全6件 (6件中 1-6件目)
1
[1] 読書日記 最近の読書を振り返ってみると、冗談みたく単純に、かつ連鎖反応的に推移していた ことが本日振り返ってみて判明した。 というより、森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」でいうところの<一冊の本を引き上 げると、古本市がまるで大きな城のように宙に浮かぶだろうと。本はみなつながっている> といことになるのだろう。 最近、読み終わった本は山にして積んでいっている。 その一番新しくできた山の下層部から順に見ていくと、 佐々木譲「笑う警官」 ↓警察小説つながり 貫井徳郎「慟哭」 ↓同作者 貫井徳郎「プリズム」 ↓両作とも、トリッキーな構成 乾くるみ「イニシエーション・ラブ」(再読。好きで時折読み返す) ↓同作者 乾くるみ「マリオネット症候群」 ↓同じく人格転移もの 新井素子「あたしの中の……」 ↓同じコバルト文庫 青木祐子「恋とドレスとつぼみの淑女」 ↓両作とも、イギリスが舞台のライトノベル 樺薫「めいたん メイドVS名探偵」 ↓両作とも、偽装工作を行い事件を隠蔽しようとする主人公の物語 ドナルド・E・ウェストレイク「弱気な死人」 ↓両作とも、タイトルに「死」の文字 S・キング「死のロングウォーク」 ↓文庫背表紙の色の構成が「赤地に白」と「白地に赤」 C・マッカーシー「血と暴力の国」 ↓両作とも、映画化されている作品 伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」(再読) ↓同じく創元推理文庫 樋口有介「彼女はたぶん魔法を使う」 ↓両作とも、探偵役が私立探偵 麻耶雄祟「名探偵 木更津悠也」 ↓作者が京大推理研究会出身 法月綸太郎「法月綸太郎の功績」 ↓所収の「中国蝸牛の謎」(「チャイナマイマイ」)の元ネタ エラリー・クイーン「チャイナ橙の謎」 ↓同作者 エラリー・クイーン「オランダ靴の謎」 ↓国名シリーズ 有栖川有栖「モロッコ水晶の謎」 ↓両作とも、作中に作者と同名の登場人物が登場 あせごのまん「余はいかにして服部ヒロシとなりしか」 ↓両作とも、背表紙が黒地に白抜きの文字 北森鴻「メイン・ディッシュ」 ↓主人公の名前に「紅」と「林」が含まれている。(紅林ユリエ) 乾くるみ「林真紅郎と五つの謎」(現在読書中) まあ、こじつけっちゃこじつけ。 ちなみに、「背表紙が黒地に白抜きの文字」は上記作品では、「イニシエーション・ラ ブ」も該当し、「作中に作者と同名の登場人物が登場」は「法月綸太郎の功績」、「チャ イナ橙の謎」、「オランダ靴の謎」も該当する。 ただ、上記作品は9割がミステリでありながら、「探偵役が私立探偵」な作品は上記2作 品しかない。意外とミステリには向かない職業だったりする。
2008年04月07日
コメント(0)
[1] 読書日記 <「誰も変わったりはしないさ。周囲の状況が変化して、 それで人間たちが変わったように見えるんだ」> J・S・ヒッチコック 「目は嘘をつく」(ミステリアス・プレス文庫) を読了。 心理サスペンス。 まさに「目は嘘をつく」。 といっても、認知系やSFの類ではなく、プロットの妙技。 徹夜本。
2008年02月27日
コメント(0)
[1] 読書日記 <落語は、笑うためだけに聴くのではない。一度目は笑えたくすぐりも、繰り返し 聴くと飽きてしまう。それなのに、同じ落語を何度聴いてもおもしろいのはなぜ だろう。それは、落語の世界では時間がとまっているからだ。殺伐とした話題ば かりが先行する今の世の中、核兵器も公害もテロもなかった「あの頃」の「あの 連中」に会うために、皆は落語を聴くのだ。> 田中啓文 「ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺」(集英社文庫) を読了。 現在のNHK朝のテレビ小説「ちりとてちん」でもお馴染みの「上方落語」。その世界に 入門させられた若者・竜二&笑酔亭梅寿・師匠の遭遇した事件を扱った連作短編ミステリ。 (笑酔亭梅寿は、笑福亭松鶴のもじり。他にも、桂公団地、桂麦昼といった名前も) 各短編は古典落語の演目名で、<古典をふまえた、謎解きのある、探偵小説>。 竜二の噺家としての成長ドラマにもなっている。 とにかく、おもろい。 ミステリ部分も面白いが、それ以上に物語、人情話として抜群に面白い。 田中啓文の作品らしく、駄洒落ネタも豊富。 上方落語好きならば勿論、上方落語を今まで聴いたことのない人でも、上方落語が聴き たくなる一冊。 ちなみに、全7編の短編のタイトルは、 「たちきり線香」 「らくだ」 「時うどん」 「平林」 「住吉駕籠」 「子は鎹(かすがい)」 「千両みかん」 と、上方落語のメジャーな演目が並び、上方落語の入門書としても代用可能の逸品。
