江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

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旧岸総理邸 朽木一空と五林寺隆さん

2026年04月22日
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カテゴリ: 忍草  再演 26
 忍草 (しのぶくさ) 再演   26-10

~ 忍草が 蛇抜け長屋に  ひっそりと~  

白蛇に抱かれた奉行 1





柳、やなぎで世を面白う うけて暮らすが命の薬
梅にしたがひ、桜になびく 其日、そのひの風次第
虚言も実も義理もなし  ~ 江戸の端唄~
 ですがね、忍びの者はそうはいかねえ、
花のお江戸の八百八町、庶民のほとんどは九尺二間(約六畳)の長屋で暮らしていた。
神田弥平町にある伝蔵長屋も、似たり寄ったりの裏店だが、表店が二階になってて、
長屋のどんづまりが堀に突き当たっているので、陽も当らぬ、雨漏りはする、
 どぶ板も朽ちてどぶがむき出しのせいでじめじめしていて、蛞蝓が這い回っている。 おまけに、六尺をこえる、白蛇までが、住んでいた。
 江戸の堀には駕籠に乗せられた捨て子が流されてくるのはよくあることだった。
 誰かが拾って育ててくれるのが江戸の町の人情であった。
 その日も、籠に乗せられ、布に包まれた赤ん坊が堀を流れてきたが、
 「うぎゃあ、うぎゃあ」と、赤子が手足をバタバタさせて泣き叫び、
 駕籠が揺れていまにも堀に落ちそうになった。
 <危ねえ!、>
 家主の伝蔵は肝を冷やした。
 と、その時、六尺を超える大白蛇が音もなく寄ってくると、その駕籠を抱くようにして赤ん坊を助けた。
 赤子は女子でめんこくておまけに気品のある顔立ちをしていた。
 子宝に恵まれなかった伝蔵は、一目で気に入り、
 流れてきた捨て子に蝶と云う名をつけ、自分の子として育てることにしたのだ。
 お蝶を救った大白蛇も縁起のいい運のある蛇だと家族のように大切にし,
  毎日高価な伊賀の兵糧丸五粒と生卵三つを食べさせた。白蛇はすっかり懐いてしまった。
 娘のお蝶も白蛇を怖がらずにたいそう可愛がり、自分の蒲団で白蛇と添い寝することもあるほどだった。
 白蛇は厠と堀の間に棲家があり、長屋の通路をしゅるるしゅるると這い回り、機嫌が悪いと蜷局を巻く。
天気のいい日には石置き屋根で日向ぼっこをする。しゅろしゅろと割れた良く伸びる舌を出し、 細い小さな赤い眼を光らせている。おかげさまで長屋に鼠公はいなくなったが、ご近所様は気味悪がって、 伝蔵長屋とは呼ばずに、蛇ぬけ長屋(じゃぬけながや)と蔑んでいて、めったに近寄らなかった。
 蛇の住む気味悪い長屋なので、なかなか借り手が見つからなかったので、
 空き家にしておいては廃れる一方なので、弥平町辺りの長屋の店賃は
三百文が相場だが、伝蔵はたったの百文の店賃しかとらなかった。
 一杯十六文のかけ蕎麦六杯分の家賃なので、長屋が空くことはなかった。
 おまけに、
家賃はある時払いの催促なしときてるから店子にとっては伝蔵は仏様だった。
 吹き溜まりの様な、ぼろ長屋の店子も当然貧乏人の訳ありだったが、威勢だけはよかった。
「せいぜい稼いだところで、また、稼がねえところで、貧乏は貧乏よ、抜けられやしねえ、 あがいてみたって、世の中、そういう仕組みになってらあ。あくせくするだけ損だってことよ、 ほらっ、貧乏神がくしゃみしてらぁ。
どうせ、貧乏、笑って暮らせぇ。明日は明日の風が吹かぁ。
朝から晩まで寝る間もなく稼いで、大店持った尾張町の大金呉服店の旦那様、しまいにゃあ、 銭持ちすぎて、心配事が溜まって、遊ぶ間もなく、脳卒中であの世行きとは、世話ねえぜぃ。
 家督を守るのに、しきたり、つきあい、出世のために、ぺこぺこ、あくせく、びくびく、 金欠病で、ぴいぴい云いながら、『武士は食わねど高楊枝』とは、痩せ我慢のお武家様だい」
負け惜しみにも聞こえるが、あっけらかんとした諦めの生き方は清々しくもみえた。
木戸番の蜘蛛左は四尺に満たぬ小柄な男で、頭が尻の倍以上もあり、手が地面に着くほど長い。
異形な容姿で、嗤われ、忌み嫌われる生涯だが、殺されぬだけましだったのかもしれない。
親は 産まれるとすぐに、気味悪がって、村八分にならぬうちに、隠すようにして山寺に捨てた。 檀家でもあった家主の伝蔵が住職に頼みこまれ、密かに預かって育て、 今は、長屋の木戸番をやらせている。
 蜘蛛左は口重だが犬耳で動きは敏捷だった。
 遠くの半鐘の音を耳で捉えると、素早く、向いの自身番屋にある
火の見櫓をすすっと登り、火事の火元を見つけるや、半鐘を鳴らすのである。
 火の見櫓の半鐘は本来自身番屋の番太の仕事だったが
 自身番屋の役人も素早い動きの蜘蛛左をすっかり頼りにしていた。
 家主の伝蔵が蜘蛛左に木戸番をやらせる理由はもうひとつあった。
 近所の餓鬼どもが木っ端を刀代わりに手にして、白蛇に悪戯をしないか見張らせているためだでもあった。
 木戸番は明け六つ(朝6時)に長屋の木戸を開けて、夜四ツ(午後十時)木戸を閉めるのが仕事だが、木戸番御の蜘蛛左は店賃も回収するし、井戸の修繕、雨漏り修理、厠やどぶの掃除もするので 大家の仕事も兼ねていた木戸番でもあった。
 大家と言えば親も同然なので、長屋の揉め事、諍い、よろず相談にも
乗るのだが、、蜘蛛左にはそんな器量もなくその時は家主の伝蔵に持ち込まれた。

  つづく 朽木一空





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最終更新日  2026年04月22日 00時00分12秒
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