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戦時中、何にも属さずフリーでいることは許されず、宗教的な指導
をする者として、長谷川わかは神道の系統、御嶽(おんたけ)教に組
み込まれていた。終戦後、GHQの指導によって、宗教指導者とされる
人達に対して再教育がなされた。長谷川わかは、神道系に組み込まれ
ていたから、國學院大學で行われた「宗教講座」を受けることになった。
講義開始の日、会場に行くと、大学の立派な教授が入れ替わり立ち
替わり、講義を行った。だが、これまで裁縫しかやったことがない彼女
には、いったい何をしゃべっているのか全然わからなかった。おまけに、
アメリカの監督下で行われた講義だったためか、講師は軒並み英語ば
かりしゃべっていて、英語を習ったこともない彼女には言葉そのもの
がさっぱり通じなかった。
黒板に書く字もろくに読めない。しかたがないから、格好だけ書い
ておけば、後で人に聞いて何とかなるだろうと、一画一画、文字を写生
した。だが、やっと一文字完成したかと思うとパーッと黒板を消され
てしまう。先生によっては、左手に黒板消しを持って、英語の横文字
を書くたびに消していくので、彼女がいくら一生懸命になっても何も
書けない。
その講義では、キリスト教という名は出ないものの、〈啓示神学〉
とか〈宗教学〉といったようなことを教えたらしい。
長谷川わかは、わけのわからない講義をやられて、頭にきた。
《どうにでもなれ。こんな試験を通らなくても、ちゃんとわたしの頭
の中には〈神の声〉があるのだ。こんなに苦労してやるまでもない》
あきらめきって、ノートもとらずただジッと目をつぶっていた。
一緒に来ていた他の聴講生達が、ヒソヒソと言った。
「あたしたちですらこんなに難しいのに、長谷川さんたら、ノートも
取らないで、始めから終わりまで居眠りばかりしているわ。あれで
試験になったら、どうするのかしら。落っこちるに決まっているわ。
受かったらそれこそ見物だわね」
「そうよ、なんて不真面目な。長谷川わかでなくて、長谷川ばかだわ」
聴講生達は指をさしてわかを嘲笑した。女性たちは、一緒に帰ってということで、わかさん万策尽きて、伝家の宝刀の神頼みでピンチ脱出!
もくれなくなった。
一ヶ月の講習が終わって、試験になった。試験は、数人の教授によ
る面接口頭試問であった。わかは教室で自分の順番を待って控えていた。
他の人達は、ノートに赤線を引いたり、メモを書き込んだりしている。
わかは、すこし心配になってきた。なにせ、できる人達がさらに勉強
しているのだ。
《これはすこし、自分も勉強せねばならない》と思った。しかし、自分
のノートは、一ページに大きな字で一字ずつしか写生してないので、
参考にしようがない。
「すみませんけど、わたしはノートを取りたかったのに、字が書けない
し、先生がどんどん消してしまうので、記録できなかったのです。一ペ
ージばかり、書き写させて下さいませんか。急いで写しますから。それ
を見て勉強したいのですけど……」
「まあ、ずうずうしい、長谷川さんたら。いいですか、私たちは、講義
のときに一生懸命やっているというのに、あなた一人だけ鼾をかいて
グーグー寝てばっかりいて……。それで、いざ試験のときになって、人
が使っている帳面を写させてくれなんて、虫がよすぎるわ」
そう言って、誰もノートを貸してくれない。
隣の席の人のノートを横からのぞいても、わざと見えないように、ノー
トを屏風のように立ててしまう。
しかたがない。もう、神に頼るほかはない。
すると、例の聴講生の女性達が、みんな怒った顔をして近づいてきた。とここまで夜に原稿を書いて眠りにつき、翌朝早く目が覚めて寝床で読んだ
「ちょっと長谷川さん、あんた、インチキしたでしょ。あんなに居眠り
して、さぼっていた人が、こんな難しい試験に受かるわけないわよ。
ねえ、そうだわよね。一ヶ月も同じ教室で一緒にやって、あんたはずっ
と居眠りしていたわ。あたし達はずっと熱心に勉強していたんだから、
みんなよく知っている。証人なのよ。あなたは絶対にカンニングをした
んだ、そうでしょう」
「いえ、わたしは……」
「絶対そうよ。あんたが落ちて、あたしたちが受かるべきだったのよ」
