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2011年12月12日
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カテゴリ: きりぎりす
 堀河の胸に、自分でもよくわからない痛みが満ちた。まるで、冷たい氷の海にゆっくりと窒息して沈んでいくような、そんな鈍く冥(くら)い痛みだった。

 その痛みは、待賢門院の御幸が終わり三条西殿へ戻ってからも、堀河の胸を締めつけ苦しめた。

 何と空しいことだろう。心を尽くした想いも、狂おしいほどの官能も、ただ一時のこと。思い出すら残らない。

 待賢門院の御前を下がって自分の局に戻った堀河は、ひどく疲れ果てたような沈んだ気持ちで深い溜め息をついた。じっと黙り込んだまま獅子王に話しかけもしない堀河に、獅子王はものわかりの良い夫のような口調で問うた。

「疲れたようじゃな。どうした? 何かあったのか」

 堀河は獅子王の顔を見た。思いやりの見える穏やかな笑顔だ。堀河は少し獅子王に甘えて見たくなった。

「懐かしい顔を見たのだけれど……会わねば良かった」


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最終更新日  2011年12月12日 14時59分45秒
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