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同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人を中心とする物語。いじめに遭っていた中学時代に先生から言われた言葉「君たちには翼がある」そんなのは気休めに過ぎない。翼がなくても生きていかなければならない。中学時代にいじめっ子ガキ大将だったやつは大人になっても幼稚なままでモラハラ夫になっていた。女の子はかわいければいいの、と言われて育ち、自分の考えを持たなかった妻がモラハラに気がついて離婚に踏み出すところは良かった。ところで、読む前から表紙の写真が気になっていたが、黒い●は人の頭だった。わたしたちに翼はいらない [ 寺地 はるな ]
2023.11.30
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行き場のない母子を守る「のばらのいえ」を立ち上げたのは大学のボランティア活動で知り合った志道と実奈子で後に夫婦になる。「かわいそうな子どもを救いたい」と理想は立派だが現実は悲惨だった。おままごとのような人助けごっこだなと思った。その中で6歳から一緒に育った祐希と紘果がすごくしっかりしている。志道と実奈子より冷静に物事を考えていて大人に見える。ところで、最近、寺地はるなさんと町田そのこさんの作品を読んでいて区別がつかなくなることがある。作風が似ているのかな。白ゆき紅ばら [ 寺地はるな ]
2023.05.31
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当たり前とか、普通だとか思っていたことが違うことに気づく。そんなきっかけをくれた寺地さんの繊細な文章。自分の弱さをさらけ出すことで、他人の痛みも解るし、他人からも理解されるのかな、とも思った。ディスレクシア(読字障害)ADHD( 注意欠如多動症)のこともさりげなく触れていて、周りの人の理解があれば克服できることも、偏見や差別を受けて日常生活に支障をきたす人もいる。トム・クルーズはディスレクシアで小さい頃はイジメられていたが、立派な俳優になった。完璧に理解できなくても少しでも知ることが大切だと思う。川のほとりに立つ者は [ 寺地はるな ]
2022.12.01
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7編の短編集です。なんとなく、寺地さんの子供の頃の経験を物語にしているような気がした。タイムマシンで太古へ行って「帰って来られなかったらどうしよう」と言う小6の男子に「帰って来たいの?」と聞くおじさん。大人だったら帰って来たくないかもな。「対岸の叔父」の叔父さんが、働かずに好きなオブジェみたいなものを作っている。変人扱いされながらも、こういう生活が許される寛容的な社会はいいな。タイムマシンに乗れないぼくたち [ 寺地 はるな ]
2022.06.23
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普通って何?自分を中心とした物の考え方なので、普通の基準はみんな違う。父親の全は不器用ながらも離婚で別れた子供たちを心配し、友人で雇い主の黒田が代わりに養育費を渡しに行く、自分は独身なのに全のことを理解しているからできることかも。手芸が好きで高校生になって初めて友達ができた清澄。祖母は幼少期から清澄に刺繍を教える。働くしか能がないからと、具合が悪くても休まずに体を壊してしまう母。小学生の時にスカートを切り付けられる被害に遭った姉の美青。姉弟の名付けの意味を知り父の想いを知る。ガーゼ素材のウエディングドレスは父親の全でなければ作れなかっただろう。それに白い糸で刺繍をする清澄。じんわりしみこむ文章が好きです。水を縫う [ 寺地 はるな ]
2022.01.19
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初めての作家さんでしたが、とても引き込まれました。祖父が残したガラス工房の後を継いだ兄と妹。妹は美術の専門学校に通い、兄はコミュ症で人づきあいが苦手、定職がなくアルバイト。普通の事が出来ない兄なのに、吹きガラス作品は素晴らしいので妹は、障害がある人は特別な才能がある、と兄を羨む。世間では発達障害とか言うけど、その人の個性なんじゃないかな、と思う。そしてビックリしたのはガラスの骨壺があること。素敵だな~!私もガラスにしようかな。他の作品も読んでみよう、と思わせる作家さんです。ガラスの海を渡る舟 [ 寺地 はるな ]
2021.12.08
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