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2006年03月01日
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カテゴリ: 露野
 その後再び、私は老婆の館を訪れることはなかった。

 忘れたわけでもないし、以前のような不快感も今はない。だが、もう一度老婆に逢うことは私をためらわせた。私はあの月の一夜の思い出を大事にしたかったのである。

 私はしばらくして京へ戻り、またいつもの慌しい生活が始まった。その中で、老婆のこともまた以前のように忘れてしまうはずだったのだが、私は老婆の消息を意外に早く聞くことになったのである。

 京へ戻って十日ほど経った頃だろうか。私の京の屋敷に、あの老婆の末息子の少年が訪ねてきたのだ。

 少年は以前より少し痩せ、顔つきもどこか大人びていた。そして、驚いて出迎えた私に深々と頭を下げ、美しい錦に包まれたものを差し出した。私がその錦をほどいてみると、中から現れたのは、あの月夜の晩に老婆が奏でていた古い和琴であった。少年は静かな声で言った。

「母は三日前に亡くなりました。遺言で、この和琴をあなたに差し上げて欲しいと」

「母御が亡くなった?」

 私が驚くと、少年は私の目を見つめて言った。

「はい、母はもうずっと前から病で臥せっておりました。恐らく自分でも、もう先が長くないことを知っていたのでしょう。事細かに遺言を記し、一族の長老の者に預けておりました。私には母が実家から受け継いだ分の領地の全てを残してくれましたし、ずっと大事にしてきたこの和琴はあなたにと」





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最終更新日  2006年03月01日 14時19分01秒
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