチャイルド、2022年にはウクライナに広がる穀倉地帯の約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。 しかも、カーギル、デュポン、モンサントには黒幕が存在する。3社の主要株主には巨大金融機関のブラックロック、バンガード、ブラックストーンが名を連ね、ウォロディミル・ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスと協力関係にある。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。 ちなみに、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務めていた人物で、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた。 ここにきて注目されているのはパランティア・テクノロジーズ。この会社は2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設された。創設者はピーター・ティール(会長)とアレックス・カープ(CEO)を含む5名。ウォロディミル・ゼレンスキーは5月12日、カープCEOと会談したと語っている。 ティールは決済サービス企業のPayPalを創業した人物で、緊急通報システムで知られるカービンの重役でもある。カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校で、同社の出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、バラクは同社の会長に就任している。ジェフリー・エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。 ティールとエプスタインは2014年から16年にかけて会合を6回ほど予定していたことを示す文書が存在する。ティールの友人であるリード・ホフマンが彼をエプスタインに紹介したという。アメリカ下院の文書によると、エプスタインは2018年に彼を自身のプライベート・アイランドに招待していた。ただ、ティール側は彼がその島を訪れたことはないと主張している。 また、ティールはアルゼンチンの首都ブエノス・アイレスの高級住宅街にある住宅を1200万ドルで購入、そこで同国のハビエル・ミレイ大統領や閣僚と会談している。ミレイは熱烈なシオニストだ。 鉱物資源に恵まれ、雄大な自然でも知られているパタゴニアをシオニストは19世紀から目をつけているとジャーナリストのセバスチャン・サルガドは語る。そのパタゴニアで大規模な山火事が発生、当局は火災の一部は燃焼剤かガソリンを使った放火だと主張している。知事は根拠を示すことなく、先住民のマプチェ族に火災の責任を押し付けているが、現地では退役したイスラエル軍兵士が火をつけたと主張する人が少なくない。 グリーンピース・アルゼンチンのエルナン・ジャルディーニは火災が広がった原因として、パタゴニア・アンデスにある森林の約30%を管理する国立公園局の人員をハビエル・ミレイ大統領が削減したことを挙げた。 ジャーナリストのセバスチャン・サルガドもミレイ大統領が消防予算を削減していることが山火事を大きくしている一因だとしているが、それだけでなく、同大統領は外国人に対し、山火事で焼失した土地を買い占めるよう奨励しているとしている。 ミレイ大統領は熱烈なシオニストで、イスラエル人が放火したと語る人を批判しているが、現在のアルゼンチンは彼を含む熱心なイスラエル支持者によって統治されていることは間違いない。パタゴニアへはガザで戦争犯罪を犯したイスラエル兵が逃げ込んでいるともいう。第2次世界大戦後、アルゼンチンへはナチの高官や協力者が逃げ込んでいたが、今はシオニストの戦争犯罪人の逃亡先だ。 ミレイはアルゼンチンをAI開発に対する国家規制と安全策を撤廃した「巨大テクノロジー企業の遊び場」に変えようとしているとも言われている。税制上の優遇措置も検討しているようだ。強大な私的権力が支配する体制、つまりファシズムをシオニストのミレイは目指している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.08
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