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びー。 @ Re:久しぶりぃ〜(09/01) おかえりなさいませ? なんか違うな。別荘…
みえこ55 @ Re:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) お久しぶりです〜^o^ ブログにコメントを…
rose_chocolat @ Re[1]:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) kaoritalyさん コメントありがとうござい…
kaoritaly @ Re:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) ご無沙汰してます。 ベスト10の映画、…
rose_chocolat @ Re[1]:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) みえこ55さん こちらこそレス遅くなりす…
2006.03.31
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これも以前から読みたいと思っていました。
村田喜代子さん。
独特の文体が、地に足が着いた心を、描いています。


********************


『蕨野行』


<Story>
自然環境が厳しい村・押伏(おしぶせ)。
庄屋の団右衛門の後添いで、若いヌイは、
最近、姑が遠い目をしているのが気になっていた。



「何しろ常と違うたおめの様子に、不振を覚えて問うなり。」


この問いに、姑(ババ)はこう答える。


「六十の齢の春の土用参りぬれば、ジジババ等は我が家を出て行くなり。
行く先は里より半里の、ワラビ野の丘なるやち。
その丘に年寄りの小屋が設けてある。
庄屋の古かかも、小作のジジも、皆同じワラビ衆となりて別扱いは無え。等しく里の風を脱して、寝食を共にせん。」



飢饉や凶作が多い村の掟で、60歳を過ぎた老人は、
家を出て一緒に暮らす。
自分らが家を出ることで、若い者を救うという発想。


里へ降りて労働をする対価として、
1日分の食をもらう。
1日働かなければ1日飢える。
体の弱いものは淘汰されていく。


こうして、人ではない、「ワラビ」としての暮らしが始まった。



<感想>
昔の寒村などには、この手の悲惨な話がたくさんあっただろう。
これもいわゆる、「姥捨て」。
しかし、決して悲惨な結末のみで終わらないのは、
「転生輪廻」の考えや、
姑と嫁ヌイとの心の交流が温かいものだからであろう。


ワラビになる、ということは、
基本的にその年を越せない=死ぬ、
ということ。
冬になれば、村の仕事も無く、里とワラビ野の間は雪に閉ざされ、
食料もつき、
自給自足でしか生きられない。


ワラビ衆の生き様も、
それまでの人生観が凝縮され、
己が生き方に等しい死に方となっている。
厳しい昔の村の掟の中で、生き抜いてきた者の潔さすら感じる。


**********************


いくつになっても、たとえ自分の意に沿わない生き方であっても、
その中で人間らしさを忘れない人々。
今回も凄まじい本でした。






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Last updated  2006.03.31 09:19:47
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