「私もそう思うわ。長谷川さんは、本当は落ちるべきだわ」
「汚いわ、言いつけてやる」
「いや、実を言いますと、わたしは黒板を写せなかったし、あなたが
たに帳面も写させてもらえず、それで観念して、目をつぶっていたの
です。それで、せっぱ詰まって、神に、試験問題と答えを教えてもら
ったのです」
「まあ、あんたという人は何という嘘つきな……。宗教者の端くれの
くせに、神が試験の問題ばかりか、答えまで教えてくれただなんて、
馬鹿な話をしてー。呆れてものが言えないわ。これで、あんたがカン
ニングしたことは明らかになったわね」
他の女性も、それに追随した。
「もし、あんたに虫ほどの良心があるのなら、私はカンニングしまし
たって、試験事務所に申し出なさいよ。あたし達がみんなでついてい
って、証明してあげるから。あんたの合格が取り消しになれば、私た
ちの誰かが合格するはずだもの」
三年生の時、突然気づいてしまった。私は立教女学院小学校を受験し、
合格したから入学した。しかし受験をしたのは私だけではない。大勢の
六歳児達、あるいは五歳児達がこの学校の入学を目指し、お金をかけ勉
強と対策を繰り返し受験した。そして不合格となった子供達もいたはず
である。私さえ受からなければ、もう一人この学校には入れたのだ。私
は一人分、立教女学院の席を誰かから奪った。私さえいなければ、誰か
が笑顔になっていたはずだ。そのことに気づいた瞬間から、私は常に誰
かの邪魔になりながら生きているという感情を覚えるようになった。
祖母は信心深かった。昔はそういうことを全く信じない人だったらし
い。しかし心霊現象が多発して数々の霊能者と親睦を深めると、すっか
り信じるようになった。
祖母のところにはいろんな霊能者が出入りしていて、特に祖母はとあ
る神道系の霊能者に熱心だった。
長谷川わかは、皆の勢いに押されて、試験管理事務所に突き出された。
しかし、事務所側が言うには、この試験は、とくにGHQのガイドがあっ
て、問題の漏洩を防ぐために、あらかじめ試験問題を書いたり印刷した
りすることはなく、出題する教授は、他の教授の講義した内容から、そ
の場で決めて出題する方式をとったから、カンニングなどはありえない
ということだった。
神が、情報を人間に教えてくれるということは、世界中の神学者や
宗教学者、宗教家には知られていないらしい。
「その試験に合格した時にもらった免状が、あそこにかけてるわ」と、
長谷川わかが言った。そこには、真中に大きな菊の紋のある紙に「助教
授を命ず。御嶽教」と書かれてあった。
Ω様「神社に行ってなにを祈ったのかな。」
ベリー西村「子供が希望大学に合格しますようにとお祈りしました。」
Ω様「それは善なのかな。」
ベリー西村「家族の幸せを願うことですから、私には善です。」
Ω様「そうじゃな。お前の子供が希望の大学に合格し、その1人分の枠
が減ったことにより、誰かの子供が不合格となるのではないかな。
それは「呪い」というものではないかな。」
ベリー西村「ええっ!……。まったくそうですね。あくまで私の家族に
とっては善でした。不合格となった知らない家族には悪な
のかもしれません。」
Ω様「ようやく分かったようじゃな。」
未来のことを夢の中で見ることや、夢で見たことが現実になること。
予知夢は白日夢と近いのですが、目覚めていながら夢を見ているかのよう
に現実から離れて何かを考えている状態をいいます。予知夢と予知夢的な
夢とは大きな隔たりがあり、予知夢の場合、見た夢そのままが未来に発生
します。予知夢的な夢の場合、現実の未来には相違点もあり、夢で見た未
来の変更も可能です。これらの相違は夢の提供者にあり、予知夢的な夢は
通常のソウルメイトが信号提供者です。絶対未来を啓示する予知夢では
ソウルメイトよりずっと上位の提供者がその資格を持っていますが、それ
は通常「神」と言われている意識存在です。私は最大で40年先の未来を教
えられました。すべての予知夢内容は個人的未来の行動や思考です。北朝
鮮の核ミサイルで死ぬ夢のみ、私にとってまだ現実化していない唯一の
予知夢なのです。

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さそい水さん