マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

2008年02月20日
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カテゴリ: 2008年01~03月読書
[1] 読書日記


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    聴くと飽きてしまう。それなのに、同じ落語を何度聴いてもおもしろいのはなぜ
    だろう。それは、落語の世界では時間がとまっているからだ。殺伐とした話題ば
    かりが先行する今の世の中、核兵器も公害もテロもなかった「あの頃」の「あの
    連中」に会うために、皆は落語を聴くのだ。



田中啓文 「ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺」(集英社文庫)



  を読了。

  現在のNHK朝のテレビ小説「ちりとてちん」でもお馴染みの「上方落語」。その世界に
 入門させられた若者・竜二&笑酔亭梅寿・師匠の遭遇した事件を扱った連作短編ミステリ。
  (笑酔亭梅寿は、笑福亭松鶴のもじり。他にも、桂公団地、桂麦昼といった名前も)
  各短編は古典落語の演目名で、< 古典をふまえた、謎解きのある、探偵小説
  竜二の噺家としての成長ドラマにもなっている。

  とにかく、おもろい。
  ミステリ部分も面白いが、それ以上に物語、人情話として抜群に面白い。
  田中啓文の作品らしく、駄洒落ネタも豊富。
  上方落語好きならば勿論、上方落語を今まで聴いたことのない人でも、上方落語が聴き
 たくなる一冊。

  ちなみに、全7編の短編のタイトルは、
  「 たちきり線香
  「 らくだ
時うどん
  「 平林
  「 住吉駕籠
子は鎹(かすがい)
  「 千両みかん
  と、上方落語のメジャーな演目が並び、上方落語の入門書としても代用可能の逸品。





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最終更新日  2008年02月20日 22時13分19秒
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