江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

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2023.10.15
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カテゴリ: 笑左衛門 残日録
​​ 笑左衛門残日録  72 ​​
​連歌師 山崎宗鑑で候


「お筆、愉快な連歌師がおったのだぞ、
滑稽機智を主眼とし天性の洒落気を持つ宗鑑という人物じゃ、
正統派の連歌師からは宗鑑の作風と俳諧は、卑属、滑稽と哂われていたのだが、
 ~かしましや 此の里過ぎよ 時鳥(ほととぎす) 都のうつけ 如何に聞くらむ~
 と、逆に哄笑したというからあっぱれじゃのう、、」
 「まあ、そのひねくれ具合が面白いのですか、どこの国のお方なのですか?」
「讃岐国(香川県観音寺市)の興昌寺に庵”一夜庵”を結びそこで生涯を終えたと聞いておる。
”一夜庵”という名はな、宗鑑が長居の客を厭い一夜以上の宿泊を断ったからといわれておるのじゃ。
 一夜庵の入口には「上の客人立ち帰り、中の客人日帰り、泊まりの客人下の下」と記されていたというから、
 偏屈者でもあったのじゃろうな、」
「旦那様それで連歌とはいかがなものでしょうか?」
「連歌とはな、和歌の上の句(五・七・五)と、下の句(七・七)を交互に作るものなのだよ、
 山崎宗鑑は高名な有連歌師の師匠に、

 ~切りたくもあり切りたくもなし~

 という下の句に附句三句を付けてみよという題目をだされ、

  ~ぬすびとを捕へて見ればわが子なり~切りたくもあり切りたくもなし

 ~さやかなる月をかくせる花の枝~切りたくもあり切りたくもなし

  ~心よき的矢の少し長いをば~切りたくもあり切りたくもなし

 という三句を作ってみせたというのじゃ、いや、滑稽、珍妙可笑しいいのう、、
  まだあるのじゃ、”それにつけても金の欲しさよ”
 という下の句に附句を付けてみよといわれると、

  ~手をついて歌申上る蛙哉 ~それにつけても金の欲しさよ~

 ~さむくとも日になあたりそ雪仏 ~それにつけても金の欲しさよ~

  ~としくれて人ものくれぬこよひかな ~それにつけても金の欲しさよ~

  ~風寒し破れ障子の神無月~ それにつけても金の欲しさよ~

 ~田子の浦にうちいでゝみれば白妙の ~それにつけても金の欲しさよ~

 実に機知に富んで面白い連歌じゃ、
 こんな山崎宗鑑は

 ~宗鑑は いづこへと人の 問うならば ちと用ありて あの世へといえ~

 辞世までも、人を食ったような滑稽・洒脱なひとだったそうじゃ、、
 「でなお筆、某も連歌に挑戦してみたのじゃよ、、

 ~柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺それにつけても金の欲しさよ~

  ~古池やかわずとびこむ みずのおとそれにつけても金の欲しさよ~

 これではいかぬな、、では、

  ~亭主死に 稼ぎなくなり 夜鷹する
   それにつけても金の欲しさよ~
  ~将棋盤 王手王手で 駒不足
   それにつけても金の欲しさよ~

 「ではお筆もひとつ、」

  ~旦那様 身は細りとも 女子好き
   それにつけても金の欲しさよ~
 お粗末でございました  笑左衛門





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最終更新日  2023.10.15 10:30:07
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