2008年02月20日
コメント(0)
[1] 読書日記 <「水力発電の知識のない時代には、水を見てもエネルギー資源とは思わなかった だろうし、ウランを含んだ鉱石が大変なエネルギー源だとは、夢にも考えなか ったにちがいない。ウランの鉱石なんて、もともとただの石っころさ。エネル ギー源は原子力の知識のほうだ、と考えるのが自然じゃないかな。原子力資源 の初期、原爆の情報は高度の国家機密、それを外国にもらして処刑された学者 もあった。その時においても、ウラン鉱石を拾ったって、べつになんというこ ともなかった。エネルギーをうみだすもとは、情報のほうさ」 「だんだん、そんなふうに思えてきたよ。音楽をかなでるのはピアノかピアニス トかとなると、ピアニストのほうの肩を持ちたくなるものな」> 星新一 「声の網」(角川文庫) を読了。 電話から聞こえてくる謎の「声」を軸にして、同一マンションの各部屋を舞台に展開す る、12ヶ月12の物語を扱った連作短編集。 名作! 家庭電話というアイテムこそ、今となっては前世紀の遺物といった感が強まりつつある が、この小説の核となるアイデアは不変を思わせる。 星新一という作家の凄味を堪能できる一冊。
2008年02月18日
コメント(0)
[1] 読書日記 昨日は、急性胃炎のため早々に眠りにつく。 おかげで、三時過ぎに目が覚める。 胃の痛みも柔らいだので、食料の調達を目的に、近所のスーパー(24時間営業)へ。 そこで、「文藝春秋」3月号を立ち読み。 川上未映子 「乳と卵」(「文藝春秋」2008年3月号掲載) を読了。 第138回芥川賞受賞作品(2007年下半期)。 最近、友人と共に「友人に薦めたい本」という尺度で、ベストよりもフェイバリットに 重きを置いたブックレビューと採点を、某所にて行っている。 点数の目安(採点の基準)としてはこんな感じ。 90~.押し付けてでも読ませたい、いや、読んでくれ! 80~. えっ、読んでないの? それは恥ずかしいって、読んでおくべき。 70~.自分の蔵書に加え、再読に備えるべし。 60~.立ち読みするなり、借りるなりして、とにかく読むべし。 50~.読んで損はない。気が向けばどうぞ。 30~.お薦めはしない。 10~.こんなものが愛読書だと言う君を軽蔑する。 それに倣って、採点するのであれば「48点」。 読み心地としては、語りの類似から町田康に近い。 ただ、読み進み、読み慣れていけばの話で、当初は読み辛い。 純粋に文章としても、物語としても面白かったけども、文学的趣味が横溢すぎて、一般 性(普遍性)が感じらず、故に友人に薦めたいという程でもなく、この点数。 まあ、芥川賞受賞作品というジャンルらしい作品。
2008年02月13日
コメント(0)
[1] 読書日記 <本の代価は、自己確認のための保証金であったり、未来形の自分への投資であった りする> 石原千秋 「未来形の読書術」(ちくまプリマー新書) を読了。 著者は、日本近代文学の研究者。 研究方法として、「テクスト論」を採用している。 <「テクスト論」とは、生身の「作者」と「テクスト」とを切り離して論じる立場> (『Jポップの作詞術』HNK出版 生活人新書,2005年) 本書は、そんな著者のこれまでの著作を概括したような内容。 学校空間の仕事。 小説(文学テクスト)を読む際の、読者の役割。 「受容理論」、「言語論的転回」についての説明。 現代の教養を身につけるための評論の読み方、など。 「テクスト論」に興味ある人、小説を常々もっと深く読み込みたいと考えている人、 学校の国語教育に不満があった人などに、お薦めの一冊。 著者の本をこれまでに何冊か読んでいる自分としては、多少目新しさには欠けたが、 <信頼するということは、相手に未来を預けることだ>という一文には、「確かに」と 感じさせられた。 ちなみに、この著者の本としては、本書の中で著者自身が<「読者の仕事」を深めるため の読書案内>の中で挙げてもいる『漱石と三人の読者』(講談社現代新書)が凄く面白か った。おすすめ。
2008年01月23日
コメント(0)
全6件 (6件中 1-6件目)
1