江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

PR

プロフィール

笑左衛門

笑左衛門

カテゴリ

江戸川柳、俳句、狂歌、端唄、

(69)

みそひともじ(江戸短歌)

(22)

都々逸処ごった煮でござんす

(49)

小説 小伝馬町牢屋敷、首斬り浅右衛門

(11)

小説 鼠小僧治郎吉 へたれ噺

(11)

笑左衛門 残日録

(91)

江戸の変人奇人狂人伝

(8)

浮説 徳川裏史疑隠密秘聞帳

(56)

浮説 徳川御用金、伊賀の蜜謀

(10)

小説 飛脚屋馬之助 悲恋走り

(13)

江戸の小咄でござんす

(52)

江戸しぐさ、江戸言葉、江戸っ子話

(38)

裏長屋よもやま話,

(50)

江戸ぶら、ぼてふり、

(40)

忍草、悪鬼不忍池に沈むの巻、

(4)

忍草 蛇抜け長屋の巻

(5)

忍草 無常の風の巻

(5)

忍草 汚桜金四郎の巻

(4)

忍草 表裏の巻

(15)

忍草 大奥乱れ咲きの巻

(10)

忍草 花川戸七軒店 屁買豚鼻乃儀十始末譚

(9)

忍草 花川戸七軒店  礫の退四朗

(14)

忍草 隠密岡っ引き 三蔵

(16)

忍草外伝 枯草の最後っ屁

(11)

忍草外伝  愚女よ、穢土の闇を駆けぬけろ!

(29)

小説 江戸珍臭奇譚 ふんどしお絹

(10)

小説 江戸珍臭奇談 貸し便お菊

(16)

小説 江戸珍臭奇談 霊岸島 おから村

(10)

小説 女郎花、 泥だらけの純情、 怪盗八咫烏

(12)

小説 浮草侍、 夢喰い侍、

(24)

小説 自由への幻戯 (めくらまし)

(17)

小説 死のう党、慙愧氷月左近、

(20)

小説 戯噺 白鳥空の彼方に

(25)

小説 謀られたり!燻り侍

(9)

小説 しゃっくり同心茂兵衛 事件帳控

(19)

小説 おから長屋 人情へちゃらか噺

(32)

へた絵廊

(31)

小説 天保河童騒動 巾着切り始末

(20)

小説 お江戸酔生夢死

(21)

小説 桃色頭巾参上!

(16)

小説 泡末夢幻江戸令和

(19)

小説 将棋指し、座頭の飛吉

(8)

小説 貸本屋文吉 天保騒動

(11)

橋番、木戸番、自身番、辻番噺

(20)

江戸 いろはかるた

(21)

コメント新着

aki@ Re:大川の渡し(01/21) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
笑左衛門 @ Re:~将棋指し、座頭の飛吉~1(09/21) さてさて、藤井聡太対飛吉の勝負、  対戦…
笑左衛門 @ Re:~将棋指し、座頭の飛吉~1(09/21) さてさて、藤井聡太対飛吉の勝負、  対戦…
将棋 夫人@ Re:~将棋指し、座頭の飛吉~1(09/21) 藤井聡太君とどっちが強いのかしら
おちやめ@ Re[1]:裏長屋回遊 2(07/19) 紋次郎さんへ 泡の助様、期待してますよ、…

お気に入りブログ

我が家 朽木一空と五林寺隆さん

2019年10月05日
XML
​​江戸珍臭奇譚13    貸し便お菊 3  ​


覚悟しろ、ちん斬りのお吉でぃ、


 お菊が 駿河屋甚右衛門のところへ 嫁いで一年もしないうちに、どえらいことがおきてしまったのだ。
 お菊の弟の直次郎が深川の芸者のお吉に男の股間を斬られるという前代未聞の不祥事を起こしてまったのだ。痛いなんてものではなかった。そらあそうだけど、、

 瓦版屋は~チン斬りのお吉でぃ~と、ばかりにこの事件に飛びついいて、
  ~深川芸者のお吉が鬼瓦組の旗本の腐った股間を切り捨てた!~
 と、面白おかしく書きたてたものだから、
江戸中の者が知ることになり、当然のことながら、江戸城内でも噂にのぼり、旗本梶井家は大いに笑われた。
 梶井家の次男の直次郎は長男の覚之助より、頭も切れ、剣術も優れ、何より色男であったのだが、悲しいかな旗本の次男坊に産まれたのが運の尽き。 家督を継げるわけでもなく、明日への道筋が見えぬまま、悶々とした生活を過ごすうちに、お決まりのように愚れて、旗本の次男三男が群れる鬼瓦組という狼藉者の仲間に入り、町を徘徊しては悪さをしていたのだ。どうしてお吉という女と揉めて、股間を斬られたのかは定かではないが、その話は尾鰭をつけて江戸中を駆け巡った。
 梶井
直次郎はいたたまれなくなって出奔し、無宿者になってどこへ姿をくらましたのか、生き方知れずのままだし、父の梶井文左衛門はそれを苦にしたのか、 脳卒中で倒れ、体が不自由な、よいよいになってしまった。
 家督は兄の梶井覚之助に引き継げたものの、賄い方の番頭のお役目からは外され、小普請組に入れられた。無役同然の身であった。
 駿河屋のお茶を江戸城御用達にして貰うのが、お菊と所帯をもった目的だった駿河屋甚右衛門は、目算外れになった途端、お菊にさらに冷たくあたり、 じめじめした北側の部屋をお菊にあてがい、下女と一緒に朝から晩まで、お茶の選別をやらされた。
 おかみさんどころではない、ただの下働きの女中同然の扱いだった。
 みじめな奥方様、じっと耐えるだけの生活がお菊には続いていた。​

​​     つづく 朽木一空​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2019年10月05日 09時47分58秒
コメント(0) | コメントを書く
[小説 江戸珍臭奇談 貸し便お菊] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: