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ハーレムを牛耳るギャングのボスに運転手として長年仕えたフランク・ルーカス(ワシントン)は、ボス亡き後、一匹狼として生きることを決意。ディスカウントストアがメーカーから直接仕入れることで安い商品を店頭に並べることにヒントを得て、東南アジアの麻薬を直接買い付け、ベトナム戦争の軍用機を利用して密輸。高純度のヘロイン"ブルーマジック"を安く大量にさばくことでまたたくまに巨万の富を築く。
マフィアからも一目置かれる存在になったフランクだが、地味な存在に徹したため、その正体は長らく誰にも気づかれずにいた。しかし、「モハメド・アリ対ジョージ・フレイジャー戦」を観戦に出かけた夜、ついに彼に疑惑の目を向ける人物が現れる。
それが、刑事のリッチー・ロバーツ(クロウ)だ。警官が当たり前のように不正や汚職に手を染めていた時代、正直であることを貫いたため仲間に疎まれることになるチャーリーだが、そこを買った上司から麻薬捜査専門の特別チームを編成するように言われる。急速に街に蔓延し始めた"ブルーマジック"の販売ルートを追ううちに、謎だった敵に迫っていくのだが——
前半はギャングと刑事のそれぞれの世界を時代背景を丁寧に入れながらドキュメントタッチで淡々と描き、リッチーがフランクの正体に気づいて二人の世界が徐々に交錯するようになってからは、スリリングな展開に。演出も俳優たちも、緩急を効かせて、2時間40分の長丁場を感じさせないいい出来だった。
邪魔者と見れば容赦なく殺し、冷徹な計算でマフィアを出し抜く、でも人のよさは隠せないギャングのデンゼル・ワシントン。仕事ではリーダーシップを発揮しながら、息子の親権争いで別れた妻から私生活の乱れを指摘されてぐうの音も出ないラッセル・クロウ(←この人の声いいのよねえ)。表面的には善と悪の正反対の世界にいる両者だが、ずるい生き方は許さないというところで繋がるのだろう。オスカー受賞俳優同士の、静かに火花を散らす競演(実際の共演時間は少ないが)は見応えがある。
しかも、脇役もみな味があった。フランクの母親役のルビー・ディーは本作で今年のアカデミー賞にノミネートされたし、フランクの弟ヒューイを演じた役者は、つい最近見た覚えがあると思ったら、『キンキーブーツ』でドラッグクイーン役をやった芸達者なキウェテル・イジョフォーだった。
一匹狼の成功を、旧態依然のマフィアが妬むことから、フランクのビジネスにほころびが出始めるのだが、それについてチャーリーが「マフィアは進化するお前がいやだったんだよ」と言う場面がある。なぜかここで私は、オバマのキーワードも「進化」だよなあと思って面白がってしまった。
全編を流れる70年代のソウルミュージックもいいが、この作品にインスパイアされて、Jay-Zがコンセプトアルバムを作ったというので、そっちも是非聴いてみたい。
見終わったあと、設定は異なるがギャングと警官の対立を描いた『ディパーテッド』をちょうど1年ほど前に見たことを思い出した。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの演技を見てしまうと、レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンは子どもだよなあと思う。(だから悪いという意味ではないが)
映画館を出ると、だいぶ前から降り始めたらしい雪で道路は真っ白、あわてて(!)安全運転で帰宅した。
ゆきまま2005。さんComments
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