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2015年05月14日
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カテゴリ: 国内「あ」の著者
女も坊主。起床は5時前。携帯・恋愛もちろん禁止。仕事で迷い、悩んでいるなら、かつて日本人が実践してきた、苦しくも実りある、この働き方に学んでみよう。(「BOOK」データベースより)

秋山利輝『丁稚のすすめ』(幻冬舎)
あき秋山利輝:丁稚のすすめ.jpg

◎「徒弟制度」を頑固に実践



 最初に著者のプロフィールにふれておきます。
――秋山利輝:1944年、奈良県生まれ。有限会社秋山木工代表取締役。中学卒業とともに、家具職人への道を歩みはじめ、1971年に秋山木工を設立。秋山木工の特注家具は、迎賓館や国会議事堂、宮内庁、有名ホテルなどで使われている。スパルタ教育で職人を育てる独特の研修制度でも注目を集めており、テレビや雑誌の取材も多い。(『丁稚のすすめ』の「著者紹介」より) 

 秋山木工が脚光をあびているのは、だれもができないことをやっているからです。厳格な面接試験をおこない、入社した社員は4年間丁稚奉公をしなければなりません。男も女も頭を丸め、寮生活に入ります。給料はほんのわずかです。彼らは先輩に教えられながら、ノミやカンナを磨く以前に、まず「人間性」を磨くこのになります。

 秋山木工には、「職人心得28箇条」なる教えがあります。丁稚たちはそれを暗記しなければなりません。いまどきの考えでは、時代錯誤と片づけられそうに思います。それを愚直にも継続しているのです。それが秋山利輝の哲学なのですから。「職人心得28箇条」には、目新しいものはありません。

1.あいさつのできた人から現場に行かせてもらえます。
2.連絡・報告・相談のできる人から現場に行かせてもらえます。

 こんな文章からはじまり、「28.レポートがわかりやすい人から現場に行かせてもらいます」で結ばれています。これらを毎朝全員で唱和し、気を引き締めているのです。

 丁稚期間中は、恋愛をしてはいけません。親元に帰るのは盆と正月だけです。「職人心得28箇条」以外にも、さまざまな不文律が存在しています。

 こんなこと、まねができないよな。そんな気持ちで本書を読みました。全部を模倣することは難しいのですが、「こころ」を取り入れることは可能です。そのあたりについて、私の気づきをまとめてみたいと思います。

◎すべてを真似ることはできないが

「丁稚には毎日レポートを書かせる」
 きまった書式があるわけではありません。スケッチブックをあてがっています。丁稚たちは自由な思いを書き連ねます。大工道具の写真を張る。イラストを書き込む。なんでもありです。本日気がついたこと、明日への糧になりそうなことなどを、丁稚たちは思い思いに書いています。

 私が主張している営業担当者の、「1日の思い描きと振り返り」ステップとまったく同じです。本日の最大の成果を思い描く。失敗をおそれずに挑戦する。新しい何かを発見する。それらを明日につなげる。

 これらのことを、秋山木工では毎晩レポートにさせています。それを先輩が読み、社長も読んで、コメントを記入します。ただ提出しているだけの役にも立たない日報とは、価値観が違います。

 フリースタイルのレポートには、定型書式と違い管理の臭いがありません。ただ漫然と書かれている日報と異なり、書いたことが自分自身に跳ね返ってきます。これが魅力的です。

「腕を磨く以前に人間性を高める」
 まったく同感です。企業の新人研修で欠けているのが、この「人間性」を高めるプログラムです。知識を教える。大切なことです。社会人としてのマナーを教える。これも大切なことです。

 秋山木工で最初に教えるのは、感謝の気持ちです。親に感謝し、恩師に感謝する。その気持ちがやがて、先輩に感謝し、会社に感謝し、顧客に感謝するように、ステップアップすることになります。

 私の研修プログラムに、「日常を磨く」という項目があります。限られた時間のなかで、このプログラムはもったいない。もっと受講者にノーハウを教えてほしい、という意見も提起されることもあります。そんなとき、私は必死で説得にあたります。まず「人間力」という背骨を鍛えなければなりません。

 ほとんどの企業のトップは、私の主張を理解してくれます。「焦りすぎだよね」と自戒する幹部もいました。秋山木工は4年間をかけて、丁稚の人間力を磨きつづけます。ウサギとカメの競争ではありませんが、私はこの期間の価値をだれよりも信じています。

 本書を読んで、ほかにも考えさせられることはたくさんありました。「人を育てる」ことの原点を、ここまで実践している人がいる。秋山木工をそのままあなたの会社に持ち込めないけれど、精神から学ぶべき点は多いと思います。ぜひ読んでみてください。 
(山本藤光:2010.07.07初稿、2015.05.13改稿)





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最終更新日  2017年10月09日 03時11分21秒
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